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マイケル・ポンティ

マイケル・ポンティまたはミヒャエル・ポンティMichael Ponti, 1937年10月29日 - 2022年10月17日[1][2])は、ドイツ出身のアメリカ合衆国クラシック音楽ピアニストである。

経歴

アメリカ陸軍の報道官の子として生まれる[3]。渡米後に1954年から1955年までワシントンD.C.において、レオポルド・ゴドフスキー門下の(ギルマー・マクドナルド)[4]ピアノを師事した[5]。1955年に家族とともにドイツに戻ってフランクフルト音楽・舞台芸術大学に入学し[1]エミール・フォン・ザウアーの門弟で助手であった(エーリヒ・フリンシュ)(英語版)から指導を受けた。ソリストとしての活動の傍ら、室内楽奏者としても活動し、1977年ヴァイオリニスト(ローベルト・ツィマンスキー)(英語版)チェリスト(ヤン・ポラーシェク)(wikidata)とともに、自身の(ピアノ三重奏団)を結成したが1999年に解散。2000年脳梗塞のため右半身の自由を失い、以後はパウル・ヴィトゲンシュタインが委嘱した左手用の作品などを演奏した[6]

2022年10月17日、自宅のあるガルミッシュ=パルテンキルヒェンで亡くなった[1][2]

録音

才気走った解釈と超絶的な技巧演奏によって、ロマン派音楽に最適のヴィルトゥオーゾとして知られてきた。一方で1980年代以降のライヴ録音では、古典派音楽の繊細な解釈も披露している。

LPCDでは、(ヴォックス・レコーズ)に入れた多量の録音で知られる。同社は他社との競争に耐えるため、知られざるロマン派音楽の作品の網羅という、今でこそ珍しくないが当時としては先駆的な事業に着手。ヴォックス社は経費削減のため、これらの録音ではスタジオに缶詰にして、録音はアップライトピアノを使わせ、睡眠は毛布一枚でとることをポンティに強いたと言い伝えられている[7]が、実際にはそのようなことはなかった。ピアノ協奏曲でのソリストとしてポンティを大々的に起用した。一部のみならず、幅広く録音したことを通じて多くの音楽愛好家を生み出した。録音数は優に80点を超えている[8]イグナツ・モシェレスシャルル=ヴァランタン・アルカンジギスモント・タールベルクハンス・ブロンサルト・フォン・シェレンドルフらの協奏曲の初録音も行なっている。モーリッツ・モシュコフスキのピアノ協奏曲ホ長調の最初の録音もここで行われた。

日本では1980年代初頭にワーナーパイオニアから主なものが国内盤として発売された。同時期に来日公演も果たしている。これらの録音は現在、(ブリリアント・クラシックス)レーベルから20枚組の廉価盤(黄金時代のロマン派ピアノ協奏曲~知られざる名曲集)に収録され再発されている。スクリャービンのピアノ曲の全曲録音も実は彼が最初に実現させており、さらにチャイコフスキーラフマニノフのピアノ曲全集も制作した。

モシュコフスキのピアノ協奏曲ホ長調を再録しているピアニストは、彼だけである[9][10]

1982年の来日時にはカメラータ東京ショパンソナタのほか、リストモデスト・ムソルグスキーなどを録音、LPとして発売された。来日時にカメラータ東京でショパン等をスタジオ録音した際に「これまではレコード会社の求めに応じて録音してきたが、これからは自分でお金を出してでも納得のいくレコードを作りたい」旨を語っていた[11]。日本ではカメラータ東京から発売された録音は、香港ではマルコポーロから販売されていた[12]

1990年代には(DANTE)レーベルから「Un-Edited Live(無修正ライヴ)」と銘打ったライヴCDが7点ほど発売された。1970年代後半から1990年代半ばにかけてミュンヘン等で開かれた演奏会のライヴ音源が主体で、ヨーゼフ・ハイドンルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンなどの古典派から、お得意のリストフレデリック・ショパンロベルト・シューマンヨハネス・ブラームスなどのロマン派モデスト・ムソルグスキーアレクサンドル・スクリャービンセルゲイ・ラフマニノフイーゴリ・ストラヴィンスキーといったロシア物、モーリス・ラヴェルまで、幅広いレパートリーを聴くことができる。ウラディミール・ホロヴィッツが愛用していたピアノを弾いた録音もあった。

同時期に、ドイツの(クラヴィンス・ピアノ)(Klavins[13]:高さ 3.7mもある巨大な縦型のコンクール製据置ピアノ)を使ってショパン、リスト、ムソルグスキーなどを録音したCDも数点あった。

生前VoxBoxが絶版にした音源をdoronmusicが買い取って再発売して[14]いたが、没後の2023年は[15]Appleが再配信している。

受賞歴

脚注

  1. ^ a b c “Pianist Michael Ponti gestorben” (ドイツ語). BR24 (2022年10月18日). 2022年10月18日閲覧。
  2. ^ a b 「ピアニストのマイケル・ポンティ氏死去、84歳」『時事ドットコム』、2022年10月18日。2022年10月19日閲覧。
  3. ^ “”. www.swr.de. 2018年12月17日閲覧。
  4. ^ Gilmour McDonald
  5. ^ “”. www.nts.live. 2018年12月17日閲覧。
  6. ^ “PIANIST MICHAEL PONTI BRINGS FIVE-DIGIT FLAIR TO PROKOFIEV RARITY”. www.sun-sentinel.com (2006年4月27日). 2018年12月22日閲覧。
  7. ^ “Michael Ponti”. www.cduniverse.com. 2018年12月17日閲覧。
  8. ^ “”. www.naxos.com. 2018年12月17日閲覧。
  9. ^ “”. www.ebid.net. 2018年12月17日閲覧。
  10. ^ “”. www.raff.org. 2018年12月17日閲覧。
  11. ^ カメラータ東京のLPライナーノーツから
  12. ^ “”. www.naxos.com. 2018年12月17日閲覧。
  13. ^ “”. www.klavins-pianos.com. 2018年12月2日閲覧。
  14. ^ “DRC 4024 MICHAEL PONTI – MOSCHELES / HILLER / LITOLF”. doronmusic.ch. doronmusic.ch. 2020年9月26日閲覧。
  15. ^ “Michael Ponti”. music.apple.com. music.apple.com. 2023年2月24日閲覧。
  16. ^ “LIST OF WINNERS SINCE 1949”. www.concorsobusoni.it. 2018年12月18日閲覧。
  17. ^ “Michael Ponti”. www.bach-cantatas.com. 2018年12月17日閲覧。
  18. ^ “”. www.rtbf.be. 2018年12月17日閲覧。

外部リンク

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