及川 雅貴(およかわ まさき、2001年4月18日 - )は、千葉県八日市場市(現:匝瑳市)出身のプロ野球選手(投手)。左投左打。阪神タイガース所属。
経歴
プロ入り前
匝瑳市立須賀小学校3年時に「須賀スポーツ少年団」に入団し野球を始め、6年時に千葉ロッテマリーンズジュニアに選出された[2]。匝瑳市立八日市場第二中学時代は「匝瑳リトルシニア」に所属。3年時にはU-15日本代表入りし大会最優秀防御率を受賞した他[2]、最速140km/h超の「スーパー中学生」として注目された[3][4]。
横浜高校進学後は、1年春からベンチ入りし2年秋からエース[5]。1年夏、2年夏、3年春と3度の甲子園大会出場を果たし[2]、奥川恭伸(星稜)、佐々木朗希(大船渡)、西純矢(創志学園)とともに「高校BIG4」と呼ばれた一方で[6][7]、制球難に悩まされた影響で地方大会を含め出場各大会で芳しい結果を残すことができず[8][9][10]、一時は背番号10の剥奪も経験[9]。3年春の選抜では初戦の明豊戦に先発するも3回途中5失点で降板(結果は敗戦)[5]。3年夏の神奈川大会では、準々決勝の相模原戦にリリーフ登板するも1回2/3で3失点し逆転負けを喫した[2][11]。横浜が夏の県大会で公立校に敗れるのは1997年の横浜商業戦以来の出来事であった[2]。
2019年10月17日に行われたドラフト会議にて、阪神タイガースから3巡目指名を受けた[5]。契約金5000万円、年俸600万円で仮契約(金額は推定)[12]。背番号は37[13]。
阪神タイガース時代
2020年は二軍の安芸キャンプに参加し、その後も二軍で実戦を積んだ。同年の一軍登板はなし。ウエスタン・リーグでは9試合に登板し、2勝4敗、防御率6.00を記録した[14]。
2021年、プロ初登板となった5月28日の埼玉西武ライオンズ戦(メットライフドーム)で2/3回を1安打無失点に抑えると[15]、5月30日の西武戦(メットライフ)で1回2/3を2安打無失点に抑えプロ初勝利を挙げた[16]。6・7月は計15イニングの登板で自責点3に抑えるなど抜群の安定感を見せ、オリンピックによる中断を挟んだ後半戦からは勝ちパターンとして起用されるようになった[17]。その後は痛打される場面も目立つようになったが、シーズン終盤の9月には計9イニングを1失点に抑えるなど盛り返し、最後まで登録を抹消されることなく一軍に帯同し続けた。
選手としての特徴
スリークォーター[19]から最速153km/hのストレートを武器とし[20]、変化球はキレのあるスライダーを軸にカーブ、チェンジアップ、ツーシームを投げる[21][22][23][24]。2021年にリリーフとして自己最速となる153km/hを再び記録した[25]。
及川自身は先発を希望しているものの、2022年時点では調子や実力から中継ぎとしての起用が多い。及川も「チームのために頑張る気持ちがあるが、これには悔しい思いもある」と述べている[26]。
人物
愛称は「オヨヨ」(略して「オヨ」とも)[27][28][29][30]。
中学3年生の時にテレビ朝日のスポーツバラエティ番組『ビートたけしのスポーツ大将』に出演[27]。平田良介、森友哉と対戦し、平田から138km/hのストレートで空振り三振を奪ったが[27]、森には中前打を打たれた[3]。プロ入り後に森友哉と再戦し、ピッチャーゴロで打ち取った[31]。
自分のいた高校のOBである松坂大輔を目標にしている[32]。同じく高校のOBである上地雄輔にはオリジナル登場曲を作ってもらっている[33]。
詳細情報
年度別投手成績
年 度 | 球 団 | 登 板 | 先 発 | 完 投 | 完 封 | 無 四 球 | 勝 利 | 敗 戦 | セ 丨 ブ | ホ 丨 ル ド | 勝 率 | 打 者 | 投 球 回 | 被 安 打 | 被 本 塁 打 | 与 四 球 | 敬 遠 | 与 死 球 | 奪 三 振 | 暴 投 | ボ 丨 ク | 失 点 | 自 責 点 | 防 御 率 | W H I P |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2021 | 阪神 | 39 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 3 | 0 | 10 | .400 | 169 | 39.0 | 31 | 4 | 24 | 4 | 2 | 38 | 4 | 0 | 18 | 16 | 3.69 | 1.41 |
2022 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ---- | 4 | 1.0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 9.00 | 1.00 | |
通算:2年 | 40 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 3 | 0 | 10 | .400 | 173 | 40.0 | 32 | 5 | 24 | 4 | 2 | 38 | 4 | 0 | 19 | 17 | 3.83 | 1.40 |
- 2022年度シーズン終了時
年度別守備成績
- 2022年度シーズン終了時
記録
- 投手記録
- 初登板:2021年5月28日、対埼玉西武ライオンズ1回戦(メットライフドーム)、7回裏に4番手で救援登板、2/3回無失点
- 初奪三振:同上、7回裏にコーリー・スパンジェンバーグから空振り三振
- 初勝利:2021年5月30日、対埼玉西武ライオンズ3回戦(メットライフドーム)、3回裏に2番手で救援登板、1回2/3を無失点
- 初ホールド:2021年6月30日、対東京ヤクルトスワローズ11回戦(阪神甲子園球場)、7回表に2番手で救援登板、2/3回無失点
背番号
- 37(2020年 - )
登場曲
- 「ひまわり」(遊助)(2020年 - 2021年)
- 「オセロ 及川雅貴選手ver.」遊助(2022年 - )
代表歴
脚注
- ^ “阪神 - 契約更改 - プロ野球”. 日刊スポーツ. 2022年11月15日閲覧。
- ^ a b c d e “【神奈川】横浜まさか…及川急きょ登板も4連覇ならず”. スポーツ報知 (2019年7月26日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ a b “阪神3位及川「打たれてしまった」西武森に雪辱誓う”. 日刊スポーツ (2019年10月23日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ “阪神ドラ3及川、奪三振も四球も多い「スーパー中学生」の実像”. Sponichi Annex (2019年12月6日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ a b c “阪神、横浜・及川投手を3位指名 高校「BIG4」の一角 潜在能力の高い153キロ左腕”. Sponichi Annex (2019年10月17日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ “阪神及川「やっぱり悔しい」奥川と初対決で先に降板”. 日刊スポーツ (2020年11月27日). 2020年11月27日閲覧。
- ^ “阪神D3位・及川よ、高校BIG4の実績は忘れろ!高橋建2軍Cが裸一貫のススメ”. SANSPO.COM (2019年10月20日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ “横浜・及川、最速149キロ 昨秋敗戦バネに大きく - 高校野球”. 日刊スポーツ (2018年4月16日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ a b “自己最速149キロをマーク!“世代NO.1”横浜高の2年生左腕・及川雅貴”. 週刊ベースボールONLINE (2018年4月16日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ “菊池雄星を超える逸材がまさか。横浜・及川雅貴に異変が起きていた”. web Sportiva (2019年3月25日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ “横浜・及川号泣…相模原にまさかの逆転負け/神奈川 - 高校野球夏の地方大会”. 日刊スポーツ (2019年7月25日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ “阪神、D3位・及川と合意”. SANSPO.COM (2019年11月7日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ “阪神入団会見 ドラ1西は背番号15 過去には御園生、湯舟も…”. デイリースポーツonline (2019年12月2日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ “2020年度 阪神タイガース 個人投手成績(ウエスタン・リーグ)”. 日本野球機構. 2021年5月30日閲覧。
- ^ “阪神・及川 プロ初登板で2/3回を無失点「中継ぎの厳しさを実感した」”. デイリースポーツ online (2021年5月28日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ “プロ初勝利の阪神及川「自分だけの初勝利じゃない」中継ぎで1勝/一問一答”. 日刊スポーツ (2021年5月30日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ “阪神・矢野監督、及川を絶賛「いい働き、本当に大きい」今後も勝ちパターン起用”. デイリースポーツ (2021年8月15日). 2021年11月10日閲覧。
- ^ “阪神・及川が負傷後初の実戦形式に登板 打者5人に2三振、最速147キロ”. デイリースポーツ online (2022年4月27日). 2022年4月27日閲覧。
- ^ “ココだけ押さえれば大丈夫! 今年のセンバツで見逃せない「プロ注目の逸材」”. AERA dot. (2019年3月22日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ “高校BIG4のひとり、横浜・及川雅貴投手が始動 甲子園V&プロ入りが目標”. デイリースポーツonline (2019年1月4日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ “横浜の最速152キロ左腕・及川。あえて2つの球種で勝負する理由”. web Sportiva (2018年8月13日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ “横浜・及川が逆襲へカーブ取得「負けたくない」”. 日刊スポーツ (2019年6月9日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ “横浜・及川が「内緒」にしていた新球種 3年間の悔しさをぶつける最後の夏”. スポーツナビ (2019年7月3日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ “阪神・及川 2軍で第1クール最多の116球 前日の打撃投手反省し修正”. スポニチ Sponichi Annex (2021年2月4日). 2021年10月3日閲覧。
- ^ “阪神 及川が強気の真っ向勝負で巨人斬り 11球のうち10球が直球”. デイリースポーツ (2021年9月26日). 2021年11月10日閲覧。
- ^ “https://www.daily.co.jp/tigers/2022/03/05/0015111527.shtml”. デイリースポーツ online (2022年3月5日). 2022年3月5日閲覧。
- ^ a b c “虎の文枝や!阪神D3位・及川、“オヨヨ”と呼んで「球界を代表する投手に」”. サンケイスポーツ (2019年10月24日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ “阪神3位及川は桂三枝?「オヨヨと呼んでほしい」”. 日刊スポーツ (2019年10月23日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ “阪神ドラ3及川、虎党へ「オヨヨ」と呼んで 高校時代の愛称「継続して呼んで頂けたら」”. Sponichi Annex (2019年10月24日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ “阪神3位及川が目指すは200勝投手!まず1軍狙う”. 日刊スポーツ (2019年11月7日). 2021年8月14日閲覧。
- ^ “阪神及川プロ舞台で西武森打ち取った!中3時TV番組で被安打のリベンジ”. 日刊スポーツ (2021年5月30日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ “阪神・及川 ハタチの誓い「高卒3年目2桁勝利」先発転向へフォーム“コンパクト化”模索中”. デイリースポーツ online (2022年1月10日). 2022年1月10日閲覧。
- ^ “阪神・及川“開幕”名乗り 2・3紅白戦から猛アピだ 2桁星で上地雄輔に登場曲おねだり”. デイリースポーツ online (2022年1月14日). 2022年1月14日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 個人年度別成績 及川雅貴 - NPB.jp 日本野球機構
- 選手の各国通算成績 Baseball-Reference (Japan)
- 及川雅貴 (@masaki_0418) - Twitter
- 及川雅貴 (@oyogram.0418) - Instagram