ヨハン・ヴィンセント・ガルトゥング(Johan Vincent Galtung、1930年10月24日 - )は、ノルウェーの社会学者・数学者。
人物・来歴
ヴァイキングの時代から続く貴族の家系に生まれ、父は医者、陸軍少尉、オスロ副市長も歴任した人物である[1]。オスロ大学にて、1956年に数学で、翌年には社会学で博士号を取得[2]。20代半ばの頃には、良心的兵役拒否者として12カ月間の単純労働に従事した[1]。その後、労働期間の延長を拒んだために労働刑務所に6カ月間収監された[1]。
略歴
主張
詳細は「平和学」を参照
戦争のない状態を平和と捉える「消極的平和」に対し、貧困、抑圧、差別など構造的暴力のない状態を「(積極的平和)」とする概念を提起した。これまでに、スリランカ、アフガニスタン、北コーカサス、エクアドルなど、世界で40ヶ所以上の紛争の仲介者をした。日本においても中央大学、国際基督教大学 (ICU) 、関西学院大学、立命館大学、創価大学などで客員教授を務める。
尖閣諸島の領有権を巡って日中が対立している状況に対し、中国と日本がそれぞれ40%ずつの権益を分けあい、残りの20%を北東アジア共同体のために使うという解決案を示している[5]。
邦訳著書
単著
- 『90年代日本への提言―平和学の見地から』、中央大学出版部、1989年
- 『平和への新思考』(高柳先男・(塩屋保訳))、勁草書房、1989年
- 『仏教――調和と平和を求めて』、東洋哲学研究所、1990年
- 『構造的暴力と平和』(高柳先男・(塩屋保)・(酒井由美子訳))、中央大学出版部、1991年
- 『市民・自治体は平和のために何ができるか――ヨハン・ガルトゥング平和を語る』、(国際書院)、1991年
- 『平和的手段による紛争の転換――超越法』(伊藤武彦編集、(奥本京子訳))、(平和文化)、2000年
- 『平和を創る発想術――紛争から和解へ』京都YWCAほーぽのぽの会訳、岩波書店、2003年
- 『グローバル化と知的様式――社会科学方法論についての七つのエッセー』矢澤修次郎・大重光太郎訳、東信堂、2004年
- 『ガルトゥングの平和理論――グローバル化と平和創造』(木戸衛一・藤田明史・(小林公司)訳)、法律文化社、2006年
- 『ガルトゥング紛争解決学入門――コンフリクト・ワークへの招待』藤田明史・奥本京子監訳、トランセンド研究会訳、法律文化社、2014年
- 『日本人のための平和論』御立英史訳、ダイヤモンド社、2017年
- 『ガルトゥング平和学の基礎』藤田明史編訳、法律文化社、2019年
共編著
脚注
- ^ a b c “「紛争調停人」の仕事とは何か?--キーワードで読み解くガルトゥング平和論<4> 人物・行動・思想編”. ダイヤモンド・オンライン. 2022年7月24日閲覧。
- ^ "ガルトゥング". 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンクより2022年7月24日閲覧。
- ^ Journal of Peace Research 公式ウェブサイト(英語) - Journal of Peace Research
- ^ Transcend International(平和的手段による紛争転換)公式ウェブサイト(英語) - TRANSCEND International
- ^ 志葉玲. “「安保法案では平和にはならない」“平和学の父”ガルトゥング博士インタビュー”. 2015.09.17 ニュース. 2016年9月17日閲覧。
関連項目
外部リンク
- トランセンド研究会 公式ウェブサイト(日本語) - トランセンド研究会