「学生街の喫茶店」(がくせいがいのきっさてん)は、GARO(ガロ)の3枚目のシングル。1972年6月20日に、日本コロムビアの(DENON)レーベル(マッシュルームレーベル)から発売された。
背景
セカンドアルバム『GARO2』からのシングルカット。リリース時は「美しすぎて」がA面、B面が「学生街の喫茶店」というスタイルであった。
レコード発売は1972年6月20日であったが、7月にTBSラジオ『ヤングタウンTOKYO』の「今月の歌」にB面の「学生街の喫茶店」が選ばれた。ただ発売間もないレコードのB面推しということで関係者は困惑したという[1]。
ガロ最大のヒット曲であり、1970年代の学生文化を象徴する楽曲として高い評価を得る反面、和製と呼ばれた高い音楽性を誇るグループのイメージにそぐわない歌謡曲作品が代表曲となったことにメンバーは葛藤を抱えていた[2]。
『第24回NHK紅白歌合戦』でも本楽曲を披露[3]。当時のフォークグループとしては、紅白出場歌手に選出されたこと自体も珍しいことであった。
1976年に、教育芸術社発行の高校の音楽教科書『高校音楽1』に「学生街の喫茶店」が掲載された[4]。
2021年12月現在、ガロのメンバーの中で大野真澄のみ存命であるため、ひとりでテレビに出演して「学生街の喫茶店」を披露することがある。
制作
楽曲の舞台となった喫茶店は東京・御茶ノ水の中央大学付近にあった喫茶店『丘』など諸説があったが、作詞者の山上路夫は具体的に参考にした店はないとしている[5]。また、山上自身に大学生活の経験はない。
作曲は、1980年代以降にテレビゲームソフト『ドラゴンクエストシリーズ』のゲームミュージックを手がけたすぎやまこういちによる。上記の第24回紅白ではガロの出演時、指揮者として出演を果たしたほか、間奏で演奏される楽器「コール・アングレ」についてもアナウンス解説者によって紹介された。
リリース
1972年6月20日に、日本コロムビアの(DENON)レーベル(マッシュルームレーベル)から、(7インチレコード)で「美しすぎて」として発売された。1972年12月前後からジャケット写真はそのままに「学生街の喫茶店」のタイトルが目立つようにレイアウト変更されたリニューアル・ジャケット盤に切り替えられていった。
発売は日本コロムビアであったが、原盤権はアルファミュージック(旧:アルファレコード)が所有している関係で、復刻盤CDはソニー・ミュージックエンタテインメントの関連子会社「ソニー・ミュージックダイレクト」から発売されている[注釈 1]。
記録
日本コロムビアの(金子充孝)ディレクター(1972年当時)によると、同年の11月末頃から売れ出し、翌1973年の1月末にガロがテレビ出演したことでヒットの勢いがついた[6]。最もヒットしていたのは1973年の春先で、オリコンヒットチャートでは2月19日から4月2日まで7週連続で1位を獲得。(1973年の年間ヒットチャート)で第3位を記録し、同年を代表するヒット・ソングのひとつとなった。累計売上はミリオンセラーを記録[6]。
CMなどの起用
1980年放送の桃屋「ごはんですよ!」のテレビCM「思い出のフォーク篇」において「学生街の喫茶店」が使用された[8]。
2018年のNHK連続テレビ小説『半分、青い。』にて、劇中歌として本曲が登場する場面が放映された。
収録曲
演奏者
※ セカンドアルバム(CD-7035-Z)に記載された同曲のクレジットより。
収録アルバム
- GOLDEN☆BEST GARO アンソロジー 1971〜1977
- GARO BOX
- 定番ベスト
- 青春歌年鑑 1970年代総集編
- 秋の夜長と上手につきあう17の知恵 ‐ 秋の曲を集めたコンピレーション・アルバム
カヴァーした主な歌手
- 学生街の喫茶店
- 天地真理 - アルバム『若葉のささやき』収録[注釈 4]
- 柏原芳恵 - アルバム『アンコール』収録
- 国仲涼子 - 2004年のアルバム『ふるさと』収録
- 桜田淳子 - アルバム『淳子と花物語 + 10』(復刻盤)収録
- 中森明菜 - アルバム『フォーク・ソング2 〜歌姫哀翔歌』収録
- メリー - シングル「激声」カップリング曲
- 森山良子 - アルバム『森山良子フォークを歌う ベスト&ベスト』収録
- 桑田佳祐 - ライブビデオ『昭和八十三年度!ひとり紅白歌合戦』収録
- 松本孝弘 - アルバム『New Horizon』収録 ※インストゥルメンタル楽曲
- ザ・ベンチャーズ - アルバム『ポップス・イン・ジャパン'73』※インストゥルメンタル楽曲
- THE ALFEE - 映像作品『45th Anniversary Special Concert at Osaka-Jo Hall Aug.25.2019』収録
- さだまさし - アルバム『(アオハル49.69)』(2021年)収録[9]
関連項目
- ボブ・ディラン - 歌詞中に登場する
- ALI PROJECT - 『六道輪廻サバイバル』のサビメロディとの類似が指摘されている。
脚注
注釈
出典
- ^ Nack5『K's TRANSMISSION』2014年10月10日放送での大野真澄の本人談。
- ^ BS朝日 - 熱中世代 大人のランキング2016年3月20日
- ^ “第24回NHK紅白歌合戦”. NHK紅白歌合戦ヒストリー. NHK. 2021年12月30日閲覧。
- ^ 『歌い継がれる名曲案内 音楽教科書掲載作品10000』日本アソシエイツ、2011年、362頁、794頁。(ISBN 978-4816922916)。
- ^ 朝日新聞 be on Saturday (土曜版) 2011年2月12日。
- ^ a b 富澤一誠『フォーク名曲事典300曲〜「バラが咲いた」から「悪女」まで誕生秘話〜』ヤマハミュージックメディア、2007年、172-173頁。(ISBN 978-4-636-82548-0)
- ^ “第15回 日本レコード大賞”. 日本作曲家協会. 2021年12月30日閲覧。
- ^ 思い出のフォーク篇|のり平アニメCMギャラリー |懐かしののり平アニメCM|広告ギャラリー、桃屋 - 2020年3月29日閲覧。
- ^ “さだまさし、カバーアルバムで伝えるフォークソングの普遍性 時代を超えて今に響くメッセージの本質”. 音楽リアルサウンド (2021年10月27日). 2021年11月22日閲覧。