ニホンムカシジカ(日本昔鹿 / Cervus (Nipponicervus) praenipponicus / Nipponicervus praenipponicus)は、中期更新世(35万年~1万5千年前)に生息していたとされる、哺乳綱偶蹄目シカ科の動物[1]。この種は専ら日本に生息していたとされるため、あえて区別せずに単に「ムカシジカ」ともいう。現在は絶滅した絶滅種[2]。
概要
化石は、東北地方南部から九州地方にかけての地層で発見されている[3]。(ムカシジカ亜属)の角は、ニホンジカ(現生)の角と比較した場合、第1枝が角座からとても高い位置で分かれているのが特徴である。また、成長したニホンジカの角先は普通4つに分かれるが、ムカシジカ亜属の角先は3つに分かれるという違いもある。中期-後期更新世にナウマンゾウなどと共に繁栄した動物で[4]、(倉橋歴史民俗資料館)には、ナウマンゾウやムカシジカの化石が展示されている。長崎県・島原半島の(口之津層群)(加津佐層)(前期更新世)より発見されたシカ頭骨化石があり、「(シマバラムカシジカ)」とも呼ばれている[5]。 日本の更新世の代表的な哺乳類ある(ニホンムカシジカ亜属)は、これまでの研究では、「ニホンムカシジカ」のほかに以下2種に分かれるという[6]。
- 前期更新世の「(カズサジカ)」 C. kazusaensis
- 更新世中最末期にいた「(アキヨシムカシジカ)」 C. akiyoshiensis
なお、前述の「シマバラムカシジカ」については、カズサジカの変異の1種という説もあるので、注意されたい[7]。どちらも発見地の地名、島原・加津佐層に由来するとされることからも同種の可能性がある。