待っていた用心棒(まっていたようじんぼう)は、NETテレビ(現・テレビ朝日)系列にて1968年1月29日から7月22日まで毎週月曜夜8時からの1時間枠で放映された結束信二原作・脚本による東映京都テレビプロ制作のテレビ時代劇。全26話。
概要
結束信二による『用心棒シリーズ』の第2作目。主演の野良犬役には、昭和の怪優として有名な伊藤雄之助。前作『俺は用心棒』の主役を務めた栗塚旭は松竹制作の作品[1]に関わっていたため、今作では起用されていないが、次作『帰って来た用心棒』で復帰。結束作品の主演を飾らなかったのは今作のみである。その他の出演者は、結束作品の常連である島田順司(捨て犬)、左右田一平(品田万平)に加え、高橋俊行が狂犬と名乗る浪人役で登場する。
結束作品では比較的、好青年な役を演じてきた島田順司が、「気性の荒い用心棒」という、印象の異なるキャラクターを演じている。
野良犬の性格設定は、第1話と第2話で異なっている。それ以降の話数でも、性格が違う事が多い。近藤ゆたか編「蔵出し 絶品TV時代劇」にある坂井由人の文によれば、スポンサーサイドからの「気が弱くて優しい主人公では、シリーズのイメージが狂う」とのクレームにより、当初撮影された第2話を後に放送し、第1話を急遽制作したとの事である(坂井は第1・2話を急遽作ったと記しているが、実際の作品では、第2話の野良犬はやや頼りない性格になっている)。そして、クレーム後の野良犬は、歯をむき出しにし、荒々しい言動を見せる事が多くなった。伊藤はこのクレームに憤慨し、番組の早期の終了を望んだという。
伊藤降板後の第19・25・26話には、若山富三郎が夏山大吉郎(外道)という浪人役で出演。顔に大きな傷があり、「逆手斬り」を駆使する“目が見える座頭市”といった風情で、事実上、野良犬の代理であった。最終回となる第26話では、洒落の利いた台詞を言っている[2]。
数回登場した青木与兵ヱ((香月凉二))と十吉(西田良)は、次作『帰って来た用心棒』にも引き続き登場している。ここから、今作と次作は登場人物に違いはあれど、繋がりがあるとみることもできるが、真偽は定かではない。
ちなみにタイトルに"用心棒シリーズ"と銘打たれるのは今作からである。
作品内容
時は動乱渦巻く、幕末。時世の流れに翻弄され、虐げられた弱者のために、四人の浪人が悪を討つ。
キャスト
スタッフ
- 制作:NET、東映京都テレビプロ
- プロデューサー:上月信二(NET)、田村嘉(東映)
- 原作 / 脚本:結束信二
- 監督:
- 音楽:渡辺岳夫
- 撮影:柾木兵一、羽田辰治、木村誠司、森常次
- 照明:佐々木政一、藤井光春、谷川忠雄
- 録音:三船良男、草川石文
- 美術:塚本隆治、角井博
- 記録:桧垣久恵、藤原凪子、斉藤靖子、野崎八重子
- 編集:細谷修三、戸川博
- 衣裳:上野徳三郎
- 美粧:堤野正直
- 結髪:森井春江、浜崎喜美江
- 装飾:関西美工
- 装置:西川春樹、木崎義夫
- 助監督:古市真也、岡本静夫、福井司、曽根勇
- 擬斗:上野隆三(東映剣会)
- 現像:東洋現像所
- 進行主任:丸本晃
- 進行:水上輝雄
- ナレーター:左右田一平
- 主題歌:「おとこ独り」(テイチクレコード)、作詞:結束信二、作曲:渡辺岳夫、唄:フォー・コインズ
- 挿入歌:「野良犬がゆく」(テイチクレコード)、作詞:いけた純、作曲:渡辺岳夫、唄:フォー・コインズ
放映リスト
話数 | サブタイトル | 放映日 | ゲスト出演者 |
---|---|---|---|
1 | 剣を抱いた 十人の客 | 1968年 1月29日 | 中野誠也、佐々木愛、(今野秀晴)、柴田美保子、(由利京子)、月形哲之介、平沢彰、三木豊 |
2 | 町の中の野火 | 2月5日 | 磯村みどり、大川栄子、(林浩久)、(浜崎満)、(梅井茂子)、藤崎照彦、福山象三、高松錦之助 |
3 | 吹きだまりの月 | 2月12日 | (河村有紀)、植村謙二郎、本郷秀雄、(武周暢)、高橋正夫、保科三良、(寺下貞信)、(林昌子) |
4 | 暗殺 | 2月19日 | (伊吹友木子)、(賀川浩)、(坂倉春江)、飯沼慧、田畑猛雄、(不破潤)、(梶川武利)、坂本和子、(千葉保) |
5 | 湯島裏の女 | 2月26日 | 三原有美子、穂高稔、山口幸生、小柴幹治、(藤山喜子)、出水憲司、(高並功)、富永佳代子 |
6 | 冷えた燗酒 | 3月4日 | 坂口祐三郎、(日野麻子)、宮土尚治、嘉手納清美、(早川恭二)、永田光男、(酒井哲)、森章二 |
7 | 志士になる日 | 3月11日 | (山岸映子)、(大丸二郎)、清川新吾、(海老江寛)、西山辰夫、(鈴木金哉)、東竜子、川谷拓三 |
8 | 雪あかり | 3月18日 | 花園ひろみ、外山高士、宗近晴見、水上竜子、(浜崎憲三)、(真木祥次郎)、北見唯一 |
9 | 関所越え | 3月25日 | (桂麻紀)、(水木達夫)、穂積隆信、吉田義夫、田口計、(北原将光)、(野崎善彦)、(藤原勝)、福本清三 |
10 | 天神さまの細道 | 4月1日 | 稲垣美穂子、片山明彦、高津住男、原健策、国田栄弥、山岡徹也、(藤沢宏)、(辻田佳子) |
11 | 襲撃七条河原 | 4月8日 | 長谷川明男、葉山葉子、北竜二、西山嘉孝、(国一太郎)、嵐冠十郎、(国見康子)、(寺田幸子) |
12 | 西から来た侍 | 4月15日 | 伊藤栄子、楠年明、鮎川十糸子、波田久夫、新屋英子、(楠義孝)、志摩靖彦、(前川良三) |
13 | 祇園に斬る | 4月22日 | (小谷悦子)、国景子、(天王寺虎之助)、山本弘、(千原万紀子)、(田中直行)、平沢彰、唐沢民賢 |
14 | 仇の名は | 4月29日 | (沢宏美)、石浜朗、(山村弘三)、(林浩久)、(岡高史) |
15 | 糺の森七ツ半 | 5月6日 | (林昌子)、(不破潤)、藤田佳子、高松錦之助、波多野博 |
16 | 刺客の条件 | 5月13日 | 亀井光代、高峰圭二、永田光男、(春丘典子)、寺下貞信、(宅和享二)、(高崎継義)、田中弘史 |
17 | 淀の川風 | 5月20日 | (加賀ちかこ)、成田次穂、田畑猛雄、(河上一夫)、(沢淑子)、北原将光、川谷拓三、笹木俊志 |
18 | 潮騒の彼方から | 5月27日 | 徳大寺伸、金井由美、富田浩太郎、海老江寛、藤崎照彦、西山辰夫、川浪公次郎 |
19 | 同志たちの夜 | 6月3日 | 日野麻子、山根久幸、島田太郎、玉生司郎、出水憲司、(加治春雄)、滝譲二、(福本勝)、(春川純) |
20 | 遠い国からの客 | 6月10日 | 長谷川明男、(加藤勢津子)、菅原文太、和田一壮、滝恵一、(高村俊郎)、下元年世、小峰一男 |
21 | 宿場の夜霧 | 6月17日 | 葉山葉子、中田博久、小林勝彦、上田忠好、早川研吉、宮土尚治、賀川浩、(小川孝)、森章二 |
22 | 紅殻格子 | 6月24日 | 桜町弘子、田中春男、(国富論)、(萩清二)、(今沢昭信)、丸平峰子、由利京子、(荒田康代) |
23 | 花嫁御寮の夢 | 7月1日 | (岩村百合子)、(加賀爪清和)、中原早苗、穂高稔、波田久夫、汐路章、(南昌吉)、(道井恵美子) |
24 | 狙撃者たち | 7月8日 | 月形龍之介、河原崎長一郎、(長谷川澄子)、山岡徹也、田中直行、(小倉康子)、(端田宏三) |
25 | ただ一人の女 | 7月15日 | 花園ひろみ、坂口祐三郎、外山高士、柴田美保子、今野秀晴、阿木五郎、賀川泰三、(邦保) |
26 | 山なみの彼方へ | 7月22日 | (一ノ木真弓)、藤岡重慶、高橋正夫、市村昌治、仁内達之、(新宮寺寛)、平沢彰、(大月正太郎) |
再放送
- CS放送
- 2002年11月 - 2003年2月 (東映チャンネル)
- 2007年11月 - 12月 (時代劇専門チャンネル)
- 2008年7月 - 8月 (時代劇専門チャンネル)
- 2016年7月 - 10月 (東映チャンネル)
ネット配信
- 2022年9月1日より、YouTube「東映時代劇YouTube」の「据置枠」で第1・2話が無料配信されている。