デガシラバエは、ハエ目(双翅目)デガシラバエ科 (Pyrgotidae) に属する昆虫の総称。世界に約330種が生息している比較的小さな分類群である[1]。
分布
デガシラバエは世界中に分布しているが、これまでに記録されている約330種のうち3分の1の種はエチオピア区に生息している[2]。他に、オセアニアでは17属73種[2]、日本では5属9種が記録されている[1]。
特徴
デガシラバエは捕食寄生性の種であり、幼虫は甲虫やハチ目(膜翅目)の昆虫に内部寄生しているとされているが、その生態はよくわかっていない[2]。成虫は夜間に光に集まる習性があり[1]、(ライトトラップ)等で容易に捕獲される[2]。しかし中には、Prodalmannnia 属のように、昼間に訪花するのが観察される種もある。
分類
デガシラバエ科は、大きく3亜科 (Lochmostyliinae, Pyrgotinae, Toxurinae) に分けられることが多かったが[2]、Lochmostyliinae亜科を独立した科 (Ctenostylidae) として扱い、Toxurinae 亜科を Pyrgotinae 亜科に含め、さらにPyrgotinae 亜科から Teretrurinae 亜科を独立させる、といった系統関係も主張されている[3]。
主な属
世界に約50属が記録されている。ここでは日本で記録がある属と種を挙げた。なお和名は市毛 (2012) に従った[1]。
- Adapsilia (ハマダラハチモドキバエ属)
- A. coarctata
- A. microcera (ササキハマダラハチモドキバエ)
- A. verrucifer (イボハチモドキバエ)
- Campylocera (コマダラハチモドキバエ属)
- C. thoracalis (コマダラハチモドキバエ)
- Eupyrgota (オオハチモドキバエ属)
- E. flavopilosa (ウスイロハチモドキバエ) (オオモリハチモドキバエ)
- E. fusca (フトハチモドキバエ)
- E. luteola (オオハチモドキバエ)
- Parageloemyia (コモンハチモドキバエ属)
- P. quadriseta (スギモトコモンハチモドキバエ)
- Porpomastix (ミツモンハチモドキバエ属)
- P. fasciolata (ミツモンハチモドキバエ)
脚注
- ^ a b c d 市毛勝義 (2012)「日本産デガシラバエ科(Pyrgotidae)について」はなあぶ 33 pp.21-39
- ^ a b c d e Neal L. Evenhuis (ed.) 1989. Catalog of the Diptera of the Australasian and Oceanian Regions. Bishop Museum Press pp.498-501
- ^ V. A. Korneyev (2004) GENERA OF PALAEARCTIC PYRGOTIDAE (DIPTERA, ACALYPTRATA), WITH NOMENCLATURAL NOTES AND A KEY. Vestnik zoologii, 38(1): 19–46