来歴
米国シアトル生まれ。本名・上塚貞雄で、本名での著作もある。1912年、母とともに父母の郷里熊本県に戻りそこで育つ。青山学院高等部卒業。同商科在学中の1928年、翻訳が『新青年』に採用される。1930年卒業後、博文館に勤務し、『新青年』に探偵小説を書く。1935年『講談雑誌』編集長、1937年『新青年』編集長。1938年フリーとなり、文筆に専念。戦後「青いノート」「コロの物語」などNHK連続放送劇の脚本を手がける。ユーモア小説、動物小説を多く書いたが、探偵小説やミステリー小説などの翻訳も数多く手がけた。筆名は当初「乾信四郎」（かんしんしろう）としていたが、「あんまりしゃれが露骨で気がひけ」たため「乾信一郎」と改めた[1]。
著書
- 『炉辺夜話 動物小説集』春秋社 1933年
- 『続・炉辺夜話 動物小説集』(松柏館書店) 1935年
- 『現代ユーモア小説全集 第12巻 豚児廃業・五万人と居士』(アトリエ社) 1936年
- 『北一輝と西田税 二・二六事件の惑星!』(第百書房) 1936年
- 『人間大安売り』(太白書房) 1937年
- 『新作ユーモア全集 第14巻 倅太平記』春陽堂 1938年
- 『新版ユーモア小説全集 第9巻 百万人の行進』アトリヱ社 1939年
- 『阿呆宮一千一夜譚』(八紘社) 1939年
- 『コント横丁』(代々木書房) 1940年12月 (現代大衆文學全集)
- 『江見家の手帖』(東成社) 1941年 (ユーモア文庫)
- 『敬天寮の君子たち』東成社 1943年 (ユーモア文庫)
- 『ガランコロン事件』国民図書刊行会 1948年 (ぺんぎん文庫)
- 『人間芝居』東成社 1952年 (ユーモア小説全集)
- 『ぼくは二番目』宝文館 1953年 (少年少女ユーモア文庫)
- 『何も知っちゃいない話』(白灯社) 1953年
- 『動物小説集』第1-3 春秋社 1953年
- 『どうぶつだけのおはなし』1～4年生 宝文館 1954年
- 『アパート春秋』東方社 1954年
- 『青空通信』東方社 1954年
- 『コント百貨店』東方社 1955年
- 『コント劇場』東方社 1955年
- 『独身寮盛衰記』東方社 1955年
- 『ぐうたら守衛』東方社 1955年
- 『青いノート』鱒書房 1956年
- 『春の風』東方社 1956年
- 『コロの物語』1～4 鈴木出版 1958年-1959年
- 『あり得ない話がある話 世界の奇談集』芸文社 1964年 (アルファ・ブックス)
- 『動物夫婦百景 けものの性生活』芸文社 1964年 (芸文新書)
- 『ネコの小事典』誠文堂新光社 1966年
- 『ネコの育児書』主婦と生活社 1972年 (タウンブックス)
- 『猫の本』(本多信男)写真 山と渓谷社 1978年6月 (山渓カラーガイド)
- 『おかしなネコの物語』1980年12月 (ハヤカワ文庫)
- 『小さな庭の小さなウォッチング』早川書房 1986年10月 のち文庫『小さな庭のウォッチング』
- 『「新青年」の頃』早川書房 1991年11月
翻訳
- 『オルチイ集』オルチイ著、上塚貞雄訳 博文館 1930年 (世界探偵小説全集 21)
- 『ドイル全集』延原謙、妹尾アキ夫、上塚貞雄訳 改造社、1931年
- 『専用心配係』P・G・ウッドハウス (東成社) 1939年 (ユーモア傑作集)
- 『天晴れジーブス』P・G・ウッドハウス 東成社 1940年 (P・G・ウッドハウスユーモア傑作集)
- 『無敵相談役』P・G・ウッドハウス 東成社 1940年 (ユーモア長篇小説集)
- 『紅鱒 動物小説集』博文館 1940年9月
- 『駒鳥 動物小説集』映画出版社 1941年
- 『西部活劇双書 第2 拳銃を捨てた男 外4編 暴力の谷』アレキサンダー・ブレイド 誠文堂新光社 1950年
- 『マギル卿最後の旅』F・W・クロフツ 雄鶏社 1951年 (おんどり・みすてりい)
- 『地下鉄サム 第4』ジョンストン・S・マッカレー (日本出版協同) 1953年 のち創元推理文庫
- 『チャイナ・オレンジの秘密』エラリー・クイーン 早川書房 1955年 (世界探偵小説全集) のち文庫
- 『マギル卿最後の旅』F・W・クロフツ 早川書房 1955年 (世界探偵小説全集)
- 『伯母殺し』リチャード・ハル 早川書房 1958年 (世界探偵小説全集) のち文庫
- 『ボンベイの毒薬』H・R・F・キーティング 早川書房 1967年 (世界ミステリシリーズ)
- 『罠は餌をほしがる』A・A・フェア 早川書房 1967年 (世界ミステリシリーズ)
- 『世界は女房持ちでいっぱいだ』J・コリンズ 早川書房 1968年
- 『おひまなペネロープ』E・V・カニンガム 早川書房 1968年 (世界ミステリシリーズ)
- 『その犯罪は別』マイクル・アンダーウッド 早川書房 1968年 (世界ミステリシリーズ)
- 『終りなき夜に生れつく』アガサ・クリスティー 早川書房 1968年 (世界ミステリシリーズ) のち文庫
- 『バートラム・ホテルにて』アガサ・クリスティー 早川書房 1969年 (世界ミステリシリーズ) のち文庫
- 『恋情』マール・ミラー 早川書房 1970年
- 『怪奇な恋の物語』ヘンリー・クレメント 早川書房 1970年
- 『奮闘 ドーヴァー5』ジョイス・ポーター 早川書房 1970年 (世界ミステリシリーズ) のち文庫
- 『ある奇妙な死』ジョージ・バクスト 早川書房 1970年 (世界ミステリシリーズ)
- 『北の脱走者』チャールズ・コリングウッド 早川書房 1971年
- 『老女のたのしみ』ロバート・クレイン 早川書房 1971年
- 『時計じかけのオレンジ』アンソニー・バージェス 早川書房 1971年 のち文庫
- 『若者よ、きみは死ぬ』ジョーン・フレミング 早川書房 1972年 (世界ミステリシリーズ)
- 『チャーリー・チャンの追跡』E・D・ビガーズ 1972年 (創元推理文庫)
- 『復讐の女神』アガサ・クリスティー 早川書房 1972年 (世界ミステリシリーズ) のち文庫
- 『鷹と少年』バリー・ハインズ 早川書房 1973年
- 『キャット・ダンシング』マリリン・ダーラム 早川書房 1973年
- 『逆襲 ドーヴァー6』ジョイス・ポーター 早川書房 1973年 (世界ミステリシリーズ)
- 『ネコ学入門』クリスティーン・メトカーフ 主婦と生活社 1974年
- 『オクラホマ巨人』マーク・ノーマン 早川書房 1974年
- 『レイディ』トマス・トライオン 早川書房 1975年
- 『最後の英雄』ジョン・ギル 早川書房 1975年
- 『ジャック・ザ・ベア』ダン・マッコール 早川書房 1976年
- 『撲殺 ドーヴァー7』ジョイス・ポーター 早川書房 1976年 (世界ミステリシリーズ)
- 『大列車強盗』マイクル・クライトン 早川書房 1976年 のち文庫
- 『ラスト・タイクーン』F・スコット・フィッツジェラルド 1977年7月 (ハヤカワ文庫)
- 『金門橋』アリステア・マクリーン 早川書房 1978年1月 のち文庫
- 『アガサ・クリスティー自伝』早川書房 1978年12月 のち文庫
- 『パーカー・パイン登場』アガサ・クリスティー 1978年2月 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
- 『北人伝説』マイクル・クライトン 早川書房 1980年9月 のち文庫
- 『ダラス ユーイング家の人びと』バート・ハーシュフェルド 早川書房 1981年9月
- 『1944年の戦士』(ウィリアム・P・マッギヴァーン) 早川書房 1981年12月
- 『ダラス 2 華麗なる女たち』バート・ハーシュフェルド 早川書房 1982年3月
- 『シャーロック・ホームズのライヴァルたち』1-2 (押川曠)共訳 1983年 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
- 『レスター・リースの冒険』E・S・ガードナー 1984年3月 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
- 『レスター・リースの新冒険』E・S・ガードナー 1984年4月 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
- 『シャーロック・ホームズの災難』エラリイ・クイーン編 中川裕朗共訳 1984年-1985年 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
- 『探偵小説の世紀 下』G・K・チェスタトン 共訳 1985年8月 (創元推理文庫)
- 『犬ですがちょっと一言』ミュリエル・ドビン 1985年2月 (ハヤカワ文庫)
- 『ロアルド・ダールの幽霊物語』1988年12月 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
脚注
参考文献
- 『「新青年」の頃』（自伝）