ニシアフリカコビトワニ(西阿弗利加小人鰐、Osteolaemus tetraspis)はクロコダイル科コビトワニ属(ニシアフリカコビトワニ属)に分類されるワニの一種。本種のみでコビトワニ属を形成する。特定動物。別名ニシアフリカコガタワニ。
分布
自然に生息する下記の諸国はおおむね、西アフリカ南部と中部アフリカ西部のギニア湾沿岸諸国に該当する。
- O. t. tetraspis ニシアフリカコビトワニ
アンゴラ、ガーナ、ガボン、カメルーン、ガンビア、ギニア、コートジボワール、コンゴ共和国、シエラレオネ、セネガル、中央アフリカ共和国、トーゴ、ナイジェリア、ブルキナファソ、ベナン、リベリア
- O. t. osborni コンゴコビトワニ
形態
最大全長200cm。口吻は短く基部の1-1.5倍で、隆起がない。また口吻の後端が切れ上がる。頸鱗板は4列。体色は黒褐色。
後方の歯は球状で、硬い獲物を噛み砕くのに適していると考えられている。水掻きは後肢で趾の半分ほどまである。
- O. t. osborni コンゴコビトワニ
全長150cm。口吻は基部の1-1.5倍。吻端は反りあがらない。前顎骨と上顎骨の縫合線はアルファベットの「W」字状。
- O. t. tetraspis ニシアフリカコビトワニ
全長200cm。口吻は基部の1-1.3倍。吻端は反りあがる。前顎骨と上顎骨の縫合線はアルファベットの「V」字状。
分類
クロコダイル科の中でも原始的な形態を残した種とされる。
- Osteolaemus tetraspis osborni (Schmidt, 1919) コンゴコビトワニ
- Osteolaemus tetraspis tetraspis Cope, 1861 ニシアフリカコビトワニ
生態
クロコダイル科では珍しく、性質は温和でおとなしい[3]。熱帯雨林内の渓流などの淡水域に生息するが、基亜種は海岸で見られることもある。陸棲傾向が強く、陸上でも飛び跳ねるように俊敏に走行することができる。
繁殖形態は卵生。基亜種は6-8月に塚状の巣を作り、1回に約20個の卵を産む。
人間との関係
生息地では食用とされることもある。開発による生息地の破壊、食用の乱獲などにより生息数は減少している。
日本では恩賜上野動物園で飼育され、繁殖も行われている[4][5]。
ペットとして飼育される場合もあり、かつては日本でも流通していたが、現在ではほとんど流通していない[6]。
参考文献
- ^ “CITES Appendices I, II and III”. 2015年2月21日閲覧。
- ^ Crocodile Specialist Group (1996). "Crocodylus niloticus". IUCN Red List of Threatened Species. Version 2014.3. International Union for Conservation of Nature.
- ^ 『小学館の学習百科図鑑5 動物の図鑑』小学館
- ^ どうぶつ図鑑/ニシアフリカコガタワニ東京ズーネット(東京動物園協会)2018年9月24日閲覧。
- ^ 【TOKYO動物園日記】上野動物園 斉当史恵さん/希少ワニ 繁殖への挑戦『読売新聞』朝刊2018年9月11日(都民面)。
- ^ [1]
参考文献
外部リンク
- 環境省
- 特定動物リスト (動物の愛護と適切な管理)