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ナンヨウマンタ

ナンヨウマンタ (Mobula alfredi) は、トビエイ目イトマキエイ科イトマキエイ属(トビエイ科オニイトマキエイ属とする説もあり)に分類される軟骨魚。かつてオニイトマキエイ(Mobula birostris)と混同されていた。

ナンヨウマンタ
ナンヨウマンタ Mobula alfredi
保全状況評価[1]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 軟骨魚綱 Chondrichthyes
: トビエイ目 Myliobatiformes
: (イトマキエイ科) Mobulidae
: イトマキエイ属 Mobula
: ナンヨウマンタ M. alfredi
学名
Mobula alfredi
Krefft, 1868[2]
シノニム[2]

Deratoptera alfredi Krefft, 1868
Manta fowleri Whitley, 1936
Manta pakoka Whitley, 1936

和名
ナンヨウマンタ[3]
英名
Alfred manta
coastal manta ray
inshore manta ray
Prince Alfred's ray
Reef manta ray[4][5]

分類

本種は1868年、オーストラリア博物館館長であるGerard Krefftによって記載された。英国王室メンバーとして最初にオーストラリアを訪れたアルフレッド・アーネスト・アルバートに敬意を表して、M.アルフレディ(Manta alfredi)と命名した[6]

本種はかつてオニイトマキエイ(Manta birostris)と混同されていたが、2009年12月、和名オニイトマキエイと呼ばれていた種は実は2種に分類できるという研究論文が発表され、それぞれの種に「Manta birostris」「Manta alfredi」の学名が与えられた[4]

これを受け、沖縄美ら海水族館海遊館、エプソン品川アクアスタジアム(現・アクアパーク品川)がそれぞれの飼育個体について調査した結果、飼育している種はManta birostrisではなくそれまでシノニムとされてきたManta alfrediと判明し、この種の和名に「ナンヨウマンタ」を用いることとした。この種の和名としては「ナンヨウマンタ」のほかに「リーフオニイトマキエイ」[7]が提唱されたが、日本魚類学会によって「ナンヨウマンタ」が標準和名とされた[8]

また2017年ミトコンドリアDNAの分析に基づき、ナンヨウマンタを含むオニイトマキエイ属(Manta)はイトマキエイ属(Mobula)に再分類された[9]ため、学名がMobula alfrediに変更され、それまで使われていた学名はシノニムManta alfrediとされた[2]

分布

インド洋(紅海、南アフリカ)、太平洋(タイから西オーストラリアにかけて。北は八重山諸島、南はニューサウスウェールズ州Solitary Islands。東はフランス領ポリネシアとハワイ諸島まで)の熱帯・亜熱帯海域。サンゴ礁周辺に広く分布する[2]

形態

 
ナンヨウマンタの黒化個体

体盤の幅は最大5.5メートル、一般的に観察される平均サイズは3 - 3.5メートル[4]。これは一般的に認識されている種の中で、オニイトマキエイに次いで2番目の大きさである(カリブ海で観察された現在学名が与えられていない種も、本種より大きいようだ[4])。

体盤は背腹方向に平らで、その左右には大きな三角形の胸鰭がある。前方には胸鰭の離鰭である一対の頭鰭がある。これらは遊泳中にはらせん状に巻き上げてコンパクトにまとめてあるが、餌を取るときは水流を口に送り込むために広がる。眼と鼻孔は頭鰭の後方の頭部側面にあり、5対の鰓裂は腹側にある。背鰭は小さく、尾鰭は長い鞭状。Mobula属の近縁種と同様に、尾鰭には棘のある剣はない[10]

背中側の色は黒ないし濃い藍色で、頭頂部に白ないし灰色の領域が点在している。これら白色斑の前縁は、口裂に対し平行ではなく正中部が後方へ向かう腹側は白く、黒い斑点やしみを伴うことがある。口裂の周辺は白い。これらの模様は、多くの場合個体の識別に使用できる[11]

鱗は楯鱗で、尖頭が1つだけで密集しない。体盤の表面には、可動部を除いて溝状の構造がみられない。歯は細長く、密集せず互いに接しない[12]

生態

 
モルディブの個体群

食性は濾過食で、口を開けて海水と一緒にプランクトンを吸い込み、宙返りのように上下の旋回行動で濾しとって食べる。またこの方法以外にも集団で大きな円を描き食事する、二匹の個体が重なり合って食事する[注釈 1]といったが行動などが確認されており、プランクトンの捕食の仕方には様々なパターンがあるとされる[13]

ニューカレドニア大学などの調査では、餌を求めて水深672メートルまで潜った個体が観察されている[14]

体についた汚れや食べ残しや、寄生虫などを食べもらう為数匹のホンソメワケベラコバンザメブリモドキなどの小魚を従えていることが多い。また、鰭に噛み付いたり群れの中でメスをオスが追いかけ回して求愛行動をするため鰭先にマンタの噛み跡があるメス個体も多く確認されている。 卵胎生で、妊娠期間は12ヶ月前後、仔魚は子宮内で未受精卵(弟か妹)や脂質子宮液「子宮ミルク」を栄養源に成長し、総排出腔から一度に1 - 2尾の仔魚を産む。仔魚は産まれたときすでに体盤幅1m以上あり、美ら海水族館で産まれた第1仔は体盤幅がおおよそ1.9mあった[15][注釈 2]。10年前後で成熟し、寿命は40年前後とされているが調査によると50歳以上生きると言う説もあり、詳しくは分かっていない[16][17]

体が大きく、速度も比較的早い(時速24キロ)ため致命的な捕食者はほとんどいない[18]イタチザメGaleocerdo cuvier)、ヒラシュモクザメSphyrna mokarran)、オオメジロザメCarcharhinus leucas)、オキゴンドウPseudorca crassidens)、シャチOrcinus orca)など、一部のサメと歯クジラだけが本種を捕食する。なお、捕食者の攻撃を逃れ、胸鰭の一部が欠けたままになっている場合もある[19][20]

脳化指数が非常に高く、脳の質量と体重の比率は魚類の中で(変温動物の中でも)最大級である[21]。さらにオーストラリアの研究でナンヨウマンタは相互関係のある個体同士で友情を築き、そうした個体同士で集まってグループをつくることが明らかになった[22]。インドネシアのラジャ・アンパット海洋公園にて研究チームが複数の群れを追跡調査した結果、グループは偶然出くわした個体と群れている訳ではなく知っている個体と付き合い、そうした個体との集団を作り行動するものと判明した。これは擬人化して例えると「友達を作り集団で行動する」という、魚類の中でも複雑で特異な社会性を持つことを示してる[23]。また、豪州沖で目の下に釣り針が引っかかったナンヨウマンタがダイバーを認識し助けを求めた事例が報告されている[24]

人との関わり

 
沖縄美ら海水族館の飼育個体

食用とされたり、皮革も利用される。また、鰓板が漢方薬になると信じられていることもある。医学的根拠はないが、本種に対する大きな需要を生み出している[25]

食用や薬用目的の漁獲、他の魚種の漁業に際してのよる混獲などにより、生息数は減少している。沿岸部の開発による幼魚の成育場所の破壊、海洋汚染、原油流出、船舶との衝突、気候変動などによる影響も懸念されている[5]。2013年、オニイトマキエイ属はワシントン条約附属書IIに掲載された[26]。妊娠期間が長く、一回の産仔数が少ない為繁殖率が低く、個体数は回復せず特定の地域では減少傾向にあり、このまま減り続けると自然に個体数が回復することは困難と思われる[27]

ナンヨウマンタのような大型魚類を飼育するにはかなりの広いスペースが必要となり、飼育例も多くはないが大型水槽が普及するにつれ、長期の飼育・展示することも可能になってきている。 現在ナンヨウマンタは日本国内では沖縄美ら海水族館と、アクアパーク品川[28]で飼育されている。沖縄美ら海水族館では2015年にナンヨウマンタの黒化個体である「ブラックマンタ」の飼育展示を開始した[29]

過去には海遊館と大分マリーンパレス水族館(うみたまご)でも飼育されていた。うみたまごでは2012年に飼育を開始したが運搬時の傷が原因で展示から18日で死亡した[30]。海遊館は1994年からナンヨウマンタの飼育を開始したが1999年から長期間飼育されていた個体が2013年に病死して以降搬入記録はない[31]

2007年6月17日、沖縄美ら海水族館で飼育されていた本種が、第1仔であるメスの赤ちゃんを出産した。飼育環境下での出産は世界初といわれ、生態の研究が進むものと期待されていたが、父親個体の鰭による接触の打撲や追いかけられた際水槽の壁にぶつかり生じた傷などが原因で衰弱し、海上生簀に移されたが4日後の6月21日の朝に死亡が確認された[32]。なお、同水族館では2008年6月17日2009年6月24日2010年6月26日2011年6月24日と第2仔から第5仔の出産を立て続けに成功しているが[33][34][35]2012年5月13日に第6仔を死産した。翌年の2013年にも妊娠が確認されたが2013年5月31日に容体が急変、異常な遊泳の後着底し子宮ミルクを大量に排泄し始めた。出産間近だったこともあり第7仔は人為的に取り上げられたが母親個体は当日心停止が確認された。その後海上生簀にて第7仔の治療に専念したがその甲斐なく三日後に死亡が確認された[36]

性格はおとなしく好奇心旺盛で人懐っこいためダイバーからの人気は非常に高い[37]

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ こうした捕食行動はナンヨウマンタにのみ確認されている。
  2. ^ 報道ではオニイトマキエイとなっているが、当時は本種と混同されていた。

出典

  1. ^ UNEP 2020, p. 49.
  2. ^ a b c d FishBase.
  3. ^ 本村 2010, p. 16.
  4. ^ a b c d Marshall et al. 2009.
  5. ^ a b Marshall et al. 2018.
  6. ^ Mark McGrouther (2021年3月31日). “”. オーストラリア博物館. 2023年1月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月22日閲覧。
  7. ^ 伊藤隆、柏木努「日本産オニイトマキエイManta birostrisとリーフオニイトマキエイ(新称)M. alfredi:形態と遺伝的同定の報告と新標準和名の提唱」『板鰓類研究会報』第46号、日本板鰓類研究会、2010年、8-10頁。 
  8. ^ 遠藤広光 (2013年2月26日). “”. 日本魚類学会. 2022年5月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月22日閲覧。
  9. ^ William T. White; Shannon Corrigan, Lei Yang, Aaron C. Henderson, Adam L. Bazinet, David L. Swofford, Gavin J. P Naylor (2017-06-24). “Phylogeny of the manta and devilrays (Chondrichthyes: mobulidae), with an updated taxonomic arrangement for the family”. Zoological Journal of the Linnean Society 182 (1): 50-75. doi:10.1093/zoolinnean/zlx018. 
  10. ^ A. J. Reeve; A. C. Henderson. “New mobulid records from Oman”. J. Appl. Ichthyol. (Blackwell Verlag GmbH) 29 (3). doi:10.1111/jai.12046. 
  11. ^ “”. Manta Trust. 2018年1月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年1月24日閲覧。[]
  12. ^ 佐藤et al. 2010.
  13. ^ “”. mantatrust.org. The Manta Trust. 2022年12月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月22日閲覧。
  14. ^ . 時事通信社. (2020年4月4日). オリジナルの2021年1月7日時点におけるアーカイブ。. 2022年3月5日閲覧。 []
  15. ^ . フランス通信社. (2007年6月20日). オリジナルの2022年3月5日時点におけるアーカイブ。. 2023年2月22日閲覧。 
  16. ^ Tomita, T.; Toda, M.; Ueda, K.; Uchida, S.; Nakaya, K. (2012). “Live-bearing manta ray: how the embryo acquires oxygen without placenta and umbilical cord”. Biology Letters 8 (5): 721–724. doi:10.1098/rsbl.2012.0288. 
  17. ^ Marshall, A. D.; Bennett, M. B. (2010). “Reproductive ecology of the reef manta ray Manta alfredi in southern Mozambique”. Journal of Fish Biology 77 (1): 185–186. doi:10.1111/j.1095-8649.2010.02669.x. 
  18. ^ “”. Manta Trust. 2017年6月17日閲覧。
  19. ^ A. D. Marshall; M. B. Bennett (2010). “The frequency and effect of shark-inflicted bite injuries to the reef manta ray Manta alfredi”. African Journal of Marine Science 32 (3): 573-580. doi:10.2989/1814232X.2010.538152. 
  20. ^ Anthony J Richardson; Asia Armstrong; Amelia Armstrong (2019). “Rapid wound healing in a reef manta ray masks the extent of vessel strike”. PLoS ONE 14 (12): 5. doi:10.1371/journal.pone.0225681. 
  21. ^ “Manta Rays”. ナショナル ジオグラフィック. 2023年2月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月22日閲覧。
  22. ^ “”. ナショナル ジオグラフィック (2019年9月2日). 2022年8月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月22日閲覧。
  23. ^ Perryman, R.J.Y., Venables, S.K., Tapilatu, R.F. et al. Social preferences and network structure in a population of reef manta rays. Behav Ecol Sociobiol 73, 114 (2019). doi:10.1007/s00265-019-2720-x
  24. ^ . CNN. (2019年7月13日). オリジナルの2022年12月24日時点におけるアーカイブ。. 2023年2月22日閲覧。 
  25. ^ “”. Manta Trust. 2016年10月25日閲覧。
  26. ^ UNEP, WCMC, CITES 2022.
  27. ^ “”. Manta Trust. 2013年1月27日閲覧。
  28. ^ “”. アクアパーク品川. 2022年11月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月22日閲覧。
  29. ^ “”. 美ら海水族館 (2015年12月21日). 2021年12月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月22日閲覧。
  30. ^ マリーンパレス50周年記念誌編纂委員会 編『海に魅せられた50年 「マリーンパレス」の40年と「うみたまご」の10年』マリーンパレス、2015年、57頁。 
  31. ^ 西田清徳「やわらかい骨を持つ魚の話(軟骨魚類博物誌)【7】」『かいゆう』第27号、海遊館、2016年3月30日、27頁、ISSN 1348-9437。 
  32. ^ . ロイター. (2007年6月22日). オリジナルの2022年3月5日時点におけるアーカイブ。. 2023年2月22日閲覧。 
  33. ^ “”. 琉球朝日放送 (2008年6月17日). 2021年4月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月22日閲覧。
  34. ^ “”. 琉球朝日放送 (2009年6月25日). 2021年4月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月22日閲覧。
  35. ^ 『美ら海水族館年報』第8号、沖縄美ら島財団、2012年、4-7頁。 
  36. ^ 『美ら海水族館年報』第10号、沖縄美ら島財団、2014年、22頁。 
  37. ^ “”. mantarayisland.com. The Mantaray Island Resort (2017年8月4日). 2022年11月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月6日閲覧。

参考文献

  • “” (PDF). UNEP. 2022年1月20日閲覧。
  • “”. Species+. UNEP, WCMC, CITES (2022年1月19日). 2023年2月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月22日閲覧。
  • Marshall, A., Barreto, R., Carlson, J., Fernando, D., Fordham, S., Francis, M.P., Herman, K., Jabado, R.W., Liu, K.M., Pacoureau, N., Rigby, C.L., Romanov, E. & Sherley, R.B. 2019. Mobula alfredi. The IUCN Red List of Threatened Species 2019: e.T195459A68632178. doi:10.2305/IUCN.UK.2019-3.RLTS.T195459A68632178.en. Accessed on 22 February 2023.
  • “”. BISMaL. 海洋研究開発機構. 2020年10月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月22日閲覧。
  • “”. FishBase. 2020年10月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月22日閲覧。
  • 佐藤圭一、内田詮三、西田清徳、戸田実、小畑洋、松本葉介、北谷佳万、三浦晴彦「南日本におけるオニイトマキエイ属(Genus Manta)2種の記録と分類,同定および標準和名の提唱」『板鰓類研究会報』第46号、日本板鰓類研究会、2010年、11-19頁。 
  • 本村浩之『日本産魚類全種目録 これまでに記録された日本産魚類全種の現在の標準和名と学名』鹿児島大学総合研究博物館、2020年、16頁。 
  • Andrea Denise Marshall; Leonard J. V. Compagno; Michael B Bennett (2009). “Redescription Of The Genus Manta With Resurrection Of Manta Alfredi (Krefft, 1868) (Chondrichthyes; Myliobatoidei; Mobulidae)”. Zootaxa (Magnolia Press) (2301): 1-28. doi:10.5281/zenodo.191734. 

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