ミツバウツギ(三葉空木[4]、省沽油[5]、学名: Staphylea bumalda)は、ミツバウツギ科ミツバウツギ属の落葉低木。若葉はゆでて山菜として食用にされる。
名称
和名「ミツバウツギ」の由来は、小葉が3枚ある複葉で、ウツギに似た白い花をつけることから名付けられている[6]。別名で、コメゴメ[7]、コメウツギ[7]、コメノキ[7]、ハシウツギ[7]などがある。関東地方や東北地方の地方名で「ハシギ」「ハシノキ」ともよばれており、かつて箸に利用されたことによる[6]。中国植物名は「省沽油」[1]。
分布・生育地
日本の北海道・本州・四国・九州のほか、朝鮮半島、中国の東アジア一帯に分布する[6]。平地から山地、特に低山帯に多く分布する[4]。原野、川の縁、やぶなどの山地寄り[7]、山麓の山林の樹木下でよく見られ[6]、雑木に混ざって生える[4]。適度に湿った土地では、日当たりのよい場所にも生える[4]。
形態・生態
落葉広葉樹の低木で、高さ2 - 5メートル (m) になる[6]。細くて長い灰褐色の枝がたくさん出て[7]、茎はウツギと同様に中空となる。枝の元には枯れた小枝が何本も残っている[7]。葉は小葉が3枚ずつつく3出複葉で、枝の節ごとに長い葉柄を持って対生する[6][7]。小葉は先が尖った卵形から長卵状楕円形で、葉縁に細かな鋸歯がある[4][7]。
花期は初夏(5 - 6月ごろ)[6][4]。花は枝先に円錐花序をなして、筒型の白い花が穂状になって、垂れ下がるように咲させる[4][7]。花は水平に完全には開くことはなく半開きの状態であるが[7]、花弁・がく(各5枚)とも白く、よく目立つ。果実は偏平で先の尖った軍配のような形をした蒴果[7]。秋に熟して先端は2 - 3裂する[6]。
スケッチ
花と蕾
利用
新芽や若葉、蕾は食用になる[6][7]。採取時期は、関東地方以西など暖地が4 - 6月ごろ、東北地方以北など寒冷地が5 - 6月ごろとされ、伸び始めた新芽を摘み取る[4][7]。梅雨入りするころにはアブラムシが発生して、食用には適さないという[4]。若芽は茹でて水にさらし、おひたし、ごま・酢味噌などの和え物、煮物、炒め物、煮びたしにする[4][7]。また生で天ぷら、汁の実、油炒めにしたり、細かく刻んで炊き上がった米飯に混ぜて蒸らし、混ぜご飯(菜飯)にもできる[4][7]。蕾はさっと茹でて、三杯酢、寒天寄せ、すまし汁の浮き実にする[7]。食味は、柔らかい葉にはアクやクセがなく上品な味わいで、老若を問わず好まれると評されている[7]。
脚注
- ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Staphylea bumalda DC. ミツバウツギ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月13日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Staphylea bumalda DC. var. glabra Nakai ミツバウツギ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月13日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Staphylea bumalda DC. f. stenophylla (Honda) Okuyama ミツバウツギ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月13日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k 高橋秀男監修 2003, p. 141.
- ^ “みつばうつぎ | 言葉 | 漢字ペディア”. www.kanjipedia.jp. 2021年4月8日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 251.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 金田初代 2010, p. 102.
参考文献
関連項目
外部リンク
- ミツバウツギの標本(福島県耶麻郡猪苗代町で1987年5月20日に採集) (千葉大学附属図書館)