北山 亘基（きたやま こうき、1999年4月10日 - ）は、京都府北桑田郡京北町（現：京都市右京区）出身[2]のプロ野球選手（投手）。右投右打。北海道日本ハムファイターズ所属。
経歴
プロ入り前
京都市立京北第一小学校（現・京都市立京都京北小中学校）3年生のときに[3]、地元の少年野球チームである京北ファースト少年野球クラブで野球を始めた[4]。京都市立周山中学校（現・京都市立京都京北小中学校）では軟式野球部に所属[3]。
京都成章高等学校に進学すると、1年夏からベンチ入り[3]。2年夏からは背番号1を背負い、新チームでは主将に就任[5]。3年夏はエース兼主将として、同校19年ぶりとなる甲子園出場へ導いた[6]。甲子園初戦（2回戦）の神村学園戦では、8回まで毎回の11奪三振と好投したが[7]、チームは2-3でサヨナラ負け[8][9]。高校時代の最速は146km/hであり[10]、プロ野球志望届を提出するも、2017年度ドラフト会議では指名漏れとなった[11]。
その後、京都産業大学経済学部に進学[12]。平野佳寿らを育てた勝村法彦監督の指導を受け、関西六大学野球リーグでは1年春からベンチ入り[3]。1年秋のリーグ戦では抑えのエースとして9試合に登板し、防御率0.96を記録してチームの優勝に貢献した[13]。2年春のリーグ戦では平古場賞（新人賞）を獲得[14]。最終学年を迎えるとチームの主将に任命され、4年春のリーグ戦では開幕から2試合連続完封勝利を挙げるなど、リーグトップの59回1/3を投げて69奪三振を記録し[15]、最優秀投手賞を獲得した[16]。4年秋のリーグ戦では自己最速の153km/hを計測[17]。大学4年間ではリーグ通算14勝を挙げた[18]。
2021年10月11日に行われたドラフト会議にて、北海道日本ハムファイターズから8位指名を受けた[19]。12球団全体では77人中76番目の指名[18]、ドラフト会議開始からは2時間以上が経過しており、2度目の指名漏れが頭をよぎったこともあって、控え室や会見では涙を流した[20]。11月15日に契約金2000万円・年俸700万円（いずれも金額は推定）で仮契約を結んだ[21]。背番号は57[22]。
日本ハム時代
2022年は春季キャンプを二軍でスタートしたが[23]、視察に訪れた新庄剛志監督は北山がブルペンで投じたストレート3球を見て、「明日から（一軍へ）行こう[24]」と第2クールから一軍へ合流[25]。オープン戦初登板となった3月3日のヤクルト戦[26]で自己最速の156km/hを計測するなど[27]、オープン戦では中継ぎとして5試合・6イニングを投げ、無四球13奪三振無失点[28]。開幕2日前の3月23日に新庄監督は自身のインスタグラムにて、北山を開幕投手に抜擢したことを発表した[29]。2リーグ制以降において、新人による開幕投手は2013年の則本昂大以来となる史上14人目。ドラフト制後においては史上3人目であり、ドラフト8位指名は最も低い順位。また、球団では1956年の牧野伸以来となる史上2人目の新人開幕投手であった[30]。福岡ソフトバンクホークスとの開幕戦でプロ初登板初先発となり、2回47球2安打3四球1奪三振無失点という内容で降板した[31]。3月31日の埼玉西武ライオンズ戦、4点リードの9回表に中5日でリリーフ登板して1イニングを無失点に抑えると[32]、その後もクローザーを任され、4月6日の千葉ロッテマリーンズ戦でプロ初勝利[33]、同12日の西武戦ではプロ初セーブを記録[34]。ドラフト8位指名以下の新人投手がセーブを挙げるのは史上初であった[35]。5月24・25日のヤクルト戦では、星野仙一以来44年ぶりとなる2試合連続サヨナラ被本塁打を喫したが[36]、26日の同カードでも4点リードの延長10回裏から登板し、プロ初の3連投[37]。登板直前には新庄監督から直々に激励され、1点を失いながらも投じた23球全てがストレートという気持ちのこもった投球で試合を締め[38]、試合後には涙を流した[39]。その後は自身の不調に加え[40][41]、石川直也の復帰[42]や伊藤大海のクローザーテストなど[43]、様々なチーム事情が絡んで流動的な起用法となり、ルーキーイヤーはシーズンを通して一軍に帯同し、チーム最多の55試合に登板[44]。3勝5敗16ホールド9セーブ・防御率3.51という成績を残し、オフに2000万円増となる推定年俸2700万円で契約を更改した[45]。
2023年はオープン戦5試合に登板し、6回を投げて防御率0.00ながら5与四球と、直球の制球が乱れがちだった。中継ぎとして2年連続開幕一軍入りをするも、不安定な投球が続いた。首脳陣は先発投手への配置転換の方針を固め、調整のために4月13日に登録を抹消された[46]。一軍復帰した5月4日の西武戦で今季初先発、6回を無安打無失点に抑え、今季初勝利を挙げた[47]。
選手としての特徴・人物
最速156km/h[27]のストレートに加え、カーブ、スライダー、カットボール[48]、スプリット[49]、チェンジアップ[50]、ツーシームなど様々な球種を投げ分ける[51]。日本ハムの新庄剛志監督は北山のストレートの質について、初速と終速の球速差が少ないと評する[29]。
本やインターネットを利用して野球以外の分野も含め、様々な知識を蓄える[53]。知識の豊富さから、日本ハム入団後の愛称は「教授」[52]。本は練習のない時に月3冊程度読み、日本ハムとの仮契約時点ではオンラインサロンに4個入会している[54]。情報の取捨選択をする力はある方だと自負する[53]。
大学時代は、取材したメディアの担当者に対してお礼のメールを律儀に送る人柄だった。北山も「取材に来てもらえるのは当たり前じゃないと思っている」ためのもので、プロ入り後も「全員にお礼を送るのは難しいかもしれませんが、感謝の気持ちは伝えたいです」と話している[53]。
詳細情報
年度別投手成績
| 年 度 | 球 団 | 登 板 | 先 発 | 完 投 | 完 封 | 無 四 球 | 勝 利 | 敗 戦 | セ 丨 ブ | ホ 丨 ル ド | 勝 率 | 打 者 | 投 球 回 | 被 安 打 | 被 本 塁 打 | 与 四 球 | 敬 遠 | 与 死 球 | 奪 三 振 | 暴 投 | ボ 丨 ク | 失 点 | 自 責 点 | 防 御 率 | W H I P |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022 | 日本ハム | 55 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 | 5 | 9 | 16 | .375 | 219 | 51.1 | 37 | 3 | 28 | 1 | 4 | 58 | 1 | 1 | 21 | 20 | 3.51 | 1.27 |
| 通算：1年 | 55 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 | 5 | 9 | 16 | .375 | 219 | 51.1 | 37 | 3 | 28 | 1 | 4 | 58 | 1 | 1 | 21 | 20 | 3.51 | 1.27 | |
- 2022年度シーズン終了時
年度別守備成績
- 2022年度シーズン終了時
記録
- 初記録
- 初登板・初先発登板：2022年3月25日、対福岡ソフトバンクホークス1回戦（福岡PayPayドーム）、2回無失点で勝敗つかず[55]
- 初奪三振：同上、1回裏にジュリスベル・グラシアルから見逃し三振[55]
- 初ホールド：2022年4月3日、対オリックス・バファローズ3回戦（京セラドーム大阪）、7回裏に2番手で救援登板、1回無失点
- 初勝利：2022年4月6日、対千葉ロッテマリーンズ2回戦（札幌ドーム）、9回表に4番手で救援登板・完了、1回無失点[56]
- 初セーブ：2022年4月12日、対埼玉西武ライオンズ4回戦（ベルーナドーム）、9回裏に4番手で救援登板・完了、1回無失点[57]
- 初先発勝利：2023年5月4日、対埼玉西武ライオンズ6回戦（ベルーナドーム）、6回無安打無失点
- その他の記録
背番号
- 57（2022年 - ）
登場曲
- 『Believer』Imagine Dragons (イマジン・ドラゴンズ) / （2022年 - ）
脚注
出典
- ^ “日本ハム - 契約更改 - プロ野球”. 日刊スポーツ. 2022年11月30日閲覧。
- ^ “京産大の北山亘基投手は日本ハムから8位指名 ドラフト会議”. 京都新聞 (2021年10月11日). 2021年12月24日閲覧。
- ^ a b c d “【近畿ドラフト候補特集】京産大・北山は理論的本格派 大家と平野の先輩2人に「少しでも近づきたい」”. Sponichi Annex (2021年1月4日). 2023年3月2日閲覧。
- ^ “北海道日本ハムファイターズ 北山亘基投手が開幕投手に決定”. 京都産業大学 (2022年3月24日). 2023年3月2日閲覧。
- ^ “京都成章・北山、先制Ｖ打＆完投 頼れる主将が決勝導いた”. デイリースポーツ (2017年7月25日). 2023年3月2日閲覧。
- ^ “【京都】京都成章１９年ぶり夏切符 エース北山生まれる前「今度は自分が」”. Sponichi Annex (2017年7月26日). 2023年3月2日閲覧。
- ^ “神村学園 サヨナラ勝ちで３回戦進出 京都成章・北山は１１Ｋ力投実らず”. Sponichi Annex (2017年8月14日). 2023年3月2日閲覧。
- ^ “京都成章、19年ぶり甲子園安打「ホッとした」”. 日刊スポーツ (2017年8月14日). 2022年3月28日閲覧。
- ^ 京都成章 対 神村学園
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- ^ “155キロと新球スプリットで夢叶える 今秋ドラフト候補の京産大・北山が本格始動”. スポニチ Sponichi Annex (2021年1月9日). 2022年3月10日閲覧。
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- ^ “北山亘基 | 北海道日本ハムファイターズ | 選手”. 週刊ベースボールONLINE. 2022年3月10日閲覧。
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- ^ “日本ハム・ドラ8北山 プロ4試合目で待望のプロ初勝利！開幕投手の経験生き「最高でーす！」”. スポーツニッポン. (2022年4月7日) 2022年4月12日閲覧。
- ^ “新庄ハム、今季初の完封＆連勝 ビッグボス“好リクエスト”、開幕投手ドラ8が初セーブ”. Full-Count (2022年4月12日). 2022年4月12日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 個人年度別成績 北山亘基 - NPB.jp 日本野球機構
- 選手の各国通算成績 Baseball-Reference (Japan)、The Baseball Cube
- 57 北山 亘基 選手名鑑 - 北海道日本ハムファイターズオフィシャルサイト
- 北山亘基 (@57kitayama) - Twitter
- 北山亘基 (@57kitayama) - Instagram