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勧善懲悪委員会

勧善懲悪委員会(かんぜんちょうあくいいんかい、アラビア語: هيئة الأمر بالمعروف والنهي عن المنكر‎、英語: Committee for the Promotion of Virtue and the Prevention of Vice[1]、略称: CPVPV)は、サウジアラビア宗教警察。別名はムタワ

勧善懲悪委員会
設立 1927年
種類 宗教警察
本部 サウジアラビア
公用語 アラビア語
関連組織 サウジアラビア王国政府
ウェブサイト 勧善懲悪委員会公式サイト
特記事項 サウジアラビア宗教警察
(テンプレートを表示)

 訳語について、別の意見をここで記すことは日本人のイスラーム理解に有意義である。勧善懲悪の懲の意味は英語でもない。この概要でもない。この訳語は検討が必要である。アラビア語の意味は、常識(的)行動を命じ、撥ねつける(非常識)を否定することであるが、これでは何を言っているのか分からないが、サウジの当該省はクルアーンの節を根拠としている。テーマは信仰実践指導(クルアーン3:104,110,11,9:71,112など)と、一般人権利保護(クルアーン2:178など)、そして女性の権利の保護(クルアーン2:180,229,231-235など)である。中国の『春秋左氏伝』のことばをイスラームのこの用語に充てることは、クルアーンの意味から理解すれば不適当な訳語である。

概要

正式名称は「徳の奨励と悪徳の禁止の省」となる。サウジアラビアの国教であるイスラム教ワッハーブ派の三大教義の一つである「勧善懲悪の実施」を行う政府機関として宗教警察の役割を持ち、国内の思想統制に大きな力を発揮している。一般にはイスラム社会における宗教警察を表す「ムタワ」の略称で呼ばれている。

代表者は長年にわたりシャイフ・イブラヒム・ビン・アブダラ・アルガイス (Sheikh Ibrahim Bin Abdullah Al-Ghaithが務めていたが、2009年に解雇され、穏健派指導者へと代えられている。

ターリバーン政権下のアフガニスタンにも同様の組織として勧善懲悪省が存在していた。

歴史

現在の名称になったのは1940年であるが、組織の発足は1927年のイフワーンの反乱にまで遡る。1912年頃、サウード家アラビア半島に支配権を確立して現在のサウジアラビアの基礎ができた当時、宗教的な取締りの役目はイフワーンが担っていた。しかし、1926年にイフワーンがエジプトから来たメッカ巡礼団を異教徒として襲撃した事件が問題になり、襲撃事件がイラククウェートにまで越境して深刻な問題に発展した。このため、イフワーンから襲撃の大義名分を奪う目的で、国王勅令により勧善懲悪委員会の前身となるムタワが設置された。イフワーンの反乱が鎮圧され、イフワーンが実質的に壊滅してからは現代に至るまで勧善懲悪委員会が宗教警察としての役目を担っている。

元々は地域住民への生活指導などを行うボランティア組織的なものであり、懲罰といっても小さなで軽く叩く程度であった。湾岸戦争以降、西洋文化の流入が進むと態度を硬化させるようになり、取り締まりの過激化が進み、違反者の逮捕処刑まで行うようになった。

近年では、皇太子ムハンマド・ビン・サルマーンの近代化改革で[2]影響力が低下しつつあり[3]2016年4月には、サウジアラビア政府の決定により逮捕権が剥奪された[4][5]

組織と活動

イスラム宗教庁の内部委員会であり、日本の省庁でいうところの局に相当する組織である。2022年現在傘下組織には一般宗教犯罪部門、詐欺部門、情報犯罪部門(いわゆるネット犯罪やプライバシー侵害類)、魔術・まじない部門があり宗教系犯罪に加え一般道徳に関する問題に関与している。

サウジアラビアでは3,500人の職員と多数のボランティアによって運営されており、総人数は4,000人から5,000人ともいわれている。委員には王族に知事や副知事、宗教指導者まで幅広い権力者が在籍しており、サウジアラビア国内における影響力は非常に大きく、イスラムにおける倫理委員会の役目を果たしている。

勧善懲悪委員会自体は司法警察権や裁判権は持っていないため、正規の警察官と二人一組で活動している。実際に逮捕を行うのは警察官である。逮捕した相手に対する告発を行うだけで裁判そのものは裁判官が執り行うが、実質的に警察裁判所も勧善懲悪委員会の威光には逆らえない。

湾岸戦争以降に流入するようになった西洋文化に対して非常に強い拒否反応を示しており、彼らの考える「イスラムの教義」に合わない欧米文化の排除に積極的に活動している。

魔術・まじない撲滅班

勧善懲悪委員会の組織の一つ。アラビア語ではوحدة مكافحة السحر والشعوذةといい、英語ではCommission anti-sorceryやAnti-Witchcraft Unitなどと表現。年々増加する(黒)魔術ならびにまじない・詐欺に対応するために創設された。委員会の地域支部に班員らがおり地元で発生した案件に対処、報道陣向けに情報を提供するスポークスマンも置かれている。

組織名に含まれるالسحرやالشعوذةは小説や映画に出て来るファンタジー的な魔法ではなくアラブ諸国で社会問題化している黒魔術・呪詛、除霊といった迷信行為を具体的には指す。イスラームの教えから外れている民間信仰であること、また人間が魔法などの超自然的な力を持つと主張することは詐欺・詐称や人々を惑わす行為であるとし、黒魔術・呪詛・霊感商法類を摘発。

黒魔術類の増加を受け同様の活動が他のアラブ諸国でも行われており似たようなネーミングの組織も存在するが、サウジアラビア王国の場合は勧善懲悪委員会自らが率先して行ないキャンペーン等を展開している。

オフィスでの受付に加え電話やメールによる問い合わせにも対応[6]。黒魔術被害に遭った人々からの相談を受け呪詛具の判定作業(注:人々は呪詛具に触れたり袋を開けたりすることを嫌うためイスラーム宗教者に手渡し相談することを希望する傾向が強い)ならびにイスラーム的手順に従ったそれらの無効化作業(فك السحر)も行う。呪詛により原因不明の病気に襲われていると疑われるケースではクルアーンの章句を唱えるなどし解除作業に当たる。

よくある業務はサウジアラビア国民や外国人居住者による黒魔術摘発、呪詛具への対応、非イスラーム的霊媒師・呪術師・詐欺師の摘発など。

サウジアラビア他アラブ諸国では黒魔術・霊感商法・詐欺が年々増えていると言われ、勧善懲悪委員会の支部一つだけでも年間数百件単位の事案を扱うなどする。魔術・まじない摘発活動や典型的呪詛手段に関する知識を高めるためのスタッフ講習会開催、啓発のための移動展示や宗教講話を通じた注意喚起も実施[7]。黒魔術・呪詛に関して術の完遂を防いでほしい・不安に陥れられた・病気になった・一家が不幸に見舞われた・金を騙し取られたと訴える人々への対応を強化。経験豊富なエキスパート集団・手頃な宗教詐欺事件通報先として認知されている。

またできないにもかかわらず能力を主張する詐欺行為ということで財宝を探し当てることができるとして大金を騙し取った詐欺師の逮捕[8]なども業務範囲に含まれる。

なおアラブ諸国では黒魔術に関する規定が法律に盛り込まれているなどしており、サウジアラビア王国でも最高刑として死刑が設定されている。死刑宣告が撤回された例もあるがこれまでに魔術師・詐欺師と判定された人物らが複数人死刑となっていることからしばしば国際的人権団体からの非難を受ける原因となっている。

活動

インターネットサイトの監視に加えて、ペットとして飼うことを禁止したり[9]の販売禁止と取締り、バレンタインデーを禁止して、市内の店舗からバレンタイン関連の商品を撤去させたりしている[10]

近年の悪名高い活動の一つに、2002年3月11日メッカの女学院が火事になった際の対応が挙げられる。当時、委員会は「女子生徒たちのセーラー服が規則違反だから外に出てはならない」という理由で、燃えさかる炎の中に女子生徒たちを閉じ込め、さらに消火活動にきた消防隊に「女学院に男性は立ち入ってはならない」と言って、消火活動を妨害した。その結果、女性15人が死亡、50人が負傷する事態になった[11][12][13][14][15]

2005年5月には、霊媒師の女性を魔術を使用して男性を性的不能にしたとして逮捕し、殴る蹴るの暴行を加えて自供を強制、死刑判決が出された。このため欧米では、悪名高い人権侵害組織として批判されている。

あまりにも過激な活動から、近年ではサウジアラビア内部でも批判されるようになり、サウジアラビア内務省は活動を制限しようとしている。そのため、外国人が多い地域や外国人向けのショッピングモールなどでは、勧善懲悪委員会の立ち入りを制限するなどの動きも出始めている。

2008年には、逆に一般市民が勧善懲悪委員会メンバーに「集団暴行を行う」という事件まで起きている。

2008年に、聖地巡礼に来ていたレバノン霊能力者、アリー・フサイン・スィバート (en:Ali Hussain Sibat) を魔術(彼が行っていた霊能術と衛星局Shahrazad TV放送を通じた広域への影響)を理由にメディナ市内のホテルにて逮捕・告発し、死刑判決が出された。この措置に対しては人権団体などから抗議が寄せられ、30ヶ月にもおよぶ拘留の後罪状の再判断を経て釈放された。

メッカの元委員会責任者だったアフマド・カースィム・アル=ガーミディーは、勧善懲悪委員会のやり方に疑問を投げかけ、対立している[16]

関連項目

脚注

  1. ^ サウジアラビア政府公式の英語訳
  2. ^ 【揺れるサウジ カショギ氏事件の背景】(中)改革で開放感 リヤドの春/宗教警察に「強権」発動『毎日新聞』朝刊2018年10月29日(国際面)2018年12月2日閲覧。
  3. ^ “「牙を抜かれた」サウジの宗教警察、社会に解放感も一抹の不安”. AFPBB News. (2018年2月15日). https://www.afpbb.com/articles/-/3162443 2018年2月15日閲覧。 
  4. ^ Ishiguro, Hirotake「サウジアラビア「ビジョン 2030」とサルマーン体制の課題」(PDF)『平成28年度外務省外交・安全保障調査研究事業 安全保障政策のリアリティ・チェック ―新安保法制・ガイドラインと朝鮮半島・中東情勢― 中東情勢・新地域秩序』2016年、90頁、2017年11月6日閲覧 
  5. ^ 在サウジアラビア日本国大使館 (2017-12). 安全の手引き (Report). http://www.ksa.emb-japan.go.jp/j/consular/security.pdf 2018年2月15日閲覧。. 
  6. ^ “مكافحة السحر والشعوذة”. 2022年1月12日閲覧。
  7. ^ “هيئة المدينة تكشف 21 علامة للسحرة في معرض مكافحة الشعوذة هيئة المدينة تكشف 21 علامة للسحرة في معرض مكافحة الشعوذة”. 2022年1月12日閲覧。
  8. ^ “الإيقاع بمشعوذ يدعي استخراج الكنوز.. بالمدينة المنورة”. 2022年1月12日閲覧。
  9. ^ (英語) Associated Press (2006-12-18), "Cats and dogs banned by Saudi religious police", msnbc.com; 2011-02-03閲覧.
  10. ^ (英語) Irfan Al-Alawi and Stephen Schwartz (2007-05-05), "Valentine's Day in Saudi Arabia: Portents of change from the desert kingdom", The Weekly Standard, Vol. 12, No. 24; 2011-02-03閲覧.
  11. ^ Arab News. 12 March 2002, 14 girls die in Makkah School Stampede
  12. ^ Arab News. 13 March 2002, Shock turns to outrage over school fire tragedy
  13. ^ Arab News. 16 March 2002, Abdullah vows action to prevent repeat of Makkah School Tragedy
  14. ^ Arab News. 18 March 2002, Naif denies commission men prevented rescuers
  15. ^ Human Rights Watch. Saudi Arabia: Religious Police Role in School Fire Criticized
  16. ^ 「サウジ宗教警察」と戦う無謀な男の正体東洋経済

外部リンク

  • 勧善懲悪委員会公式サイト (アラビア語)
  • 在サウジアラビア日本国大使館,勧善懲悪委員会について(日本語) - 日本大使館による在留邦人向け安全の手引き
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