株式会社アサヒ玩具（アサヒがんぐ）は、かつて東京都台東区蔵前2-7-2[1]に本社を置いていた、日本の玩具メーカーである。1960年代から1970年代にかけて、モデルペット、ママレンジ、アメリカンクラッカーなどのヒット玩具を世に出した。
概要および歴史
1931年創業。当時の店名は岸珠具だった。1948年に法人化して株式会社旭玩具製作所となり、1963年に現在の社名に改称した[2]。
1959年にミニカーの販売を始め、1960年代のミニカー市場を牽引[2]。また、1968年に発売したママレンジが爆発的ヒットを産み、様々な家電品や家事用品を模した「ママシリーズ」を世に出した。また、ピンク・レディーやベルサイユのばらのキャラクター商品も販売していた[3]。1979年に1980年モスクワオリンピックのオフィシャルキャラクター、こぐまのミーシャの日本での商品化権の契約を結んだが、日本選手団のボイコットの影響で深刻な販売不振に陥り、莫大な赤字を蒙った[3]。
その後も玩具のヒットに恵まれず、1982年に廃業した。
代表的な商品
- 「モデルペット」シリーズ - 42分の1スケールの国産ミニカー。1959年10月にトヨペットクラウンDXで業界に登場。金型47種、モデル78種を発売した。1973年生産停止。初期のモデル(通称「赤箱モデル」)はその形状が評価されているが、中期以降のモデルは開閉アクション処理の拙さやモデルの平凡さで評価を下げた[2]。
- ママレンジ - 1968年発売。実際にホットケーキや目玉焼きなどが作れる、ガスコンロを模した玩具。付属品としてエプロン、フライパン、フライ返しなどがついていた。雲母のカバー板で加熱用のニクロム線を覆っており、フライパンをコンロに載せた時にのみ電源が入るようになっていた。定価2500円と当時としては高額だったが、年間売上40万個という爆発的ヒットを生んだ[3]。
- アメリカンクラッカー(カチカチボール) - 1971年発売。数ヶ月で約5000万個が販売されるなど一大ブームとなったが、粗悪な類似品の登場やおもちゃによる事故が発生したことで、翌年にはブームは終了した[4][5]。
- ペンギンちゃんの氷かき - 1975年発売。ペンギン型の家庭向け手動(かき氷機)。ペンギンの背中側にあるハンドルを回して氷を削り、胸部分の穴から排出した[6]。
脚注
- ^ アサヒイーグルより。2016年9月13日閲覧。
- ^ a b c 中島登『日本のミニカー』保育社、1977年、105-106頁。ISBN (9784586504114)。
- ^ a b c “１９６８・ママレンジ 会社と沈む（今日的遺跡探検） 【大阪】”. 朝日新聞 夕刊. (2000年5月17日)
- ^ 初見健一『まだある。今でも買える“懐かしの昭和”カタログ玩具編』大空出版、2006年12月20日、148頁。ISBN (9784903175058)。
- ^ “（絶滅危惧趣味：その十八）アメリカンクラッカー 半年足らずで５千万個”. 朝日新聞 夕刊: p. 7. (2007年8月9日)
- ^ 初見健一『まだある。こども歳時記夏休み編』大空出版、2010年6月、56頁。ISBN (9784903175294)。