べと病(べとびょう)は露菌病とも言い、卵菌(ミズカビと呼ばれる水生のものが多く知られ、またかつては藻菌類に分類されていた)のうちPeronosporaceae科に属する菌による病害に対して名づけられる植物病害で、ブドウや野菜で特に重要な病害である。湿度が高い時(特に梅雨時など)に蔓延しやすく、このような時期にはべとついた感じになるので「べと」と呼ばれるが、一般には葉などに褐色の斑点が現れて広がり、進行すると表面に分生胞子を形成するため羽毛状を呈する。
種類
原因菌の多くはPeronosporaceae科に属し、以下のような種がある。
- ブドウ:Plasmopara viticola
- キュウリ、スイカ、メロン:Pseudoperonospora cubensis
- ホウレンソウ:Peronospora farinose
- タマネギ、ネギ:Peronospora destructor
- ダイコン、キャベツ:Peronospora parasitica
- ダイズ:Peronospora manshurica
- レタス:Bremia lactucae
- バジル:Peronospora belbahrii
Sclerosporaによるアワしらが病、Sclerophthoraによるイネ・麦類黄化萎縮病は、英名ではべと病(Downy mildew)である。そのほかの卵菌による病害には、疫病(Phytophthora)や、ピシウム病(Pythium)(Pythiaceae科)がある。
英語ではDowny mildewと呼ばれる。単にMildewというと、うどんこ病(Powdery mildew)なども含めた呼び名であり、また一般のカビを指すこともある。
予防・防除
発生例
日本では、地域的に蔓延して野菜の収量低下を来すことがある。2016年には、タマネギの産地である兵庫県淡路島[1]や佐賀県[2]で大きな被害が発生し、価格が高騰した。