ティーズ川(ティーズかわ、英語: River Tees)は、イングランド北東部を流れる河川。河口は北海に面する。
概要
源流はペナイン山脈北部((北ペナイン山脈)南西部)の(クロスフェル山)。上流部は典型的な(デール)(U字谷)地形で、(コールドロン・スナウト)やイギリス最大規模の(ハイフォース滝)などの滝がある[1][2]。右岸支流の(ルーン川)、(ボーダー川)、(グレタ川)と合流した後、ダラム州の(バーナードキャッスル)を過ぎると肥沃な平野を蛇行する。ダラム州ダーリントンの南方、ストックトン=オン=ティーズを流れた後、ミドルズブラの下流で三角江をなして北海に注ぐ。河口部には広大な干潟がある[1][3]。
生態系
上流部の(アッパーティーズデール)地域および(カウグリーン貯水池)は付近のカンブリア州にも跨ぐムーア地帯の(ムーアハウス・アンド・クロスフェル)地域と共に「(ムーアハウス=アッパーティーズデール)国立自然保護区」をなしており、1976年から2012年まではユネスコの生物圏保護区にも指定されていた。アッパーティーズデールには草地と山地の植生が広がっており、特に(後氷期植生)の高山植物の植物相がある。(ゲンチアナ・ウェルナ)、(チシマヒメカラマツ)、(エゾノチチコグサ)、ムカゴトラノオなどの希少種や(タチキジムシロ)、タイム、(ガリウム・サクサタイル)、(ドッグバイオレット)、ヒナギク、(イトシャジン)、(ビオラ・ルテア)などが挙げられる。動物としてはキノコバエ、コチョウゲンボウ、ハヤブサ、ヨーロッパノスリ、コミミズクが生息している[2]。
河口部と付近の海岸には砂地、干潟、岩礁海岸、塩性湿地、淡水湿地、砂丘など多様な地形があり、様々な種類の水鳥の生息地と越冬地となっている。1995年にラムサール条約に登録された[4]。
産業
ティーズ川流域には(ダラム炭田)と(クリーブランド鉄鉱山)が存在する。1825年にストックトン・アンド・ダーリントン鉄道が開通したことを契機に、河口付近の(ティーズサイド)と呼ばれる地域に製鉄業、鉄鋼業をはじめとした重工業と都市化が発展した[1]。河口部にはイギリスで最も忙しい港湾の1つ、(ティーズポート)がある[1]。
製鉄業は、2019年現在もブリティッシュ・スチールの工場として存在している[5]。
脚注
- ^ a b c d e “River Tees | river, England, United Kingdom | Britannica” (英語). www.britannica.com. 2023年2月13日閲覧。
- ^ a b “” (英語). UK Man and the Biosphere Committee. 2011年7月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ “ティーズ川”. コトバンク ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説. 2019年11月11日閲覧。
- ^ “Teesmouth & Cleveland Coast | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2000年1月1日). 2023年2月12日閲覧。
- ^ “タタ製鉄UK、欧州条鋼事業を売却”. 日本経済新聞 (2016年4月22日). 2019年11月11日閲覧。