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フチトリゲンゴロウ

フチトリゲンゴロウCybister limbatus、Fabricius, 1775)[9]は、コウチュウ目ゲンゴロウ科(ゲンゴロウ亜科)ゲンゴロウ属水生昆虫[10]

フチトリゲンゴロウ
フチトリゲンゴロウ成虫(オス個体)の標本
保全状況評価
絶滅危惧IA類環境省レッドリスト
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: コウチュウ目(鞘翅目) Coleoptera[1]
亜目 : オサムシ亜目(食肉亜目) Adephaga[注 1][1]
  • 水生食肉亜目 Hydradephaga[1]
上科 : (オサムシ上科) Caraboidea
: ゲンゴロウ科 Dytiscidae[2]
亜科 : (ゲンゴロウ亜科)[3](Dytiscinae[4] または Cybistrinae[注 2][6]
: ゲンゴロウ族[4] Cybistrini[4][6]
: ゲンゴロウ属[4] Cybister[8][6]
: フチトリゲンゴロウ C. limbatus
学名
Cybister limbatus (Fabricius, 1775)[9]
和名
フチトリゲンゴロウ

南西諸島に生息するゲンゴロウ類としては最大級の種で[11]日本本土に生息するゲンゴロウ(ナミゲンゴロウ) C. chinensis とほぼ同程度にまで大型化した種である[12]。しかし日本国内の分布は南西諸島(渡瀬線以南)に限定されるため、馴染みは薄い[13]絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)に基づき「(国内希少野生動植物種)」に指定され[14][15]、捕獲・採取・譲渡(販売など)が原則禁止されている[16]

特徴

 
フチトリゲンゴロウ成虫(オス個体)の標本裏面

成虫の体長は33 - 39ミリメートル(mm)[11]。体型は卵形で比較的厚く、背面は緑色を帯びた暗褐色で光沢があるが、メスでは光沢が弱い[17]。頭楯・上唇・前胸背・上翅の側縁部は黄色から淡黄褐色で、この上翅の黄色帯は肩部分を除き側縁に達せず、翅端部で釣り針の先端部のように広がる[10]。頭部は前頭両側・複眼内縁部に浅いくぼみがある[18]。前胸背(前縁部に点刻あり)・上翅(3条の点刻列あり)はオスではほぼなめらかだが、メスは前胸背(中央部を除く)および上翅(翅端部および会合部を除く)に強いしわがある[18]。触角・口枝は黄褐色で、前脚・中脚は黄褐色で中跗節は暗褐色、後脚は暗赤褐色で、後脚跗節内側には遊泳毛があるほか、オスの場合は外側にも遊泳毛がある[18]。腹面は暗赤褐色で光沢が強く、前胸腹板突起・後胸腹板内方・後基節内方はより暗色となる[18]。腹部第3節から第5節の側方に黄褐色紋をもつが、メスでは不明瞭な個体も見られる[18]。オスの交尾器中央片は先端後方でややくびれ、先端部は二又状で深く湾入する[18]

同属のゲンゴロウ(ナミゲンゴロウ)と比較するとより腹部に厚みがあり、腹面全体が黒もしくは黒褐色(ゲンゴロウは黄褐色)で見た目に重厚感がある点から容易に区別できる[12]奄美大島産は八重山列島産に比べやや小型である[19]

分布

日本国内では南西諸島[注 3]から記録されているが[20][18]沖縄本島など沖縄諸島では確実な記録がない[22]。南方系の種で日本(南西諸島)は分布北限に当たり[23]、国外では台湾中国中華人民共和国)・ベトナムフィリピンインドネシアネパールインドタイ王国などに分布する[18][20]

生態

同属のヒメフチトリゲンゴロウ C. rugosus とともに水生植物が繁茂したかなり深い池沼・放棄水田に生息するが、一般的に本種はヒメフチトリゲンゴロウよりはるかに少ない[18]。農地のため池で生息が確認された事例もあるほか[24]、自然池がない奄美大島では人工のため池などで発見されている[19]。本種は貧栄養的な水質を好むと考えられ[22]、ゲンゴロウより水質悪化に敏感で[12]泳ぎも鈍い[12]

水温25℃以上で繁殖行動が活発化し、ゲンゴロウと同様に水生植物の茎内に産卵するが[25]、南西諸島に生息する本種はゲンゴロウより1か月ほど早い3月ごろから産卵活動を開始し、5月には3齢幼虫が出現する[12]

保全状況

もともと日本では南西諸島の限定された池沼などにしか生息していなかったが[25]アメリカ統治時代の沖縄では1960年代にアメリカ合衆国政府の施策により稲作からサトウキビ栽培への転換が推進されたことで[注 4]多くの水田・池沼が埋め立てられサトウキビ畑に代わった[13]。本種はそれに伴う生息環境破壊による深刻なダメージを受けたほか[13]、圃場整備・水質悪化などの影響で激減した[25]。2018年現在は絶滅危惧IA類 (CR)環境省レッドリスト)に指定されている[22][26]

  • 沖縄県では2017年版レッドデータブックで「絶滅危惧IA類(CR)」に指定されており[20]、1999年5月26日に宮古島で採集された個体を最後に発見例がないため[21]、既に絶滅した可能性が高い[20]
    • かつて八重山列島石垣島西表島では普通種で[12]、特に西表島には1990年代中ごろまで複数の産地があった[22]。しかし西表島では1996年8月に採集された記録を最後に公な記録がなく、「1993年以降に減少し、1990年代後半に絶滅した」と推測されている[11]
  • また鹿児島県でも『鹿児島県レッドデータブック』(2003年3月発行)によれば「1990年以降はほとんど採集記録がなく、1999年 - 2000年にかけて数個体が記録されたのみ」という状況で[19]、鹿児島県レッドリスト(2014年更新)では「絶滅危惧種1類」に指定されている[27]

南西諸島の既知産地ほとんどで姿を消し[28]、2010年以降はごくわずかな地点で少ない個体数が確認されたのみで[22]、日本国内ではほぼ絶滅状態とされる[29]。本種の保全には生息地再生・継投保全など積極的な保全対策が必要とされる[29]

人間との関係

2011年4月1日よりマルコガタノゲンゴロウシャープゲンゴロウモドキヨナグニマルバネクワガタ・ヒョウモンモドキとともに「(国内希少野生動植物種)」(種の保存法)として指定され[14][15]、捕獲・採取・譲渡(販売など)が原則禁止されている[16][14][15]。この規制は日本産のみならず外国産の同種にも適用される一方、かつて「タイ産フチトリゲンゴロウ」として流通していた種類は東邦大学理学部教授・久保田宗一郎により別種である可能性が指摘されている[30]

飼育方法は基本的にゲンゴロウ(ナミゲンゴロウ)とほぼ同一だが、本種は亜熱帯・熱帯地方を中心に生息する種でゲンゴロウに比べて低温に弱い[12]。そのためヒーターを使用するなどして最低15℃以上の水温を維持する必要があり[注 5][12]、特に繁殖期は25℃以上の水温[注 6]・14時間程度の日照時間を維持する必要がある[31]。なお本種とゲンゴロウを同一容器で飼育すると、泳ぎが鈍く小柄であるフチトリゲンゴロウのメスはより大型で活発に泳ぐゲンゴロウのオスから交尾を強要されるが、ゲンゴロウより体長が小さいことから呼吸器を水面上に出すことができず窒息死してしまうため、ほぼ全滅してしまう[注 7][31]

中国華南地方・東南アジアでは現在も普通種で[25]、華南地方ではトビイロゲンゴロウなどとともに食用として利用されている[32]

脚注

注釈

  1. ^ 森・北山(2002)は「ゲンゴロウ類 Dytiscoidea は鞘翅目・食肉亜目(オサムシ亜目)水生食肉亜目に属する」と述べている[1]
  2. ^ ゲンゴロウ属 Cybister および同属を含むゲンゴロウ族 Cybistrini は森・北山(2002)ではゲンゴロウ亜科 Dytiscinae に分類されているが[3]Anders N. Nilsson の論文(2015)では Dytiscinae 亜科から Cybistrinae 亜科を分離し[5]、ゲンゴロウ族 CybistriniCybistrinae 亜科に分類する学説が提唱されている[6]。中島・林ら(2020)はゲンゴロウ類の分類表(307頁)にてゲンゴロウ属・ゲンゴロウモドキ属を「ゲンゴロウ科 ゲンゴロウ亜科・ゲンゴロウモドキ亜科」として紹介している[7]
  3. ^ 鹿児島県ではトカラ列島宝島)や奄美諸島[20]徳之島沖永良部島[21]。沖縄県では宮古島および八重山列島(石垣島・西表島・与那国島[20]
  4. ^ 当時世界有数の砂糖生産国だったキューバ社会主義革命の影響により1961年にアメリカ合衆国国交断絶したことで砂糖価格が高騰したため[13]沖縄の日本返還後もその流れは続き、比較的稲作が盛んだった石垣島でも奥の水田が消失した[13]
  5. ^ 水温10℃以下になると活動が鈍くなるばかりか死亡する個体も発生する[12]。しかしゲンゴロウ属は物陰に隠れる習性があるため、ヒーターの隙間に入り込んだ個体が高温で死亡することがないよう注意することも必要である[12]
  6. ^ 卵・幼虫・蛹も成虫と同様に水温を25℃以上の高水温に保つ必要がある[31]
  7. ^ 都築・谷脇・猪田(2003)の記録によればゲンゴロウのオスはフチトリゲンゴロウのメスが交尾中に窒息死してもなお交尾を強制しようとする[31]

出典

  1. ^ a b c d 森 & 北山 2002, p. 33.
  2. ^ 森 & 北山 2002, p. 53.
  3. ^ a b 森 & 北山 2002, pp. 138–139.
  4. ^ a b c d 森 & 北山 2002, p. 139.
  5. ^ A.N.Nilsson 2015, p. 7.
  6. ^ a b c d A.N.Nilsson 2015, p. 73.
  7. ^ 中島 et al. 2020, p. 307.
  8. ^ 森 & 北山 2002, p. 152.
  9. ^ a b "Cybister limbatus (Fabricius, 1775)" (英語). Integrated Taxonomic Information System. 2020年3月14日閲覧
  10. ^ a b 森 & 北山 2002, pp. 155–156.
  11. ^ a b c 東海大学沖縄地域研究センター 2013, p. 37.
  12. ^ a b c d e f g h i j 都築, 谷脇 & 猪田 2003, p. 219.
  13. ^ a b c d e 川上 2010, p. 83.
  14. ^ a b c 環境省 & 2011-01.
  15. ^ a b c 環境省 2017.
  16. ^ a b 「」『朝日新聞デジタル朝日新聞社、2011年2月15日。2019年3月19日閲覧。オリジナルの2019年3月19日時点におけるアーカイブ。
  17. ^ 森 & 北山 2002, p. 155.
  18. ^ a b c d e f g h i 森 & 北山 2002, p. 156.
  19. ^ a b c 鹿児島県 2003, p. 169.
  20. ^ a b c d e f 沖縄県 2017, p. 358.
  21. ^ a b 日本昆虫学会九州支部 2016, p. 693.
  22. ^ a b c d e 環境省 2015, p. 26.
  23. ^ 環境省 & 2011-02.
  24. ^ 森 et al. 2014, p. 68.
  25. ^ a b c d 森 et al. 2014, p. 66.
  26. ^ 環境省 2018, p. 18.
  27. ^ “”. 鹿児島県 (2014年5月7日). 2019年3月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月19日閲覧。
  28. ^ 東海大学沖縄地域研究センター 2010, p. 6.
  29. ^ a b 中島 et al. 2020, p. 101.
  30. ^ 久保田宗一郎. “”. 東邦大学. 2019年11月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年11月3日閲覧。
  31. ^ a b c d 都築, 谷脇 & 猪田 2003, p. 220.
  32. ^ 森 et al. 2014, p. 70.

参考文献

環境省などの発表

  • 苅部治紀・北野忠・中島淳・丸山宗利 著「」、環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室 編(PDF)『レッドデータブック2014 -日本の絶滅のおそれのある野生動物- 昆虫類』 第5巻、ぎょうせい、2015年2月1日、26頁。ISBN (978-4324098998)。 オリジナルの2019年2月26日時点におけるアーカイブ2019年2月26日閲覧 
  • (PDF)(プレスリリース)環境省、2018年5月22日、18,23,28頁。 オリジナルの2019年3月19日時点におけるアーカイブ2019年3月19日閲覧 
  • 鹿児島県環境生活部環境保護課『鹿児島県の絶滅のおそれのある野生動植物 動物編-鹿児島県レッドデータブック-』財団法人:鹿児島県環境技術協会、  日本鹿児島県鹿児島市七ツ島一丁目1番地5、2003年3月、169-170頁。ISBN (4990158806)。 
  • (プレスリリース)環境省、2011年3月15日。 オリジナルの2019年3月19日時点におけるアーカイブ2019年3月19日閲覧 
  • (PDF)(プレスリリース)環境省、2011年3月15日。 オリジナルの2019年3月19日時点におけるアーカイブ2019年3月19日閲覧 
  • (プレスリリース)環境省。 オリジナルの2019年3月19日時点におけるアーカイブ2019年3月19日閲覧 
  • 佐々木健志; 青柳克(PDF)(プレスリリース)沖縄県、2017年6月5日、358頁。 オリジナルの2019年3月19日時点におけるアーカイブ2019年3月19日閲覧 

書籍など

  • 森正人、北山昭『図説 日本のゲンゴロウ』(改訂)文一総合出版、2002年2月15日(原著2000年6月20日)、152-158,189-190頁。ISBN (978-4829921593)。  - 原著『図説 日本のゲンゴロウ』は1993年6月30日に初版第1刷発行。
  • (都築裕一)、(谷脇晃徳)、(猪田利夫)『普及版 水生昆虫完全飼育・繁殖マニュアル』(初版第1刷)データハウス、2003年5月1日(原著2000年6月20日)。ISBN (978-4887187160)。  - 『水生昆虫完全飼育・繁殖マニュアル 改訂版』(2000年6月20日発行・原著『水生昆虫完全飼育・繁殖マニュアル』は1999年9月20日発刊)をソフトカバー化して改めて発刊したもの。
  • 川上洋一『絶滅危惧の昆虫事典【新版】』(初版発行(初版印刷:2010年6月30日))東京堂出版、2010年7月15日(原著2006年12月)、82-83頁。ISBN (978-4490107852)。 
  • (森文俊)、(渡部晃平)、(関山恵太)、内山りゅう『水生昆虫観察図鑑 その魅力と楽しみ方』(初版第1刷)ピーシーズ、2014年7月30日。ISBN (978-4862131096)。 
  • 中島淳、林成多、石田和男、北野忠、吉富博之『ネイチャーガイド 日本の水生昆虫』(初版1刷発行)文一総合出版、2020年2月4日。ISBN (978-4829984116)。 
  • 北野忠、唐真盛人、水谷晃、崎原健、河野裕美「」(PDF)『西表島研究2010 東海大学沖縄地域研究センター所報』第5号、東海大学沖縄地域研究センター、2011年、40-41頁、ISSN 2185-0011、NAID 40019261190、 オリジナルの2019年3月19日時点におけるアーカイブ、2019年3月19日閲覧 
  • 北野忠、河野裕美「」(PDF)『西表島研究2013 東海大学沖縄地域研究センター所報』第8号、東海大学沖縄地域研究センター、2014年、37-38頁、ISSN 21850011、NAID 40020506796、 オリジナルの2020年3月5日時点におけるアーカイブ、2020年3月5日閲覧 
  • 佐渡山安常(沖縄県病虫害防除技術センター)、佐々木健志(琉球大学博物館)「」(PDF)『PULEX 日本昆虫学会九州支部会報』第95号、日本昆虫学会九州支部、2016年12月31日、693頁、ISSN 2185-0011、NAID 40019261190、 オリジナルの2019年3月19日時点におけるアーカイブ、2019年3月19日閲覧 
  • Anders N. Nilsson (2015) (英語). (Version 1.I. ed.).   スウェーデンウメオ: University of Umeå(ウメオ大学). pp. 7, 73. オリジナルの2019-07-26時点におけるアーカイブ。. 2019年6月18日閲覧。. 


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