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ラリーレイド

ラリーレイド (: Rally Raid) は、砂漠ジャングル、山岳地帯などの自然環境の中を走破する、冒険レース・耐久レース的側面が強いモータースポーツである。クロスカントリーラリー (: Cross Country Rally) とも呼ばれる。

2011年シルクウェイ・ラリー

概要

 
1907 北京-パリレースの走行ルート
 
バハ・アラゴン(2018年)

ラリーレイドのルーツは古く、20世紀初頭にモータースポーツの中心地だったパリを起点とする都市間レース(パリレース)を拡大する形で、超長距離を走破するマラソンレースが企画された。1907年にはユーラシア大陸を横断する(北京-パリレース)(英語版)が開催され、優勝車は62日間に16,000 kmを走破した。1908年には(ニューヨーク-パリレース)(英語版)が開催され、太平洋の船旅(日本経由)を含む22,000マイル (3,5400 km) を169日かけてゴールした[1]。これらの壮大かつ過酷なイベントは、普及し始めたばかりの自動車の耐久性を世に知らしめる働きもした。一方でそのあまりのスケールの大きさゆえか、いずれも散発的な開催にとどまり、レース界の本流とはならなかった。

第二次世界大戦後、広大な土地を持つ北米では1967年誕生のバハ1000に代表されるような、長距離に及ぶ冒険的なオフロード耐久レースが人気を集めるようになった。これらはリエゾンを持たず、2日前後の短期間で全行程を終えるものであったが、これは後に欧州にも波及した。欧州各地でバハ・ポーランドやバハ・アラゴンのようなイベントが開催され、2005年にはFIA(国際自動車連盟)のラリーレイドの1区分として「クロスカントリー・バハ」の名称で正式に定義されるようになった。

バハ1000誕生直後の1968年に、ロンドン・シドニーマラソンが開催された。これが1970年ロンドン・トゥ・メキシコ・ワールドカップ・ラリー、1974年ロンドン=ミュンヘン・ワールドカップ・ラリーと波及し、1978年にはパリレースの伝統を受け継ぐパリ-ダカールラリー(現ダカール・ラリー)が誕生。これに触発されたかのように、1981年にチュニジア・ラリー(2011年まで開催)、1982年にファラオ・ラリーやラリー・デュ・マロック、1983年にバハ・アラゴン、1991年にUAEデザートチャレンジ(現アブダビ・デザートチャレンジ)などのラリーレイドイベントが欧州やアフリカ、中東地域で次々と誕生。継続的な開催が行われるようになり、1993年から四輪では国際自動車連盟 (FIA) 主催のクロスカントリーラリー・ワールドカップ、1998年に二輪の国際モーターサイクリズム連盟 (FIM) 主催の(クロスカントリーラリー世界選手権)(英語版)がそれぞれ設けられ、国際的なメジャーカテゴリの一つに発展を遂げた。2022年からは四輪も世界選手権へと格上げして「世界ラリーレイド選手権」、(W2RC)となり、FIAとFIMが共同で管轄する初の世界選手権となった。

ラリーとは多くの部分で共通点が有り、ラリーレイドのイベント名も単に「ラリー」とつく場合があるため混同しやすい。過去のサファリ・ラリーはじめとするアフリカや中東のラリーイベントではシュノーケリングやカンガルーバーなど、ラリーレイドと似たような装備に、同じような戦略(速さよりも完走を重視)が用いられており、両者の境界線は曖昧だった。ただしいくつかの相違点(後述)から専門的には区別される。

過去も現在もラリーレイドも人車一体となって困難を乗り越える冒険精神は不変であるが、現在は自動車メーカー系チーム(ワークス・チーム)の大量参入や技術力の向上により、競技の先鋭化(スプリント化)が進んでいる。

競技の性質上、都市部以外は田園もしくは山林に覆われている日本で行うのは難しいが、そこそこ広大な土地のある北海道ではラリーレイド用の車両を用いて戦う通常のラリー(XCRスプリントカップ)や、レクリエーションツーリングとして楽しむためのラリー(ラリーレイド北海道)などが存在する。

競技方式

基本

 
距離・目印・進行方向などが記されているコマ図

ステージは基本的に 一般的なラリー競技と同じくナビゲーター(コ・ドライバー)の読み上げる道順に従って走行するが、ラリーでは前日までに下見をしてペースノートを書き上げる「レッキ」が存在するのに対し、膨大な距離で行われるラリーレイドではレッキは無い。代わりに本番直前に主催者から与えられる、「ロードブック」に記載されている「コマ図」に指定されたルートを走行する。競技者はトリップメーター方位磁石(現代ではGPS)などを駆使してルートを判断する。

SS((スペシャルステージ)もしくはセレクティブセクション)と呼ばれる競技区間ではタイムトライアルを行い、その総走行時間で最終順位を決定する。各SSの間は「リエゾン」と呼ばれる移動区間で結ばれる。この点はラリーと同じである。ただし1日に多数の短距離のSSをこなすラリーとは違い、ラリーレイドは1日に長距離のSSが1つのみが行われる。なおSSとリエゾンを含めた1日の行程は「エタップ」と呼ばれる。

SSは1台ずつ間隔を開けてスタートする。出走順の決め方はゼッケン番号、前日のフィニッシュ順、総合リザルト順などがある。ラリーと違うのはSSやリエゾンの途中には数か所チェックポイント (CP) が設置されている点で、オフィシャルから通過確認印をもらわなければならない。さらにGPSで通過をチェックされるウェイポイント (WP) も設定されている。このCP/WPをナビゲーションで探し当てるのがラリーレイドの肝で、探すのが難しく大勢が迷うステージでは、長期に渡るイベントの勝敗が1日で決着してしまう場合もしばしある。

CP/WP不通過にはタイムペナルティが加算される。またSS開始時刻に間に合わない時や、SS期限時間内にフィニッシュできない時にも、タイムオーバーに対してペナルティが加算される。これらのペナルティの大小も勝敗に影響する。

競技車両がSSを出発した後、アシスタンスチームはリエゾンを通ってゴール地点へ先回りし、サービステントを設営する。メカニックやチームスタッフのほか運営本部、医療班、取材記者、食事サービスなどの関係者が集まる宿営地を「ビバーク」と呼ぶ。ラリー参加者一行はエタップとビバークを繰り返しながら、最終ゴール地点を目指す。

イベントによっては途中「GPS使用禁止ステージ」や「マラソンステージ」(ビバーク中にメカニックによるメンテナンスを受けることが禁止されるステージ)などといった特別ルールが課されることもあり、その場合はさらに難易度が増す。近年のダカール・ラリーは前日ではなく、出走直前にその日のコマ図が渡されるというルール変更でナビゲーションの難易度が上がっており、序盤早々にナビゲーションで勝敗が決着するようなケースもしばし見られる。

先駆者の後からついていける分後方出走の競技者の方が有利なため、短いステージではあえてステージ勝利を狙わず、翌日のステージを後方出走にするという戦略もよく用いられる。

運営のミスで誤ったロードブックが競技者に渡されてしまった事例や、機器の不具合でWPを通過したにも関わらず不通過とみなされ、数時間単位のペナルティが与えられてしまったこともある。

環境

 
砂漠でのトラブル

ラリーレイドの舞台となるのは北アフリカ中東中央アジア南米などに残された、地平線が見えるほど広大な大自然の中である。こうした土地ではルートが道として整備されておらず、コマ図通りに走っているつもりでも正しい進路を見失う危険性が大きい。主催者が事前にコマ図を作成した時点とは、天候次第で目印が変わっている場合すらある。場合によっては、半ばアドリブで走行ルートを選択する必要もある。路面状況や前後の車両の動向などを把握した上で瞬時の判断を求められるケースが多く、ドライバーはもちろんナビゲーターにも多くの経験が重要視される。

道中には砂丘の連なる砂漠、石ころだらけの山道、アクセル全開の平原、浅瀬の河渡りなどの難所があり、「砂地でスタック」「タイヤがパンク」「バランスを失って転倒」「急な増水によりマシンが流される」といったアクシデントが多発する。車両が故障したり、競技者が負傷・死亡してリタイアするケースも多い。あまりに危険と判断された場合は一部区間やステージそのものがキャンセルされる場合もある。

そういった過酷な環境から、競争相手と助け合うという、他のモータースポーツではあまり見られないような状況がラリーレイドでは頻繁に起きる。ナビゲーションで分からない場所があれば協力してウェイポイントを模索したり、スタックやトラブルで動けないライバルを牽引して救助したりする。運営もこうした競争者同士の協力は「ラリーの精神」として基本的に肯定する立場にあり、トラブルに遭った競争相手の救助を行うと、普通に走行していたと仮定した場合の救済タイムを受けることができる場合がある。

サポート用車両(主にトラック)は運営が手配しているものもあるが総合優勝を争うレベルのチームになると、自分たちでサポート用車両を複数台手配したり、同じクラスの競技者をエース競技者のサポートとしてつけたりする。この場合、競技のトップ争いにある程度追いつけるよう、サポート役にも相応のドライビング・ナビゲーションスキルが求められる。

地域によっては悪意のある客がのさばっており、マシンへに投石、目印をズラす[2]、勝手にジャンプ台や障害物を作られるなどの妨害に遭うこともある。

走行距離・時間

ラリーの最高峰である世界ラリー選手権 (WRC) は1イベントあたり3〜4日間に1,000 km程度を走行するが、ラリーレイドのひとつダカール・ラリーでは10〜20日間ほどかけて10,000 km以上を走行し、SS1本の距離も数百kmに及ぶ。また1日あたりのリエゾンの距離も百km単位というレベルで、身近な例でいうと新宿から静岡市名古屋市あたりの距離(150〜300km)を毎日次のSSのためだけに移動する。原則的にルートが事前発表されないため、WRCのようにコースを事前試走(レッキ)してペースノートを作成した状態で走行することはできない。危険が待ち受ける悪路を長時間レースのスピードで走りきるためには、競技者の体力・精神力もタフでなければならない。

日没までにビバークにたどり着かないと、夜の砂漠に取り残されるような危険な状態に陥ってしまうこともある。規定時間内にビバークに到着できない場合や、競技運営の支障になるほど遅い車両は規則次第でリタイア扱いとなる。

一日のSSで最もタイムの速かった者は「ステージ優勝者」となるが、ステージ優勝者は次のSSで最初に走らされて前方車の轍の無い道を走らされることが多く、結果としてタイムを失うばかりか致命的なナビゲーションミスの原因にも繋がる。ゆえにイベント全体での勝利を狙うのなら、あえてステージ優勝を狙わないのも戦略の一つである。なお世界ラリーレイド選手権は四輪部門はステージの結果も年間ランキングのポイントに加算されるため、総合順位が上の者もプッシュすることを強いられる仕組みになっているが、二輪部門はラリーレイド本来の精神を重視して反映しない、として対応が分かれている。

車両クラス

 
2010年ダカールラリーに存在した車・バイク・トラック・クアッドの4部門。現在は8部門にまで増加している
 
レーシングバギーの例
 
近年プライベーターから人気を集めるサイド・バイ・サイド・ビークル(SSV/UTV)。近年プロトタイプと市販車の2部門に分けられた

ラリーレイドが他のモータースポーツと異なる点は、四輪(自動車)・トラック(貨物自動車)・二輪(オートバイ)という別種の乗り物が混走する点である(本来は管轄する競技団体が異なる)。走行速度に差があるため、追い抜きの際に接触事故が起きることもある。

無給油でアップダウンの激しい数百kmを走破する必要があるため、「燃料タンクの大きさ」「不整地における走行安定性」「過酷な環境にも耐えられる耐久性」「車酔いやアップダウンの衝撃に人体が耐えられる快適性」などが重視される。

なお安全上の理由により最大速度は、クラスにもよるが120~170km/hまで(2022年現在)に制限されている。

四輪部門の車両区分はFIAにより以下の4つに分けられる。

グループT1 - 改造クロスカントリーカー (Modified Cross-Country Cars)
グループT2 - 量産クロスカントリーカー (Series Cross-Country Cars)
グループT3 - 進化クロスカントリーカー (Improved Cross-Country Cars)
グループT4 - 改造クロスカントリーSSV(Modified Production Cross-Country Side-by-Side (SSV) Vehicle)
グループT5 - クロスカントリートラック (Cross-Country Truck)

四輪のベース車両は、グループT1の場合はメーカーの販促の都合などにより、本来オフロードとは関係のないモノコックボディの乗用車のデザインを、競技専用に設計された鋼管フレームの上に被せ,バギーカーとして運用する。市販車のフレームを用いる場合は四輪駆動オフロード車[3]が使用されることが多い。悪路を高速で走行するため車高は高めに設定した上で、大容量燃料タンクとアンダーガードを取り付け、ストロークの長いサスペンションと超大型タイヤを備えている。ゆえにマシンは非常に巨大かつ重く、大量のスペアタイヤ・スペア部品・燃料・ナビゲーターまで積むと2,000kg台中盤にもなる[4]

ベースとなる市販車両を持たないレーシングバギーもあり、特にプライベーターには好まれる。

オフロードを走る以上は、スタックを喫しないレベルの一定の走破性は必要だが、勝つためには広大な砂漠では高速域での速さも必要となる。そのため座席後方にエンジンを搭載しトラクションを確保した上で、低コスト・軽量・駆動ロスが少ないなどのメリットがある二輪駆動を採用することが好まれるケースもある。

同じタイヤが4つついた車両でも、クアッド(全地形対応車、四輪バイク)やサイド・バイ・サイド・ビークル(SSV)のような市販バギーカーも参戦ができるのも、この競技の大きな特徴である。

タイヤが4つ以上で3,500kg以上の貨物自動車(トラック、カミオン)も存在する。純粋に速さを競うためのプロトタイプトラックと、順位を競わず後方からの支援を行う、機材輸送や運営の救助用のトラックの2種類がある。

二輪のベースは大排気量で長距離走行の疲労感の少ないビッグオフローダー(アドベンチャー)系バイク。四輪のようにコマ図を読みあげてくれる同乗者(ナビゲーター)がいないので、巻紙状のコマ図を収めたマップホルダー[5]をハンドル前方に装備する。従来は日本でいう大型バイクも参戦可能であったが、FIM主催のイベントでは安全上の理由により、単気筒で排気量は最大450ccまでに制限されている。また非常用の予備の飲料水タンクをマシン内部(スイングアームやフェアリングなど)に組み込んである[6]

おもなラリーレイド大会

世界

ヨーロッパ

 
バハ・ポーランド
  • FIA欧州クロスカントリー・バハ・カップ
  • (バハ・アラゴン)(英語版)
  • バハ・ポーランド
  • ハンガリアン・バハ
  • バハ・ポルタレグレ
  • イタリアン・バハ
  • バハ・ロシア
  • ノーザン・フォレスト

アフリカ

  • 南アフリカラリーレイド選手権(SARRC、旧名:南アフリカクロスカントリーシリーズ、SACCS)
  • ダカール・ラリー(1979〜2008年)
  • アフリカ・エコレース
  • ラリー・モロッコ
  • ファラオラリー(終了)
  • (プタペスト・バマコ・グレートアフリカンラン)(英語版)
  • チュニジア・ラリー
  • メルズーガ・ラリー

北アメリカ大陸

  • (SCOREインターナショナル)(英語版)
  • バハ1000
  • (バハ500)(英語版)
  • ソノラ・ラリー

南アメリカ大陸

 
ラリー・ドス・セルトーエス
  • ダカール・ラリー(2009〜2019年)
  • 南アメリカ・ラリーレイド選手権
  • パラグアイ・クロスカントリーラリー選手権
  • (ラリー・ドス・セルトーエス)(英語版)

アジア

  • ダカール・ラリー(2020年〜)
  • アジアクロスカントリーラリー
  • (北京・パリ・モーターチャレンジ)(英語版)
  • ラリー・モンゴリア(旧:ラリーレイド・モンゴル)
  • ラリー・カザフスタン
  • (シルクウェイラリー)(英語版)
  • 香港・北京ラリー
  • (アブダビ・デザートチャレンジ)(英語版)
  • ドバイ・インターナショナル・バハ
  • カタール・インターナショナル・バハ
  • ヨルダン・バハ
  • サウジ・バハ
  • シャルキア・バハ
  • ハイル・バハ
  • ラリー・アドベンチャー・ジョージア

オセアニア

  • (オーストララジアン・サファリ)(英語版)

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ このレースをモチーフにしてコメディ映画『グレートレース』(1965年)が製作された。
  2. ^ 日産、南アフリカオフロード選手権3連勝
  3. ^ 日本車で言えば三菱・パジェロトヨタ・ランドクルーザー日産・パスファインダーなど。
  4. ^ 【ダカール表彰台&WRC開幕戦優勝】セバスチャン・ローブが振り返る1月の偉業
  5. ^ 昔ながらの手動式のほか、走行距離に合わせて自動で巻き上げる電動式がある。
  6. ^ 【ダカール2023スペシャル⑤】 ダカールラリーでのCRF450 RALLY

関連項目

外部リンク

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