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広告

広告(こうこく、: advertising)は、不特定多数の人々を対象に、商品、サービス、アイデアなどの存在、特徴、有意性を知らせ、対象の行動を変更させることを目的として、広告主が料金を支払って行うコミュニケーションである[2]。広告は広告媒体を通じて行われる。

三越の前身、ゑちご屋のチラシ
中国の宋朝に作られた歴史上初の広告銅版画版[1]

広告には、企業の広告目的の遂行以外に、消費者または利用者の満足化[3]、新しいモノや考え方・アイデアとの出会い、さらには社会的・経済的福祉の増大化などの機能がある[3]。多くの人々の価値観に影響を与え、長期に社会的文化的な影響を与える場合もあることから、様々な規制(自主規制を含む)を受けている。企業の他に、非営利機関、個人などが広告主となる場合もある。

概要

一般に広告とされるものは、テレビコマーシャルチラシの拡散といった、メディアを介した宣伝活動に代表される。しかし、大衆社会では効果的な商品陳列から式典で鳩を放つといった象徴的行為まで、特定の事象を強調する存在は、媒介手段に因らず一定の文脈下では結果的に全て広告たり得る[4]。そのため、広告とそうでないものを分類する基準は物質的なものではなく、宣伝する意図性の有無が基準となる[4]。この意図性は広告の送り手が実際に意図を持つことを分析者が考察の中に入れる、という意味や、広告の受け手が「送り手の意図を推察」しながら広告を受け取る、という社会的なコミュニケーションのダイナミクスが広告にはある。

広告であるためには以下の3条件が整っていなければならないというのが米国流に見た広告の定義である。アメリカマーケティング協会やアメリカの多くの研究者の定義を踏まえて定義づけたものがある。

  1. 管理可能な広告媒体(広告主が宣伝しようとする場合、新聞記事やテレビ番組に取り上げてもらう管理不可能なパブリシティと区別するためである)
  2. 非人的メッセージ
  3. 明示された広告主 (advertiser) が行う

広告物(advertisement)は、紙や画像、映像、Webページ上の造形表現物のことであり、活動であるかどうか、社会に実際流されたものかどうか、といった点で、広告(advertising)とは、異なる概念である。一見、日本語の広告は英語の advertising と対応すると考えられがちであるが、ゆるキャラ、企業のパブリシティが記事や番組になったもの、冠イベント、ロゴマークをバックにした記者会見、自社サイトなど、英語の advertising や、その直訳のマーケティングの定義する広告には当てはまらないものが、日常使われる日本語の「広告」という言葉によって指し示されることが多い。日本語の広告が英語の advertising よりも意味が広く指し示すことが幅広いことに留意が必要である[5][6][7]

非人的メッセージという点においても、インスタグラマー等のインフルエンサーをどう捉えるか、現代の状況との間で議論の余地がある。

明示されていない広告主をもってプロパガンダとしたり、政治宣伝はプロパガンダ、アドバタイジングは商業広告と区別して扱う考え方もあるが、その区別は実は容易ではない。

広告はマーケティングの手段、一部分と捉える向きもあるが、マーケティングが企業活動として体系化して考えられてから100年ほどであるのに対して、広告の実践・歴史の方が明らかに長い。経済学の祖、アダムスミスの時代よりもウエッジウッドの新聞広告は古い。言いかえれば、近年において「広告は経済活動」と見なされることが多くなり、さらに20世紀に「マーケティング認識」がなされる。一方で「美学」「デザイン学」「コミュニケーション研究」等の広告認識もある。

大手広告代理業で最古のものは1864年創業のジェイ・ウォルター・トンプソン(JWT)と言われている[8]

歴史

エジプト人はパピルスを使用してポスターと宣伝文句を作成していた[9]。紀元前11 - 7世紀頃の中国では、竹の笛で菓子を買う子供たちを呼んでいる様子が詩経に書かれている。

広告取引の仕組み

広告を出したい。と考えている者が広告主として、放送事業者新聞社出版社パブリッシャーなど、最終的に接触する多数の人を持つ「媒体社」からスペースや時間枠、あるいはより一般的には広告チャンスを購入し、メディア特性に合わせて制作した「広告メッセージ」を出稿・配信し、「公衆(特定不特定は関係ない)」あるいは受け手(オーディエンス)に伝達する。その行為の対価として広告主は、「媒体社」等の組織、企業に広告費を支払う。

広告主となる企業が数多く、「媒体社」も種類が多く、適切な広告活動は難しいことがあるため、広告主とメディア双方から手続きの権限を委ねられ、仲立ちをすることから発生したのが広告代理業である。

ただし21世紀に一般化したグーグルの「検索連動型広告」も「内容連動型広告」も、ソーシャルネットワークサービスLINEなどに挿入されるアプリの中の「記事体広告」も、従来からの説明では充分に記述で来ていない。しかしこれらは「広告収益を基本とするビジネスモデル」の世界的な「巨大企業」を成立させ、20世紀までの「広告取引の仕組み」とは異なる論理で広告展開がなされているといえる。 また、アフィリエイトと呼ばれるネット広告の仕組みでは、ブログの書き手である一般の個人が広告収入を得る。これは従来の受け手が媒体を保有し、事業にしていることになり、従来の説明をあてはめにくい。

ネット広告においては、2010年ごろからこれらの取引や発信をネットワーク化、自動化、リアルタイム化することが始まり、広告主自らがデータマネジメントシステムをもとに広告を配信できる一方で、従来からの説明にない中間業者も多数生まれ、戦略コンサル、ITコンサル等の他業界からの参入も増え、業界、取引の構造が激変し未だ新たな秩序形成に向かう過渡期と認識する向きが多い。

このような変化の状況下、いまだ「現在の広告業界を俯瞰的に説明する枠組み」はできていない。

世界の広告

世界最大の広告大国はアメリカであり(総広告費は日本の4〜5倍)、次いで日本である。イギリス、フランス、ドイツが続くが、総広告費は日本の半分である。文化大革命で抑えられていた中国は今急激に追い上げている。アメリカではGDPに対する総広告費の割合が2パーセントであり、国土の広さと使用言語の多さが日本の倍にしている。 多くの大学で広告が研究され、広告学部や広告学科なども存在する。 広告それ自体は、世界でそう変わるものではないが、広告関連企業は日本と世界で大きく異なり、いわゆるメガ・エージェンシーと呼ばれるもの(特に上位4つ)が非常に大きい位置を占めている。機能別に細かく分かれる大小さまざまな代理業が一つのグループを組んでいる。結果、巨大な企業グループが世界には存在することとなる。無数の代理業が集合して巨大グループとなる背景には、合併や統合が相次いでいたこと、「一業種一社制」という業界慣習(日本では機能していない)があることが背景と考えられる。つまり、ある代理業がある自動車会社をクライアントとしたなら、ライバル企業の広告には関われない。よって、規模の利益を追求すればグループ化、ということになるのである。

世界の主なメガ・エージェンシー(4大メガ・エージェンシー)

  • WPPグループ (WPP Group)
  • オムニコム・グループ (Omnicom Group)
  • インターパブリック・グループ (Interpublic Group of Companies)
  • ピュブリシス・グループ (Publicis)

2010年代、主要先進国ではインターネット広告が伝統的なマス広告の代表であるテレビ広告を、金額的に凌駕するレベルにまで成長・拡大した。この業界変化の中で、コンサルティング業界からのネット広告への参入が果たされた。伝統的にコンサルティング業界には「一業種一社制」という概念はないために、たとえば、アクセンチュアは同業の自動車、通信、金融などのグローバル広告主を複数扱っている。 つまり、現在の広告業界はネット広告の伸長によって異なる業界からの異なる論理を持っての参入が生じ、取引の構造やルールが激変し、この点でも未だ大きな変化の過渡期と認識する向きが多い。

広告の産業規模

第二次世界大戦中の広告費

大日本帝国では1942年に『広告税法』が施行されており、新聞、雑誌、書籍など出版物による広告には10%の広告税が課されていた。その他、(立看板)、(掛看板)、、(建植看板)、野立看板、(額面広告)、チラシにもそれぞれ税率が定められていたので、広告費は当時の広告税の税収額から推測できる。ただし宗教法人大蔵大臣から『公事に関する団体』の指定を受けた大政翼賛会など非課税とされていた団体もある[10]。また国外では樺太関東州朝鮮台湾にそれぞれ広告税法が施行されていた。

これらの法律は1946年、連合国軍占領下の日本で廃止された。

現代日本の広告費

日本の広告費は、経済産業省の特定サービス産業動態統計や、電通の発表資料でみることができる。

2004年の広告費は、特定サービス産業動態統計では5兆4,684億円、電通資料では5兆8,571億円となっており、概ね5兆円後半程度と思われる(特定サービス産業動態統計は額ベースで全国の7割超の事業所をカバー。電通資料は自社取引に推計を加えたものとなっている。双方のカバー率及び推計に違いがあるため、値には差がある。一般的にニュース等で広告費として取り上げられるのは電通資料の値)。傾向として、主要四媒体広告(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)はテレビ以外は低迷、その他の広告では、インターネット広告(サーチエンジン連動型広告)が大きく伸び、2019年ついにテレビ広告を抜いたことがあげられる。

GoogleやFacebook等のSNSが、個人商店や小規模の事業にとって簡単に広告可能なメディアとなり、いわゆる「日本の広告費」の範囲外となる部分が大きく認識されるようになってきた。Googleに限ってみても、親会社アルファベットの売り上げには中華人民共和国での活動がないから、世界のGDP比で考えても1兆円前後の売り上げをGoogleは日本で上げていることになる。これは上記のインターネット広告推計値の「外数」であると考えるべきこととなる。

企業によっては年間1,000億円以上の広告宣伝費を支出しており、特に自動車メーカー、トイレタリー、大規模小売業チェーン、医薬品などの広告宣伝費は大きい[11]

広告媒体

通常、広告主(アドバタイザー、クライアント)と媒体(メディア)の間に、媒体から権限を委ねられた広告代理業が介在し、広告主は広告代理業に対して料金などの交渉を行うことになる。広告媒体にはマスコミ四媒体と他の媒体がある。

 
1938年昭和13年)の雑誌広告
 
新宿区街頭の広告
 
すすきののネオンサイン
 
鉄道車両に施された広告の例
 
駅のホームの広告
 
JR北海道釧路支社の広告ラッピングバス(くしろバス
 
GLAYのラッピングが施されたボーイング747日本航空
 
プラハマラソンのコースにて
 
バレーボールの試合のフロア広告
 
放送局名ロゴ付きのマイク

マスコミ四媒体

五大テレビ局が大手のラジオ・新聞・出版社も経営するといったクロスオーナーシップについて大きな規制は行われていない。国際連合は2017年に法学者ディビッド・ケイを指名して特別調査を行い、そのことが情報市場への参加者数を制限していることを指摘した(『言論及び表現の自由の権利の促進・保護」に関する特別報告者訪日報告書』[12]

他の媒体

テレビ受像機と外部接続を行う、ホームターミナルあるいはセットトップボックス(STB)はブロードバンドサービスとの接続で、広告を含めたコンテンツを展開していた。その後サブスクリプション(定額支払い・見放題)サービス、クラウド、オンデマンド視聴などが可能となり、動画配信サービスが世界的に一般化し、それらの中にも広告が表示され、動画広告も配信されている。

屋外広告

屋外広告は常時または一定期間、屋外で公衆に表示される看板類をいう。屋外広告物法建築基準法道路交通法や条例などにより制限がある。交通広告やバスシェルター (Street Furniture)、POP広告などを含めた媒体をOOH media (w:Out-of-home advertising)という。屋外広告の効果測定指標として、「DEC (Daily Effective Circulation) =1日の有効通行量」やVAI(Visibility Adjusted Indices)、EOI(Eyes On Impressions)といった「視認者推定モデル」があり[13]イギリスでは業界団体の「POSTAR」、アメリカではTAB (Traffic Audit Bureau) が策定、管理している。その他に「ショーイング」という媒体購入指標がある。これは、アメリカのように同時に何十基、何百基ものポスターボードをネットワーク掲出している場合の広告取引指標で、居住者1ヶ月の接触率であり、居住者全員への接触を狙えば100ショウーイング、半分を狙えば50ショーイングという[14][要出典]。日本のポスターボードは単体で取引される場合が殆どである[14]

屋外広告の種類
  • 大型映像ボード : 電光掲示板とも呼ばれ、その多くはLEDによる大画面ビジョンである。
  • デジタルサイネージ : デジタル映像パネルで、駅構内やショッピングモールなどに設置されている。
  • 電柱広告 : コミュニティの情報源になる。特に住所を知るのに便利。
  • (消火栓広告):公道上に掲出できる数少ない広告。消火栓標識の下が広告スペースとなっており、防災活動への協賛で地元へのイメージアップにつながる。
  • リトファスゾイレ : 広告掲出専用の柱を街中に建てる。
  • ネオンサイン (Spectaculars) : 繁華街のビルの屋上や壁面などに設置されている。
  • ビルボード (billboard) : 都市部のビルやマンションなどの屋上や壁面に設置された大型の看板をいう。近年のデジタル技術の利用によって、複数のボードを組み合わせてシンクロ、連動させるもの、3D(立体映像)を生成させるもの、カメラでリアルタイムに歩道上の人を写してそれを映すもの、など多様な使われ方の事例がある。
  • ポスターボード (Poster Panels) : 主に街路に設ける看板のこと。アメリカでは1本のポールで支える30シートポスターと8シートポスター、大型のペイントブレティンなどがある。野立て看板は鉄道や幹線道路沿線の田畑に設置されるもの、駅構内に設置されているものは交通広告に入る。
  • 野球場サッカー場などの施設広告はOOHになる。

交通広告

交通広告 (Transit Advertising) とは列車・バスの車内外、航空機・船舶など公共交通機関に掲出される広告を言う。日本では駅・空港・バス停など公共交通機関の付帯施設に掲出されるものも含めて交通広告という場合が多い[15]。日本やスイスのように鉄道網が発達している国ではこの比率が高い。

動く媒体

  • チンドン屋人間広告塔サンドイッチマンなど)
  • 聖火ランナーオリンピック大会への多くの人の関心を喚起し、気分を盛り上げる事前告知(ティーザー)的な広告である。
  • ヘリ飛行船広告
  • スカイバナー広告:ヘリコプターから状の広告をつり下げて飛行するもの。1994年にニュージーランドのスカイバナーズ社が開発。日本においては2001年夏期にコニカが神奈川県の横浜港で実施。軽飛行機の後部に吊り下げ、飛行中は水平に表示されるものもある。
  • スカイライティング (skywriting):飛行機雲を利用してメッセージを空に描く。日本においては1989年2005年の夏期に大塚製薬ポカリスエットの広告を実施。
  • 自動車や小型飛行機から拡声器を使った連呼。
  • アドボード・カー、アドボード・バイク:トラックオートバイを改造して、荷台の部分に大型の広告スペースを設置した車両((宣伝カー))を、人通りの多い繁華街に走らせる。
  • アドバルーン
  • ドローン精密なドローン位置のコントロールにより、数百の光源の付いたドローンを夜間、空中に飛ばしてカタチを生成する。東京2020オリンピックの開閉会イベント時に使用された。

その他のSP関連媒体

ニューメディア

広告関連の統計では地上波テレビから区分され、「ニューメディア」という項目になっている。1999年に媒体別広告費でインターネット広告に抜かれた[要出典]

インターネット広告あるいはウェブ広告

インターネットも英語では(広告の)ニューメディアであるが、カタカナ日本語ではそうではないのでインターネット広告は分けて以下に掲げる。

ダイレクト・メール広告

DM広告、あて名広告等ともいわれる。郵便、メール便、電子メール、FAX等を通じて直接個人宛に広告が送信される。地域・性別・年齢・職業・趣味などの特性に従って特定個人に広告訴求でき、テレビ・ラジオなどの放送日、新聞・雑誌の発行日などに左右されず広告主の都合により広告が実施できるという特徴がある。ダイレクト・メール広告の送信にあたっては効果的に行うため広告訴求対象リストが作成されている[15]。20世紀に確立したメールとそのマネジメントの仕組みを「ダイレクトマーケティング」と呼ぶが、その骨子は一対一(英語ではワン・トゥ・ワン)のコミュニケーションによる行動誘発の統計的・通時的なマネジメントである。インターネットの一般化により、ターゲットの購買行動をオンラインで即時に促す(俗に言う「刈り取り型」、CTA広告:コール・トゥ・アクション、行動誘発型広告)広告が盛んになり、21世紀のB2Cの隆盛につながったが、これは「ダイレクトマーケティング」のネット適用である。

ネーミングとロゴマーク

マーケティング研究や経営学、また会計学ではブランド論が1990年代以降大きく発展したが、その基底には、そもそもどのような言葉を企業や商品に名付けるのか、という1980年代以前からの「ネーミング」という実践領域があった。加えて、コーポレートアイデンティティが実践領域となるとそのデザインも含めて、従来からのロゴマークと呼ばれた作業領域も拡大した。いずれもその意図、効果から見て広義には広告である。

ネーミングライツ(命名権)

21世紀になって、官公庁所有施設・鉄道(駅名)・競技場など、多くの人に知られたり利用される施設の命名権を販売・取得する行為が一般に観察されるようになった。これらの行為は、その意図・行動・効果などの面からまさしく広告と言える[16][17]

スポンサーシップ

ネーミングライツは、1950年代以降の民放テレビ放送の「番組スポンサー」の拡大版と解される。むろん、権力者や富裕層の文化支援(パトロン、メセナ)は、洋の東西を問わず歴史的に存在する。日本における皇室の伝統工芸作家への発注も文化支援であるし、文化・スポーツに対するスポンサードやサポートはその現代版と言える。ただ、広告から見れば、冠イベントの類、プロスポーツのユニフォーム、ゴルフの大会などのスポンサーシップは、民放ビジネス、あるいは「特番セールス」という広告(発想と取引)の拡大であり派生である。

トリプルメディア

ネット、SNSの一般化に伴い、従来からの「有料の媒体」といった視野では、マネジメントの対象としても、現象の理解としても、広告が捉えきれなくなってきた。そこで、従来の「支払ったメディア(ペイドメディア、paid media)」に加えて、自社の公式サイトや自社発信の投稿のSNS記事などの「所有するメディア(オウンドメディア、owned media)」、いわゆるクチコミである「獲得したメディア(アーンドメディア、earned media)」の3つのメディアを有機的に連携しマネジメントしたり、マーケティングコミュニケーションの基本として認識することが国際的に提唱されている[18]。 その後、「獲得したメディア(アーンドメディア、earned media)」の中にも「マスメディア露出」と「消費者・生活者による口コミ・拡散」は2つに分けて考えるべきではないか、という考え方が出てきて、「消費者/生活者による口コミ・拡散」はShareされたメディアなので、Shared Mediaと呼べば、その頭文字4つをPESOと呼ぶことが広告業界で唱えられた。 このネット上のクチコミを踏まえたメディア認識の拡大は、インフルエンサー投げ銭リツイートする人々もまたメディアである、という広告の定義の現代化である。

広告コンテンツ

従来からの広告論が、その産業界の構造に準じて「広告メディア」の分類から広告を理解しようとしていた。このページの項目建てもその流れにある。しかしながら、ネットの一般化によって、必ずしもメディアを中心に広告を分類、認識することが適切ではない場合も増えてきた。本質的に「広告コンテンツ」つまり「広告のメッセージ」と「演出要素」をこのページでも章立てしていく必要性がある。その場合の項目には「デザイン」「(コピーライティング)(キャッチコピー)」「動画」「画像」「デジタルコンテンツ」「タレント」「音楽コマーシャルソング)」「その他の広告コンテンツ」「レコメンデーション機能」また「イベント」「スポンサード」などが考えられ、それらの知識を持つ者から適切に記述され、整理されることが期待されている[19]

広告の規制

広告の内容については、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)や医薬品医療機器等法などの法令、業界の公正競争規約などで規制されるほか、各メディアで独自の広告掲載基準を持っており[20]、表現が基準に合わない場合には修正を要請されたり、場合によっては掲載を拒否されることもある。しかし、掲載基準の運用は全体的に甘いため、誇大表現の広告が後を絶たず、特に不動産業貸金業(中でもスポーツ新聞夕刊紙などで広告している、トイチと呼ばれる登録間もない(サラ金業者))など社会問題を引き起こしている業種も存在する。そのほか、屋外広告物法のような規制も存在する。

また「広告」とは分からないような記事、あるいは明示しないコンテンツを装う「ステルスマーケティング」は、WOMマーケティング協議会(WOMJ)が2009年頃から自主規制し、消費者庁は2011年頃から不適切な広告実践として違法化している。成功報酬型広告アフィリエイト)についても不適切な実践が多い。

業種に対する規制

上述のとおり第二次世界大戦中は(広告税)が存在したが内容についての規制ではなかった。

現代の日本では、法令や自主基準などによる、特定の業種に対する広告の規制もある。医療機関、医業等(病院診療所など)の広告は医療法第69条で規制されてきたが(診療科目や診療時間・休診日、住所、電話番号、地図程度しか出せなかった)、2001年に規制が一部緩和された(医師名、所属学会ホームページURLなど)。

弁護士法律事務所の広告も、統括組織である日本弁護士連合会(日弁連)の方針で規制されていたが、2000年10月より撤廃された。主に債務整理破産手続等を担当する法律事務所を中心に、一般に対する広告が目立つようになった。かつては銀行など個々の金融機関の広告も規制されていたが、撤廃されている。

一方、タバコの広告は、1990年代以降、財務省令などで規制が強化された。法規制ではない自主規制では、アルコール飲料(酒類)や貸金業などの広告がある。特に貸金業の広告は、一般紙や放送メディアでは条件が厳しくなっているか、断られる場合も多い。

広告論と広告学科

広告を学問として研究教育している「広告学」や「広告論」があり、欧米アジア諸国では大学に「広告学部」や「広告学科」が、また、大学院に「広告研究科」が置かれ、広告論やマーケティング・コミュニケーション論、広告媒体論、広告クリエイティブ論、広告心理学、広告調査論(効果測定)などを体系的に研究・教育を行っている。

アメリカでは1901年にノースウェスタン大学でW.D.スコット博士が「広告心理学」の講座を開講し、その後「広告学科」が設置され、今日15以上の大学に広告学科があり、10以上の大学に広告専攻の大学院博士課程がある。中国では1983年に最初の広告学科がアモイ大学に置かれ、1993年に大学院に広告専攻が出来、今日北京大学をはじめ200以上の大学に広告学部や広告学科があり、広告の研究が盛んである。台湾では7以上の大学に広告関連学科があり、2以上の大学院に広告専攻が置かれている。韓国では30以上の大学に置かれている。ヨーロッパではドイツベルリン大学に1921年に広告学科が出来、多くの大学に広告学科が置かれている。日本では1921年(大正10年)に明治大学で広告論の講座が開設され、今日2,100以上の広告関連講座数があるが、広告学部や広告学科はない。

広告研究者

日本

日本広告学会

日本広告学会((嶋村和恵)会長・早稲田大学)は広告やマーケティング・コミュニケーションを研究する学者や実業界の研究者、研究関心のある人の集まりで、1969年に創立し、2019年で50周年となった。本部事務所は現在早稲田大学内にあり、全国大会を年に一度、クリエーティブフォーラムと呼ばれるイベントを同じく年一回、その他地域部会、デジタルシフト研究部会など活発な学会活動を開催している。会員数は620名前後で法人会員が30社前後である。「広告科学」というレフェリー制の学会誌を年2回発行行している。

日本の主な広告代理業

日本の外資系広告代理業

  • JWT(ジェイ・ウォルター・トンプソン
  • Ogilvy&Mather Japan(オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパン)
  • TBWA\HAKUHODO(ティービーダブリューエーハクホウドウ)
  • Wieden+Kennedy Tokyo(ワイデンアンドケネディトウキョウ)
  • (アイアンドエス・ビービーディオー)
  • GREY group(グレイワールドワイド)
  • McCann Erickson(マッキャンエリクソン)
  • Beacon Communications(ビーコン・コミュニケーションズ)
  • Euro RSCG(ユーロアールエスシージー)
  • FCB(フート・コーン・ベルディング)
  • Fallon(ファロン)
  • BBH(ビービーエイチ)
  • DDB Japan(ディーディービージャパン)
  • GroupM Japan(グループエム・ジャパン)

脚注

[脚注の使い方]

出典

  1. ^ Hong Liu, Chinese Business: Landscapes and Strategies (2013), p. 15.
  2. ^ 第2版,世界大百科事典内言及, 日本大百科全書(ニッポニカ),百科事典マイペディア,ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,マーケティング用語集,精選版 日本国語大辞典,デジタル大辞泉,ブランド用語集,世界大百科事典. “広告とは”. コトバンク. 2022年6月3日閲覧。
  3. ^ a b 小林太三郎著「現代広告入門」第2版、ダイヤモンド社、昭和58年、10-12ページ
  4. ^ a b 後藤将之『マス・メディア論』<有斐閣コンパクト> 有斐閣 1999年 (ISBN 4641076219) pp.196-199.
  5. ^ 水野, 由多加「[研究ノート 近現代文芸の中の広告(1) : 明治期以降の文学作品中の言説渉猟]」『関西大学社会学部紀要』第46巻第1号、2014年10月31日、27–55頁。 
  6. ^ 水野, 由多加「[研究ノート 近現代文芸の中の広告(2) : 明治期以降の文学作品中の言説渉猟]」『関西大学社会学部紀要』第47巻第1号、2015年10月31日、53–83頁。 
  7. ^ 水野, 由多加「[研究ノート 近現代文芸の中の広告(3) : 明治期以降の文学作品中の言説渉猟]」『関西大学社会学部紀要』第48巻第1号、2016年11月15日、113–138頁。 
  8. ^ 清水公一 (2018). 『広告の理論と戦略』第18版、第2刷. 創成社、39ページ 
  9. ^ Behal, Vikas; Sareen, Sania (2014). "GUERILLA MARKETING: A LOW COST MARKETING STRATEGY". International Journal of Management Research and Business Strategy. 3 – via Google Scholar.
  10. ^ 『大藏省令第149号廣告税法施行規則ニ依リ結社指定』、官報。1942年。
  11. ^ 東洋経済オンライン 広告市場は09年度も大幅減少に! メディアは火だるま(1)
  12. ^ 国際連合. “ディビッド・ケイ「表現の自由」国連特別報告者 訪日報告書』(A/HRC/35/22/Add.1)”. 外務省. 2018年7月27日閲覧。 “日本の5大民放組織が,それぞれ主流全国日刊紙と繋がっている。これは,情報市場への参加者数を制限している。”
  13. ^ 清水公一、木村有宏、新川三郎(2014)「屋外広告指標推定システムの構築」『日経広告研究所報』276号、日経広告研究所、38-45ページ。
  14. ^ a b 清水公一(2018)『広告の理論と戦略』第18版、第2刷、創成社、187-190ページ。
  15. ^ a b 電通広告事典プロジェクトチーム「電通広告事典」2008 電通
  16. ^ https://ci.nii.ac.jp/naid/120006368708/ 水野由多加(2017)「ネーミングライツ(命名権)についての断章」『関西大学社会学部紀要』49(1), 205-217. https://ci.nii.ac.jp/naid/120006624697 同(2018)「ネーミングライツ(命名権)についての断章(続)」『関西大学社会学部紀要』50(1), 61-74.
  17. ^ 水野由多加「ネーミングは広告である : ネーミングライツの意義と公共性」『都市問題』第114巻第1号、2023年1月1日、54–63頁、doi:10.32286/00027809。 
  18. ^ [1]
  19. ^ 水野由多加「〈論文〉商業現象に見出される「広告とは言及されない広告」―現象理解のタテ糸あるいは補助線としての広告研究―」『商経学叢 = Shokei-gakuso: Journal of Business Studies』第64巻第2号、2017年12月31日、45–85頁。 
  20. ^ 産経新聞の例・産経新聞媒体資料インターネット版より

参考文献

  • J.Thomas Russell, W.Ronald Lane (2005) “Kleppner's Advertising Procedure,”16th edition, Prentice-Hall,Inc.
  • George E. Belch and Michael A. Belch (2001),“Advertising Promotion: An Integrated Marketing Communications Perspective,”Fifth Edition, Rchard D. Irwin,Inc.
  • 水野由多加著 (2004、改訂版2014)「統合広告論」ミネルヴァ書房。
  • 水野由多加・妹尾俊之・伊吹勇亮編著(2015)「広告コミュニケーション研究ハンドブック」有斐閣。
  • 岸志津江、田中洋、嶋村和恵 (2008)「現代広告論」有斐閣。
  • 亀井昭宏疋田聡編著 (2005)「新広告論」日経広告研究所。
  • 嶋村和恵監修 (2006)「新しい広告」電通。
  • 望月明編著 (1991)「広告ビジネスハンドブック」宣伝会議。

関連項目

外部リンク

  • 日本広告学会


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