しずるさんシリーズは、(ファンタジアバトルロイヤル)に連載され富士見ミステリー文庫より刊行されている上遠野浩平の日本のライトノベル(推理小説)作品。イラストは椋本夏夜[1]。後に星海社文庫に移籍し、イラストも(国道12号)に交代した。既刊5巻(2014年)。
全般にSF指向が強い上遠野作品としては珍しく、純粋な推理小説である。書き下ろしである『騎士は恋情の血を流す』を除き、短編形式を取っている。
ストーリー
「この世にあるのはごまかしだけ――」
とある病院に入院しているしずるさんは謎めいた事件が大好きで、いつもお見舞いに来てくれるよーちゃんが調べてきてくれた事件を次々と解明していく。
登場人物
- しずるさん
- 怪奇事件や複雑に込み入った事件に興味を示し、事件を解明する美少女。現在、原因不明の病気により山の上の病院に長期入院中。
- 冷静且つ極めて頭の良い人物で、自分を含む全ての物事を達観的・客観的に捉えているが、よーちゃんにのみ心からの信頼を向けている。実際に現場を調べたり当事者と接触することのない、いわゆる安楽椅子探偵(ベッド・ディテクティヴ)である。
- よーちゃん
- 女子高生。しずるさんが興味を持つような事件を調べて、病室でその事件について話し合う事を楽しみにしている。
- 穏やかで怖がりな性格の持ち主で、水泳もカナヅチどころか後ろに進んでしまう程運動神経も良くないため、本人評価は「どんくさい」。彼女の他にはしずるさんをお見舞いに来るものはいない様子。姓を警察関係者に明かす事で、しずるさんの推理が警察の捜査に反映されることもある。これは彼女が、裏の世界では有名な「ある一族」の分家筋であるため。
- 霧間凪
- 『しずるさんと気弱な物怪たち』より登場。通称、炎の魔女。しずるさんに会いに行っても十回に一度程度しか会えないらしい。しずるさんとは、凪が彼女を病院に運び込んで以来の腐れ縁。しずるさんが入院している病院に通院する患者でもある。
- 荒事担当。危険を引き受ける役割を買って出る。
- 死神
- 『しずるさんと気弱な物怪たち』に登場。筒のような黒帽子に黒マントの格好。人知れず、世界の敵“キャラバンサライ”と戦っていたらしい。
- 女子高生の間で噂になっている存在だが、よーちゃんはその噂を聞いたことがなかったか、噂と結びつけることができなかったかで、そうと知ることはなかった。
作品リスト
単行本
- しずるさんと偏屈な死者たち The Eccentric Dead In White Sickroom 2003年6月初版 (ISBN 9784829162149)[2]
- しずるさんと底無し密室たち The Bottomless Closed-Rooms In The Limited World 2004年12月初版 (ISBN 9784829162842)
- しずるさんと無言の姫君たち The Silent Princess In The Unprincipled Tales 2006年12月初版 (ISBN 9784829163740)(以上富士見ミステリー文庫→星海社文庫)
- 騎士は恋情の血を流す The Cavalier Bleeds For The Blood 2009年8月初版 (ISBN 9784829176818) (富士見書房刊行単行本→星海社文庫)
- しずるさんと気弱な物怪たち[3] The Insecure Insects In Hollow Holes 2014年4月10日第一版発行 (ISBN 978-4-06-138967-0) (星海社文庫刊行)
アンソロジー収録作品
脚注
- ^ 「しずるさんと唐傘小僧」の雑誌掲載時のみあづみ冬留。
- ^ 「しずるさんと偏屈な死者たち」のみ装丁リニューアルによりカバーが2種存在する。
- ^ 「しずるさんと不死蝶」(『月刊ドラゴンマガジン増刊ファンタジアバトルロイヤル』2007年2月増刊号)、「しずるさんと蝉時雨」(『月刊ドラゴンマガジン』2009年9月号)、「しずるさんと雷蜘蛛」(『月刊ドラゴンマガジン』2010年5月号)と書下ろしの「しずるさんと蟻地獄」、「しずるさんと薄刃陽炎」、「はりねずみチクタ、おばけにあう」を収録。
- ^ 2018年、ジャンプ ジェイ ブックス公式note.com上で連載された(全4回)。
関連項目
- ブギーポップシリーズ - 上遠野浩平の作品は全て世界観が繋がっており、その中核に当たる作品。しずるさんも世界の背景で起きている事象に気づいている節が見られる。霧間凪や死神ことブギーポップは、本来こちら側の登場人物である。
- ソウルドロップシリーズ - 上遠野作品の中でも特に本作との関連が強い作品。しずるさんの病院や、よーちゃんの家筋の情報なども登場している。