ヤンマ(蜻蜓)はトンボ目不均翅亜目ヤンマ科(Aeshnidae)の昆虫の総称を指す。大概はヤンマといえばオニヤンマ科の昆虫も含む。広義にはエゾトンボ科やサナエトンボ科などの昆虫も含む。
ヤンマ科
ヤンマ科の昆虫は(アオヤンマ)などを除いて胸に接した腹節が胸の方向にくびれており、その他は節によって太さに差がないのが特徴である。地色は未熟なものでは黄色のものが多く、成熟したものは種によってさまざまな色に変化する。また、ほぼ全ての種において腹部に明色の紋がある。トンボ科の昆虫などより相対的に長い腹部を持ち、頭部はトンボ科の昆虫に似ておおむね球形である。翅のアスペクト比はトンボ科の昆虫のものに近く、約3.5である。
飛翔は回遊性でかなりの速度である。飛翔力が強く、力強くまっすぐに飛ぶ姿は爽快である。他方、海を越えるような広域移動をする力はトンボ科のものほどではないようで、大抵はそれほど広い分布域を持たない。
ヤンマ科以外のヤンマ
ヤンマ科のような姿のトンボをヤンマと呼ぶ例も多く、たとえばオニヤンマはオニヤンマ科、コオニヤンマやウチワヤンマはサナエトンボ科である。これらは大柄で逞しい姿や細くまっすぐな腹部などはヤンマ科と似ているが、複眼はそれほど大きくなく、左右のそれが互いにしっかりと接していない(両複眼は背面で接する)点などで区別できる。
日本に生息する主な種
- (アオヤンマ) Aeschnophlebia longistigma
- (イイジマルリボシヤンマ) Aeshna subarctica
- (イシガキヤンマ) Planaeschna ishigakiana Asahina
- (オオギンヤンマ) Anax guttatus
- オオルリボシヤンマ Aeshna crenata
- カトリヤンマ Gynacantha japonica
- ギンヤンマ Anax parthenope julius
- (クロスジギンヤンマ) Anax nigrofasciatus
- (コシボソヤンマ) Boyeria maclachlani
- (サラサヤンマ) Sarasaechna pryeri
- (ネアカヨシヤンマ) Aeschnophlebia anisoptera
- マダラヤンマ Aeshna mixta
- マルタンヤンマ Anaciaeschna martini
- ミルンヤンマ Planaeschna milnei
- ヤブヤンマ Polycanthagyna melanictera
- (リュウキュウギンヤンマ) Anax panybeus
- ルリボシヤンマ Aeshna juncea juncea
備考
機械メーカーのヤンマーの社名は大型のトンボ、オニヤンマにちなんで命名されたものである。創業者の姓の「山岡」に発音が近かったのも決め手となった[1][2]。