『ミーナの行進』(ミーナのこうしん)は、日本の小説家小川洋子による小説である[1]。
ミーナの行進 | ||
---|---|---|
著者 | 小川洋子 | |
発行日 | 単行本:2006年4月 文庫版:2009年6月25日 | |
発行元 | 中央公論新社 | |
(ジャンル) | 小説 | |
(国) | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
形態 | 四六判上製本 文庫版:文庫判 | |
ページ数 | 単行本:348 文庫版:352 | |
公式サイト | 単行本: 文庫版:ミーナの行進 文庫版 中央公論新社 | |
コード | 単行本:(ISBN 978-4-12-003721-4) 文庫版:(ISBN 978-4-12-205158-4) | |
(ウィキポータル 文学) | ||
|
『読売新聞』2005年2月12日から同年12月24日にかけて、毎週土曜日に計46回にわたって連載された[2][3]。本作は、著者の小川にとって初めての新聞連載小説である[2]。
単行本は、2006年4月に中央公論新社より刊行された[4]。単行本の装幀および挿画は、寺田順三による[3]。同年、第42回谷崎潤一郎賞を受賞している[1]。2007年、第4回本屋大賞で7位に入賞している[1]。文庫版は、2009年6月25日に中公文庫より刊行された[5]。
著者の小川は、連載終了後、「単なる語り手のはずだった従姉の朋子は、驚くべき成長を遂げたし、ミーナ自身も、私がつけていた見当よりもずっと遠くまで行進していった」と述べている[2]。
あらすじ
朋子は、12歳のとき、1972年の春に、阪急電鉄の芦屋川駅の北西、芦屋川の支流である高座川沿いの山の手に建つ伯父の屋敷を訪れ、それからおよそ1年間、そこで過ごした。屋敷は、伯父の父親が、ラジウム入りの清涼飲料水「フレッシー」の販売で成功を収めたことによって建てられたもので、1500坪の敷地面積を有するスパニッシュ様式の洋館であった。朋子の1つ年下の従妹であり、ドイツ人の血が流れているミーナは、喘息を患っていた。屋敷では、ポチ子と名付けられたコビトカバがペットとして飼われていた。
主な登場人物
- 朋子
- 語り手。
- 伯父
- 飲料水会社の社長。
- ミーナ
- 本名は美奈子。朋子の1つ年下の従妹。ドイツ人の血が流れている。
- ローザ
- 伯父の母。
書評
小説家の井上ひさしは、「正確な読みに徹した読者なら、これが小説による小説潰しの反小説であり、物語による物語の関節外しの実験であり、それでいて、よくできた小説でもあると思い中(あた)って溜息をつくにちがいない」[6]と評価している。
本の雑誌社によるサイト「WEB本の雑誌」には、「この本には、ちいさくていとしいものが、ぎゅっとつまっている。なんでもない一瞬のうつくしさが、やわらかな言葉できりとられて、ひたひたと心にしみこんでいくようだ」「たくさんの幸せとその裏に見え隠れする切ないエピソードがたっぷり詰まった、家族の〈欠けることのない〉物語」[7]とする書評が掲載されている。
脚注
- ^ a b c “ミーナの行進 デジタル大辞泉の解説”. コトバンク. 2019年5月12日閲覧。
- ^ a b c 河内鏡太郎 (2015年8月). “第55話 「ミーナの行進」”. 武庫川女子大学附属図書館. 2019年5月12日閲覧。
- ^ a b 『ミーナの行進』 2006.
- ^ “”. 中央公論新社 (2006年4月). 2006年6月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月12日閲覧。
- ^ “ミーナの行進 文庫版”. 中央公論新社. 2019年5月12日閲覧。
- ^ 井上ひさし (2017年11月13日). “『ミーナの行進』(中央公論新社)”. ALL REVIEWS. 2019年5月12日閲覧。
- ^ “今月の新刊採点”. 本の雑誌社. 2019年5月12日閲覧。