歴史
天暦3年(949年) 勧請され、当時の社領は2千石。鎌倉時代初期に明知遠山氏が統治を始めるまで明知・高波・串原・浅谷などの諸村を治めていたと伝わる。
天正2年(1574年)、武田勝頼の東濃侵攻の際の明知城の戦いで、遠山一行は、金幣社 八王子神社と明知城への攻撃を神職の丹後禰宜を引き連れて防ごうとした。丹後は強弓で敵兵5～6人を倒し、武田勢が怯むところを斬りかかり戦ったが深手を負い山中に退き亡くなった。その他の禰宜24人も討死した。社殿は武田勢に焼討されて焼失した。
寛永14年(1637年)、その後は小社のまま残されていたが、明知陣屋の旗本(交代寄合)の遠山勘左衛門は、金幣社 八王子神社に祈って世嗣を授かったことを喜んで、小杉村の内で50石を社領として寄進し同時に新しい社殿を造営した。
延宝4年(1676年)、旗本(交代寄合)4代の遠山伊次によって現在の社殿が造営された。建築費は米・麦・大豆を除き、金七百両を費やしたと伝わる。木材の大きなものは牛地から伐り出し明知まで搬送した。その延人数は、大工7,347人、木挽632人、葺師1,630人、絵師194人であった。
社殿
本殿は三間社流造、銅板葺（元柿葺）、幣殿は両下造、桁行３間、梁間２間、拝殿は入母屋造、銅板葺（元柿葺）、桁行７間、梁間４間、本殿・幣殿・拝殿が一体的に構成されている権現造で、江戸時代初期の社殿建築の遺構として貴重な事から昭和50年（1975年）に岐阜県指定有形文化財に指定された。
社殿に掲げられている絵馬は、主に旗本(交代寄合)4代の遠山伊次や、5代の遠山伊清、その家臣達が奉納したもので、その内、「遊鹿図」、「高砂図」、「神馬図」、「白鷹図」、「羅生門図」、「橋上合戦図」、「屋台見物図」の７面は大型で意匠に優れた貴重なものとして昭和49年（1974年）に岐阜県指定文化財に指定された。
神門
白鷹城（明知城）の城門を移築したものとされていて向唐門形式、銅板葺、江戸時代前期に建てられた格式の高い門として岐阜県指定文化財に指定されている。
境内
金幣社 八王子神社と末社
明知遠山氏の氏神的な地位にあり、領内の多くの神社を従えていた。末社に仕える禰宜は、金幣社 八王子神社の神主の下知の下におかれていたばかりではなく、金幣社 八王子神社の年内の神事や例祭などでは、それぞれの役を勤めていた。
延宝4年(1676年)に書かれた「八王子神社縁起」の「八王子神社の在々末社の覚」によると、以下20村の計26社の産土神社が末社となっており、末社祭祀のために20数石が寄進されている。
八王子神社(明智町門野)、 八王子神社(明智町吉良見)、 八幡神社(明智町吉良見)、 八幡神社(明智町杉平)、 熊野神社(明智町野志)、 春日神社(明智町大舟)、 住吉神社(明智町阿妻)、 陽宮(明智町田良子)、 天王神社(山岡町上手向)、 貴布祢神社(山岡町上手向黒羽根)、 八幡神社(山岡町上手向黒羽根)、 白山比咩神社(山岡町下手向)、 神明神社(山岡町下手向)、 八幡神社(山岡町釜屋)、 神明神社(山岡町釜屋)、 折立観音(山岡町釜屋)、 山王日枝神社(山岡町久保原)、 天神社(瑞浪市陶町猿爪)、 白山神社(瑞浪市戸狩)、 白山神社(瑞浪市羽広)、 八幡神社(折山田)、 神明神社(おだこ)、 八王子神社(土岐市曽木)、 八王子神社(愛知県豊田市下切町)、 八王子神社(愛知県豊田市浅谷町)、 山王神社(愛知県豊田市)
祭神
天照大神の8人の王子が祀られている。
- (男神) 天之忍穂耳命、天穂日命、天津彦根命、活津彦根命、熊野久須昆命
- (女神) 田心姫命、湍津姫命、市寸島比売命
祭事
10月初旬に例大祭が行われる。「宮本組」「若一組」「桔梗連」「子供組」「青年団」の5台の屋台が、明智町中心部を巡行した後に境内に集合する。
交通
参考文献
- 恵那郡史
- 明智町誌 第六編 文化 第二章 宗教 第一部 神社 370～375P
- 明知御陣屋 乾 (旗本明知遠山氏年譜)熊谷博幸 編 81P
関連項目
外部リンク
- 恵那市公式観光サイト
- 岐阜県観光連盟