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チュハン(ベトナム語:Chữ Hán / 𡨸漢)は、ベトナム語で漢字のこと。「漢字」そのもののベトナム語の漢越語でハントゥ(ベトナム語:Hán Tự / 漢字)とも呼ばれる。また、儒教で儒者が使う=科挙で用いる文字という意味でチュニョ(ベトナム語:Chữ Nho / 𡨸儒)とも呼ばれる。
概要
漢字とチュノム(漢字を応用して作られた文字)との混じり文を、ハンノム(ベトナム語:Hán Nôm / 漢喃)と呼び、チュ・クオック・グー(ラテン文字)が普及するまで使用されていた。ベトナム語は多量の漢字語を取り入れたが、今でも古音を多く残している。とりわけ疑母 (ng)、喩母とゼロ子音が顕著である。たとえば「魚」は ngư、「兪」は du、「於」は ư と発音される。子音も多様で、たとえば、「西」は tây、「民」は dân である。
チュハンの韻尾は4種類に現れ、漢字韻尾の整合性には影響を及ぼさない。古音では、韻尾を n, m, p, t で終えるが、ベトナム語も同様である。たとえば、「判」phán、「帆」phàm、「法」pháp、「發」phát である。
古音の尾韻 ng の漢字は、ベトナム語で ng、nh の尾韻に二分した。具体的な分化の規則は、韻母が「洪音」(a, o, ơ, u, ư) のときは韻尾が ng(たとえば、「空」không、「光」quang、「濃」nùng)となり、韻母が「細音」(/ε/と発音する a、i、e)のときは韻尾が nh(「京」kinh、「生」sinh、「成」thành)となる。
漢字音の分類から p, t, c/ch 韻尾を数えれば8声調となるが、現在ベトナム語は6声調と見るのが一般的である。