アカボウズハゼ

アカボウズハゼ（赤坊主鯊、Sicyopus zosterophorus）は、南西諸島の渓流に生息するハゼで、個体数は非常に少ない。(アカボウズハゼ属)に属す魚。カエルハゼによく似ているが、(背鰭)に黒点がないこと、上顎の後半が眼の中央より後方にあり、吻長は上顎より長いことなどで区別可能。

アカボウズハゼ
アカボウズハゼ、Sicyopus zosterophorus
保全状況評価
CRITICALLY ENDANGERED (IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
界 : 動物界 Animalia 門 : 脊索動物門 Chordata 亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata 綱 : 条鰭綱 Actinopterygii 目 : スズキ目 Perciformes 亜目 : ハゼ亜目 Gobioidei 科 : ハゼ科 Gobiidae 亜科 : (ボウズハゼ亜科) Sicydiinae 属 : (アカボウズハゼ属) Sicyopus 種 : アカボウズハゼ S.zosterophorus
学名
Sicyopus zosterophorus (Bleeker,1857)
和名
アカボウズハゼ（赤坊主鯊）

分布

日本国内では、種子島、屋久島、奄美大島、沖縄島、石垣島、西表島^[1]にのみ分布する。西部太平洋の島々^[2][1][3]。

形態

(全長)は4-6センチメートル^[2]。オスに(体側)後半部は鮮やかな赤色で、数本の黒色(横帯)を持ち^[2]、産卵期になると特に鮮やかになる^[3]。メスの体は一様に淡黄色であり^[1][2]、オスと比べて透明感が強い。両顎歯は尖った円錐状または犬歯状を呈する。(背鰭)に黒点がないこと、上顎の後半が眼の中央より後方にあり、吻長は上顎より長い^[2]。

生態

主に小河川の上流域^[2][3]渓流域に生息し、大きな川にはいない^[1]。頭上が開けた明るい滝壺でよく見られ、森の中をゆるやかに流れるごく浅い細流にも生息し^[3]、流れの緩やかな淵の岩盤や転石の上に単独で見られ^[2]、やや薄いところを好み、淵に単独で見られ^[1]、中層を遊泳して移動する^[1][2]。上流に向かって積極的に遡上し、途中に障害となる滝があってもものともしない。落差が10m以上ある滝の上にある淵にもその姿が見られる^[3]。

動物食性で、飼育下ではユスリカ幼虫（アカムシ）などを食べる^[2]。

保全状況

多量取水による河川流量の減少、ダム建設、道路整備による土砂の流入などにより、生息環境が悪化し、個体数が減少している。また、美しい体色や希少性から観賞魚として人気があり、業者やマニアによる乱獲にも注意が必要である。(絶滅危惧ⅠA類)^[2]。

絶滅危惧IA類 (CR)（環境省レッドリスト）

 

関連項目

• カエルハゼ
• (ボウズハゼ亜科)

脚注

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1. ^ ^{a b c d e f} 鈴木寿之・渋川浩一・矢野維幾、『決定版　日本のハゼ』、平凡社、2004年、46・47貢
2. ^ ^{a b c d e f g h i j} 細谷和海、『増補改訂 日本の淡水魚』、山と渓谷社、2019年、416・417貢
3. ^ ^{a b c d e} 松沢陽士、『ポケット図鑑日本の淡水魚258』、文一総合出版、2016年、234貢