九三式十三粍機銃

九三式十三粍機銃（きゅうさんしきじゅうさんみりきじゅう）は、1933年(昭和8年、皇紀2593年)に大日本帝国海軍に制式採用された高射機関砲である。

アメリカ軍が九三式十三粍機銃/ホ式十三粍高射機関砲としてテクニカルレポートに添えた写真。

建物の屋上に設置された九三式十三粍機銃/ホ式十三粍高射機関砲
ウィキメディア・コモンズでは、「1939年に海軍陸戦隊が用いている九三式十三粍機銃」とされている。

概要

保式十三粍機銃の名で輸入した、仏オチキス製の(オチキス13.2mm重機関銃)（英語版）を九三式十三粍機銃として制式化し、横須賀海軍工廠でライセンス製造を行なったもの。

弾薬は、(13.2x96mm)（ロシア語版）（通称：オチキスショート。オチキス社によって1935年に開発された。銃腔の摩耗を抑えるために、また、12.7x99mmブローニング弾との混同による誤使用を避けるために、13.2×99mmオチキス弾（通称：オチキスロング）の薬莢長を短くしたもの。オチキスショートは、オチキスロング規格の機関銃でもそのまま使用可能）を国産化した、「(九三式実包)」を用いた。

1930年代以降の改装で、航空母艦の対空兵装として、また重巡洋艦（一等巡洋艦）には艦橋付近に連装機銃1基、軽巡洋艦（二等巡洋艦）には艦橋の滑走台付近に4連装機銃1基が搭載された。また、軽巡洋艦が竣工時に搭載していた三年式8cm高角砲の代替として、連装機銃が搭載された^[1]。このうち、高角砲の代替で搭載された連装機銃は、1940年前後に同じくオチキス製の25mm高射機関砲を基にした 九六式25mm機銃に換装された。1944年（昭和19年）には対空能力増強のため、無数の九六式25mm機銃と共に再び搭載した艦もあった。また、地上設置式の要地防御用にも装備され、第二次世界大戦終結まで使われた。

なお、大日本帝国陸軍でも輸入したオチキス13.2mm重機関銃をホ式十三粍高射機関砲という名称で準制式化して使用した。そのため、写真や記録などでは、九三式十三粍機銃と混同されていることがある。また、大戦中には同じく13.2×96mm弾を使用する航空機銃として三式十三粍固定機銃を開発しているが、この機銃のベースはブローニングM2重機関銃である。

搭載艦

戦艦

• 大和型戦艦 - 連装2基^[2]
• 扶桑 - 単装10基（1937-1942年）

航空母艦

• 鳳翔 - 連装6基（1936-1940年）
• 龍驤 - 4連装6基

重巡洋艦

• 青葉型重巡洋艦 - 連装2基（1940-1945年）
• 妙高型重巡洋艦 - 連装2基（1936-1945年）
• 高雄型重巡洋艦 - 連装2基（1937-1945年）
• 最上型重巡洋艦 - 連装2基^{[注 1]}
• 利根型重巡洋艦 - 連装2基
• 改鈴谷型重巡洋艦 - 連装2基^[3]（計画のみ）
• 八十島 - 単装8基（1938-1944年）

軽巡洋艦

• 天龍型軽巡洋艦 - 単装2基（1937-1942年）^[4]
• 球磨型軽巡洋艦
  • 多摩 - 連装2基（1934-1939・1942-1944年、単装5-8基（あ号作戦以降、1944年8月）^[5]）^[6]
  • 木曾 - 連装1基（1934-1939・1944年）、単装10基（1944年）^[7]
• 長良型軽巡洋艦 - 連装1基（1932-1941年）、4連装1基（1932-1941年、「由良」は銃座のみ）^[8]
  • 長良 - 連装1基、単装8基（あ号作戦以降、1944年8月^[9]）
  • 五十鈴 - 単装8基（1944年9月-1945年）
  • 名取・鬼怒 - 連装1基（1944年）
  • 阿武隈 - 連装1基（1941-1944年）、単装8基（1944年）
• 川内型軽巡洋艦 - 4連装1基（1932-年）^[10]、連装2基（1933-1938年）^[8]
• 夕張 - 連装1基（1934-1941年）^[11]→2基（1941年までに）→4基（1942年1-4月）→2基（1942年4月-1943年）^[12]
• 阿賀野型軽巡洋艦
  • 阿賀野・能代 - 連装2基（竣工時のみ）^[13]

その他

• 宗谷 - 連装3基（1942-1945年）

脚注

1. ^ 1939年までは二等巡洋艦（軽巡洋艦）。

出典

1. ^ 梅野和夫「軽巡の対空兵装」 雑誌『丸』編集部 編『写真日本の軍艦 第8巻 軽巡I』光人社、1990年 (ISBN 4-7698-0458-X)
2. ^ 「昭和15年10月3日、原図面第一号艦前部艦橋13mm連装機銃台構造」呉市海軍歴史資料館・編『呉市海軍歴史科学館図録 日本海軍艦艇写真集別巻 戦艦大和・武蔵』 ダイヤモンド社 2005年 (ISBN 4-478-95054-7) 117頁
3. ^ 「重巡洋艦 一般計画要領書 附現状調査」『昭和18年5月～6月 内令 2巻/昭和18年5月(6)』。Ref.C12070177700。  アジア歴史資料センター(公式)(防衛省防衛研究所)
4. ^ 解説・東清二/作図・石橋孝夫「図で見る軽巡『天龍・龍田』変遷史」 雑誌『丸』編集部 編『写真 日本の軍艦 第9巻 軽巡II』光人社、1990年4月 (ISBN 4-7698-0459-8) P.16
5. ^ 福井静夫『世界巡洋艦物語』福井静夫著作集第8巻、光人社、1994年 ISBN (4-7698-0656-6)P.350,356
6. ^ Lacroix, Eric; Linton Wells『Japanese Cruisers of the Pacific War』 Naval Institute Press 1997年 (ISBN 0-87021-311-3) P.169・196-198・371
7. ^ 『写真日本の軍艦 第8巻 軽巡I』 P.51
8. ^ ^{a b} 『Japanese Cruisers of the Pacific War』P.168
9. ^ 『世界巡洋艦物語』 P.356
10. ^ 解説・東清二/作図・石橋孝夫「図で見る軽巡『川内型』変遷史」『写真日本の軍艦 第8巻 軽巡I』 P.96
11. ^ 解説・東清二/作図・石橋孝夫「図で見る軽巡『大井・北上・夕張』変遷史」『写真日本の軍艦 第8巻 軽巡I』 P.115
12. ^ 田村俊夫「軽巡「夕張」の戦時の兵装増強調査リポート」『帝国海軍 真実の艦艇史』 歴史群像 太平洋戦史シリーズ Vol.45、学習研究社、2004年5月。(ISBN 4-05-603412-5) P.117-121
13. ^ 『Japanese Cruisers of the Pacific War』P.168

登場作品

『艦つく -Warship Craft-』

装備可能な兵器の一つとして登場。

関連項目

 

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第二次世界大戦期に使用された地上設置・車載・艦載型13mm級機関砲

• ブローニングM2重機関銃（アメリカ）
• DShK38重機関銃（ソビエト連邦）
• （イギリス）