アジア・アフリカの競馬(アジア・アフリカのけいば)では、アジア・アフリカの競馬について包括的に概説する。便宜上、オーストラリア及びニュージーランドも本記事に含める。
各国の様子
国際セリ名簿基準委員会(ICSC)は、世界の競馬開催国をパート1からパート3までのカテゴリに分類している。
パート1国
パート1国については下記の各記事を参照。
- オーストラリアの競馬 - (Category:オーストラリアの競馬)
- ニュージーランドの競馬 - (Category:ニュージーランドの競馬)
- 南アフリカ共和国の競馬 - (Category:南アフリカの競馬)
- アラブ首長国連邦の競馬 - (Category:アラブ首長国連邦の競馬)
- 香港の競馬 - (Category:香港の競馬)[1]
- 日本の競馬
パート2国
パート2国については下記の通り。
このほか、アジア・アフリカのパート2国には、インド、マレーシア、ジンバブエ、マカオ、サウジアラビア、バーレーンが認定されている。
インド
概要
インドの競馬の歴史は古く、アジアで最初に近代競馬が行われた国であるとされている。日本との関係は1968年にインドにダービー馬ハクチカラを種牡馬として寄贈したほか、後述のオウンオピニオンは現役競走馬として初めて来日した競走馬であり、現在でも牧場で調教を行う従業員にインド人は多く関係は意外と密接である。
主要競走
3歳には牡馬三冠[2](インド2000ギニー、インドダービー、インドセントレジャー)、と牝馬三冠(インド1000ギニー、インドオークス、インドダービー)の路線が整備されている。
主な競走には次のようなものがある。
- インド2000ギニー(Indian 2000 Guineas) - ムンバイで行われる3歳牡馬・牝馬の1マイル(約1600メートル)戦。1943年創設[3]。
- インド1000ギニー(Indian 1000 Guineas) - ムンバイで行われる3歳牝馬の1600メートル戦。1942/43年シーズンに創設された。12月に開催される[7]。
著名馬
インドの著名競走馬としては次のような馬がいる。
- オウンオピニオン - 第1回ジャパンカップに来日したインドの競走馬。現役競走馬として日本にやってきた史上初の海外競走馬でもある。
- イルーシヴピムパーネル - 1990年代のインドで23戦22勝の成績を残し、史上初の獲得賞金1000万ルピー馬。
- ミスティカル - 21世紀初頭に20戦16勝の成績を残した。2007年にはドバイ遠征で勝鞍もあげた。
- ダークレジェンド - 1914年生まれのイギリス産馬。第一次世界大戦中はインドで走り、5勝をあげている。
- ローズロイヤル(Rose Royal) - 1964/65シーズンに牝馬三冠(1000ギニー、オークス、ダービー)を達成した。
マレーシア
- マレーシアの競馬はシンガポールのマラヤン競馬協会が統括している。
主要競走
- マレーシアスランゴール三冠[要出典] - ピアラ・エマス・スルタン・スランゴール、スランゴール・ゴールドカップ、ツンク・ゴールドカップ
- ペラ・コロネーションカップ(en:Perak Coronation Cup) - 1985年創設、芝1800メートル、3歳以上の競走。
ジンバブエ
概要
ジンバブエでは、19世紀の終わりにイギリス系入植者が競馬を行うようになった。北部の首都ハラレ(旧ソールズベリー)、南部のブラワヨ(国内第2の都市)の2都市が競馬の中心地だった。しかし20世紀の後半には経済不況により、ブラワヨの競馬会は解散し、2006年現在は首都ハラーレだけで競馬を行っている。成績や血統管理などは南アフリカの競馬会が行っている[10]。
南半球にあるので、シーズンは8月から翌年7月までとなっている。国内の一流馬は南アフリカへ転戦するが、レベルの差があり苦戦している[10][11]。
主要競走
主要競走は下記の通り。
- 主要2歳戦 - チャンピオンジュヴェナイル(G3、芝1200メートル)
- 3歳三冠 - ジンバブエギニー(G3、芝1600メートル)、ジンバブエ2000(G3、芝2000メートル)、ジンバブエダービー(G3、芝2400メートル)
- 古馬主要戦 - キャッスルタンカード(G2、芝2000メートル)、OKグランドチャレンジ(G2、芝1800メートル)、共和国杯(G3、芝1900メートル)
著名馬
著名馬は下記の通り。
- イピトンベ(Ipi Tombe) - 南アフリカの大レース、ジュライハンデキャップに勝ち、UAE、アメリカでも重賞に勝った。
- スプイブリッジ(Spey Bridge) - 1956年にジンバブエ馬として初めてジュライハンデキャップを制した、ジンバブエの歴史的名馬。ジンバブエの年度表彰は同馬の名をとって「スプイブリッジ賞(Spey Bridge Award)」となっている[12]。
マカオ
マカオでは17世紀に競馬が行なわれていたという記録があるが、近代競馬は1980年の繋駕速歩競馬によってはじまった。まもなく経営不振でサラブレッド平地競馬に転換した[13]。近年は、香港、マレーシア、シンガポール、南アフリカとの提携を行っている。
自国での競走馬生産はしておらず、全て海外から輸入している。
- マカオジョッキークラブ(MJC、en:Macau Jockey Club) - 1987年に認可、タイパ競馬場(Taipa Racecourse)で1989年からサラブレッド競馬を行なう。
競馬は通年開催だが、シーズンは9月から翌年8月までで、2001/02年のように年をまたいで1つのシーズンを構成している[14]。
主要競走
芝とダート(sand races)のコースを持つ。芝は短距離(1100~1200メートル)、中距離(1400~1700メートル)、長距離(1800~2000メートル)に分類されている。ダートは主に1050~1700メートルで行なわれる。
- マカオギニーズ(Macau Guineas)- マカオG1。3月に行なわれる。3・4歳馬による1500メートル戦。賞金100万MOP$(2012/13シーズン)。「三冠戦(Triple Crown)」の初戦[15]。
- マカオダービー(澳門打吡大賽、Macau Derby)- マカオG1。4月に行なわれる。4歳馬による1800メートル戦。賞金260万MOP$(2012/13シーズン)。「三冠戦(Triple Crown)」の第2戦[15]。
- マカオ金杯(金盃、Macau Gold Cup)- 7月に行なわれる。全年齢による1800メートル戦。賞金100万MOP$(2012/13シーズン)。「三冠戦(Triple Crown)」の最終戦[15]。
- チェアマンズチャレンジカップ(Chairman's Challenge Cup) - マカオG1。マカオダービーと同日に行なわれる。全年齢による1200メートル戦。賞金100万MOP$(2012/13シーズン)[15]。
- 香港トロフィー(Macau Hong Kong Trophy) - マカオG1。マカオダービーと同日に行われる。レーティング125~95の馬による1500メートル戦。賞金200万MOP$(2012/13シーズン)[15]。
- スターオブザサンドステークス(The Macau Star of The Sand Stakes) - マカオG1。競馬シーズンの終盤(8月)に行なわれる。全年齢による1700メートル。賞金100万MOP$(2012/13シーズン)[15]。
- オータムトロフィー(Autumn Trophy) - マカオG2。1600メートル。シーズン序盤の10月に開催。賞金70万MOP$(2012/13シーズン)[15]。
- ウィンタートロフィー(Winter Trophy) - マカオG2。1800メートル。1月に開催。賞金70万MOP$(2012/13シーズン)[15]。
- スプリングトロフィー(Spring Trophy) - マカオG2。1400メートル。2月に開催。賞金70万MOP$(2012/13シーズン)[15]。
- サマートロフィー(Spring Trophy) - マカオG2。1050メートル。7月に開催。賞金70万MOP$(2012/13シーズン)[15]。
- ディレクターズカップ(董事盃、Director's Cup)- 1500メートル。6月に開催。賞金70万MOP$(2012/13シーズン)[15]。
パート3国
アジア・アフリカのパート3国には、カタール、サウジアラビア、バーレーン、モーリシャス、モロッコが認定されている。
認定を受けていない国・地域
ICSCの認定を受けていない国・地域の競馬については下記に記す。
フィリピン
1867年にはポニーによる直線約400mのコースにて競馬が行われていることが確認されている。<1946年からサラブレッドによる競馬が開始される。 現在は、マニラ・ジョッキークラブとフィリッピン・レーシング・クラブによって、サンラザロ競馬場とサンタアナパーク競馬場にて開催されている。 主要競走はグラン・コパ・デ・マニラ、1867ファウンダーズ・カップ、トリプル・クラウン・ステークス、プレジデンシャル・ゴールド・カップ、A・P・レイエス博士記念杯、他[16]。
ケニア
ケニアの首都ナイロビにあるンゴング競馬場(en:Ngong Racecourse)で競馬が行われている。
ンゴング競馬場はアフリカ東部で唯一の競馬場で、国際的な標準を満たすサラブレッド競馬を開催している。主催者はケニア競馬会(Jockey Club of Kenya)。
1904年に発足した東アフリカターフクラブ(East African Turf Club)が1921年にケニア競馬会に改称し、現在に至っている。1950年代に競馬場や競走体系の整備が行われ、成長した。
主要競走はケニアギニー(芝1600メートル)、ケニアダービー(芝2400メートル)、ケニアセントレジャー(芝2800メートル)、ケニアフィリーズギニー(芝1600メートル)、ケニアオークス(芝2400メートル)[17]。
脚注
- ^ a b Hong Kong Promoted to Part I of the International Cataloguing Standards Book; Korea Promoted to Part IIhorseracingintfed.com、2016年4月2日閲覧
- ^ インド2000ギニー 2013年12月3日, at the Wayback Machine.“The 2000 Guineas, The Derby and The St. Leger, together form the "Triple Crown" of thoroughbred racing of that age group.”
- ^ インド2000ギニー 2013年12月3日, at the Wayback Machine.
- ^ インドは競馬のシーズンが年をまたぐため、1942/43年シーズンのダービーは1943年2月に行われる。そのため出走馬齢は4歳牡馬となる。
- ^ インドダービー 2013年12月3日, at the Wayback Machine.
- ^ インドセントレジャー 2013年12月3日, at the Wayback Machine.
- ^ インド1000ギニー 2013年12月3日, at the Wayback Machine.
- ^ インドオークス 2013年12月3日, at the Wayback Machine.
- ^ インドは競馬のシーズンが年をまたぐため、1943/44年シーズンのオークスは1944年1月に行われる。そのため出走馬齢は4歳牝馬となる。
- ^ a b 『海外競馬完全読本』p167-168
- ^ レーシングポスト 2009年5月30日「ジンバブエダービー馬が南アフリカのカジノスプリント優勝」“Zimbabwe-bred horses normally struggle in South Africa”
- ^ ジンバブエ・2004年スプイブリッジ賞
- ^ JAIRS マカオの競馬2013年12月2日閲覧。
- ^ マカオジョッキークラブ公式HP2013年12月2日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k MJC公式HP カップ戦一覧2013年12月2日閲覧。
- ^ JAIRS公式HPフィリピンの競馬場
- ^ JAIRS公式HP・ケニアの競馬場2013年11月30日閲覧。
参考文献
- 『競馬の世界史』ロジャー・ロングリグ・著、原田俊治・訳、日本中央競馬会弘済会・刊、1976
- 『競馬百科』日本中央競馬会・編、みんと・刊、1976
- 『海外競馬完全読本』海外競馬編集部・編、東邦出版・刊、2006
関連項目
外部リンク
- マカオジョッキークラブ公式HP