特徴
多年草。植物体は青白色をおびることが多く、ときにやや多肉質となる。葉は互生し、無毛または圧毛があり、ときに明点がある。花序は茎先につき、総状または円錐状になる。苞がある種とない種とがある。花は合弁花冠で筒状鐘形になり、下垂して開き、先端は浅く5裂する。花冠喉部に横の襞があるかまたは鱗片状の付属体がある。雄蕊は5個あり、花筒内部につく。子房は4裂し、基部から花柱が1個でる。果実は4個の分果となり、分果は4面体状で毛はなく、ときに分果の稜上に翼がある[2]。
分布
15-20種が、北半球の亜寒帯に分布し、日本には2種ある[2]。
学名の由来
属名 Mertensiaは、ドイツの植物学者フランツ・カール・メルテンス (1764 – 1831) への献名[3]。
種
日本に分布する種
- ハマベンケイソウ Mertensia maritima (L.) Gray subsp. asiatica Takeda[4] - 北アメリカに分布するメルテンシア・マリティマ Mertensia maritimaを基本種とする亜種。多肉質でほとんど無毛。花序に苞があり、分果は肉質となり、表面は平滑となる。本州・北海道、サハリン、千島列島、アリューシャン列島、オホーツク海沿岸、朝鮮半島に分布し、海岸の砂地や礫地に生育する[2]。
- (エゾルリソウ) Mertensia pterocarpan (Turcz.) Tatew. et Ohwi var. yezoensis Tatew. et Ohwi[5] - 肉質でなく、葉や花序にかたい圧毛がある。萼裂片は両面有毛。花序に苞がなく、分果は扁平となり、稜上に広い翼がある[2]。日本固有種[6]。北海道に分布し、高山帯の草地に生育する[2][6]。絶滅危惧IA類(CR)(2017年、環境省)。
国外に分布する主な種
Mertensia, The Plant Listから
ギャラリー
(エゾルリソウ)
Mertensia bella
Mertensia ciliata
Mertensia lanceolata
Mertensia longiflora
Mertensia oblongifolia
Mertensia paniculata
Mertensia virginica
脚注
参考文献
- 牧野富太郎原著、邑田仁・米倉浩司編集『新分類 牧野日本植物図鑑』、2017年、北隆館
- 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 4』、2017年、平凡社
- Mertensia Roth, Tropicos
- 加藤雅啓・海老原淳編著『日本の固有植物』、2011年、東海大学出版会
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- Mertensia, The Plant List
- 日本のレッドデータ検索システム