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ニック・マルティネス

ニコラス・アンドレス・マルティネス: Nicholas Andres Martínez, 1990年8月5日 - )は、アメリカ合衆国フロリダ州マイアミ出身のプロ野球選手投手)。右投左打。MLBサンディエゴ・パドレス所属。

ニック・マルティネス
Nick Martinez
サンディエゴ・パドレス #21
サンディエゴ・パドレス時代
(2022年5月5日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国
出身地 フロリダ州マイアミ
生年月日 (1990-08-05) 1990年8月5日(32歳)
身長
体重
6' 1" =約185.4 cm
200 lb =約90.7 kg
選手情報
投球・打席 右投左打
ポジション 投手
プロ入り 2011年 MLBドラフト18巡目
初出場 MLB / 2014年4月5日
NPB / 2018年3月31日
年俸 $10,000,000(2023年)[1]
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
国際大会
代表チーム アメリカ合衆国
五輪 2021年
WBC 2023年

愛称は「マルちゃん[2]

2021年開催の東京オリンピック野球 銀メダリスト。

経歴

プロ入りとレンジャーズ時代

2011年MLBドラフトテキサス・レンジャーズから18巡目(全体564位)指名され契約。ルーキー級アリゾナリーグ・レンジャーズで6試合に登板し、2勝1敗、防御率1.83だった。7月にA-級(スポケーン・インディアンス)へ昇格。9試合に登板し、1勝2敗、防御率2.54だった。

2012年はA級ヒッコリー・クロウダッズで31試合に登板し、8勝6敗1セーブ、防御率4.83だった。

2013年はA+級マートルビーチ・ペリカンズで22試合に登板し、10勝7敗、防御率2.87だった。8月にAA級フリスコ・ラフライダーズへ昇格。5試合に登板し、2勝0敗、防御率1.12だった。

2014年はAA級フリスコで開幕を迎えた。4月5日にレンジャーズとメジャー契約を結んだ[3]。同日のタンパベイ・レイズ戦で先発起用され、メジャーデビュー。6回を投げ、2本の本塁打を含む4安打3失点3四球だったが、勝ち負けは付かなかった[4]。5勝12敗、防御率4.55を記録した。

 
テキサス・レンジャーズ時代
(2015年5月23日)

2015年は24試合中21試合に先発し、防御率3.96、7勝7敗の成績を残した。与死球13はリーグ最多であった。

2016年は、登板12試合中5試合で先発し、2勝3敗、防御率5.59の成績を残した。

2017年は、登板した23試合中18試合で先発として登板し、防御率5.66、3勝8敗、WHIP1.37の成績を残した。同年12月1日に(ノンテンダーFA)となった[5]

日本ハム時代

 
北海道日本ハムファイターズ時代
(2018年8月19日)

2018年1月6日に北海道日本ハムファイターズとの契約合意が発表された[6]。1年契約で年俸2億円プラス出来高(推定)[6]、背番号は「27」。3月31日の埼玉西武ライオンズ戦で先発登板したが、6回2失点で敗戦した[7]。なかなか勝ち星に恵まれない中で、10勝(11敗)を記録し、チーム3位躍進に大きく貢献した。クライマックスシリーズ1stステージ第2戦目で先発登板し、7回を2失点と粘投し、チームの逆転勝利を呼び込んだ。オフにはメジャー復帰が囁かれたが、チームに残留した。

2019年は、3月20日の東京ヤクルトスワローズとの二軍戦で登板したが、試合中に右腕に違和感を覚え、精密検査を受けたところ右前腕屈筋損傷と診断され[8]、その後は8月に二軍で登板を再開するも左脇腹を痛め[9]、結局この年は一軍登板は無しに終わった。

2020年は開幕から一軍で先発として投げていた。抑えを務めていた秋吉亮の不調もあり、9月10日の千葉ロッテマリーンズ戦(ZOZOマリンスタジアム)で抑えとして9回に登板しNPB初セーブ(自身初セーブでもある)を記録した[10]。しかし、シーズン成績は17試合に登板して2勝7敗と大きく負け越す形となり、この年限りでの退団となった。

ソフトバンク時代

2021年1月30日、退団したマット・ムーアに代わる先発投手の候補として、福岡ソフトバンクホークスとの契約合意が発表された。背番号は「37[11]

同年5月15日の対北海道日本ハムファイターズ戦に先発して5回2失点で勝利投手となり、2016年8月のブライアン・ウルフ(西武)以来、パ・リーグ全6球団勝利を挙げた。シーズン途中には7月に1年延期して開幕された東京オリンピック野球アメリカ合衆国代表に選出された[12]日本との決勝戦で先発登板し、チームは敗れて銀メダルを獲得した。シーズンでは最終的に初登板から1年間先発ローテを守り、上記の日本ハム戦以外は全ての先発登板でQSを記録。シーズンを通して安定した投球を見せ、投球回数140.2回と規定投球回にはわずかに足りなかったが、9勝4敗、138奪三振、防御率1.60というキャリアハイの成績を残した。オフの12月2日に自由契約公示された[13]

パドレス時代

2022年3月16日にサンディエゴ・パドレスと700万ドルの単年契約を結んだ[14]。2023年から2025年までプレイヤーオプションが付き、全て行使した場合は総額2000万ドルとなる[15]。当初の背番号は「22」だったが、8月にトレードでワシントン・ナショナルズから加入したフアン・ソトがナショナルズ時代から使用している22を選択したため、シーズン中にも関わらず背番号が「21」に変更された。

同年9月7日の対アリゾナ・ダイヤモンドバックス戦で、セーブが記録として認められた1969年以降でMLB史上初となる『10先発以上、4ホールド以上、8セーブ以上』を達成した[16]

選手としての特徴

2018年の投球データ[注 1]
球種 配分
%
平均球速
km/h
フォーシーム 30 146
カットボール 27 142
チェンジアップ 19 134
カーブ 12 125
ツーシーム 12 146

オーバースローからの(フォーシーム)の最高球速は156km/h[18]で、平均球速は92.6mph(約148.9km/h)。また、(ツーシーム)は平均92.2mph(約148.3km/h)、スライダーは平均85.0mph(約136.7km/h)、チェンジアップは平均85.6mph(約137.7km/h)、カーブは平均79.7mph(約128.2km/h)、(カットボール)は平均89.2mph(約143.5km/h)を記録している[19]

2017年は与四球率2.26、MLB通算では3.2を記録している[20]栗山英樹は、力でねじ伏せるタイプではないが、カーブを含む多彩な球種と安定した制球力が魅力であると評している[21]。先発、中継ぎ、抑えをこなすことが出来るユーティリティーピッチャーで、前述した通り、パドレス移籍後の2022年は、10試合に先発しつつ、8ホールドと8セーブを記録している。

人物

謙虚で温厚な性格であり、周囲への気配りを欠かさない人物[22][23]

日本の球団に所属していた際に、バランス移行の独特なトレーニングを課され、マルティネスはふざけているようにしか見えず、でたらめな練習と感じていたという。そのため、当初は適当にこなしていたものの、練習を重ねていくうちに効果を実感し、「すごくクールなことだった」とニューヨーク・タイムズで語っている[24]

詳細情報

年度別投手成績





















































W
H
I
P
2014 TEX 29 24 0 0 0 5 12 0 2 .294 610 140.1 150 18 55 1 3 77 7 0 79 71 4.55 1.46
2015 24 21 0 0 0 7 7 0 0 .500 558 125.0 135 16 46 2 13 77 4 0 66 55 3.96 1.45
2016 12 5 0 0 0 2 3 0 0 .400 179 38.2 45 8 19 1 5 16 0 0 24 24 5.59 1.66
2017 23 18 0 0 0 3 8 0 0 .273 478 111.1 124 26 28 0 2 67 3 0 74 70 5.66 1.37
2018 日本ハム 25 25 3 0 0 10 11 0 0 .476 683 161.2 168 16 40 3 6 93 3 0 69 63 3.51 1.29
2020 17 14 0 0 0 2 7 1 1 .222 344 76.0 76 8 40 4 3 66 8 0 44 39 4.62 1.53
2021 ソフトバンク 21 21 0 0 0 9 4 0 0 .692 553 140.2 108 6 38 0 5 138 1 0 25 25 1.60 1.04
2022 SD 47 10 0 0 0 4 4 8 8 .500 448 106.1 96 15 41 0 4 95 4 0 44 41 3.47 1.29
MLB:5年 135 78 0 0 0 21 34 8 10 .382 2273 521.2 550 83 189 4 27 332 18 0 287 261 4.50 1.42
NPB:3年 63 60 3 0 0 21 22 1 1 .488 1580 378.1 352 30 118 7 14 297 12 0 138 127 3.02 1.24
  • 2022年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

WBCでの投手成績








































2023[25] アメリカ合衆国 1 1 0 1 0 14 2.2 5 1 1 0 2 0 0 3 3 10.13

年度別守備成績



投手












2014 TEX 29 11 11 0 1 1.000
2015 24 6 13 4 2 .826
2016 12 1 3 0 1 1.000
2017 23 10 9 2 0 .905
2018 日本ハム 25 15 27 1 3 .977
2020 17 6 15 1 0 .955
2021 ソフトバンク 21 8 24 0 3 1.000
2022 SD 47 13 11 3 2 .889
MLB 135 41 47 9 6 .907
NPB 63 29 66 2 6 .979
  • 2022年度シーズン終了時

表彰

記録

NPB

初記録
投手記録
打撃記録

背番号

  • 21(2022年8月2日 - )
  • 22(2014年 - 2017年、2022年 - 同年8月1日)
  • 27(2018年 - 2020年)
  • 37(2021年)

代表歴

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 25先発・161.2回。1point02.jpによる[17]

脚注

  1. ^ “Nick Martinez Contract Details, Salaries, & Earnings” (English). Spotrac. 2022年12月16日閲覧。
  2. ^ “「マルちゃん」と呼んで ソフトバンクのマルティネスが入団会見”. SANSPO.COM(サンスポ) (2021年4月13日). 2021年4月30日閲覧。
  3. ^ “Rangers Purchase Contract of RHP Nick Martinez From Frisco; Option RHP Daniel Mccutchen to Frisco”. MLB.com Rangers Press Release (2014年4月5日). 2014年4月10日閲覧。
  4. ^ “Scores for Apr 5, 2014”. ESPN MLB (2014年4月5日). 2014年4月10日閲覧。
  5. ^ MLB公式プロフィール参照。2017年12月5日閲覧。
  6. ^ a b “日本ハム、マルティネス投手と契約合意 MLBオファー断り「気持ち高ぶります」”. デイリースポーツ. (2018年1月6日). https://www.daily.co.jp/baseball/2018/01/06/0010874273.shtml 2018年6月27日閲覧。 
  7. ^ “日本ハム・マルティネスが白星逃す、好投も援護なし”. 日刊スポーツ. (2018年3月31日). https://www.nikkansports.com/baseball/news/201803310001084.html 2018年5月23日閲覧。 
  8. ^ “日ハム右腕マルティネスが右前腕屈筋損傷で開幕アウト…球団発表”. Full-Count (2019年3月22日). 2021年7月7日閲覧。
  9. ^ “日本ハム・マルティネスが左脇腹の筋肉の部分損傷”. 日刊スポーツ. (2019年8月22日). https://www.nikkansports.com/baseball/news/201908220000789.html 2021年7月7日閲覧。 
  10. ^ “ロ3-5日(10日)”. デイリースポーツ. (2020年9月10日). https://www.daily.co.jp/baseball/2020/09/10/0013683516.shtml 2021年7月7日閲覧。 
  11. ^ “ソフトバンクが前日本ハム・マルティネスを獲得「5年連続日本一に貢献したい」”. 東京スポーツ. (2021年1月30日). https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/221113 2021年2月1日閲覧。 
  12. ^ “NPBから3選手! 東京オリンピックのアメリカ代表が発表 | BASEBALL KING”. BASEBALL KING. 2021年8月21日閲覧。
  13. ^ “2021年度 自由契約選手 公示”. NPB.jp 日本野球機構 (2021年8月10日). 2022年4月18日閲覧。
  14. ^ “Press release: Padres sign RHP Nick Martinez to one-year contract”. www.mlb.com. 2022年3月17日閲覧。
  15. ^ “Padres To Sign Nick Martinez To Four-Year Deal” (英語). MLB Trade Rumors. 2022年3月17日閲覧。
  16. ^ “元鷹右腕が史上初快挙 究極のユーティリティは「間違いなくパドレスの投手MVP」”. Full-Count. 2022年9月9日閲覧。
  17. ^ “1.02 - Essence of Baseball, DELTA Inc.”. 1point02.jp. 2020年3月13日閲覧。
  18. ^ “工藤監督も驚き マルティネス変身デビューの理由”. 西日本スポーツ (2021年5月2日). 2021年8月6日閲覧。
  19. ^ “Nick Martinez Pitch Data” (英語). The Baseball Cube. 2018年1月12日閲覧。
  20. ^ “Nick Martinez Stats” (英語). Baseball Reference.com. 2018年1月12日閲覧。
  21. ^ “日ハム、MLB17勝右腕マルティネス獲得 栗山監督期待「メジャーオファー断り決断」”. Full-Count. (2018年1月6日). https://full-count.jp/2018/01/06/post101076/ 2018年1月12日閲覧。 
  22. ^ “「日ハム右腕マルティネスは若手の見本 栗山監督が評価する、野球と向き合う姿」”. Full-Count. p. 2. 2021年5月1日閲覧。
  23. ^ “ニック・マルティネス~2019年は怪我が重なり一軍登板なし。復帰を誓う助っ人右腕~(北海道日本ハムファイターズ)【インサイト的選手名鑑】|選手フォーカス”. パ・リーグ.com (2020年4月2日). 2021年4月30日閲覧。
  24. ^ “元鷹助っ人が驚いた「デタラメな練習」 "日本流"に戸惑い「テキトーにやっていた」”. Full-Count. (2022年11月28日). https://full-count.jp/2022/11/28/post1312222/ 2022年11月29日閲覧。 
  25. ^ 2023 WBC Player Pitching StatsMLB.com 2023年3月26日閲覧

関連項目

外部リンク

  • 選手の通算成績と情報 MLB、ESPN、Baseball-Reference、Fangraphs、The Baseball Cube、Baseball-Reference (Register)
  • Nick Martinez stats MiLB.com (英語)
  • 個人年度別成績 N.マルティネス - NPB.jp 日本野球機構
  • Nick Martinez (@nickmartinez10) - Twitter
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