『兄弟仁義』(きょうだいじんぎ)は、1966年4月23日に東映で公開された北島三郎主演の日本映画。1965年3月10日に北島が発売した歌曲を映画化した作品。モノクロ・シネマスコープ・87分。
概要
ヤクザ渡世における兄弟分の契りをテーマにした映画であり、楽曲と共に映画も大ヒットした。
エピソード
当時の北島の俳優としてのキャリアがまだ浅かったため、低予算の白黒作品であり、北島と若手の松方弘樹、大物スターの鶴田浩二の三人の比重は、ほぼ同等である。映画で流れる配役の書き出しは松方・北島の連名で松方から始まり、北島は二番手、鶴田は留めで友情出演の注釈有り。大ヒットしたことにより以後は北島主演でシリーズ化され、鶴田ら大物スターが特別出演をする任侠映画の傑作として名高い。
1964年(昭和39年)の『日本侠客伝』第一作で、岡田茂京都撮影所所長と俊藤浩滋は「主人公とそれを支える流れ者」という形に眼をつけた[1]。これなら男同士の情念も描けるし、やはり1964年から製作が始まった鶴田浩二主演の『博徒シリーズ』には無い形なので「独自のカラーが出せる、毎回これでいこうや」となって、毎回ゲストを出しては途中で殺すパターンが出来上がった[1]。
このパターンを発展したのが、1965年(昭和40年)からの『昭和残侠伝シリーズ』で、流れ者の殴り込みを一本立ちさせたのがこの『兄弟仁義』シリーズとなる[1]。「東京撮影所でも高倉健のシリーズを」となって始まったが中身は『日本侠客伝』の時代を終戦直後に変更しただけで、中村錦之助の役が傘を持った池部良に変わっただけであった[1]。『日本侠客伝シリーズ』の脚本家・笠原和夫がプロデューサーの(吉田達)に「オレの盗作じゃないか」とクレームをつけたといわれる[2]。
北島は、「歌手としてデビューしたばかりの自分を、映画の世界に導いてくれたのが、岡田さんと俊藤さんでした。まさに芸の道を開いてくれた恩人です」と話した[3]。
映画キャスト
- 藤上栄次郎(演者・鶴田浩二)…流れ星の栄次と呼ばれる浅草生まれの旅人。
- 貴島勝次(演者・北島三郎)…イカサマをする半端なヤクザだったが改心。函館生まれ。
- 岩木五郎(演者・人見きよし)…貴島とコンビを組むイカサマ師。
- 上州鳴子組
- 鬼頭組
- 鬼頭鉄五郎(演者・安部徹)…鬼頭組組長。
- 黒江元三(演者・待田京介)…客人。
- 神田儀市(演者・曽根晴美)…鬼頭組若衆。
- 武井唐助(演者・佐藤京一)…鬼頭組若衆。
- 赤蟹の寅七(演者・阿波地大輔)…鬼頭組若衆。
- 大岩喜之助(演者・香川良介)…湯元の地所を鬼頭に売る。
- その他
※鶴田、北島、村田、宮園の他は里見浩太郎、大木実、遠藤辰雄、関山耕司、小川知子、ルーキー新一、小島慶四郎、小松方正らが出演の予定でポスターが作られ、それが広く出回ったが最終的には上記のようなキャストとなった。
同時上映
『(網走番外地 荒野の対決)』
- 『網走番外地』シリーズ第5作。