ティルダ・スウィントン(Tilda Swinton, 1960年11月5日 - )は、イギリスの女優。2007年公開の『フィクサー』でアカデミー助演女優賞を受賞した。
ティルダ・スウィントン Tilda Swinton | |
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2016年コミコン・インターナショナルにて | |
本名 | Katherine Mathilda Swinton |
生年月日 | 1960年11月5日(62歳) |
出生地 | イングランド・ロンドン |
国籍 | イギリス |
身長 | 180 cm |
職業 | 女優、モデル、パフォーマンスアーティスト |
ジャンル | 映画 |
活動期間 | 1984年 - |
主な作品 | |
『エドワードII』/『オルランド』 『ザ・ビーチ』/『ディープ・エンド』 『アダプテーション』/『サムサッカー』 『コンスタンティン』 『ブロークン・フラワーズ』 『ナルニア国物語』シリーズ /『フィクサー』 『バーン・アフター・リーディング』 『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』 『ミラノ、愛に生きる』 『少年は残酷な弓を射る』 『ムーンライズ・キングダム』 『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』 『スノーピアサー』 『グランド・ブダペスト・ホテル』 『胸騒ぎのシチリア』 『ドクター・ストレンジ』 『オクジャ/okja』/『サスペリア』 『アベンジャーズ/エンドゲーム』 『デッド・ドント・ダイ』 『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』 『MEMORIA メモリア』 | |
備考 | |
第59回ベルリン国際映画祭 審査委員長(2009年) |
生い立ち
ロンドンにて、キャサリン・マチルダ・スウィントン(Katherine Mathilda Swinton)として生まれる。父方の祖先はスコットランドの名家[1]、母親はオーストラリア人[2][3]。1983年にケンブリッジ大学を卒業(専攻は政治学と社会学)。
キャリア
大学卒業後、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーで演劇を学ぶ。長身、クールな風貌と知的な演技が評価され、魔女や天使、女王、ボスなどキーマン的な存在感ある役柄が多い。
1980年代に映画監督のデレク・ジャーマンと知り合い、1986年に同監督作品の『カラヴァッジオ』で映画デビュー。以後、ジャーマン作品の常連となる。1991年公開の『エドワードII』でヴェネツィア国際映画祭 女優賞を受賞。
1999年公開の『ザ・ビーチ』でハリウッド進出を果たし、2001年公開の『ディープ・エンド』でゴールデングローブ賞 主演女優賞 (ドラマ部門)にノミネート。2005年公開の『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』では白の魔女を演じた。
2007年公開の『フィクサー』でアカデミー助演女優賞と英国アカデミー賞 助演女優賞を受賞。
1988年にはベルリン国際映画祭の、1998年にはヴェネツィア国際映画祭の、2004年にはカンヌ国際映画祭の審査員を務めた。2009年のベルリン国際映画祭では審査委員長を務める。
私生活
スコットランド北部在住。芸術家兼劇作家の(ジョン・バーン)との間に1997年に男女の双子(ザビエルとオナー)を儲けているが、バーンとは結婚はしていない。2004年からニュージーランドの画家サンドロ・コップとの関係が続いている[4]。
ルッツ・エバースドルフ名義
2018年公開の『サスペリア』では特殊メイクを施して3役をこなしたが、その中の心理学者、ジョセフ・クレンペラー役に関しては、制作サイドの意向でルッツ・エバースドルフ(Lutz Ebersdorf)という初老の俳優が演じているとマスコミに発表され、公式サイトとパンフレットでもそう紹介された。その際、エバースドルフは1936年ドイツ・ミュンヘン生まれ、との設定も作られている。経歴については、ナチスから逃れるために2歳頃から家族とともにヨーロッパ各地を移動、若い頃に役者を志すも1964年に引退、その後1969年にベルリンで精神分析を勉強し、博士号を取得してクライン派の精神分析医としてベルリンで開業、となっており、IMDbにも登録されたうえ、撮影前のオフショット写真まで制作されているという手の込みようであった[6]。ベネチア国際映画祭には欠席し、ティルダ・スウィントンが彼からの手紙を「代読」をするというパフォーマンスも披露された[7]。また、エバースドルフは撮影後に亡くなったという設定も当初は検討されており、エンドロール前に「本作をルッツ・エバースドルフに捧げる」というテロップを入れることも検討されていた。
主な出演作品
公開年 | 邦題 原題 | 役名 | 備考 |
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1986 | カラヴァッジオ Caravaggio | レナ | |
1987 | アリア Aria | 少女 | |
1988 | (ラスト・オブ・イングランド) The Last of England | The Maid | |
1989 | ウォー・レクイエム War Requiem | 看護婦 | |
1990 | ザ・ガーデン The Garden | マドンナ | |
1991 | エドワードII Edward II | イザベラ | ヴェネツィア国際映画祭 女優賞 受賞 |
1992 | オルランド Orlando | オルランド | |
1993 | BLUE ブルー Blue | ナレーター | 声の出演 |
ウィトゲンシュタイン Wittgenstein | レディ・オットリーン・モレル | ||
リメンバランス/記憶の高速スキャン Remembrance of Things Fast: True Stories Visual Lies | ドキュメンタリー | ||
1996 | イヴの秘かな憂鬱 Female Perversions | イヴ・スティーブンス | |
1997 | (クローン・オブ・エイダ) Conceiving Ada | エイダ | |
1998 | 愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像 Love Is the Devil: Study for a Portrait of Francis Bacon | ミュリエル・ベルチャー | |
1999 | (素肌の涙) The War Zone | 母 | |
2000 | ザ・ビーチ The Beach | サル | |
2001 | バニラ・スカイ Vanilla Sky | レベッカ・ディアボーン | |
ディープ・エンド The Deep End | マーガレット・ホール | ||
2002 | アダプテーション Adaptation. | ヴァレリー・トーマス | |
2003 | 猟人日記 Young Adam | エラ | |
2005 | コンスタンティン Constantine | ガブリエル | |
ブロークン・フラワーズ Broken Flowers | ペニー | ||
ナルニア国物語/第1章: ライオンと魔女 The Chronicles of Narnia: The Lion, the Witch and the Wardrobe | 白い魔女 | ||
サムサッカー Thumbsucker | オードリー・コッブ | ||
2007 | ヒストリー・オブ・ゲイシネマ Schau mir in die Augen, Kleiner | ドキュメンタリー | |
フィクサー Michael Clayton | カレン・クラウダー | アカデミー助演女優賞 受賞 英国アカデミー賞 助演女優賞 受賞 | |
倫敦から来た男 A Londoni férfi | マダム・マロワン | ||
2008 | ナルニア国物語/第2章: カスピアン王子の角笛 The Chronicles of Narnia: Prince Caspian | 白い魔女 | |
バーン・アフター・リーディング Burn After Reading | ケイティ・コックス | ||
ベンジャミン・バトン 数奇な人生 The Curious Case of Benjamin Button | エリザベス・アボット | ||
2009 | リミッツ・オブ・コントロール The Limits of Control | コードネーム:ブロンド | |
ミラノ、愛に生きる Io sono l'amore | エンマ | 兼製作 | |
2010 | ナルニア国物語/第3章: アスラン王と魔法の島 The Chronicles of Narnia: The Voyage of the Dawn Treader | 白い魔女 | |
2011 | 少年は残酷な弓を射る We Need to Talk About Kevin | エヴァ・カチャドリアン | 兼製作総指揮 |
2012 | ムーンライズ・キングダム Moonrise Kingdom | ソーシャルワーカー | |
2013 | オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ Only Lovers Left Alive | イヴ | |
スノーピアサー Snowpiercer | メイソン | ||
ゼロの未来 The Zero Theorem | シュリンク・ロム博士 | ||
2014 | グランド・ブダペスト・ホテル The Grand Budapest Hotel | マダム.D | |
2015 | エイミー、エイミー、エイミー! こじらせシングルライフの抜け出し方 Trainwreck | ダイアナ | |
胸騒ぎのシチリア A Bigger Splash | マリアン | 日本公開は2016年11月[8] | |
2016 | ヘイル、シーザー! Hail, Caesar! | ソーラ・サッカー / セサリー・サッカー | |
ドクター・ストレンジ Dr. Strange | エンシェント・ワン | ||
2017 | ウォー・マシーン: 戦争は話術だ! War Machine | ドイツの政治家 | |
オクジャ/okja Okja | ルーシー・ミランド / ナンシー・ミランド | ||
2018 | 犬ヶ島 Isle of Dogs | オラクル | 声の出演 |
サスペリア Suspiria | マダム・ブラン / ジョセフ・クレンペラー[9] / エレナ・マルコス | ||
2019 | アベンジャーズ/エンドゲーム Avengers: Endgame | エンシェント・ワン | |
デッド・ドント・ダイ The Dead Don't Die | ゼルダ・ウィンストン | ||
どん底作家の人生に幸あれ! The Personal History of David Copperfield | ベッツィー・トロットウッド | ||
2020 | ヒューマン・ボイス The Human Voice | 女性 | 短編映画 |
2021 | フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊 The French Dispatch | J・K・L・ベレンセン | |
MEMORIA メモリア Memoria | ジェシカ・ホランド | ||
2022 | アラビアンナイト 三千年の願い Three Thousand Years of Longing | Dr. Alithena Binnie | |
ギレルモ・デル・トロのピノッキオ Guillermo del Toro's Pinocchio | 木の妖精、死の精霊 | 声の出演 | |
2023 | The Eternal Daughter | ジュリー ロザリンド(ジュリーの母) | |
アステロイド・シティ Asteroid City | ポストプロダクション | ||
TBA | The Killer | ポストプロダクション |
参考文献
- ^ Tilda Swinton, one of our most unique actors, talks to Gaby Wood | Magazine | The Observer
- ^ Hattenstone, Simon (2008年11月22日). “Winner takes it all”. The Guardian. 2012年5月23日閲覧。
- ^ “”. Tiscali.co.uk. 2009年2月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年2月11日閲覧。
- ^ “Tilda Swinton Steps Out with Partner Sandro Kopp in Rare Sighting of Couple in New York City” (2019年5月1日). 2022年6月14日閲覧。
- ^ “"I've Never Had Any Ambition As An Artist": Tilda Swinton Reflects On Her Enigmatic Career With Playwright Jeremy O Harris” (英語). Vogue (2021年1月12日). 2021年1月14日閲覧。
- ^ https://bloody-disgusting.com/movie/3517536/nobody-can-figure-old-man-suspiria-tilda-swinton-unknown-german-actor/
- ^ https://www.youtube.com/watch?v=aClycWJFtD8
- ^ “ティルダ・スウィントン主演、シチリア島を舞台にした男女4人夏物語”. 映画ナタリー. (2016年8月14日)2016年8月17日閲覧。
- ^ クレンペラー役は「ルッツ・エバースドルフ」という架空の俳優が演じていることになっていた。