『ザッパ・イン・ニューヨーク』(Zappa in New York)は、フランク・ザッパが1978年に発表したライヴ・アルバム。オリジナルLPは2枚組・10曲入りで、CD化に伴い、5曲が追加収録された。
内容
1976年12月にニューヨークで行われた4公演をまとめた内容。ジャズ/フュージョン系のプレイヤーや、テレビ番組『サタデー・ナイト・ライブ』のナレーターとして知られる(ドン・パルド)等、多くのゲストが参加した。
テリー・ボジオがリード・ボーカルを担当した「パンキーズ・ウィップス」の歌詞は、(エンジェル)(Angel)のギタリスト、パンキー・メドウズを揶揄した内容。ザッパは同曲も収録するつもりだったが、エンジェルはワーナー・ブラザース・レコードの所属バンドであったため、当時ザッパ作品を配給していたワーナー・ブラザースにより、「パンキーズ・ウィップス」はオリジナルLPから外された[4]。但し初回プレス版には含まれており、イギリスでは回収されず市場に流れた。この曲は、1983年発売のライヴ・アルバム『(ベイビー・スネイクス)』で再レコード化されることとなった。同じくアルバム1曲目「ティティーズ・アンド・ビール」からパンキー・メドウズに言及した箇所も第2版ではカットされた。
1991年以降のCD化では、前述の「パンキーズ・ウィップス」に加え、更に4曲が追加収録され、他にも「ティティーズ・アンド・ビール」がロング・ヴァージョンとなる等の変化があった。同時にイギリスではオリジナル初回版と同じ曲目でLP再発された。
収録曲の大半は新曲だが、「ソファ」はアルバム『ワン・サイズ・フィッツ・オール』(1975年)収録曲の別アレンジで、「ビッグ・レッグ・エマ」は1967年発表のシングル曲。CDボーナス・トラックのうち、「クルージング・フォー・バーガーズ」はアルバム『アンクル・ミート』(1969年)、「アイム・ザ・スライム」は『オーヴァーナイト・センセーション』(1973年)、「拷問は果てしなく」は『ズート・アリュアーズ』(1976年)収録曲のライヴ・ヴァージョン。本作では2パートに分かれている新曲「ザ・ブラック・ページ」は、allmusic.comにおいて「ザッパの作品の中でも最も捩れていて、複雑で、挑戦的な曲の一つ[5]」と評されたインストゥルメンタルで、1991年発売のライヴ・アルバム『メイク・ア・ジャズ・ノイズ』にはニュー・エイジ・ヴァージョンが収録された。
収録曲
全曲フランク・ザッパ作。
初回版LP
サイド1
- "Titties & Beer" - 5:28
- "I Promise Not to Come in Your Mouth" - 3:31
- "Punky's Whips" - 10:59
サイド2
- "Sofa" - 3:15
- "Manx Needs Women" - 1:37
- "The Black Page Drum Solo/Black Page #1" - 4:06
- "Big Leg Emma" - 2:17
- "Black Page #2" - 5:43
サイド3
- "Honey, Don't You Want a Man Like Me?" - 4:15
- "The Illinois Enema Bandit" - 12:40
サイド4
- "The Purple Lagoon" - 17:09
第2版LP
サイド1
- "Titties & Beer" - 5:02
- "I Promise Not to Come in Your Mouth" - 3:31
- "Big Leg Emma" - 2:17
サイド2
- "Sofa" - 3:15
- "Manx Needs Women" - 1:37
- "The Black Page Drum Solo/Black Page #1" - 4:06
- "Black Page #2" - 5:43
サイド3
- "Honey, Don't You Want a Man Like Me?" - 4:15
- "The Illinois Enema Bandit" - 12:40
サイド4
- "The Purple Lagoon" - 17:09
CD
ディスク1
- ティティーズ・アンド・ビール ("Titties & Beer") - 7:36
- クルージング・フォー・バーガーズ ("Cruisin' for Burgers") - 9:12
- アイ・プロミス・ノット・トゥー・カム・イン・ユア・マウス ("I Promise Not to Come in Your Mouth") - 3:32
- パンキーズ・ウィップス ("Punky's Whips") - 10:51
- ハニー、ドント・ユー・ウォント・ア・マン・ライク・ミー? ("Honey, Don't You Want a Man Like Me?" ) - 4:12
- ザ・イリノイ・エネマ・バンディット ("The Illinois Enema Bandit" ) - 12:41
ディスク2
- アイム・ザ・スライム ("I'm the Slime") - 4:24
- パウンド・フォー・ブラウン ("Pound for a Brown") - 3:41
- マンクス・ニーズ・ウィメン ("Manx Needs Women") - 1:51
- ザ・ブラック・ページ・ドラム・ソロ〜ブラック・ページ#1 ("The Black Page Drum Solo/Black Page #1") - 3:50
- ビッグ・レッグ・エマ ("Big Leg Emma") - 2:17
- ソファ ("Sofa") - 2:56
- ブラック・ページ#2 ("Black Page #2") - 5:36
- 拷問は果てしなく ("The Torture Never Stops") - 12:35
- ザ・パープル・ラグーン〜アプロクシメイト ("The Purple Lagoon/Approximate") - 16:40
参加ミュージシャン
- フランク・ザッパ - リードギター、 ボーカル
- (レイ・ホワイト) - リズムギター、ボーカル
- エディ・ジョブソン - キーボード 、ヴァイオリン、ボーカル
- (パトリック・オハーン) - ベース、ボーカル
- テリー・ボジオ - ドラムス、ボーカル
- (ルース・アンダーウッド) - パーカッション、シンセサイザー
- (ドン・パルド) – ナレーション
- デイヴ・サミュエルズ - ティンパニ、ヴィブラフォン
- ランディ・ブレッカー - トランペット
- マイケル・ブレッカー - テナー・サックス、フルート
- (ルー・マリニ) – アルト・サックス、フルート
- ロニー・キューバー - バリトン・サックス、クラリネット
- (トム・マローン) - トロンボーン、トランペット、ピッコロ
下記ミュージシャンはスタジオでのオーバーダビングのみ参加。
- ジョン・ベルガモ – パーカッション
- (エド・マン) – パーカッション
- ルー・アン・ニール - ハープ