児玉 浩（こだま ひろし、1963年（昭和38年）4月12日[1] - ）は、日本の政治家。元広島県安芸高田市長（1期）、元広島県議会議員（6期）、元広島県議会副議長（109代）[2]。
来歴
広島県安芸高田市生まれ[3]。父親は、安芸高田市長や高宮町長などを務めた児玉更太郎[1]。広島県立吉田高等学校、中京大学法学部卒業[1]。高田郡農協（現・広島北部農協）に勤務[1]。
1999年（平成11年）4月の広島県議会議員選挙に高田郡選挙区（定数1）から無所属で立候補。自民党現職の木山千之、元甲田町議の吉田修らを破り初当選[4]。2003年（平成15年）の県議選は自民党公認で立候補し、無投票で再選[5]。2019年（平成31年）、無投票で6選[6]。2019年5月から2020年2月まで第109代広島県議会副議長を務めた[2]。
2020年（令和2年）4月5日告示、同月12日実施の安芸高田市長選挙に自民党・公明党の推薦を受けて立候補し、無投票により初当選した[7]。同月18日、市長就任[8]。
同年6月26日、後述の参院選での買収事件で現金授受に関与したことを受けて「反省を示さなくちゃ」と頭を丸刈りにし[9]、7月3日、当選から僅か2ヶ月半で市長を辞職した[10]。
人物
参院選をめぐる現金買収事件
「河井夫妻選挙違反事件」も参照
- 2019年
- 3月29日、広島県議会議員選挙が告示。児玉は無投票で6期目の当選を果たす。
- 7月21日、第25回参議院議員通常選挙が執行。広島県選挙区（改選数2）においては、無所属・現職の森本真治と自民党新人の河井案里が当選を果たした。自民党現職の溝手顕正は次点で落選。
- 2020年
- 4月5日、安芸高田市長選挙が告示される。児玉は無投票で初当選[7]。
- 6月18日、(東京地検特捜部)は、前年の参院選広島県選挙区をめぐり河井克行・河井案里夫妻が広島県内の地方議員や首長ら94人に投票や票の取りまとめを依頼し、計約2,570万円の報酬を渡したとして、両者を逮捕した[11]。克行は証拠品を押収される前に、パソコンから現金配布先の名前や金額を記載したリストのデータを削除していたが、検察は電子データを解析する「デジタル・フォレンジック」を実施し、削除されたリストを復元。これが逮捕の決め手となった[12][13]。
- 6月24日、児玉は安芸高田市役所で取材に応じ、河井克行から2回にわたって現金計60万円を受け取ったことを認めた[14][15]。広島県内の首長で現金受領を認めたのは、克行から20万円を受け取ったとして同年4月に安芸太田町長を辞職した小坂真治に続き2人目となった[15]。
- 6月26日、もともと短めだった頭髪を丸刈りにし、市長を続投する意向を表明した[16]。記者会見で「今できることを考え、『反省を示さなくちゃ』とこういうヘアスタイルにした」と説明した[9]。
- 同日、安芸高田市議会の先川和幸議長、水戸真悟副議長、青原敏治市議は児玉とは別に記者会見し、克行から現金を受け取ったと明らかにした。3人のうち先川は議長室で20万円、水戸は副議長室で10万円を受け取ったという[17]。
- 6月27日、児玉は、自身や正副議長らに対する抗議の電話やメールが市に殺到していると述べた。メールのほとんどは辞職を求める意見で、電話の半分は抗議だった。「安芸太田町長や三原市長のようにあなたも辞めるべきだ」といった厳しい意見が多く寄せられたという[18]。
- 6月28日、児玉の後援会は役員会を開いて対応を協議した。約20人が集まった役員会に児玉も出席。役員から、現金の受け取りを後援会へ説明しないまま4月の市長選へ立候補した責任を問い、辞職するべきだとの声が上がった[19]。同日、識者からは「丸刈りで謝罪というのは、その人にとって『大切なもの』が『毛』で、『反省の度合い』が『3ヶ月くらいで元に戻る』ものなのかもしれない」という声が上がった[20]。
- 6月29日、市議会議長へ辞表を提出[21]。
- 6月30日、児玉が現金を受け取った時期が明かされた。1回目は県議だった2019年3月末で、自身の事務所で30万円が入った封筒を克行から受け取り、2回目は市長当選後の同年5月末で、車の中で30万円入りの封筒を受け取ったと証言した[22]。
- 7月3日、市議会は臨時会を開き同日付の辞職に同意し、児玉は辞職した[23][24]。現金の受領を認めた広島県内の首長が辞職したのは小坂真治（安芸太田町長）、天満祥典（三原市長）に続き3人目となった[25]。議長・先川和幸と副議長・水戸真悟も議長、副議長を辞した[26]（先川と水戸は7月17日、青原敏治とともに現金を受領した責任をとり市議を辞職した[27]）。
- 12月21日、河井克行の公判が東京地裁であり、児玉は検察側の証人として出廷。現金受け取りの詳細を証言した。証言内容は以下のとおり[28]。
年月日 場所 内容 2019年3月29日 安芸高田市 児玉が県議選で無投票当選を決めたこの日、克行は市内の事務所に来て、30万円が入った白封筒を児玉に渡した。 2019年5月26日 安芸高田市 市内で駐車中の乗用車内で30万円が入った白封筒を児玉に渡した。児玉が会計処理を尋ねると、克行は「これは表に出ないお金」と言ったという。
- 2022年
脚注
- ^ a b c d e f g h i j 児玉浩プロフィール児玉浩公式サイト。2020年4月10日閲覧。
- ^ a b “広島県議会歴代副議長一覧 (PDFファイル)” (PDF). 広島県公式ホームページ (2020年). 2020年6月25日閲覧。
- ^ “安芸高田市長選 児玉氏が初当選”. NHK. (2020年4月5日) 2020年4月10日閲覧。
- ^ 広島県議選 平成11年 - 選挙マニア 選挙資料室
- ^ 広島県議選 平成15年 - 選挙マニア 選挙資料室
- ^ 広島県議選 安芸高田市 | 統一地方選挙 2019 | NHK選挙WEB
- ^ a b “安芸高田市長選／安芸高田市議補選 市長選 児玉氏、無投票で初当選 父子２代で就任へ ／広島”. 毎日新聞. (2020年4月6日) 2020年4月10日閲覧。
- ^ 市町長及び議会議員の任期満了日等一覧
- ^ a b “現金受領認めた市長が丸刈り姿に「反省を示さなくちゃ」”. 朝日新聞. (2020年6月26日) 2020年6月26日閲覧。
- ^ 丸刈りの市長が辞職 出直し市長選への立候補は「白紙」 [河井議員夫妻の買収容疑事件 ] - 朝日新聞デジタル 2020年7月3日
- ^ “河井前法相夫妻を逮捕 参院選巡り買収の疑い 検察当局、９４人に２５７０万円”. 中国新聞. (2020年6月19日) 2020年6月22日閲覧。
- ^ “河井夫妻「買収リスト」が局面変えた 検察の執念と自信”. 朝日新聞. (2020年6月19日) 2020年6月30日閲覧。
- ^ “現金配布リストをPCから削除か、河井前法相 検察復元”. 朝日新聞. (2020年6月20日) 2020年6月30日閲覧。
- ^ “速報 広島県 安芸高田市長が現金授受認める”. 広島ホームテレビ. (2020年6月24日) 2020年6月25日閲覧。
- ^ a b “安芸高田市長、６０万円を受領 前法相から昨年の参院選前”. 東京新聞. (2020年6月24日) 2020年6月25日閲覧。
- ^ “丸刈りの市長、続投意向「市民からお叱りと激励」…河井前法相から６０万円受領巡り”. 読売新聞. (2020年6月26日) 2020年6月26日閲覧。
- ^ “【速報】安芸高田市の正副議長ら３市議、現金受け取り認める 正副議長は議会内で”. 中国新聞. (2020年6月26日) 2020年6月26日閲覧。
- ^ 鈴木智之、山中由睦 (2020年6月27日). “丸刈りの市長に「あなたも辞めるべき」 抗議が市に殺到”. 朝日新聞 2020年6月27日閲覧。
- ^ 和泉恵太 (2020年6月28日). “後援会から辞職求める声、克行容疑者から現金授受の安芸高田市長 擁護論も”. 中国新聞 2020年6月29日閲覧。
- ^ しりあがり寿Twitter 2020年6月28日
- ^ “【速報】安芸高田市「丸刈り」児玉市長が辞意表明 河井容疑者から現金授受”. FNNプライムオンライン. (2020年6月30日) 2020年6月30日閲覧。
- ^ 東谷晃平 (2020年6月30日). “丸刈りの市長、きょう辞職表明へ 河井夫妻から現金受領”. 朝日新聞 2020年6月30日閲覧。
- ^ 石川昌義 (2020年6月30日). “安芸高田市長が辞職表明 現金受領、首長３人目【動画】”. 中国新聞 2020年6月30日閲覧。
- ^ “【速報】安芸高田市長が辞職 克行容疑者から６０万円 市議会臨時会で同意”. 中国新聞. (2020年7月3日) 2020年7月3日閲覧。
- ^ “広島・安芸高田市長の辞職に市議会同意 受領認めた県内首長で3人目”. 毎日新聞 (2020年7月3日). 2020年7月6日閲覧。
- ^ 東谷晃平、西晃奈 (2020年7月3日). “丸刈りの市長が辞職 出直し市長選への立候補は「白紙」”. 朝日新聞 2020年7月3日閲覧。
- ^ “克行被告から現金受領の安芸高田市議３人辞職 「責任を重く受け止めている」【動画】”. 中国新聞. (2020年7月17日) 2020年7月17日閲覧。
- ^ “【激震 元法相夫妻公判】克行被告「表に出ない金」 前安芸高田市長明かす ２市議は「買収意図感じた」”. 中国新聞. (2020年12月21日) 2021年4月14日閲覧。
- ^ 比嘉展玖 (2022年1月28日). “河井事件で35人が「起訴相当」 申し立て人「市民感覚で妥当」”. 朝日新聞 2022年2月23日閲覧。
- ^ “河井元法相事件 検察審査会 広島県議ら35人“起訴すべき””. NHKニュース. (2022年1月28日) 2022年3月3日閲覧。
- ^ “河井事件 地方議員ら３４人を「起訴」捜査終結 広島地検”. FNNプライムオンライン. (2022年3月14日) 2022年3月15日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 児玉 浩（広島県議会議員）公式サイト