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ラガヴーリン蒸留所

ラガヴーリン蒸留所(ラガヴーリンじょうりゅうじょ、Lagavulin Distillery [lægəˈvuːlɪn][4][5])は、スコットランドアイラ島にあるスコッチ・ウイスキーの蒸留所。

ラガヴーリン蒸留所
Lagavulin distillery
地域:(アイラ)(英語版)
所在地 アイラ島(ポートエレン)(英語版)[1]
座標 北緯55度38分7.76秒 西経6度7分34.21秒 / 北緯55.6354889度 西経6.1261694度 / 55.6354889; -6.1261694座標: 北緯55度38分7.76秒 西経6度7分34.21秒 / 北緯55.6354889度 西経6.1261694度 / 55.6354889; -6.1261694
所有者 ディアジオ[1]
創設 1816年[1]
創設者 ジョン・ジョンストン[1]
現況 稼働中[2]
水源 ソラン湖の泉[1]
蒸留器数
  • (初留器) 2基[1]
  • (再留器) 2基[1]
生産量 253万リットル[注釈 1][1]

ホワイトホースの(キーモルト)として知られるほか、シングルモルトとしての評価も高く、「クマの抱擁」と喩えられるようなオイリーかつ重厚な味わいが特徴。

歴史

創業期

 
ラガヴーリン蒸留所はアイラ島の南部に位置する。

公式な創業年は1816年。しかし、その始まりは1742年にジョン・ジョンストンによって創業された密造所である。ラガヴーリンの近辺は湿地帯で、目の前の海は岩礁地帯で立ち入りが困難だったことから、密造に非常に適した立地であり、近隣には他に10軒もの密造所がひしめいていた[6][7]。その後、周囲の密造所らと協力して1816年に蒸留のライセンスを得たため、この年が公式な創業年となった[8]。「ラガヴーリン」という名前になったのは1936年で、ジョン・ジョンストンの死後にラガヴーリンの所有者となったグラスゴーのワイン&スピリッツ商、アレクサンダー・グラハムが近隣にあったアードモア蒸留所[注釈 2]を合併し、現在の名前に改称した。なお、この時点で近隣の他の蒸留所は廃業していた[6][10]。ラガヴーリンはゲール語で"Lag a' Mhuilinn"と表記し[11]、日本語で「水車小屋のある窪地」を意味する[7]

ピーター・マッキー時代

 
ホワイトホース

アレクサンダー・グラハムの手に渡った後は、1852年にジョン・クロフォード・グラハムが、1867年にジェームズ・ローガン・マッキーが蒸留所の所有者となった[10]。なお「ホワイトホース」の長熟ラインナップの「ローガン」というウイスキーは彼の名前にちなんでいる[12]

1878年にはジェームズの甥の(ピーター・マッキー)(英語版)が蒸留所で修行を開始した[10]。そして1889年にジェームズが亡くなりピーターが蒸留所を相続すると同年に株式会社化し、翌1890年にブレンデッドウイスキーホワイトホースを発売した[13][9]。このホワイトホースが1908年に国際大会でグランプリを受賞し、同年に王室御用達の指定を受けるなど好評を博し、ピーターのもとでラガヴーリンは発展していく[14][7]。ピーターは高い経営手腕をもつ一方でその性格については様々なエピソードがある。勤勉な姿勢は「レストレス・ピーター」(不眠不休のピーター)と評される一方、職人たちの食事にこっそりプロテインを混ぜて筋力アップを図るなどの奇行に出ることもあり、「3分の1は天才、3分の1は誇大妄想、3分の1はエキセントリック」と評される特異な人柄であったとされている[15][1]。なお、ピーターは1918年当時キャンベルタウン(ヘーゼルバーン蒸留所)(英語版)[注釈 3]を所有していたが、この時ウイスキー作りの実習先を探していた竹鶴政孝をヘーゼルバーンに迎え入れている[17]

ラガヴーリンはこの当時、近隣の蒸留所の取りまとめ役として販売代理店業務を行っていたが、1908年にラフロイグ蒸溜所がそれまでのブレンド用原酒の販売からシングルモルト中心の販売へと経営方針を大きく転換し、その代理店契約を打ち切った。また、ホワイトホース向けの原酒供給も同様に打ち切られたため、これに反発したピーターは訴訟を起こすも敗訴に終わる。しかもこの判決に激怒したピーターはラフロイグの水路に石を投げ入れて塞ぎ、さらに訴えられて敗訴している。そこでピーターは1908年にラガヴーリンの敷地内にモルトミル蒸留所を建設した。この蒸留所はラフロイグとまったく同じウイスキーを作り同社のシェアを奪うという目的のもとに作られた。ラフロイグとまったく同一のポットスチルを作り、ラフロイグの技術者を引き抜くなどの行動に出たが、結局はラフロイグを再現することはできなかった[18][6][19][17]。なお、モルトミル蒸留所はその後1962年に閉鎖し、ポットスチルはラガヴーリンに移設された[注釈 4]。1998年にはモルトミルのモルティング施設がラガヴーリンのビジターセンターとして改装され、ビジターセンター内の試飲ができるバーは「モルトミル・バー」と名付けられた[17]

DCL社による買収後

1924年にピーターが69歳で亡くなると[20]、1927年に(ディスティラーズ・カンパニー・リミテッド)(英語版)社(DCL社)に買収される。その後はDCL社が(ユナイテッド・ディスティラーズ)(英語版)傘下になり、1997年にはギネスとグランドメトロポリタン社の合併で誕生したディアジオの傘下となる[1][21]

ユナイテッド・ディスティラーズ社時代の1988年には「(クラシックモルト・シリーズ)(英語版)」のアイラ島代表としてシングルモルトウイスキーが発売された。本シリーズは世界的に話題となり、こんにちのシングルモルトブームの礎となった[22]

製造

 
木製のウォッシュバック
 
くびれのないオニオン型のポットスチル

仕込みは1回あたり麦芽4.4トンを消費し、1日に4回行われる。麦芽は1974年に(フロアモルティング)が廃止されて以来(ポートエレン蒸留所)(英語版)製のフェノール値38 ppmの麦芽を使用している。なお、この麦芽はカリラ蒸留所が使っているものと全く同じである。(マッシュタン)はステンレス製で、一度におよそ21000リットルの麦汁を生産できる[17][1][10]

(ウォッシュバック)(発酵槽)は伝統的な木桶で、カラマツ製のものが計10基ある。それぞれの容量はおよそ21500リットル。発酵時間は平均55時間で、これによって優雅かつフローラルな香りが育まれる。もろみの度数は9%[1][17][23]

仕込み水は蒸留所背後の丘にあるソラン湖の湧き水を使用している。泥炭層を通ってきたこの水は濃いピート色をしており、ラガヴーリンの個性の由来のひとつとなっている[24][2]

ポットスチルは(初留器)[注釈 5]と(再留器)[注釈 6]がそれぞれ2基ずつある。くびれのないタマネギ型のずんぐりとした形状でありながら比較的背が高く、ラインアームは斜め下を向いている。蒸留の工程に特徴があり、初留の蒸留時間は5時間、再留は10時間前後と長い時間をかけて蒸留している。この長い蒸留時間がリッチで力強い風味のもとになるとされている。また、ポットスチルの充填率を90%と高くすることでスチルと原酒の接触および還流を減らしており、これがオイリーで重厚な味わいの由来となる。また、ミドルカットも70~60%と長めであり、これによってスモーキーさ、オイリーさのもとになる成分が多く抽出される[25][2][26][17]。なお、ポットスチルの加熱方式は蒸気熱による間接式で、冷却はシェル&チューブのコンデンサによる[27]

年間の生産能力は253万リットル[注釈 1]。アイラ島では5000樽ほどしか熟成しておらず、生産された原酒のほとんどはスコットランド本土の(アロア (イギリス))(英語版)にある集中熟成庫で熟成されている[28][17]

製品

 
フラッグシップボトルであるラガヴーリン16年。

ホワイトホースのキーモルトとして知られている一方で[7]、現在は原酒の85%がシングルモルトとしてボトリングされている[18]

現行のラインナップ

ラガヴーリン16年
ラガヴーリンの(フラグシップ)となるボトル。(ユナイテッド・ディスティラーズ)(英語版)傘下時代の1988年に「(クラシックモルト・シリーズ)(英語版)」のアイラ島代表としてリリースされたのが始まり。現在もなお熟成年数とラベルを変えずに販売され続けている[22]。重厚なスモーキーさ、ドライさ、甘みを両立した一本[29]
ラガヴーリン8年
もともと創立200周年記念で2016年に限定発売されたものが定番商品化した[29]

使用されているブレンデッドウイスキー

評価

ラガヴーリンのシングルモルトの販売量は年間およそ220万本で、アイラ島の蒸留所の中ではラフロイグに次ぐ第2位の売上を誇っている[28]

アルティメット・スピリッツ・チャレンジ(USC)では、ラガヴーリン16年が2018年から2022年にかけて95~96点のスコアを獲得し、毎年チェアマンズトロフィー(最高賞)の最終選考に残っている[30][31][32][33][34]。また、ラガヴーリン8年は2018年に同賞のアイラシングルモルト部門でチェアマンズトロフィーを獲得している[35]

評論家のマイケル・ジャクソンはラガヴーリンのハウススタイルをドライ、スモーキー、複雑、気付け薬あるいは寝酒。[36]と評しており、ラガヴーリン16年のオイリーで重厚な味わいを「クマの抱擁」と喩えている。また、テイスティングスコアは95点で、これは96点のボトルに次ぐ同書内で同率2位のスコアである[37]

評論家の土屋守はラガヴーリンを、アイラモルトの特徴である強いピート香、潮、海藻の香りをよく表しており、ヘビーかつベルベットのような口当たりを「モルトウイスキーのなかでも巨人的な存在」「銘酒中の銘酒」と評している[24]。また、同氏はラガヴーリン16年を下記のようにテイスティングしている。

アロマ:ディープで深みがあり、スモーキー。浜辺のバーベキュー。複雑で旨味が凝縮されている。加水でスイートに。

フレーバー:まろやかでジューシー。スモーキーだが旨味があり、甘辛酸のバランスも取れている。余韻も長くスパイシー。

総合評価:スモーキーだがシルクのように滑らかで、ビッグ。アイラの古典的銘酒。[1]

注釈/脚注

注釈

  1. ^ a b 100%アルコール換算[3]
  2. ^ アーチボルト・キャンベルによって1817年に創業。1822年に撤退[9]。1825年にジョン・ジョンストンが買収[10]。ハイランド地方に現存するアードモア蒸溜所とは異なる。
  3. ^ 1825年創業、1925年閉鎖[16]
  4. ^ ただし1969年にはそのポットスチルは撤去されている。
  5. ^ 容量20750リットル。
  6. ^ 容量11500リットル。

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 土屋守 2021, p. 205.
  2. ^ a b c “ラガヴーリン|蒸溜所一覧|SMWS”. smwsjapan.com. 2022年12月10日閲覧。
  3. ^ 土屋守 2021, p. 10.
  4. ^ “Scotland Distillery Names & Pronunciations”. WhiskyCast. 2022年12月14日閲覧。
  5. ^ “How to Pronounce 16 Scotch Whisky Names”. Wine Enthusiast Magazine. 2022年12月14日閲覧。
  6. ^ a b c “静かな自信 ― ラガヴーリン蒸溜所 【前半/全2回】”. whiskymag.jp (2013年6月3日). 2022年12月11日閲覧。
  7. ^ a b c d 土屋守 2021, p. 204.
  8. ^ マイケル・ジャクソン 2007, p. 115.
  9. ^ a b ジョン・R・ヒューム & マイケル・S・モス 2004, p. 67.
  10. ^ a b c d e 土屋守 & 渋谷寛 2020, p. 22.
  11. ^ “Lagavulin” (英語). ainmean-aite.scot. 2022年12月8日閲覧。
  12. ^ 土屋守 2014, p. 177.
  13. ^ 土屋守 2021, pp. 204–205.
  14. ^ a b 土屋守 2014, p. 104.
  15. ^ 土屋守 2014, pp. 176–177.
  16. ^ “Lost Distilleries―ヘーゼルバーン”. whiskymag.jp (2013年8月17日). 2022年12月11日閲覧。
  17. ^ a b c d e f g “第120章 アイラ島蒸溜所総巡り−5.ラガヴーリン蒸溜所”. ballantines.ne.jp (2021年2月1日). 2022年12月11日閲覧。
  18. ^ a b チャールズ・マクリーン 2017, p. 126.
  19. ^ “【0212夜】ラフロイグ中興の祖、ベッシー・ウィリアムソン物語~その①”. tokyowhiskyspiritscompetition.jp (2022年5月4日). 2022年12月11日閲覧。
  20. ^ 土屋守 2014, p. 178.
  21. ^ “ギネス、グランドメトロポリタン合併新会社名「ディアジオ」に決まる” (英語). 日本食糧新聞 (1997年11月10日). 2022年12月11日閲覧。
  22. ^ a b “【0023夜】シングルモルトブームをつくったクラシックモルトシリーズ”. tokyowhiskyspiritscompetition.jp. 2022年12月11日閲覧。
  23. ^ “静かな自信 ― ラガヴーリン蒸溜所 【後半/全2回】”. whiskymag.jp (2013年6月10日). 2022年12月11日閲覧。
  24. ^ a b 土屋守 1995, p. 166.
  25. ^ 土屋守 2021, pp. 205–206.
  26. ^ “Lagavulin|islay.com”. islay.com. 2022年12月11日閲覧。
  27. ^ 土屋守 2007, p. 23.
  28. ^ a b 土屋守 2021, p. 206.
  29. ^ a b “LAGAVULIN|Moët Hennessy Diageo”. mhdkk.com (2020年11月24日). 2022年12月11日閲覧。
  30. ^ “2022 ULTIMATE SPIRITS CHALLENGE” (英語). ultimate-beverage.com. 2022年12月11日閲覧。
  31. ^ “2021 ULTIMATE SPIRITS CHALLENGE” (英語). ultimate-beverage.com. 2022年12月11日閲覧。
  32. ^ “2020 ULTIMATE SPIRITS CHALLENGE” (英語). ultimate-beverage.com. 2022年12月11日閲覧。
  33. ^ “2019 ULTIMATE SPIRITS CHALLENGE” (英語). ultimate-beverage.com. 2022年12月11日閲覧。
  34. ^ “2018 ULTIMATE SPIRITS CHALLENGE” (英語). ultimate-beverage.com. 2022年12月11日閲覧。
  35. ^ “2018 ULTIMATE SPIRITS CHALLENGE” (英語). ultimate-beverage.com. 2022年12月11日閲覧。
  36. ^ マイケル・ジャクソン 2005, p. 324.
  37. ^ マイケル・ジャクソン 2005, p. 325.

参考文献

  • 土屋守『完全版 シングルモルトスコッチ大全』小学館、2021年。ISBN (978-4093888141)。 
  • 土屋守、渋谷寛「アイラクロニクル2020」『Whisky Galore(ウイスキーガロア)』第22巻、ウイスキー文化研究所、2020年10月、4-57頁、(ASIN) B08FV3VPJY。 
  • 土屋守「ポットスチル大全」『Whisky World(ウイスキーワールド)』第10巻、ゆめディア、2007年6月、2-23頁、ISBN (978-4-89340-077-2)。 
  • チャールズ・マクリーン; デイヴ・ブルーム,トム・ブルース・ガーダイン,イアン・バクストン,ピーター・マルライアン,ハンス・オフリンガ,ギャヴィン・D・スミス 著、清宮真理,平林祥 訳『改訂 世界ウイスキー大図鑑』柴田書店、2017年。ISBN (978-4388353507)。 
  • 橋口孝司『シングルモルトウイスキー銘酒事典』新星出版社、2003年。ISBN (4-405-09085-8)。 
  • 和智英樹; 高橋矩彦『男のスコッチウィスキー講座 100蒸留所巡礼試飲旅』スタジオ タック クリエイティブ、2014年。ISBN (978-4-88393-691-5)。 
  • PAMPERO 編『ウイスキー&シングルモルト完全ガイド』池田書店、2007年。ISBN (4-262-16509-4)。 
  • ジョン・R・ヒューム; マイケル・S・モス 著、坂本恭輝 訳『スコッチウイスキーの歴史』国書刊行会、2004年。ISBN (4-336-04517-8)。 

関連項目

外部リンク

  • LAGAVULIN|Moët Hennessy Diageo (公式サイト)(日本語)
  • LAGAVULIN|Malts.com (公式サイト)(英語)

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