コセミクジラ(小背美鯨、Caperea marginata)は、偶蹄目(または鯨偶蹄目)コセミクジラ科(またはケトテリウム科)コセミクジラ属に属する水棲哺乳類。コセミクジラ属は、現生種では1属1種のみで構成される[3]。体長 4-6.5m(ただし雄の最大は6m[4])、体重 3-3.5 t とヒゲクジラ類の中では最も小さい。セミクジラに似た流線型の体型とアーチ状の上あごを持つ。しかし似ている部分はそういった点でだけであり、実際には背びれを持つ、胸びれや頭部が身体に比して比較的小さい、など外観でもセミクジラと異なる点は少なくない上に、骨格においても頭骨、耳骨などの形態においては、セミクジラと共通する要素は少ない。
コセミクジラ |
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ヒトとのサイズ比較 |
保全状況評価[1] |
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) |
分類 |
学名 |
Caperea marginata Gray, 1846[3] |
シノニム[3] |
Balaena marginata Gray, 1846 |
和名 |
コセミクジラ |
英名 |
Pygmy right whale[3] |
コセミクジラの分布図 |
コセミクジラ科では唯一の現生種とされており[3]、他の現生種のクジラとの分岐はセミクジラ科の次であるとされ、名前に反してコククジラやナガスクジラに近縁である[5]。また、原始的な形質を残し生きた化石と呼ばれていたが、近年、絶滅した古代のヒゲクジラの系統とされていたケトテリウム科の唯一の生き残りとする説も提唱されている[6][7]。
南半球の温帯域(南緯30-52度)のみで活動する。目撃されることが非常に少ないため、生態には不明な点が多い。また、体が小さく、滅多に観られない事もあってか、ヒゲクジラ類中唯一捕鯨の対象から逃れる事が出来たが、それ故に他のクジラに比べて調べられていない事が多く、ヒゲクジラ類の中ではもっとも研究が進んでおらず、生息数や生息状況の調査も不明のままである。
脚注
- ^ Cooke, J.G. 2018. Caperea marginata. The IUCN Red List of Threatened Species 2018: e.T3778A50351626. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2018-2.RLTS.T3778A50351626.en. Accessed on 14 December 2022.
- ^ CITES. Appendices I, II and III valid from 22 June 2022. Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora. Accessed on 14 December 2022.
- ^ a b c d e f Games G. Mead & Robert L. Brownell Jr., “Order Cetacea,” In: Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (eds.), Mammal Species of the World (3rd ed.), Volume 1, Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 723-744.
- ^ 『鯨類学』 図鑑/世界の鯨類14
- ^ 『鯨類学』 pp.42-43
- ^ Fordyce, R. E.; Marx, F. G. (2013). “The pygmy right whale Caperea marginata: the last of the cetotheres”. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences 280 (1753): 1–6. doi:10.1098/rspb.2012.2645. PMC 3574355. PMID (23256199) .
- ^ “'Extinct' whale found: Odd-looking pygmy whale traced back 2 million years”. CSMonitor.com (2012年4月23日). 2017年3月4日閲覧。