修善寺道路(しゅぜんじどうろ)は、静岡県伊豆市から静岡県伊豆の国市に至る国道136号バイパスである。下田街道のボトルネックの一つ、静岡県伊豆市修善寺横瀬地区を迂回する。自動車専用道路に指定されている。道路整備特別措置法による有料道路として静岡県施工事業として建設された(運営:静岡県道路公社)。伊豆中央道と一体となって伊豆中部のバイパスを形成する。
概要
修善寺道路は伊豆縦貫自動車道の一部に位置付けられているが[1][2]、伊豆縦貫自動車道には、伊豆中央道と修善寺道路を経由せずに東駿河湾環状道路と(天城北道路)を直接繋ぐルートの計画がある(仮称:函南修善寺道路)[2][3]。このため、天城北道路との接続部は「連絡路」とされている[4]。
高速道路ナンバリングは導入されていない。
路線データ
- 起点:静岡県伊豆市修善寺
- 終点:静岡県伊豆の国市田京
- 総延長:4.8 km
- 道路規格:(第1種第3級)(自動車専用道路)
- 設計速度:80 km/h
- 幅員
- 車線数:2車線
- 事業費:111億円[5]
- 料金徴収期限:2023年10月2日[6](当初予定:2025年8月24日[7])
料金所は大仁南IC付近の本線上に大仁料金所、熊坂IC出入口ランプに修善寺料金所が設置されている。料金所にはETCレーンは設置されていないが、2021年(令和3年)7月1日にETCソリューションズが提供する会員登録型のETC多目的利用サービス(ETCカードによるキャッシュレス決済)「ETCX」を導入した[8][9][10]。伊豆中央道・修善寺道路の各料金所には上下線合わせて10カ所のETCXレーンが設置され、設置費用は10レーンでおよそ10億円とされるが[11]、静岡県交通基盤部長は2020年(令和2年)12月の静岡県議会定例会での一般質問に対し、「設置費用の100%補助が認められたことから導入することを決定」したと答弁している[12]。
夜間は交通量が少なく採算が取れないことから料金所が無人となるため、通行料金は無料となる(料金徴収時間:6時 - 22時)[13]。
料金徴収期限
当初は料金徴収期限が2025年(平成37年)8月24日までとされていたが、2007年(平成20年)のリーマン・ショック、2011年(平成23年)の東日本大震災の影響等で観光交通が減少して交通量が落ち込んだため、建設借入金の償還が計画通りに進んでいなかった。2011年(平成23年)9月に外部有識者からなる「伊豆地域の道路整備のあり方検討会」を立ち上げて検討したが、当時の試算では料金徴収期限を迎えても伊豆中央道で約5億円、修善寺道路で約19億円の未償還金が残ることが想定されたため[14]、伊豆中央道と修善寺道路の経営を一体とする合併採算制の導入が望ましいとの結論になり[15]、2013年(平成25年)10月、静岡県道路公社が国土交通省に両道路の事業変更を申請。同年12月3日付けで許可を得て、2014年(平成26年)4月1日、伊豆中央道と修善寺道路に合併採算制を導入した。合併採算後の料金徴収期限は2023年(令和5年)11月12日とされ、その翌日の無料化を予定していたが[16]、伊豆中央道の江間交差点立体化の完成を予定より前倒ししたことで料金徴収期限を見直した結果、2023年(令和5年)10月2日の翌日に無料化を予定していた[6]。
料金徴収期限の前倒しについては、2019年(令和元年)9月の静岡県議会定例会での一般質問に対し、静岡県交通基盤部長は「現状では合併採算制度導入後五年間の料金収入の実績は計画を下回っており、仮に今後も平成三十年度の料金収入実績が横ばいで推移したとなると料金徴収期限より早期の江間料金所の撤去、無料化は現段階では難しい」と答弁していたが[17]、前述の通り40日の前倒しが予定されていた[6]。
2023年(令和5年)3月1日、静岡県は静岡県議会建設委員会で、伊豆中央道と修善寺道路の料金徴収期限の延長と、近接する国道414号静浦バイパスの一部区間を有料化する方針を明らかにした[18]。同年3月6日に開催された「伊豆半島道路ネットワーク会議」でも、伊豆中央道と修善寺道路を無料化した場合に交通量が約2倍に増加して渋滞の悪化が見込まれることから、伊豆地域の基幹道路として高速性・定時性を確保するため料金徴収期限を延長し、国道414号静浦バイパスの未整備区間に有料道路事業を導入する方針を示した。静浦バイパスの建設と償還期限が40年程度と見込まれることから、伊豆中央道・修善寺道路・静浦バイパスの料金徴収期限を同期間(40年程度)とするほか、利用者の利便性向上と料金徴収費用を低減するため、「ETC」の導入と新たな割引制度も検討されている[19]。静岡県は沿線住民に対して伊豆中央道と修善寺道路の料金徴収期限の延長についての説明会を実施し[20]、静岡県議会の令和5年6月定例会に関連議案を提出する予定である[18]。
しかしながら、上記の徴収期間延長施策は、「道路整備特別措置法等を改正する法案[注釈 1]」が第211回国会で可決成立し施行される事が前提である(2023年3月時点では議決が行われていない)。
通過する自治体
接続高速道路
- E70 伊豆縦貫自動車道(天城北道路)【連絡路】:修善寺ICで直結[4]
インターチェンジなど
IC 番号 | 施設名 | 接続路線名 | 起点 から (km) | 備考 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|---|
国道136号(伊豆中央道) | ||||||
- | 大仁中央IC | 国道414号 静岡県道19号伊東大仁線 | 4.8 | 静岡県 | 伊豆の国市 | |
- | 大仁南IC | 国道136号(現道)、国道414号(重複区間) 伊豆の国市道大103号線 | 3.1 | 三島方面へのハーフインターチェンジ | ||
- | 大仁料金所 | 2.9 | 本線料金所 | |||
- | 熊坂IC | 国道136号(現道)、国道414号(重複区間) | 2.2 | 下田方面へのハーフインターチェンジ | 伊豆市 | |
- | 修善寺IC | 国道136号(現道)、国道414号(重複区間) 静岡県道18号修善寺戸田線 | 0.0 | |||
E70 伊豆縦貫自動車道((天城北道路))【(連絡路)】 |
SA・PA
主な構造物
区間 | 施設名 | 全長 | 備考(構造、その他) | |
---|---|---|---|---|
大仁中央IC - 大仁南IC | 大仁高架橋 | 大仁高架5号橋 | 319.2 m | PC12径間連続中空床版橋 |
大仁高架4号橋 | 335.0 m | 鋼3径間連続鋼床版箱桁橋 | ||
大仁高架3号橋 | 375.0 m | PC15径間連続中空床版橋(15@25.0 m) | ||
大仁高架2号橋 | 725.0 m | PC29径間連続中空床版橋(29@25.0 m) 日本初の超多径間連続免震橋梁で、鉛プラグ入り積層ゴム支承(略称:LRB)で高架を支えている[21]。 | ||
大仁高架1号橋 | 175.0 m | PC7径間連続中空床版橋(7@25.0 m) | ||
大仁南IC - 熊坂IC | 新狩野川大橋 | 360.0 m | 鋼3径間連続鋼床版箱桁橋。狩野川を跨ぐ。 | |
熊坂IC - 修善寺IC | 修善寺トンネル | 1,261 m | 熊坂側入り口に岡本綺堂作『修禅寺物語』の夜叉王と娘の桂・楓が描かれている[22]。 |
トンネルの数
区間 | 上り線 | 下り線 | 備考 | 合計 |
---|---|---|---|---|
大仁中央IC - 熊坂IC | 0 | ※ | 1 | |
熊坂IC - 修善寺IC | 1 |
※の区間は2車線の対面通行で供用されているため上下線で1本となっている。
歴史
- 1988年度:伊豆縦貫自動車道修善寺工区(5,207 m)事業化
- 1992年9月19日:修善寺IC - 熊坂IC間2.2 km開通[5]
- 1998年3月26日:熊坂IC - 大仁中央IC間2.6 km開通[5]。伊豆中央道と接続。
- 2011年
- 2012年6月1日:社会実験で伊豆中央道・修善寺道路を対象とした半額回数券を導入(2012年11月30日終了)[23]。
- 2014年4月1日:伊豆中央道と修善寺道路に合併採算制を導入。共通回数券の販売開始[16][24]。
- 2021年7月1日:ネットワーク型ETCの技術を活用したキャッシュレス決済(ETC多目的利用サービス)「ETCX」を導入[8][9]、「ETCX」利用者用割引「いずトクX(走行回数・後日還元型)」を導入[9]。
- 2023年
- 10月2日:料金徴収終了[6]
- 10月3日:無料開放予定(伊豆中央道と同時)
道路管理者
ハイウェイラジオ
- 1か所も設置されていない。
車線・最高速度
道路照明灯
- 全線
- 修善寺道路では東名高速道路などの交通量の多い高速道路と同じく約40 m間隔で設置されている。
料金
2019年(令和元年)10月現在。
交通量
年 | 2001年 | 2002年 | 2003年 | 2004年 | 2005年 | 2006年 | 2007年 | 2008年 | 2009年 | 2010年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
台数 | 3,784,109 | 3,773,271 | 3,673,609 | 3,715,883 | 3,724,022 | 3,654,524 | 3,644,290 | 3,321,135 | 3,349,127 | 3,376,917 |
年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
台数 | 3,206,398 | 3,367,048 | 3,390,111 | 3,498,202 | 3,672,867 | 3,789,685 | 3,902,403 | 3,806,548 | 3,999,160 | 3,519,876 |
年 | 2021年 |
---|---|
台数 | 3,592,685 |
- 静岡県賀茂地域局統計資料(各年度版)交通の状況・伊豆地区有料道路月別通行台数(静岡県道路公社東部管理センター調)を参照
- 利用台数:5669万3千台(2008年度末まで)
脚注
注釈
- ^ 「道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律案」
出典
- ^ - ウェイバックマシン(2012年9月29日アーカイブ分)、静岡県道路公社
- ^ a b “伊豆縦貫自動車道”. 国土交通省中部地方整備局沼津河川国道事務所. 2021年3月14日閲覧。
- ^ 伊豆縦貫自動車道 (道路事業)説明資料、国土交通省中部地方整備局、2013年9月2日、1頁
- ^ a b “天城北道路”. 国土交通省中部地方整備局沼津河川国道事務所. 2021年3月14日閲覧。
- ^ a b c “”. 静岡県道路公社. 2012年10月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月14日閲覧。
- ^ a b c d 令和3年12月静岡県議会定例会 質問、静岡県議会 本会議会議録 質問文書、2021年12月9日
- ^ - ウェイバックマシン(2013年6月12日アーカイブ分)、第1回伊豆地域の道路整備のあり方検討会、2011年9月3日、40頁
- ^ a b 伊豆中央道・修善寺道路 ETCX情報ページ、静岡県道路公社、2021年4月28日
- ^ a b c (プレスリリース)静岡県道路公社、2021年4月28日。 オリジナルの2021年4月28日時点におけるアーカイブ2021年4月28日閲覧。 。
- ^ 7月1日伊豆中央道・修善寺道路でキャッシュレス決済「ETCX」が全国で初めて運用開始、伊豆の国市、2021年7月8日
- ^ 伊豆中央道・修善寺道路で新料金サービス「ETCX」運用開始 全国初、回数券同様の割引も、沼津経済新聞、2021年7月2日
- ^ 令和2年12月静岡県議会定例会 質問、 静岡県議会 本会議会議録 質問文書、2020年12月9日
- ^ 静岡県交通基盤部道路局道路企画課・静岡県道路公社「有料道路「伊豆中央道」及び「修善寺道路」へのETC多目的利用サービス(ETCX)の導入について」『道路行政セミナー』2021年5月号、道路新産業開発機構、2021年5月26日、1-6頁。
- ^ - ウェイバックマシン(2020年3月17日アーカイブ分)、伊豆地域の道路整備のあり方検討会、21頁
- ^ - ウェイバックマシン(2020年3月17日アーカイブ分)、伊豆地域の道路整備のあり方検討会、31-32頁
- ^ a b 静岡県交通基盤部道路局道路企画課・静岡県道路公社「有料道路「伊豆中央道」と「修善寺道路」への合併採算制導入」『道路行政セミナー』2015年5月号、道路新産業開発機構、2015年5月22日、1-4頁。
- ^ 令和元年9月静岡県議会定例会 質問、 静岡県議会 本会議会議録 質問文書、2019年9月25日
- ^ a b 伊豆中央道と修善寺道路 料金徴収40年延長、静岡新聞、2023年3月2日
- ^ 伊豆地域の有料道路、静岡県交通基盤部道路局、2023年3月6日、5-13頁
- ^ 伊豆中央道と修善寺道路に関する説明会のお知らせ、静岡県交通基盤部道路局 道路企画課、2023年2月27日
- ^ 運上茂樹 「研究委員会活動報告(1)-わが国の特徴的な免震橋-」、財団法人土木研究センター、2011年12月
- ^ 日本中を「個性ある景観・建造物」の街並みに 第248回『21世紀塾』参考資料、2012年5月22日、4頁
- ^ a b c 伊豆地域の道路整備のあり方(第4章)、静岡県 伊豆地域の道路整備のあり方検討会、33頁
- ^ - ウェイバックマシン(2015年3月25日アーカイブ分)、静岡県道路公社、2014年3月20日
- ^ 静岡県道路公社管理有料道路車種区分表、静岡県道路公社
- ^ a b 修善寺道路 料金表、静岡県道路公社
参考文献
- 静岡県道路公社 管理橋梁(伊豆中央道・修善寺道路)
- 増本秀二・原広司・山下幹夫「大仁高架橋の計画―超多径間連続免震橋梁―」『土木技術』第48巻8号(1993年8月号)、85-94頁、土木技術社
- 静岡県賀茂地域局/統計情報
- 平成19年版「新南伊豆のすがた」VOL.08(通算VOL.44) 5.交通の状況[]、2008年3月
- 平成24年版「新南伊豆のすがた」VOL.13(通算VOL.49) 5.交通の状況[]、2013年3月
- 令和3年版「新南伊豆のすがた」VOL.22(通算VOL.58) 6.交通の状況、2022年6月
- 静岡県公式ホームページ
- 伊豆中央道、修善寺道路