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高山本線(たかやまほんせん)は、岐阜県岐阜市の岐阜駅から高山駅、猪谷駅を経て富山県富山市の富山駅に至る鉄道路線(地方交通線)である。岐阜駅 - 猪谷駅(富山市)間は東海旅客鉄道(JR東海)、猪谷駅 - 富山駅間は西日本旅客鉄道(JR西日本)の管轄となっている。高山線とも呼ばれる。
高山本線 | |||
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基本情報 | |||
国 | 日本 | ||
所在地 | 岐阜県、富山県 | ||
種類 | 普通鉄道(在来線・地方交通線) | ||
起点 | 岐阜駅 | ||
終点 | 富山駅 | ||
駅数 | 45駅 | ||
電報略号 | タヤホセ[1] | ||
路線記号 | CG(岐阜駅 - 猪谷駅間) | ||
開業 | 1920年11月1日 (高山線) 1927年9月1日 (飛越線) | ||
全通 | 1934年10月25日 | ||
所有者 | 東海旅客鉄道(岐阜駅 - 猪谷駅間) 西日本旅客鉄道(猪谷駅 - 富山駅間) | ||
運営者 | 上記各第1種鉄道事業者および 日本貨物鉄道(猪谷駅 - 富山駅間 第2種鉄道事業者) | ||
使用車両 | 使用車両の節を参照 | ||
路線諸元 | |||
路線距離 | 225.8 km | ||
軌間 | 1,067 mm(狭軌) | ||
線路数 | 全線単線 | ||
電化方式 | 全線非電化 | ||
閉塞方式 | 単線自動閉塞式、自動閉塞式(特殊) | ||
最高速度 | 110 km/h (普通列車95km/h) | ||
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概要
飛騨高地の山間を縫って岐阜市と富山市を結んでいるが、山間部あるいは盆地である岐阜県飛騨地方へのアクセス路線でもあり、下呂温泉や高山市、飛騨市への観光路線としての性格を持つ。岐阜駅 - 猪谷駅(構内を除く)間はJR東海の東海鉄道事業本部が、猪谷駅 - 富山駅間はJR西日本金沢支社の北陸広域鉄道部がそれぞれ管轄している。本州の「本線」では唯一、地方交通線に分類されている。
JRの前身である日本国有鉄道(国鉄)時代の1960年代に観光ブームにのって乗客が激増し[注 1]、貨物輸送も沿線の開発に伴って増加したため、1960年代後半に蒸気機関車牽引列車の廃止とともに列車行き違い設備の増設[注 2]や列車集中制御装置 (CTC) の導入[注 3]といった輸送近代化が行われ、列車の増発が可能になった[2]。国鉄分割民営化後は岐阜駅 - 高山駅間において行き違い可能駅で両開き分岐器(Y字ポイント)を110 km/hでの高速通過が可能な型に取り換えるなど、優等列車の高速運転が行えるように改良が行われている。
かつては電化計画もあった。1980年(昭和55年)5月6日の国鉄理事会で全線225.8 kmの電化計画が決定され、翌日、運輸大臣に認可が申請された[5]。18か所の変電所を設置し、全線を直流1500 Vで電化する計画で、投資額は約200億円、1985年度(昭和60年度)電化開業を目指していた[5]。1980年5月27日には高山駅構内で起工式が行われた[5]。電化時には当時中央西線の特急「しなの」に使用されていた車両と同じ381系直流特急用振り子車両の導入、および急行以下用は457系交直流急行形電車の再生産が計画されていたが、需要減や国鉄の財政逼迫から1985年頃までに電化計画そのものを取りやめ駅構内などの線路改良と高性能気動車の導入に転換した。なお、沿線に420本の架線柱が設置されていたが、通信専用線電柱に転用された。その結果、特急列車に関してはJR移行後の新型車両キハ85系の導入によって従来の特急形電車と同等に近い性能となり、高山以南の所要時間は電化された場合と遜色がなく、振子車両特有の揺れも無いのでキハ85系導入当初は好評であった。しかし、2008年(平成20年)には東海北陸自動車道が全線開通し、さらには2019年(令和元年)に高山市街地近くまで4車線化されたことにより、高速バス「ひだ高山号」との競争が激化している。
名古屋駅など東海道本線木曽川駅以南の各駅と、富山駅など北陸本線(現・あいの風とやま鉄道)福岡駅以東の各駅との距離は米原駅経由よりも高山本線経由の方が短い[注 4]。しかし東海道新幹線が米原駅を経由して開業し、あわせて北陸トンネルの開通をはじめ北陸本線の電化・複線化・高速化が行われ電車特急が頻発されるようになったため、所要時間や利用機会(列車本数)は北陸本線経由が優位である。ただし、高山本線の特急「ひだ」がキハ85系に置き換えられスピードアップを果たしてからは、名古屋駅 - 富山駅間の所要時間では米原経由の「しらさぎ」とほぼ同等にまでなった。なお2015年(平成27年)3月14日の北陸新幹線長野駅 - 金沢駅間開業以降は「しらさぎ」は金沢止まりとなり、富山へ行くには北陸新幹線あるいはIRいしかわ鉄道線・あいの風とやま鉄道線の列車に乗り換えなければならない。北陸本線の電化区間が富山駅まで達する前の1963年(昭和38年)までは、大阪方面からも距離は長くなるが岐阜駅で列車を乗り継ぎ高山本線を経由する方が富山駅までの所要時間が短いことがあった。
岐阜駅 - 鵜沼駅間では名古屋鉄道(名鉄)各務原線と並行している。同区間の距離における地方交通線の運賃表は200円区間を除き幹線と同一料率であり、名鉄より安い運賃になっている(2012年現在)。また岐阜駅 - 美濃太田駅間はIC乗車カード「TOICA」の利用エリアに含まれている。
2015年3月14日の北陸新幹線長野駅 - 金沢駅間開業により、(並行在来線)区間にあたる北陸本線金沢駅 - 直江津駅間はIRいしかわ鉄道・あいの風とやま鉄道・えちごトキめき鉄道の第三セクター鉄道3社に経営分離されたが、本路線のJR西日本区間については引き続き同社が運営している。このため、本路線のJR西日本区間は、大糸線のJR同社区間と共に、他のJR同社在来線と接続せず、新幹線・JR他社在来線のみに接続する路線となっている。新幹線の開業後、津幡駅 - 富山駅間の在来線には特急列車が設定されておらず、名古屋・岐阜と富山とを直接結ぶ列車は本路線の「ひだ」のみとなっている。
また、北陸新幹線延伸開業後は、東京 - 高山間の所要時間は「東京→(東海道新幹線)→名古屋→(ひだ)→高山」の経路と「東京→(北陸新幹線)→富山→(ひだ)→高山」の経路でほぼ同等となった。なお、富山駅は乗継割引の指定駅ではないため、北陸新幹線と「ひだ」を乗り継いでも特急料金などの割引は適用されない。そのため、名古屋経由の方が距離が長いにもかかわらず料金的には割安となる。一方、神奈川県内からは依然として名古屋経由の方が所要時間・運賃料金ともに有利である。
山間部が多いため、台風や大雨の影響を受けやすく土砂崩れや橋脚が流されるなどして長期間の運休も多発している。
路線データ
- 管轄・路線距離(営業キロ):全長225.8 km
- 東海旅客鉄道((第一種鉄道事業者)):
- 岐阜駅 - 猪谷駅間 189.2 km
- 西日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者):
- 猪谷駅 - 富山駅間 36.6 km
- 日本貨物鉄道((第二種鉄道事業者)):
- 猪谷駅 - 富山駅間 (36.6 km)
- 東海旅客鉄道((第一種鉄道事業者)):
- 軌間:1067 mm
- 駅数:45(起終点駅含む)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:なし(全線非電化)
- 閉塞方式:
- 岐阜駅 - 猪谷駅間 …単線自動閉塞式
- 猪谷駅 - 富山駅間 …自動閉塞式(特殊)
- 保安装置:
- (ATS-PT)(岐阜駅 - 猪谷駅間)
- (ATS-SW)(猪谷駅 - 富山駅間)
- 最高速度:
- 運転指令所:
- 岐阜駅 - 猪谷駅間 東海総合指令所
- 猪谷駅 - 富山駅間 金沢総合指令所(北陸広域鉄道部富山CTC)
- IC乗車カード対応区間:
沿線概況
停車場・施設・接続路線 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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美濃太田駅以西は木曽川、久々野駅以南は支流の飛騨川(飛騨金山駅以北の飛騨地方での別称は益田川)、高山盆地南端の飛騨一ノ宮駅以北は神通川の飛騨地方の呼称である宮川、猪谷駅以北は神通川といった川にほぼ沿って路線が通っており、峡谷部を中心に多数の鉄橋やトンネルがある。久々野駅 - 飛騨一ノ宮駅間の(宮峠)(宮トンネル)が分水嶺となっている。沿線には日本ラインや飛水峡、中山七里など名所も多い。なお、これらは飛騨木曽川国定公園に指定されている。
美濃太田駅以西は国道21号、それより高山駅・富山駅方面はおおむね国道41号のルートに沿っているが、飛騨細江駅(飛騨市) - 猪谷駅(富山市)間では国道41号が飛騨市古川町と同市神岡町の境の(数河峠)を越える越中東街道[注 5]沿いを通っているのに対し、高山本線は急勾配を避けるために宮川の流れに沿った越中西街道(国道471号・国道360号)沿いを通っている。
楡原駅 - 笹津駅間には、線路に面して白柵に囲われたスギがあるが、これは1947年に昭和天皇が戦後巡幸した際に植えたタテヤマスギである。後年、1958年10月に開催された富山国体、1969年5月に開催された全国植樹祭で富山県に行幸した際には、お召列車の車窓から自ら植えたスギを眺めている[10]。
昭和天皇御手植えの杉(楡原駅 - 笹津駅間)
運行形態
優等列車
名古屋駅 - 高山駅・飛騨古川駅・富山駅間および大阪駅 - 高山駅間に特急「ひだ」が運転されている。うち1往復の大阪駅 - 高山駅間の列車は岐阜駅 - 高山駅間で名古屋駅発着列車と連結運転を行っている。車両は2022年7月1日より運行開始されたHC85系[11]を使用している。(「ひだ」が特急化された1968年10月1日)から1990年3月9日まではキハ82系気動車が、1989年2月18日から2023年3月17日まで定期列車にはキハ85系気動車が使用されていた。
2001年9月30日までは、鵜沼駅 - 高山駅間では、名古屋鉄道神宮前駅からの特急「(北アルプス)」が1日1往復だけ運転されていた。「北アルプス」は一時期、富山駅までや、富山駅からさらに富山地方鉄道に乗り入れて立山駅まで運転されていたこともある。車両は1991年3月15日までは名鉄キハ8000系気動車、翌16日のダイヤ改正からは名鉄キハ8500系気動車が使用された。運行当初は準急として「たかやま」という列車名で運行された。
またかつては、名古屋駅発着の急行「(のりくら)」が1990年3月9日まで、大阪駅発着の「たかやま」[注 6]が1999年12月3日まで運転されていたほか、名古屋駅 - 高山駅 - 富山駅 - 金沢駅 - 名古屋駅間に循環急行(「しろがね」「こがね」)が1972年まで運転されていた。また越美南線(現在の長良川鉄道)北濃に直通する急行「(おくみの)」も運転されていたが、「おくみの」は1982年11月15日のダイヤ改正で廃止された。また、「のりくら」は1984年1月31日まで夜行列車でも運転されていた。
これらの急行列車は、キハ58系気動車で運行され、名古屋第一機関区(現在の名古屋車両区)と美濃太田機関区(現在の美濃太田車両区)所属の車両が使用された。その後には「のりくら」は名古屋車両区所属の車両のみで運行され、「たかやま」は向日町運転所(後の京都総合運転所、現在の(吹田総合車両所京都支所)[注 7])が受け持つようになった。晩年の「たかやま」にはアコモ改造(接客設備の改良)された専用車両が投入された。
なお、飯田線・関西本線・紀勢本線などと異なり、首都圏発着の定期優等列車が乗り入れたことはない。臨時列車でもきわめて少ない[注 8]。
地域輸送
普通列車はおおむね、美濃太田駅・高山駅・猪谷駅で運転系統が分かれている。国鉄時代から美濃太田駅 - 富山駅間、高山駅 - 富山駅間を通して走る列車も設定され、JR西日本のキハ120形が高山駅まで乗り入れていたが、2003年10月1日以後は猪谷駅を越えて直通運転を行う普通列車は設定されておらず、猪谷駅での接続が考慮されたダイヤとなっている。
過去には1991年3月から1997年10月まで岐阜駅 - 美濃太田駅間には、夜間に那加駅・各務ケ原駅・鵜沼駅に停車する快速(一部は太多線多治見駅直通)が存在した[注 9]。また、国鉄時代[注 10]から(2023年3月18日ダイヤ改正)前まで岐阜方面との高山発始発列車と高山行き最終列車は普通列車でありながら下呂駅 - 高山駅間は主要駅[注 11]のみに停車していた[18]。
そのほか、民営化前の1986年頃までは郵便車や荷物車が連結されて郵便荷物輸送も行われていた。1984年の神岡鉄道神岡線[17]及び1986年の長良川鉄道越美南線の第三セクター移管前は両路線との直通列車が存在した[19]。1982年頃までは普通列車でも東海道本線名古屋駅発着列車があり、富山発名古屋行きという列車も存在した[16]。
岐阜駅 - 美濃太田駅間
岐阜駅 - 美濃太田駅間は太多線の多治見駅までの直通列車もあり、沿線人口、利用客数ともに多い。美濃加茂市・各務原市から岐阜市および愛知県名古屋市への通勤・通学の重要路線でもあり、日中から夕方・夜にかけては1時間あたり2本(概ね30 - 40分間隔)運行されている。朝ラッシュ時の美濃太田駅 → 岐阜駅間のように1時間に4本運行されている時間帯もあり、高山本線内で最も列車密度の高い区間である。
岐阜駅から鵜沼駅までは名鉄各務原線が並走しており競合関係になっている。(2021年10月30日ダイヤ改正)以降、日中の本数は名鉄岐阜駅 - 三柿野駅(高山本線の最寄り駅は蘇原駅)間で1時間あたり4本あるものの、三柿野駅 - 新鵜沼駅間では2本となり高山本線と同等である。ただし高山本線は単線非電化であるものの、駅数やカーブが少ないことから所要時間では名鉄に比べて優位となることが多い。岐阜駅(名鉄岐阜駅) - 鵜沼駅(新鵜沼駅)間の運賃はJRの方が若干安い。特定運賃の設定はない。民営化後は線路の改良や車両の性能向上が行われたため国鉄時代より各駅の利用者数は増加しているが、2019年現在も名鉄の駅ほどには及んでいない。
鵜沼駅 - 美濃太田駅 - 太多線可児駅間は犬山駅や西可児駅などを経由する名鉄(犬山線・広見線)とは直接並行せず、太多線に入るまで木曽川を渡らず北へ迂回するものの、停車駅が少なく直通列車があるためJRがやや優位となっている。こちらの本数は名鉄(日中は1時間あたり4本。新鵜沼駅発着の犬山線列車を含む)の約半数である。なお岐阜駅(名鉄岐阜駅) - 可児駅(新可児駅)の運賃はJRの方が安い。また、岐阜駅 - 可児駅間では相互に振替輸送の取り扱いがある。
(2022年3月12日のダイヤ改正)で、岐阜駅発の美濃太田行き最終普通列車の発車時刻を19分繰り上げ、23時40分となった[20]。
美濃太田駅 - 猪谷駅間
美濃太田駅 - 下呂駅 - 高山駅 - 飛騨古川駅間では1 - 3時間に1本の割合で運行されている。ただし7 - 8時台の下呂駅 → 高山駅間では通学対応のため約15分間隔の運行もある[21]。2023年3月18日ダイヤ改正で下呂駅 - 高山駅間では早朝・深夜の普通列車(通過駅あり)を廃止する代わりに日中に1往復増発したため運行間隔が改善されたが[18]、飛騨古川駅 - 猪谷駅間は午後に4時間ほど運行されない時間帯がある。岐阜駅・美濃太田駅 - 下麻生駅・白川口駅・飛騨金山駅・下呂駅間および下呂駅 - 高山駅間、高山駅 - 飛騨古川駅・坂上駅間などには区間運転列車もある。
県立益田清風高校の始業式・終業式・定期試験の日には昼過ぎに飛騨萩原駅 → 下呂駅間に上りのみ臨時列車が運転されたが[注 12]、2023年3月18日のダイヤ改正で当該時間帯に普通列車が増発されたため[18]、発展的に解消された[22]。それ以外はさわやかウォーキングや沿線の祭りにあわせて、適宜臨時列車が運行される[注 13]。ただし深夜 - 未明時間帯については、飛騨一宮水無神社の初詣のため、2000年代後半まで高山駅 - 久々野駅間に臨時列車が運行されていたが、それ以降は運転されていない。
車両は、JR東海管内の岐阜駅 - 下呂駅間では前節の太多線直通列車を含め、全列車にトイレ付き車両を連結するキハ75形とキハ25形が運用されており、後者は転換クロスシートの0番台とオールロングシートの1000番台が混用されている。キハ75形はドアステップがないため、ホームの低い下呂駅以北には乗り入れず、下呂駅 - 猪谷駅間はキハ25形のみの運用となる。多くの列車でワンマン運転が行われているが、車掌が乗務する列車もある[注 14]。
JR東海管内においては2001年まで太多線と共にキハ58系気動車、2015年3月までキハ11形、2015年6月まではキハ40系もそれぞれ使用されていた。車両置き換えに伴い性能が向上しているが普通列車の運転最高速度は従来の95km/hのまま変わっていない。
猪谷駅 - 富山駅間
猪谷駅 - 富山駅間と越中八尾駅 - 富山駅間の普通列車がほぼ交互に運行されている。このほか、速星駅 - 富山駅間の普通列車も朝に1往復あったが2023年3月18日ダイヤ改正で廃止された[24]。
現在の運転間隔は、富山駅 - 越中八尾駅間で通勤時間帯(7時台の富山行きで4本など)を除き1 - 2時間に1本程度、越中八尾駅 - 猪谷駅では終日1 - 2時間に1本程度であるが、日中は約4時間運行間隔が開く。
毎年9月1日から4日の朝までは富山市八尾町で開催される「おわら風の盆」の観光客輸送のため、富山駅 - 越中八尾駅間では午後から深夜にかけて、金沢総合車両所富山支所の車両をフル活用し、約10分に1本の割合で快速列車または普通列車が運行される。2003年から2010年までは特急列車「おわら号」が北陸本線経由で関西・福井・金沢方面から直通運転していた。
車両はキハ120系気動車の2両編成ワンマン運転が基本である。2011年3月11日まで日本全国で最後のキハ58系気動車も運転されていた。
富山地区における社会実験
富山市が主体となって通年で行われている高山本線活性化事業の一環として、2006年から2011年までJR高山本線活性化社会実験を実施し、2006年10月21日から猪谷駅 - 富山駅間で第1期の社会実験として列車の増発が行われていた。この増発で、朝夕は越中八尾駅 - 富山駅間が上下毎時2本ずつ、猪谷駅 - 越中八尾駅間が上下毎時1本ずつ、日中でもほぼ上下毎時1本ずつ運転されていた。夜間については富山駅発23時台の上り列車も設定され、猪谷駅終着時刻が日付を跨ぐ形となった。なお2008年には時刻が繰り上げられ猪谷駅終着も当日中となったが[25]、2015年3月14日のダイヤ改正で富山駅発上り最終列車の時刻が繰り下げられ、猪谷駅終着が0時台となる列車が再び設定されている[26]。引き続いて第2期の社会実験として2008年3月15日から2011年3月11日まで速星駅 - 西富山駅間の富山イノベーションパーク隣接地に臨時駅として婦中鵜坂駅を設置して需要の掘り起こしをすることになった。第2期の実験では増発区間が越中八尾駅 - 富山駅間のみとなるが日中も上下毎時2本ずつの運転となった[27]。社会実験は2011年3月12日のダイヤ改正をもって終了し、日中の増発はなくなった。なお社会実験に合わせ開業した婦中鵜坂駅は2014年3月15日のダイヤ改正で常設化された[28]。
高山本線増発実験のロゴマーク
貨物列車
貨物列車は富山駅 - 速星駅間で運行されている。2019年3月改正時点では、速星駅発東海道本線川崎貨物駅行き、あいの風とやま鉄道線富山貨物駅発速星駅行きの高速貨物列車1日1往復である[29]。愛知機関区のDD200形ディーゼル機関車牽引で運行されている。西富山駅は現在も車扱貨物の臨時取扱駅となっているが、1996年3月16日以降は発着する貨物列車がない。
高山本線の貨物列車(2009年8月12日、西富山駅 - 婦中鵜坂駅間)
使用車両
全列車が気動車で運転されている。括弧内は所属車両基地である。
- 特急「ひだ」
- 普通列車
- 貨物列車
HC85系気動車
キハ25形気動車
キハ75形気動車
キハ120形気動車
過去の使用車両
- 蒸気機関車
- ディーゼル機関車
- 気動車
- キハ80系 - 特急「ひだ」(1968年10月1日より1990年3月9日まで定期運用[34]、臨時列車としては1994年のほか、特急「白鳥」の迂回運転実績あり)
- キハ85系 - 特急「ひだ」(1989年2月18日[35]から2023年3月17日[36]まで定期運用)
- キハ8000系(名古屋鉄道) - 準急・急行「たかやま」(神宮前 - 飛騨古川間)、急行・特急「北アルプス」(たかやま時代含め1965年8月5日より1991年3月15日まで)[37]
- キハ8500系(名古屋鉄道) - 特急「北アルプス」(1991年3月16日より2001年9月30日まで)[37]
- キハ58系(キハ57形・キハ65形を含む) - 急行「加越」(1963 - 1968年[注 15])「ひだ」「のりくら」「たかやま」(大阪 - 飛騨古川間)「こがね」「しろがね」「おくみの」など[38]や普通列車[39](JR東海管内は2001年まで。JR西日本管内は2011年3月11日まで)。改造車では1978年(昭和53年)に(キユニ28) 1 - 3が美濃太田機関区に配置された。
- キハ91系 - 急行「のりくら」(1973年7月20日より1976年9月3日まで)[40]
- キハ55系 - 急行「ひだ」「のりくら」「こがね」「しろがね」「おくみの」[38]、準急「ひだ」「こがね」「しろがね」など[38]や普通列車[41]
- キハ20系 - 普通列車[41](1980年頃まで)
- キハ10系 - 普通列車[41]
- キハ11形(JR東海美濃太田車両区) - 普通列車[39](1989年3月11日[42]より2015年3月13日[31]まで)
- キハ40系[39][30](JR東海美濃太田車両区)- 普通列車(1979年頃より2015年6月30日[43][44]まで)
特急「ひだ」で使われたキハ80系気動車
特急「ひだ」で使われたキハ85系気動車
急行「北アルプス」で使われた名鉄キハ8000系気動車
特急「北アルプス」で使われた名鉄キハ8500系気動車
キハ58系気動車 2011年3月11日まで運転
キハ82系特急「ひだ」とキハ91系急行「のりくら」
計画のみに終わった車両
歴史
概略
高山本線は南側は高山線、北側は飛越線として建設が進められた。高山線は1920年に岐阜駅 - 各務ケ原駅間が最初に開業したのち、飛騨小坂駅には1933年に達した。
飛越線は1927年に富山駅 - 越中八尾駅間が最初に開業。こちらも順次延伸され1933年に坂上駅に達した。残る飛騨小坂駅 - 高山駅 - 坂上駅間が開業し高山本線が全通したのは翌1934年である。
年表
高山線(岐阜駅 - 飛騨小坂駅間)
美濃太田駅前後を巡るルートについては、最初、衆議院鉄道建設委員会は立憲政友会側の意向により名古屋駅から直接北上して美濃太田駅を通るルートを想定していたが、その後憲政会からの圧力で岐阜駅を回るルートに変更した。このルートについてはその後、衆議院鉄道建設委員会が定めた太田回りのルートを支持した憲政会と関町(現:関市)を回るルートを支持した立憲政友会とが対立し、更には美濃電気軌道が関 - 太田間の建設案を持ち上げ、三つ巴の政治問題に発展した。結局は、1918年(大正7年)2月9日に衆議院において、高山線を美濃太田回りのルートで可決、同年3月1日には同案が貴族院を通過し正式に決定し、太田回りに落ち着いた[45]。
その後、名古屋 - 美濃太田間については(改正鉄道敷設法別表第72号)に「愛知県名古屋ヨリ岐阜県太田ニ至ル鉄道」として記載されたほか、1961年の(都市交通審議会第5号)でも「(1985年度までを目処に)国鉄高山線の名古屋直結に関しては水分橋[注 17] - 大曽根(中央本線)間に新線を建設し、かつ鵜沼 - 水分橋間の名古屋鉄道[注 18]を利用して高山線を大曽根に乗り入れさせる路線について検討すべきである。」と答申された[48]が、この路線は実現していない(未成線)。2001年までは鵜沼駅構内の名鉄犬山線との連絡線を介して、名鉄(新名古屋駅方面)から高山本線(鵜沼駅以東)へ直通運転していた特急「北アルプス」が存在したが、これも廃止されている。
- 1920年(大正9年)11月1日:高山線 岐阜駅 - 各務ケ原駅間(8.2 M≒13.2 km)が開業。長森駅・那加駅・各務ケ原駅が開業。
- 1921年(大正10年)11月12日:各務ケ原駅 - 美濃太田駅間(8.8 M≒14.16 km)が延伸開業。鵜沼駅・坂祝駅・美濃太田駅が開業。
- 1922年(大正11年)11月25日:美濃太田駅 - 下麻生駅間(6.5 M≒10.46 km)が延伸開業。古井駅・中川辺駅・下麻生駅が開業。 ウィキペディア、ウィキ、本、library、論文、読んだ、ダウンロード、自由、無料ダウンロード、mp3、video、mp4、3gp、 jpg、jpeg、gif、png、画像、音楽、歌、映画、本、ゲーム、ゲーム。