サキシマスオウノキ(先島蘇芳木、Heritiera littoralis)は、アオイ科(従来の分類ではアオギリ科)の常緑高木。日本では特によく板根を発達させる木として有名である。
サキシマスオウノキ |
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保全状況評価[2] |
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) |
分類(APG IV) |
学名 |
Heritiera littoralis Dryand. |
和名 |
サキシマスオウノキ(先島蘇芳木) |
英名 |
looking-glass tree silver leaved mangrove |
特徴
常緑性高木で5-15mになる。葉は長さ10-20cmで、長楕円状卵形から楕円状卵形。先端はとがっている場合も丸まる場合もあるが、基部は円脚(丸っこい形)をしている。葉質は硬く、表は緑色でつやがあって無毛、裏面は銀色や多少色づく円形の鱗状の毛が密生する。
円錐花序は7-15cmになり、多数の花をつける。
板根が特徴。板根を持つ樹木は熱帯域に多い。日本ではこの他に、イヌビワ、オキナワウラジロガシなどが形成することがあるが、本種のそれが群を抜いて立派で、高さは2mくらいになる例もある。
分布
熱帯アジア、台湾、ポリネシア、熱帯アフリカに分布。マングローブ林のある湿地の内陸側に多く生育する。
日本での生育地は、奄美大島、沖縄島、石垣島、西表島が知られる。このうち石垣島(沖縄県石垣市)の桴海於茂登岳山麓の「ンタナーラのサキシマスオウノキ群落」[3]、及び、西表島(沖縄県八重山郡竹富町)古見の「古見のサキシマスオウノキ群落」[4]は天然記念物に指定されている。また、西表島の仲間川上流には樹齢400年と推定されるサキシマスオウノキの巨木があり、森の巨人たち百選に選定されている[1]。
利用
沖縄県では、かつてこの板根を切り出してそのまま船(サバニ)の舵として使用した[1]。樹皮のタンニンは染料[5]、薬用として利用される。和名の「サキシマスオウノキ」(先島蘇芳木) の「スオウ」は、染料として利用されるスオウ(蘇芳木、マメ科の落葉小高木)に由来する。また、「サキシマ」は先島諸島(宮古列島と八重山列島の総称)のことである。
諸言語における呼称
アジア
アフリカ
脚注
- ^ a b c “沖縄の名木百選 仲間川のサキシマスオウノキ”. おきなわ 緑と花のひろば. 沖縄県環境部環境再生課. 2018年3月21日閲覧。
- ^ Duke, N., Kathiresan, K., Salmo III, S.G., Fernando, E.S., Peras, J.R., Sukardjo, S. & Miyagi, T. (2010). Heritiera littoralis. The IUCN Red List of Threatened Species 2010: e.T178852A7627492. doi:10.2305/IUCN.UK.2010-2.RLTS.T178852A7627492.en. Downloaded on 13 April 2020.
- ^ ンタナーラのサキシマスオウノキ群落 - 文化遺産オンライン(文化庁)
- ^ 古見のサキシマスオウノキ群落 - 文化遺産オンライン(文化庁)
- ^ a b c 熱帯植物研究会 編 編『熱帯植物要覧』(第4版)養賢堂、1996年、304頁。ISBN (4-924395-03-X)。
- ^ a b Dharani, Najma (2011). Field Guide to Common Trees & Shrubs of East Africa. Struik Nature
参考文献
- 初島住彦『琉球植物誌(追加・訂正版)』,(1975),沖縄生物教育研究会