ナワシロイチゴ(苗代苺、学名: Rubus parvifolius)とは、バラ科キイチゴ属に分類される植物の一種。別名アシクダシ、サツキイチゴ、ワセイチゴ、サオトメイチゴ、ウシイチゴ[2]。
特徴
茎は木質化するが、立ち上がらず、他の草の上に覆い被さるように育つ。その茎から出る枝は短く立ち上がる。茎には小さな棘がある[3]。葉は三出複葉、時に五出、あるいは繋がって三裂の場合もある。小葉の葉先は丸く、あらい二重の鋸歯がある。葉の表は明るい黄緑で、葉脈がくぼむのでしわがあるように見える。葉裏は白い綿毛を密生する。葉は落葉性。
花期は5 - 6月[2]。短く立ち上がる枝の先に散房状に、淡紅紫色の5弁花をつける[3]。花は赤っぽい紫だが花弁が小さいので目立たない。苗代のころに赤い実が熟すため、この名がある。初夏に酸味の強い赤い果実をつける[4]。果実は食用になり、生食には向かないが、砂糖を加えてジャムにすると美味。
古くは琉球王国で「タカイチュビ」とされ他のキイチゴ(オオバライチゴ、リュウキュウイチゴ、ホウロクイチゴなど)とともに栽培され、現在首里城敷地内で展示されている。
分布と生育環境
日本、朝鮮半島、中国などに分布。日本では北海道から九州までの各地に分布し、日当たりのよい畑地や道路脇、土手などによく出現する雑草的低木である[4]。
近縁種
- キビノナワシロイチゴ(吉備苗代苺、学名:Rubus yoshinoi)[5]