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ヨルダン川西岸地区

ヨルダン川西岸地区(ヨルダンがわせいがんちく、アラビア語: الضفة الغربيةaḍ-Ḍiffah l-Ġarbiyyahヘブライ語: הגדה המערביתHaGadah HaMa'aravit)は、ヨルダンイスラエルの間に存在し、現在パレスチナ国パレスチナ自治区)の一部を形成するヨルダン川より西部の地域のこと。欧米などでは単にウェストバンク(West Bank[1])と表現される事が多い。

ヨルダン川西岸地区
الضفة الغربية للأردن
יהודה ושומרון
中心都市ラマッラー(2012年)
位置
ヨルダン川西岸地区
(パレスチナ自治区での位置)
ヨルダン川西岸地区の主要都市
座標: 北緯32度0分 東経35度23分 / 北緯32.000度 東経35.383度 / 32.000; 35.383
歴史
ヨルダンの占領 1948年
ヨルダンへの併合 1950年4月24日
イスラエルの占領 1967年6月10日
行政
自治政府 パレスチナ
地区 ヨルダン川西岸地区
中心都市 ラマッラー
最大都市 ラマッラー
地理
面積  
  総面積 5,660 km2
    陸上面積 5,640 km2
    水面面積 220 km2
    水面面積比率  3.7 %
標高 N/A m
人口動態 (2020年現在)
人口 3,799,631 人 (パレスチナ人と入植者の合計)
  人口密度 671.3 人/km2
その他
等時帯 世界標準時 ()
  夏時間 夏時間 ()
ISOコード (地区には割り当てなし)
(テンプレートを表示)

なお、東エルサレムは歴史的にはヨルダン川西岸地区の一部として扱われてきたが、政治的・文化的人道的な重要性から、ヨルダン川西岸地区とは別個に取り扱われることが多い。

地区の面積は5,660km2(後述する3つの区分に分けられる)、総人口は2020年時点で約380万人。内訳はパレスチナ人が約309万人(81.2%)、ユダヤ人入植者が約71万人(18.8%)となっている[2]

概説

1948年第一次中東戦争後半に、ヨルダンによって占領され、部分的なパレスチナ人の賛同とヨルダン議会の決議により、ヨルダン領に編入された。同地区は1967年までヨルダンの一部を構成していたが(国際的には認められていなかった)、1967年第三次中東戦争イスラエル軍によって占領される。ヨルダンは1994年領有権を放棄した。現在、同地区はイスラエル軍とパレスチナ政府によって統治されている。

一部の人々、とくにイスラエル人の入植と東エルサレムの併合(ひいては本項の地域も含めた古代ユダヤ人国家の再統一)を支持する人々は、「ユダヤ・サマリア」と呼ぶことを好む。イスラエルは、自国の行政区画として「ユダヤ・サマリア」と称している。またフランス語などのロマンス諸語では、いわゆるトランスヨルダン(ヨルダン川の向こう側、すなわち現在のヨルダン)と対比してシスヨルダン(ヨルダン川のこちら側)と呼ばれる。

ヨルダン川西岸地区は、国際連合からイスラエル占領地として考えられるが、一部のイスラエル人や他の様々なグループは「占領地」よりも「係争地」という用語を好んで使用する。その理由は様々だが、主なものとして、イギリス委任統治領パレスチナの消滅後、無主地先占したと解釈した上での領有権主張。ひいては、占領地での被占領民保護を義務づけた、(1949年のジュネーヴ第4条約)の適用を否定する目的が挙げられる[3]((イスラエル国防軍軍律#法的根拠)も参照)。1967年10月22日イスラエル国防軍はこの主張を根拠として、ヨルダン川西岸地区、ガザ地区ゴラン高原の住民に対して、ジュネーヴ第4条約に拘束されない旨を命令(軍律)144で布告した。現在でも、ヨルダン川西岸地区のIDF占領地では、この命令が有効である。

ヨルダン川西岸地区にはパレスチナ人(アラブ人)やユダヤ人および他の少数民族グループが居住している。同地区に暮らす大多数のアラブ人は、第一次中東戦争でイスラエルから避難したパレスチナ難民あるいはその直接の子孫である。

統治者による区分

 
赤 - パレスチナ政府管轄(A地区およびB地区)
黄色 - イスラエル政府の統治下(本土およびC地区)

2010年現在、ヨルダン川西岸地区は統治者によって、3分されている。

  1. A地区…パレスチナ政府が行政権、警察権共に実権を握る地区。2000年時点で面積の17.2%[4][5]
  2. B地区…パレスチナ政府が行政権、イスラエル軍が警察権の実権を握る地区(警察権は、パレスチナ政府と共同の地区も含む)。2000年時点で面積の23.8%
  3. C地区…イスラエル軍が行政権、軍事権共に実権を握る地区。2000年時点で面積の59%。2018年現在で面積の「60%以上」[6]

現在でもヨルダン川西岸地区の主な統治者はイスラエルであり、パレスチナ人住民はイスラエル国防軍軍律によって統制されている(ユダヤ人入植者は、原則としてイスラエル国内法が適用される)。また、C地区はA地区、B地区を包囲し、さらに細かく分断するように配置されている[7]

さらに、C地区でのパレスチナ人の日常生活は大幅に制限されており、家屋・学校などの建築、井戸掘り、道路敷設など全てイスラエル軍の許可が必要となる[8]。特に住居建設の許可が下りる事はほとんどなく、イスラエル軍は違法建設の住居を撤去し、罰金を課する。国連によると、2010年だけで少なくとも198の建造物が撤去され、300人近くのパレスチナ人が強制移動を強いられた[9]

2018年5月9日、イスラエル国防軍は「ユダヤ・サマリア」に命令1797を布告した。これは、イスラエル軍が「違法」となった新築建造物(未完成または竣工6ヶ月以内または居住30日以内の建造物)を、司法手続きを省略して、96時間以内に異議申立が無ければ撤去できる内容である。命令自体は、ユダヤ人入植者も対象となる。

OCHA(国際連合人道問題調整事務所)によると、イスラエル軍によるパレスチナ人所有の建造物の撤去は、2017年は月平均35件、2018年は月平均38件であったが、2019年は52件と増加した。2020年は、新型コロナウイルス感染症 (2019年)流行初期の1-2月は、月平均45件に減少したが、3-8月は月平均65件と、2017年からの4年間で最も多くなった。OCHAは、命令1797によって建造物の迅速な撤去が可能になり、所有者が異議申立の手続きを取れなくなっていることを懸念している[10]

イスラエル

 
イスラエルの「分離壁」(エルサレム、2016年)
ヨルダン川西岸地区のユダヤ人入植地(黒三角、2007年)

イスラエルの行政上の区画はユダヤ・サマリア地区である。前述したように、ヨルダン川西岸地区の6割(2000年時点)はイスラエルの統治下にある。また、他のパレスチナ政府管轄下(AおよびB地区)についてもイスラエルは網の目のように包囲しており、与える影響は大きい。

C地区とは別にユダヤ人入植地と呼ばれるものが存在する。これは、マアレ・アドゥンミームを始めとするユダヤ人による入植地(イスラエル(国籍の)人の移住地)であり、そのほとんどはC地区に点在している((2014年の地図 (PDF)))。入植地は政府主導の大規模なものもあれば、入植者が勝手に作った「アウトポスト」もある(イスラエル政府は一部例外を除いて事実上容認)。入植者には2020年時点で71万人ほどのユダヤ人が住んでいるとされる[2]。そして、その入植地およびヨルダン川西岸地区を取り囲むように建設されたのが「分離壁」である。イスラエル政府の名目上の説明は「自爆テロの防止」であるが、分離壁の一部は1949年停戦ライン(通称グリーンライン。ヨルダン川西岸地区とイスラエルの境界線)を超えて西岸地区内に入り込んでおり、入植地の事実上の領土化やパレスチナ人の生活を分断している。イスラエルは、のべ710キロの分離壁の建設を進めており、2020年6月現在、約64%が完成した[11]

イスラエル外務省は、ユダヤ人入植地が合法であるとする主張の根拠を、以下のように挙げている[3]

  • 入植地からユダヤ人を追放しようとするパレスチナ人の試みは、差別的で道徳的に非難されるべき行動である。
  • 1993年以降のパレスチナ自治政府との交渉では、入植地について何ら取り決めをしていない。恒久的地位協定の締結までの間は、パレスチナ自治政府が入植地やイスラエル人に対する管轄権や支配権を持たないことに明示的に合意した。
  • よって、入植地の建設は、この地域全体の最終的な恒久的地位に影響を与えない。この禁止が建築に適用されるとすれば、どちらの側もそれぞれの地域社会のニーズに合わせて住宅を建てることは許されていないという不合理な解釈につながるだろう。
  • イスラエルの入植地建設は、国際法に合致したものである。1949年のジュネーヴ第4条約違反という指摘は当たらない。なぜなら、ヨルダン川西岸地区とガザ地区は、1967年の六日戦争(第三次中東戦争)以前は無主地であったから、「占領地」には該当しない。
  • 仮にジュネーヴ第4条約が適用されるとしても、イスラエルは住民の強制移住は行っていないし、条約は個人が自発的に居住地を移転することを禁止していない。また、イスラエル入植地はヨルダン川西岸の3%程度の面積である。
  • また、ジュネーヴ第4条約は、先祖代々の地や不当に奪われた土地への帰還を妨げるものではない。西岸(ユダヤ・サマリア)は、古代よりユダヤ人の居住地だった。ユダヤ人の入植を禁じたのは、ヨルダン占領下の時代(1948年 - 1967年)だけだった。ヨルダンによる占領は、国際的に認められておらず、ヨルダンおよびガザ地区のエジプトはユダヤ人の排除と、ユダヤ人への土地売却を禁止する暴挙を働いた。この暴挙によってユダヤ人の権利を無効にすることは許されず、ユダヤ人による既に行われた土地取得は、今日まで有効である。
  • よって、入植地への批判は法的にも事実上も根拠は無い。そのような告発は、政治的動機としか考えられない。いかなる政治的主張も、罪のない民間人へのテロ攻撃を正当化するために使用されるべきではない。

イスラエルによるヨルダン川西岸地区の強硬的な実効支配については国際的な非難が行われており、2016年12月23日の国連安保理では、イスラエルのパレスチナ占領地への入植活動を「法的な正当性がなく国際法に違反する」とし「東エルサレムを含む占領地でのすべての入植活動を迅速かつ完全に中止するよう求める」決議が採択され、賛成14票、反対1票で可決されている。イスラエルの友好国であるアメリカは同様の決議に対ししばしば拒否権を行使していたが、今回は棄権するという異例の事態となった[12]。実質的にイスラエルとの境界線となっている分離壁には2004年に国際司法裁判所が「イスラエル政府の分離壁の建設を国際法に反し、パレスチナ人の民族自決を損なうものとして不当な差別に該当し、違法である」という勧告的意見を出し[13]国際連合総会でも建設に対する非難決議がなされている[14]

2020年、イスラエルはヨルダン川西岸地区の一部を併合する計画を打ち出した。同年6月24日、国連安全保障理事会はオンラインで会合を開き、国連、欧州およびアラブ各国は計画が実現すれば中東和平が打撃を受けると警告を発した。一方、アメリカはイスラエルの計画への支持を表明した[15]

パレスチナ

パレスチナの県(灰色の部分は統治外)

パレスチナ人による自治政府の管轄下はヨルダン川西岸地区の約4割ほどであり、そのうちパレスチナ政府が完全に支配下に置いているのは2割にも満たない(2000年)。その管轄区もイスラエルの実効支配地域および分離壁によって分断されており、多くが地区西部に点在する形となっている。

パレスチナ政府がヨルダン川西岸地区に設置している行政区画(県、Governorate)は以下の通り。ただし、イスラエル統治下を含んでいる。

住人

2020年時点の県別人口と内訳、合計人口に占める割合[2]
パレスチナの県 合計人口 パレスチナ人 ユダヤ人入植者
人口 割合(%) 人口 割合(%)
ジェニーン県 339,213 335,660 99.0 3,553 1.0
トゥーバース県 67,752 65,211 96.2 2,541 3.8
トゥールカリム県 201,512 197,098 97.8 4,414 2.2
ナーブルス県 432,856 411,680 95.1 21,176 4.9
カルキーリーヤ県 160,748 120,357 74.9 40,391 25.1
サルフィート県 129,067 81,162 62.9 47,905 37.1
ラマッラー・アル=ビーレ県 490,896 351,510 71.6 139,386 28.4
エリコ県 60,344 52,836 87.6 7,508 12.4
エルサレム県 799,044 466,750 58.4 332,294 41.6
ベツレヘム県 324,526 232,343 71.6 92,183 28.4
ヘブロン県 793,848 772,384 97.3 21,464 2.7
合計 3,799,631人 3,086,816人 81.2% 712,815人 18.8%

東エルサレムの取り扱い

東エルサレムの現状は、論争の的となっている。

東エルサレムは、ヨルダン川西岸地区を形成する一部であるが、イスラエルは東エルサレム併合を宣言しているため、イスラエルはヨルダン川西岸地区の一部としては考えていない。しかしながら、併合は、現在国際的に認められていない。

なお、日本国政府はパレスチナ国を承認していないため、日本の地図では、イスラエルとヨルダン間の領土抗争地・未確定領域と扱われることがある(ただし、1994年に結ばれたイスラエル・ヨルダン平和条約でヨルダンは同地を放棄している為、正確には「イスラエルとヨルダン間の領土抗争地」ではない(「イスラエルの領有権未確定地域」「イスラエルとパレスチナ自治政府との係争地」である)。

いずれの場合も、その政治的・文化的・人道的な重要性から、ヨルダン川西岸地区とは別個に取り扱われることが多い。一例としてオスロ合意は、他のパレスチナ領域と別個の問題として東エルサレムを取り扱う。

関連項目

脚注

  1. ^ 本来の「west bank」は「西岸」という普遍的な意味を表すが、「West Bank」と頭文字大文字表記して固有名詞扱いにすることで、ヨルダン川西岸地区を特に指す言葉となっている。
  2. ^ a b c “Number of Settlers in the Israeli Settlements and Palestinian Population in the West Bank by Governorate, 2020”. (パレスチナ中央統計局)(英語版). 2022年10月25日閲覧。
  3. ^ a b “Are Israeli settlements legal?” (英語). イスラエル外務省 (2007年11月1日). 2021年1月16日閲覧。
  4. ^ 特集:アパルトヘイト・ウォール(隔離壁/分離壁):イスラエル:パレスチナ情報センター
  5. ^ ただし、ユダヤ人入植地及びイスラエル軍基地として占領されている面積は、ここでは含んでいない
  6. ^ AREAS WITH HIGHEST HUMANITRIAN VULNERABILITY December 2018 - OCHA(国際連合人道問題調整事務所
  7. ^ ヨルダン川西岸
  8. ^ (児玉千佳子) フィールド・エッセイ 第14回 児玉千佳子さん UNDPパレスチナ人支援プログラム プログラム・アナリスト
  9. ^ アムネスティ・インターナショナル イスラエル/被占領パレスチナ地域 : 西岸地区のパレスチナ人家屋の撤去を増大させるイスラエル
  10. ^ Unlawful demolitions in the West Bank spike during COVID-19 - OCHA(英語)
  11. ^ WEST BANKACCESS RESTRICTIONS - JUNE 2020 - OCHA
  12. ^ “イスラエル入植非難決議を採択 米が拒否権行使せず”. 日本経済新聞 (2016年12月24日). 2017年2月22日閲覧。
  13. ^ Legal consequences of the construction of a wall in the occupied Palestinan Territory, para 88 2010年7月6日, at the Wayback Machine. (英文、フランス語文)
  14. ^ U.N. votes 150-6 against West Bank barrier, CNN.com
  15. ^ “西岸併合計画でイスラエルに警告、米は支持 安保理会合”. AFP (2020年6月25日). 2020年6月21日閲覧。

外部リンク

  • West Bank、CIA World Factbook
  • Palestine Facts & Info from Palestinian Academic Society for the Study of International Affairs
  • The Legal Status of Palestine Under International Law (View supports Palestinian claims
  • United Nations - Question of Palestine
  • Disputed Territories: Forgotten Facts about the West Bank and Gaza Strip - from the Israeli government
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