ムラサキシメジ(紫湿地、学名:Lepista nuda)は、南米を除く世界中に分布する担子菌の一種。
解説
日本では地域差があり晩秋の10月下旬から12月上旬、主に落葉広葉樹林などに列状または円弧を描いて発生する。落葉を白色腐朽する落葉分解菌のキノコ。菌糸層は落葉層の粗腐植層部分に広がり、菌根は形成しない。子実体は菌糸層の縁から10-15cm 内部に発生する。毎年ほぼ同じ位置に子実体が発生するが、1年で 1m程度移動する。
傘は初期にはまんじゅう形で、後には平らに開く。初期の色は美しい紫色だが、傘が開くと徐々に色あせ、灰白色や淡褐色になる。断面も紫色。ひだも傘と同じで、初期の色は美しい紫色であるが後に色あせて灰白色になる。 ひだの並び方は密で柄に湾生する。柄は傘とほぼ同色かやや淡色で表面は繊維状。柄の根元は膨らんでいるが、成長すると膨らみは少なくなる。
近縁種
近縁種にコムラサキシメジ ( Lepista sordida )がある。名前の似ている(イヌムラサキシメジ)( Clitocybe cyanophaea )は同科(カヤタケ属)に属する。
食用
味、歯ざわりともに優れ、煮物、鍋物、吸い物等に幅広く用いられる。若干の土臭さが有り、人により好き嫌いが分かれる。生食は中毒を起こすとの報告がある[1]。ヨーロッパでは古くから食用にされ、栽培も行われている。
栽培
落葉分解菌であるので原木栽培はされず、日本では一部で菌床栽培が行われるが[2][3]、エノキタケ、ナメコの様な空調管理型の栽培は行われず、林間栽培や菌床を伏せ込んで覆土する野外栽培がされる。菌床培地基材にはバーク堆肥または腐葉土を利用し、増量剤として「籾殻」「廃ほだ」「広葉樹おが粉」を2-3割加える。栄養材はコメ糠またはフスマを用いる。
- 広葉樹林の地面にバーク堆肥を敷き、菌床はバーク堆肥や腐植等で伏せ込みをし、それら埋設資材に菌糸を伸長させて人為的にしろを形成させる方法で、菌糸が落葉を分解し自然に近い状態のしろを形成させることで、子実体を発生させる。
参考画像
円弧状に発生した子実体