『いちご白書』(いちごはくしょ、原題:The Strawberry Statement)は、アメリカ人作家(ジェームズ・クネン)(James Simon Kunen)によるノンフィクションである。著者が19歳の時に書かれ、コロンビア大学での1966年から1968年までの体験、特に1968年の抗議行動(en)および学生抗議者による学部長事務所の占拠についての年代記となっている[1]。同書を原作にした映画は、アメリカでは興行的に振るわなかった。しかし日本では『イージー・ライダー』[注 1]や『俺たちに明日はない』[注 2]と並ぶ、アメリカン・ニューシネマの人気作品となった。
『いちご白書』という題名はコロンビア大学の学部長ハーバート・ディーンの発言に由来する。ディーンは大学の運営についての学生の意見を、学生たちが苺の味が好きだと言うのと同じくらい重要さを持たないものとして見下した[2][3]。
ディーンは事実が間違った形で引用されたとしばしば述べている。学内ラジオ放送局 (WKCR-FM)による1988年のインタビューによれば、彼にとって大学のポリシーに対する学生の意見は重要であるものの、もし理にかなった説明がないものなら、彼にとっては「苺が好きな学生が多数派か否か以上の意味を持たない」、というのが彼の主張である。
映画
クネンの著書を元に、1960年代の学生闘争を描いたフィクション映画が製作された。1970年6月15日に公開。カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞した。
主題歌はジョニ・ミッチェル[注 3]が作詞作曲した「サークル・ゲーム」。バフィ・セント=メリー[注 4]が1967年に発表したカバー・バージョンが映画に使われている。
スタッフ
- 監督:(スチュアート・ハグマン)
- 製作:アーウィン・ウィンクラー、ロバート・チャートフ
- 脚色:(イスラエル・ホロヴィッツ)
- 原作:(ジェームズ・クネン)
- 撮影:(ラルフ・ウールジー)
- 美術:(ジョージ・W・デイヴィス)、(プレストン・エイムズ)
- 編集: (マージョリー・ファウラー)、フレドリック・スタインカンプ、(ロジャー・J・ロス)
- 主題歌:「サークル・ゲーム」(バフィ・セント=メリー)
キャスト
役名 | 俳優 | 日本語吹替 |
---|---|---|
サイモン | ブルース・デイヴィソン | 富山敬 |
リンダ | キム・ダービー | 岡本茉莉 |
エリオット(ボート部コックス) | バッド・コート | 田中秀幸 |
ジョージ | (マーレイ・マクロード) | 野島昭生 |
エリオット(オルグ) | ボブ・バラバン | 田中亮一 |
ルーカス | (ブッカー・ブラッドショー) | 石丸博也 |
スワッチ | (マイケル・マーゴッタ) | 仲木隆司 |
生徒会長 | (ジェームズ・クネン) | |
食料品店主 | ジェームズ・ココ |
ストーリー
サイモンは、ごく平凡な大学生。大学では予備役将校訓練課程校舎建設に抗議しての紛争が起こっていたが、サイモンは全く興味がなかった。しかし、彼は、体育会系の学生に殴られたことなどがきっかけで女性リーダーのリンダと知り合い、彼女にひかれてゆく。そして、積極的に闘争に参加するようになった。やがて大学側は、実力行使を決定する。サイモンやリンダはじめ、講堂に立てこもる学生たちは次々に排除されて行く。
音楽/サウンドトラック
- 1. The Circle Game (サークル・ゲーム) / Buffy Sainte-Marie(バフィー・セント・メリー)[注 5]
- 2. Ian Freebairn-Smith and MGM Studio Orchestra / Market Basket (マーケット・バスケット)
- 3. Down By The River (ニール・ヤング/ ダウン・バイ・ザ・リヴァー)
- 4. Long Time Gone (クロスビー、スティルス&ナッシュ / ロング・タイム・ゴーン)
- 5. Ian Freebairn-Smith and MGM Studio Orchestra / Cyclatron (サイクレイトロン)
- 6. Something In The Air (サンダークラップ・ニューマン[注 6] / 革命ロック)
- 7. Also Sprach Zarathustra (ツァラトストラはかく語り)ベルリン・フィルハーモニック・オーケストラ
- 8. Neil Young / The Loner (ニール・ヤング/ ローナー)
- 9. Ian Freebairn-Smith and MGM Studio Orchestra / Coit Tower (コイト・タワー)
- 10. Fishin' Blues (レッド・マウンテン・ジャグ・バンド / フィッシン・ブルース)
- 11. Ian Freebairn-Smith and MGM Studio Orchestra / Concerto In D Minor (協奏曲二短調)
- 12. Helpless (Crosby, Stills, Nash & Young/ヘルプレス)
- 13. Pocket Band (MGM Studio Orchestra /ポケット・バンド)
- 14. Give Peace A Chance (ザ・キャスト/平和を我等に)
- 挿入歌:「サムシング・イン・ジ・エアー」(サンダークラップ・ニューマン)、「ヘルプレス」()、「僕達の家」(同)、「組曲: 青い眼のジュディ」(クロスビー、スティルス&ナッシュ)、「ローナー」(ニール・ヤング)、「ダウン・バイ・ザ・リヴァー」(同)、「平和を我等に」(プラスティック・オノ・バンド)
脚注
注釈
出典
関連項目
- Columbia University protests of 1968
- Morningside Park
- Morningside Heights, Manhattan
- ニール・ヤング
- ジョン・レノン
- ジョニ・ミッチェル
- アメリカン・ニューシネマ
- 『いちご白書』をもう一度