『レイジレーサー』(RAGE RACER) は、ナムコ(後のバンダイナムコエンターテインメント)から発売されたレースゲームである。1996年のPlayStationソフト推定販売本数TOP30の中から5位を記録している[1]。
概要
アーケードゲームでは『レイブレーサー』が平行して開発されていたが、それとは違いコンシューマーゲームならではの方向へとシフトしていった。そのため『リッジレーサー』や『リッジレーサーレボリューション』とは大幅にゲーム性が変わり、以降のシリーズの方向性を決定したゲームでもある。全編通して前作までのポップさと対極的な渋めの雰囲気である。事実上、コンシューマーゲームのリッジレーサーシリーズの第3弾ではあるが、ナムコは『リッジ』というシリーズに含まれる第3弾ではなく、『リッジ』そのものの進化版と謳っている[2]。タイトルの「RAGE」は「猛烈な、熾烈な」という意味を持っている[3]。RPG的なコンシューマーならではの要素を持たせた「賞金」によるマシンの購入やチューニングは当時の評価の中でも多くのユーザーから高い支持を得ていた[4]。
サンフランシスコ風の街中を走り抜けるオーバーパスシティ。実際のサンフランシスコをモデルにしているので起伏に富んだコースレイアウトとなっている[5]。コースと車を選択した後に、L1、R1、STARTを画面が切り替わるまで押し続けることでコースが反転した状態でレースをすることができるようになる[6]。
この頃を境に初期サウンドスタッフのmegaten、(AYA)、sanodg、J99の4人がナムコを退社したため、今作より大久保博がサウンドディレクションを担当し、中西哲一と共に作曲を務めた。本作はサウンドトラックが未発売なため、実際にこの2人のみで全曲を作り上げているのかは明らかではなかった。しかし、2014年5月発売の「RIDGE RACER 20th Anniversary Remix」にて、ゲーム発売から15年の時を経て2人のみで全曲制作していたのが判明した。ヨコハマタイヤ(ADVAN)とショックアブソーバーブランドのGABがゲーム内のスポンサーをしている。
前作との相違点
この節は(検証可能)な(参考文献や出典)が全く示されていないか、不十分です。(2014年12月) |
- タイムリミットの概念が大幅に変更。単に遅延プレー防止程度の緩いタイムリミットとなる。
- 車種、メーカーの概念が登場。コンシューマー版にはすでに車による性能の変化、というフィーチャーは入っていたが、それをさらに進化。架空の自動車メーカーを登場させ、同じメーカーから出す車には一定の特徴を入れるというようにされていった。
- 資金、チューニングの概念が登場。同じ車のままエアロパーツの装着や軽量化といったチューニングを施すことができるようになった。
- レースクイーン、永瀬麗子の初登場。本作以降も『リッジV』を除いて登場する。
- グランプリの概念の登場。1コースだけでなく、複数のコースを回ってチャンピオンを決めるというシステムが導入。
- コース名の採用。前作までは「初級」「中級」などだったのだが、今作からそれぞれに名前が付くようになった。これを受けてのちのシリーズで旧コースが再登場する際に、名前が割り振られるようになった。
前作までは「デビルカー = おまけ要素」的なものであったが、本作はEXグランプリにクラス6として「敵車が全てデビルカー」というモードが登場する。ジ・エクストリームオーバルだけはデビルカーを使用せずにクリアができないことが判明しているため、おまけ要素でなく必需品となっている。これも『リッジV』のバトルロイヤルモード、レーサーズでのSPクラス限定戦などに受け継がれていく。
バグ、不自然な表現
シフトチェンジ時に速度が固定されるという現象があり、最高段ギアとその下のギアで交互にシフトチェンジを繰り返すことにより、以下のような荒れた走行が可能となる。
- 上り坂を高速で登る
- 壁に衝突する寸前にシフトを入れ替えると、衝突してもスピードが落ちにくくなる
- コーナー手前でシフトチェンジしながらブレーキを踏むと、スピードが落ちないままブレーキを踏んだときと同じ挙動で曲がる
また敵車との当たり判定の基準が他のシリーズと比較して不明瞭なのも特徴である。
モード
- GRAND PRIX(グランプリ)
- 用意されたイベントレースを勝ち進み、優勝を目指すモード。敵車の数は11台。クリアすると賞金が貰え、新しいマシンの購入や性能アップを図ることができる。『リッジレーサー』シリーズ初登場のモードで、以降のシリーズには(名前は違えど)必ず同様のモードが存在する。
- グランプリで全5クラスを勝ちぬくとエンディングが流れ、新たにシリーズ定番の逆走モードである「EXTRA GP(エクストラ・グランプリ)」が登場する。通常のグランプリとは異なり、全6クラスで最後にはデビルカーも登場。このEXGPでも全6クラスを勝ちぬくとエンディングとなる。
- 以下に各グランプリの名称を記す。
- GRAND PRIX:(走る方向:順走)
- Class 1: Calme(カルム)GP
- Class 2: Brise(ブリズ)GP
- Class 3: Rafale(ラファール)GP
- Class 4: Mistral(ミストラル)GP
- Class 5: Tempete(タンペート)GP
- EXTRA GP:(逆走モード)
- Class 1: Aisance(エザンス)GP
- Class 2: Agitation(アジタシオン)GP
- Class 3: Irritation(イリタシオン)GP
- Class 4: Colere(コレール)GP
- Class 5: Rage(ラージュ)GP
- Class 6: Diable(ディアーブル)GP
- EXGPだが、この最終クラスのみ順走で走ることになる。また、これまでのクラスとは異なり、敵車がデビルカー4台のみとなる。
- TIME ATTACK(タイムアタック)
- 1台のみで走り、最速レコードを目指すモード。GRAND PRIXを制覇すると EXTRA GPと共に、REVERSED(逆走)コースが登場する。
コース
本作は全4コースで、全コースが一部区間を共用する。オーバルコースが出たのも本作が初。オーバルコースに最も合うのは最高速度を重視したマシンとなり、コーナーでライバル車をかわす時は内側から抜く方が安全となる[7]。
メーカーとマシン
今作からメーカーの概念が登場した。プレイヤーは使用する車のメーカーを以下の4社から選択する。いずれも設定で国籍が定められているが、実在しない架空のメーカーである。メーカーによって重視される性能が異なるため、コースに合わせて車を選択していくことが重要になる。
最初から所持しているエスペランザを除いて、マシンはグランプリで得た賞金を用いて購入しなければならない。購入可能なマシンはクラスが進むと増加していく。基本的に、現在のクラスのレベル+1個上までのグレードの新しいマシンがカーショップに並ぶようになっているが、デビルカーのみ、EXGPのクラス6到達で初めてショップに入荷される。なお、マシンの中にはMT操作限定の車種も存在する。
プレイヤーが購入したマシンは「エンジニアショップ」にてチューンアップが可能で、実行するとグレードが1段階上がり性能が向上する。チューン可能な範囲は、その時点で出現しているクラスの最高レベルから1つ上のグレードまでとなる[9](最高グレードは5)。
なお、デビルカーはチューンアップとカスタマイズでのデザイン変更は一切不可能。
GNADE(グナーデ)
ドイツの自動車メーカー。加速、最高速、ハンドリング全てが平均的な性能となっている。登場車種は1台のみ[10]。
- ESPERANZA(エスペランザ)
- 最初からプレイヤーが所持しているマシン。唯一、グレード1から5までの全グレードが存在する。
LIZARD(リザード)
アメリカの自動車メーカー。ダイナミズム溢れるフォルムのマシンが特徴。加速力に優れているため、ドリフトからの立ち上がりと上り坂に強く、坂の多いオーバーパスシティで力を発揮する[10]。反面、旋回性能が劣っているため、コーナーを曲がる際にはドリフトのテクニックが要求される。
- INSTINCT(インスティンクト)[11]
- BAYONET(ベイオネット)
- HIJACK(ハイジャック)
- MT限定車。
- TEMPEST(テンペスト)[12]
- MT限定のデビルカー。加速力は抜群に優れるが旋回性能は劣っている。
AGE(アージュ)
フランスの自動車メーカー。流線型なフォルムのマシンが特徴。加速は弱いが旋回性能に優れているため、コーナーの多いレイクサイドゲートで力を発揮する[10]。
- ALOUETTE(アルエット)[13]
- ABEILLE(アベイユ)
- PEGASE(ペガース)
- MT限定車。
- VICTOIRE(ヴィクトアール)[14]
- デビルカー。旋回性能に優れるハンドリングマシンで、最高速もドラゴーネに次ぐ全車中2位。また、デビルカーでは唯一ATの選択が可能となっている。
ASSOLUTO(アッソルート)
イタリアの自動車メーカー。直線的でスポーティーなフォルムのマシンが特徴。最高速度に優れているため、ジ・エクストリームオーバルで力を発揮する[10]。
- FATALITA(ファタリタ)
- ISTANTE(イスタンテ)
- MT限定車。
- GHEPARDO(ゲパルド)
- MT限定車。唯一、初期状態でグレード5のマシンである。
- DRAGONE(ドラゴーネ)[15]
- MT限定のデビルカー。最高速度はゲーム中トップの370 km/h以上を叩き出す。
レースBGM
- 0. (ランダムプレイ)
- 1. Rage Racer
- 2. Mathemabeat
- 3. Lightning Luge
- 4. Industria
- 5. Hurricane Hub
- 6. Mech Monster
- 7. Silver Stream
- 8. Stimulation
- 9. Volcano Vehicle
- 10. Deep Drive(通常グランプリ・全5クラス 金トロフィーで制覇するとアンロックされる)
脚注
- ^ 『週刊ファミ通 2004年12月17日号付属小冊子』エンターブレイン、2004年12月3日。
- ^ “レイジレーサー”. バンダイナムコゲームス. 2009年9月8日閲覧。
- ^ 『電撃PlayStation Vol.31』メディアワークス、1996年10月11日。
- ^ 『PlayStation Magazine No.2』徳間書店、1997年1月31日、154頁。
- ^ 『電撃PlayStation Vol.33』メディアワークス、1996年11月8日。
- ^ 『PlayStation Magazine No.2』徳間書店、1997年1月31日、152頁。
- ^ 『PlayStation Magazine No.24』徳間書店、1996年12月27日、47頁。
- ^ a b c d 本作の取扱説明書にて。
- ^ 使用したマシンのグレードがそのレースのクラスを上回っていると、ゴールドトロフィーが取れなくなる。
- ^ a b c d ナムコ公式ガイドブック レイジレーサー バンダイナムコアミューズメント
- ^ 海外版ではACCERON。
- ^ 海外版ではBULLDOG。
- ^ 海外版ではERISSO。
- ^ 海外版ではVAINQURE。
- ^ 海外版ではSQUALDON。
外部リンク
- "レイジレーサー". バンダイナムコエンターテインメント. 2020年10月26日時点のオリジナルより。2022年11月27日閲覧。