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醸造(じょうぞう)とは、発酵作用を利用してアルコール飲料(酒類)やその他の食品(主に液状の調味料)を製造すること。アルコール燃料などに転用する場合もある。
概要
醸造は、人類の歴史においては有史以前から現象として知られていた発酵を意図的に発生させることにより、利用されてきた。これらは産業として、あるいはプロトサイエンスのようなものとして科学(主に化学)分野の発生や発展で様々な影響を与えてきた。これらは他の発酵に関する産業と同様、経験的に工夫が凝らされ、現在に至るまで連綿と続いている。
その一方、醸造の生化学分野での研究が進むにつれて様々な応用技術も発展し、医学から食品の製造や加工(発酵食品/加工食品)に至るまで、様々な分野での利用が見られる。
アルコールの醸造
英語で醸造を意味する“brewing”とはビールの製造方法のことを指すが、日本酒やはちみつ酒、ワインについてもこの語が用いられる。また、化学的な混合の過程も含めることがある。
アルコール醸造は非常に古い歴史があり、この技術は古代エジプトで使われていたことが明らかになっている。シュメール人の書物には様々な種類のビールの製法が記載され、様々な種類の書物の中で最も古いものの一つである。
醸造業は西洋経済の大部分を占める。また、酒税は近代国家にとって大きな税収入源であったため、歴史の中には醸造関連を巡る様々な事件も見られる。醸造が酵母と発酵させる作物があるうえ、発酵に適した条件さえ整えてやれば誰でも醸造が可能であったことから密造酒を作る者は後を絶たず、この酒と酒税にまつわる攻防も注目すべき事件や事象をしばしば惹起した。この中から微生物に関する研究も始まり、後年の微生物学の発達では産業としての醸造が与えた影響も大きい((雑菌#発酵産業と雑菌)を参照)。
20世紀に入るとオイルショックなどの石油に依存した社会が被った打撃もあり、穀物などから燃料としての醸造アルコール(バイオマスエタノール)を作り、これを燃料とするなどの模索が見られ、21世紀に入っては燃料電池の燃料として利用することで電源としての利用も期待されるなど、アルコール醸造は古くて最先端のバイオテクノロジー分野として注目を集める。
調味料の醸造
醤油や味噌、あるいは魚醤などは、醸造過程で蛋白質を分解させて風味を決定するアミノ酸を得る。こういった発酵食品は経験的に作られ、利用されてきた。その発祥が不明なほどに古くから行われてきたその初期には、保存食を作ろうとしての何らかの失敗(およびセレンディピティの発揮)があるものとも考えられる。
醸造法
醸造法には、ワインのように果汁に酵母を添加して発酵・熟成させる直接醸造法と、清酒やビールのように原料となる米や麦芽を一度糖化させてから発酵させる糖化醸造法がある。