ワールド・ヨーヨー・コンテスト(英語:World Yo-Yo Contest、略称:WYYC、日本語:世界ヨーヨー選手権大会)は、競技ヨーヨーの世界大会である。2015年には秋葉原で世界大会が開催された。参加国は日本、アメリカをはじめ30ヶ国を超える[1]。
歴史
1932年のロンドンにて、第一回目となるヨーヨーの“世界大会”が開催され、ハービー・ロウが優勝したことが確認されている。運営母体や競技内容など、現在行われている世界大会との関連性はないが、2015年世界大会のパンフレットなどでは初代優勝者として記載されている。
1970年代に、コカ・コーラ社が日本のみならず世界各国でいわゆる「ヨーヨーチャンピオン」を派遣し、ヨーヨーを用いたコーラのプロモーションが展開された。コカコーラヨーヨーを用いたプロモーションは大成功を収めたが、ヨーヨー自体はブームの収束と共に姿を消し、文化や競技として定着するまでには至らなかった。
現在行われている世界大会は、1992年にデール・オリバーらの呼びかけにより、トラックの荷台をステージにして数十人が集まって世界大会を自称したところから始まったとされている。この大会では「フリースタイル演技」という概念が初めて取り入れられ、競技ヨーヨーとしての下地が作られた。また、コカコーラヨーヨー時代などで見られた、「プロモーションのために作られた」チャンピオンから、「実力で勝ち取る」チャンピオンにその価値が置き換わったことも特筆すべきだろう。1992年以降は、細々ながらも毎年開催されるようになり、1998年には(国際ジャグラーズ協会)(略称:IJA)が開催する大会の一種目として開催されるなど、定着の兆しを見せ始めた。
1996年にはアメリカでヨーヨーブームが起こり、さらに翌年には日本でバンダイの「ハイパーヨーヨー」が社会現象となるほどの大ブームとなる。そのブームが海外にも広がる形で、世界大会の規模が急激に拡大することとなった。ハイパーヨーヨーブームのピークを迎える1999年には、史上最大規模となるヨーヨーの世界大会がハワイで開催され、ハイパーヨーヨーで育った日本勢が多数出場し、彼らが上位を占める結果となった。
ブームが過ぎ去った2000年からは、適切な大会規模に縮小されたうえでフロリダ州にて開催されるようになり、2001年から2013年までフロリダ州オーランドのローゼンプラザホテルで毎年開催された。
2013年2月には、世界各国のオーガナイザにより(国際ヨーヨー連盟)が設立、世界大会を世界各国で開催することが決定。2014年はチェコ共和国(プラハ)[2]、2015年は日本(秋葉原)[3]、2016年はアメリカ合衆国(クリーブランド)[4]、2017年はアイスランド(レイキャヴィーク)[5]、2018年は中国(上海)[6]、2019年はアメリカ合衆国 (クリーブランド) で開催された。
開催競技・部門
現在開催されている部門
大会の出場にあたり、年齢・国籍などの制限はない。競技用として使用するヨーヨーについても、出場する部門に適合するものであり、周囲の安全を脅かすものでなければ、改造品・自作品であっても使用が許可される。ただし、ヨーヨー以外の器具の持込みについては制限がある。
フリースタイル競技
音楽に合わせ、自由に技を組み合わせて演技を披露し、技術点や芸術性などを競う競技である。
大会当日に行われる予選競技の通過者(ワイルドカード、当日枠)と、世界各国で行われる全国大会の各部門優勝者(シード枠)とで、準決勝、決勝が行われる。日本では、日本ヨーヨー連盟(英語:Japan Yo-Yo Federation、略称:JYYF)が主催する『ジャパンナショナルヨーヨーコンテスト』の各部門優勝者に、その年のシード権が与えられる。
ヨーヨーの性能の劇的な向上に加え、プレイヤーの技術力も急上昇したことから、日々様々なプレイスタイルが考案されている。それに対応するべく開催部門の見直しが何度か行われ、現在は6部門に細分化されている。1A~5A、APはプレイスタイルが全く異なっており、Aの前につく数字は序列を表すものではない。
- 1A(シングルハンドストリングトリック)部門(1992年-)
- 2A(ツーハンドルーピングトリック)部門(1998年-)
- 3A(ツーハンドストリングトリック)部門(2003年-)
- 4A(オフストリング)部門(2003年-)
- 5A(カウンターウェイト)部門(2003年-)
- AP(アーティスティックパフォーマンス)部門(2002年-)
現在の世界大会の規定では、上記「フリースタイル競技」6部門の優勝者が「世界チャンピオン」を名乗ることができる。また優勝者には、翌年の世界大会の決勝のシード権が与えられる。
近年では、出場者を限定したフリースタイル競技が行われている。プレイスタイルは1A~5Aから選択できる。
- Women部門(2014年-) 女性限定
- Over-40部門(2015年-) 40歳以上
フリースタイル競技以外でヨーヨーを使った部門、コンテスト
- ラダー部門(2000年-2014年)、MASTER OF TRICKS(2015年-)
予告されている技を正確に行う規定部門。年齢や参加部門などで複数の表彰区分がある。スポーツラダー部門(S部門)と呼ばれることもある。2015年に競技内容が改定され、名称もMASTER OF TRICKSに変更になった。
- Modsコンテスト(2001年-)
既製のヨーヨーに独自の改造・ペイントを施したものや、フルスクラッチ(完全自作)で開発したヨーヨーを、独創性・芸術性・競技性などの観点で評価・表彰する部門。
- Iron Mods(2005年-)
制限時間内にありあわせの部品を組み合わせ、会場に設置された旋盤などの工作機械を使って課題に沿ったヨーヨーを作る部門。競技名と内容は料理の鉄人を基にしている。対決形式で行われ、製作の模様は自由に見学できる。2015年は「60分以内に3種類のヨーヨーを作る」「100円ショップで購入できるものを使う」「3Dプリンターで作られた素材を使う」というルールだった[9]。
ヨーヨー以外の開催競技
ヨーヨー以外のスキルトイを使った競技も開催されている。
過去に存在した正式部門
フリースタイル競技
- シニア部門 (1993年-?)
- アマチュア部門(1993年-)
- マスターズ・フリースタイル部門(-1997年)
1A部門と同義である。
- グランド・チャンピオンシップ部門(1992年-1997年)
2A部門と同義である。これは当時のヨーヨーの基本性能が低かったことから来る「片手で1個よりも両手で2個ヨーヨーを扱うほうが難しい」という観念に基づいている。
- チーム部門(1999年-2001年)
1人では出来ない複数人ならではのプレイスタイルを評価する部門。現在はAP部門でチームでの参加が認められている。
- X部門(2000年-2002年)
部門名のエックスはeXtremeに由来する。1A・2A部門に属さないプレイスタイルを評価するために仮設されたが、2002年を最後に発展的解消を果たし、3A・4A・5A部門が創設された。通常のフリースタイル競技と同様、3分以内の演技を行うものだったが、2002年のみ4分以内であった。
- コンバインド部門(2006年-2009年)
CBと略されることがある。1分30秒以内の演技を1回として、それぞれ異なるプレイスタイルで3回(3日間)に分けて行われ、総合得点で最終順位を決定する。1日目は2種類のプレイスタイルとして、エアリアル(4A・5Aスタイル。混合可)かデュアル(2A・3Aスタイル。混合可)のいずれかを選択して演技し、2日目はもう片方のプレイスタイルで演技する。1日目と2日目は累積得点で足切りが行われ人数が絞られる。3日目は純粋な1Aスタイルで演技し、3日間の合計得点で最終順位が決定する。
フリースタイル以外の競技
- マスター部門(?年-1997年)
規定されたトリックを行うもので、ラダー(規定)部門とほぼ同義。
開催地と歴代優勝者
世界大会の規定によれば、(ヨーヨーの)フリースタイル競技各部門の優勝者が「世界チャンピオン」を名乗ることができる。
参考文献
- 『ハイパーヨーヨーテクニックス』小学館出版、1997年10月、(ISBN 4-0910-2601-X)
- 『ハイパーヨーヨーコレクション』小学館出版、1998年02月、(ISBN 4-0910-2617-6)
- 『ハイパーヨーヨーメンテナンス』小学館出版、1998年02月、(ISBN 4-0910-2618-4)
- 『ハイパーヨーヨートリックス』小学館出版、1998年06月、(ISBN 4-0910-2632-X)
- 『ハイパーヨーヨーフリースタイル』小学館出版、1998年08月、(ISBN 4-0910-2638-9)
- 『ハイパーヨーヨーテクニックス'98』小学館出版、1998年09月、(ISBN 4-0910-2643-5)
- 『ハイパーヨーヨーマニアックス』小学館出版、1998年11月、(ISBN 4-0910-2657-5)
脚注
外部リンク
- World Yo-Yo Contest 公式サイト
- 日本ヨーヨー連盟 公式サイト
- GIOY - 総合ヨーヨー情報サイト
- yoyonews.jp - ヨーヨー情報専門ニュースサイト