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セレン

セレン: selenium [sɨˈliːniəm]: Selen [zeˈleːn])は元素記号Se である原子番号34の元素カルコゲン元素の一つ。ヒトの必須元素の1つでもある。

ヒ素 セレン 臭素
S

Se

Te
34Se
外見
黒色または赤色
一般特性
名称, 記号, 番号 セレン, Se, 34
分類 半金属
, 周期, ブロック 16, 4, p
原子量 78.96
電子配置 [Ar] 4s2 3d10 4p4
電子殻 2, 8, 18, 6((画像))
物理特性
固体
密度室温付近) (灰色セレン)4.81 g/cm3
密度室温付近) (αセレン)4.39 g/cm3
密度室温付近) (ガラス状セレン)4.28 g/cm3
融点での液体密度 3.99 g/cm3
融点 494 K, 221 °C, 430 °F
沸点 958 K, 685 °C, 1265 °F
臨界点 1766 K, 27.2 MPa
融解熱 (灰色セレン)6.69 kJ/mol
蒸発熱 95.48 kJ/mol
熱容量 (25 °C) 25.363 J/(mol·K)
蒸気圧
圧力 (Pa) 1 10 100 1 k 10 k 100 k
温度 (K) 500 552 617 704 813 958
原子特性
酸化数 6, 4, 2, 1[1], -2(強酸性酸化物
電気陰性度 2.55(ポーリングの値)
イオン化エネルギー 第1: 941.0 kJ/mol
第2: 2045 kJ/mol
第3: 2973.7 kJ/mol
原子半径 120 pm
共有結合半径 120±4 pm
ファンデルワールス半径 190 pm
その他
結晶構造 六方晶系
磁性 反磁性[2]
熱伝導率 (300 K) (無定形セレン)0.519 W/(m⋅K)
熱膨張率 (25 °C) (無定形セレン)37 μm/(m⋅K)
音の伝わる速さ
(微細ロッド)
(20 °C) 3350 m/s
ヤング率 10 GPa
剛性率 3.7 GPa
体積弾性率 8.3 GPa
ポアソン比 0.33
モース硬度 2.0
ブリネル硬度 736 MPa
CAS登録番号 7782-49-2
主な同位体
詳細はセレンの同位体を参照
同位体 NA 半減期 DM DE (MeV) DP
(72)Se syn 8.4 d ε - (72)As
γ 0.046 -
(74)Se 0.87% 中性子40個で安定
(75)Se syn 119.779 d ε - (75)As
γ 0.264, 0.136, 0.279 -
(76)Se 9.36% 中性子42個で安定
(77)Se 7.63% 中性子43個で安定
(78)Se 23.78% 中性子44個で安定
79Se trace 3.27×105 y β- 0.151 (79)Br
(80)Se 49.61% 中性子46個で安定
(82)Se 8.73% 1.08×1020 y β-β- 2.995 (82)Kr

名称

セレンはギリシャ神話の女神セレネから命名されている。これは、周期表上でひとつ下に位置するテルルラテン語地球を意味する Tellus から命名)より後に発見され、性質がよく似ていたためである。あるいは地球の「上」に位置するためとも言われる。

セレンのように、周期表上で並ぶ元素が天体の配置になぞらえて命名された例は、ウランネプツニウムプルトニウムにも見られる。

性質

いくつかの同素体が存在するが、常温で安定なのは六方晶系で鎖状構造をもつ灰色セレン(金属セレン)である。灰色セレンの融点は217.4 °C(異なる実験値あり)で、比重は4.8である。他の同素体として、赤色で単斜晶系のα, β, γセレン、ガラス状の無定形セレンなどがある。-2, 0, +2, +4, +6価の酸化状態を取り得る。水に不溶だが、二硫化炭素 (CS2) には溶ける。また、熱濃硫酸と反応する。燃やすと不快臭のある気体(二酸化セレン)が発生する。硫黄に性質が似ている。

セレンは自然界に広く存在し、微量レベルであれば人体にとって必須元素であり、抗酸化作用(抗酸化酵素の合成に必要)があるが、必要レベルの倍程度以上で毒性があり摂取し過ぎると危険であり、水質汚濁土壌汚染に係る環境基準指定項目となっている。これはセレンの性質が硫黄にきわめてよく似るため、高濃度のセレン中では含硫化合物中の硫黄原子が無作為にセレンに置換され、その機能を阻害されるためである。

克山(クーシャン)病(Keshan disease:中国の風土病)やカシン・ベック病 (Kashin-Beck disease) の原因としてセレン欠乏が考えられている。

産出

セレンを主成分とする鉱物は、銅あるいは銀との化合物のセレン銀鉱やセレン銅銀鉱が知られるが、産出量の少ない鉱物であるため鉱石として利用はされない。硫黄化合物として産出することが多いため、工業的には硫酸製造の際の沈殿物や銅精錬時の副産物を精錬し得る。

21世紀になって中国が需要増により自国生産を始めるまでは日本が世界最大の産出国だった。主に銀の副産物としてセレン銀鉱から抽出されている。

主な産出国は、中国、日本、ドイツ、ベルギー、カナダになっている。アメリカも20世紀までは採掘していたが21世紀になってから生産していない。産出量は2020年が2,900トン、予想埋蔵量は100,000トンである[3]

セレンの産出量(単位:トン)[3]
産出国 2019 2020
中国 1,100 1,100
日本 740 750
ドイツ 300 300
ベルギー 200 200
ロシア 150 150
フィンランド 115 100
ポーランド 64 65
カナダ 57 60
トルコ 50 50
ペルー 40 40
スウェーデン 19 20
その他 45 45

用途

金属セレンは、半導体性、光伝導性がある。これを利用してコピー機の感光ドラムに用いられる。またセレンは整流器セレン整流器)に使われたり、光起電効果によりカメラ露出計ガラス着色剤[4]、脱色剤に使われる。毒性がある為、現在は使用が制限され多くの用途において代替物質が使用されている。

歴史

1817年スウェーデン化学者イェンス・ベルセリウスヨハン・ゴットリーブ・ガーンによって発見された。2人はスウェーデンに化学工場を持ち、鉛室法で硫酸を生産していた。ファールン鉱山の黄鉄鉱 (Pyrite) は鉛室の中で赤い沈殿物を作り、それがヒ素化合物と推定されたために硫酸の製造は中止された。この赤い沈殿物を燃やすとテルル化合物の場合と同様にホースラディッシュのような臭いがすることを確認したため、当初ベルゼリウスはこれがテルル化合物と考えた。しかしファールン鉱山の鉱物の中にテルル化合物がないことから、やがてベルゼリウスは赤い沈殿物を再分析し、1818年に硫黄とテルルに似た新元素と考えた。地球から名付けられたテルルに似ていることから、ベルゼリウスはこの新元素を月にちなんでセレンと名付けた。

1873年にウィルビー・スミス (Willoughby Smith) らが灰色セレンの電気抵抗が周囲の光に依存することを発見した。セレンを使用した光電池が1870 年代半ばにヴェルナー・フォン・ジーメンスによって開発され、セレンを用いた最初の商用製品となった。セレン電池は、1879年にアレクサンダー・グラハム・ベルが開発した光電池にも使用された。セレンは光の量に比例した電流を流すことを利用して、光量計などが設計された。1876年にアダムス (Adams) とデイ (Day) らがセレンと金属との接合面における光起電力効果を確認した[5]

セレンの半導体特性は、電子工学分野において多くの利用された。セレン整流器の開発は1930年代初期から始まったが、より効率的な酸化銅整流器に、その後はより安価でさらに効率の高いシリコン整流器に取って代わられた。

1883年、チャールズ・フリッツがセレンに薄い金の膜を接合した、セレン光起電力セル (Photovoltaic Cell) を作製した[6][5]。このセルは現在で言うショットキー接合を使ったもので[7]、変換効率はわずか1%程度であった[6](現在の太陽電池はpn接合を用いる)。この発明は1960年代まで光センサーとして、カメラの露出計等に広く応用された[5][8]

セレンは後に工業労働者に対する毒性という観点で医学的に注目されるようになった。またセレン含有量の多い植物を食べた動物に見られる重要な獣医学的毒物としても認識されるようになった。1954年、生化学者のジェーン・ピンセントによって、セレンの特定の生物学的機能の最初のヒントが微生物で発見された。 1957年に哺乳類の生命に必須であることが見出された。1970年代には、2つの独立した酵素のセットに存在することが明らかにされた。これに続いて、タンパク質中のセレノシステインが発見された。1980年代には、セレノシステインがUGAというコドンによってコードされていることが示された。その再コード化のメカニズムは、まずバクテリアで、次に哺乳類で解明された。

セレンの化合物

酸化物とオキソ酸

セレンのオキソ酸は慣用名をもつ。次にそれらを挙げる。

オキソ酸の名称 化学式 構造式 オキソ酸塩の名称 備考
亜セレン酸
(selenous acid)
H2SeO3 亜セレン酸塩
( - selenite)
セレン酸
(selenic acid)
H2SeO4 セレン酸塩
( - selenate)
強酸である。
ペルオキソ一セレン酸
(peroxomonoselenic acid)
H2SeO5 (ペルオキソ一セレン酸塩)
( - peroxomonoselenate)
三酸化セレンと過酸化水素から作られる。

オキソ酸塩名称の '-' にはカチオン種の名称が入る。

ハロゲン化物

有機セレン化合物

セレンに有機基が結合した化合物として、セレノール (RSeH)、セレニド (RSeR') など多くの種類の化合物が知られる。

鉱物

  • セレン銀鉱 (Ag2Se)
  • セレン銅銀鉱 (CuAgSe)

その他

生体内のセレン

セレンはセレノシステインとしてタンパク質に組み込まれ、主にセレノプロテインとして働く。セレンはビタミンEビタミンCと協調して、活性酸素ラジカルから生体を防御すると考えられている。

セレノプロテインには抗酸化に関与するグルタチオンペルオキシダーゼ、(チオレドキシン還元酵素)、甲状腺ホルモンを活性化する(テトラヨードチロニン-5'-脱ヨウ素化酵素)、セレンを(末梢組織)に輸送するセレノプロテインPなどがある。

セレンは欠乏量と中毒量の間の適正量の幅が非常に狭い。セレン過剰症として、悪心吐き気下痢、(食欲不振)、頭痛免疫抑制高比重リポ蛋白 (HDL) 減少などの症状がある。一方、欠乏症貧血高血圧精子減少、ガン(特に前立腺ガン)、関節炎早老筋萎縮多発性硬化症などが知られている。ただし、ヒトにおいて、セレン単独の欠乏では、これらの症状が認知されていない(動物実験レベルではセレン単独の欠乏症状が認められている)。

セレンは肉や植物など日常で摂取する食材に含まれており、欠乏症はさほど多くはないが、食品、特に植物性のものに含まれるセレン含量は生育する土壌中のセレン含量に左右される。そのため、セレン含量の乏しい土地の住人にセレン欠乏が見られる。そのような土地として中国黒竜江省克山県があり、鬱血性心不全を特徴とする克山病が知られている。患者にセレンを補給することにより改善するため、セレンが深く関与すると考えられている。また、中国河南省林県もセレン含量の低い土壌で、この土地では胃癌の発生頻度が高いことが知られているが、こちらにはニトロソ化合物が影響しているという説もある。

また、血液中のセレン濃度と前立腺ガンの相関性が指摘されており、血液中セレン濃度の低下は前立腺ガンのリスクファクターと言われる。セレンの補充は前立腺ガンのリスクを軽減するとの報告もある。ただし、取り過ぎは前立腺ガンのリスクを軽減しないどころか、皮膚がんのリスクを高めると言われる。

前述のように、ヒトではセレン単独の欠乏症状が見られない。したがって、セレン欠乏は、欠乏症の二次的な要因となると考えられている。すなわち、ビタミンEなどと協調してはたらくため、両栄養素の欠乏症状の相乗作用により現れると考えられる。また、克山病ではセレン欠乏が、コクサッキーウイルスの変異を促し、病原性の獲得および増大をもたらすと考えられている。

輸液・透析

経口摂取が不可能になって輸液頼みであったり、タンパク質の摂取が制限されている透析患者ではセレンは不足しがちである。[9]

余命の短い透析患者ではセレンの血中濃度が有意に低いとする研究がある。[10]

透析の過程でセレンが流出してしまっているとする研究もあるが、これを否定する研究もありいまいちよくわかっていない。[11]

セレンは透析患者の2大死因である感染症と心血管病に関わる可能性があり、基準値の策定、治療介入の必要性が指摘されている[11]

摂取量

人体には体重1 kgあたり、約0.17 mg程度含まれると言われ、1975年にヒトでの必須性が認められた。セレンの食事摂取基準は2020年版の日本人の食事摂取基準[12]によると、推定平均必要量が25 (20) µg、推奨量が30 (25) µg、上限量が450 (350) µgである(数値は成人男性、かっこ内は成人女性)。ただし、妊婦は更に5 µgの付加量、授乳婦は15~20 µgの付加量となっている。日本人の平均的なセレンの摂取量は100 µg/日とされ、中毒を起こす摂取量は800 µg以上とされている。

東京都は、日本人の摂取量は推奨量をすでに超えている為、「通常はサプリメントとして摂取する必要はないと考えられる」。さらに、「一日許摂取量が上限量に近い栄養補助食品が存在し、上限量を超える可能性がある、この様な物は栄養補助食品として販売されることが問題である」としている[13]

日本では法規制のため、経腸栄養剤(エンシュアなど)や病気用の代替乳(アレルゲン除去ミルクなど)にセレンなどを添加できず欠乏症に注意が必要となる[14]

過剰摂取は健康に影響を及ぼし、次の症状を引き起こすことがある。

皮膚炎や脱毛、爪の変形、爪の脱落、顔面蒼白、末梢神経障害、舌苔、うつ状態、胃腸障害、呼気のニンニク臭、運動失調、呼吸困難、神経症状、下痢、疲労感、焦燥感、心筋梗塞、腎不全など[15][16]。実際に過剰な含有量のダイエット食品を摂食し、健康被害を生じた例がある。

セレンの1日の平均摂取推奨量(mcg)[17]
ライフステージ 摂取推奨量
生後6カ月 15 mcg
幼児7-12カ月 20 mcg
小児1-3歳 20 mcg
小児4-8歳 30 mcg
小児9-13歳 40 mcg
10歳代14-18歳 55 mcg
成人19-50歳 55 mcg
成人51-70歳 55 mcg
成人71歳以上 55 mcg
妊娠している女性(10歳代も含む) 60 mcg
授乳中の女性(10歳代も含む) 70 mcg

関連法規

脚注

[脚注の使い方]

注釈

出典

  1. ^ “”. WebElements.com. 2007年12月10日閲覧。
  2. ^ Magnetic susceptibility of the elements and inorganic compounds 2004年3月24日, at the Wayback Machine., in Handbook of Chemistry and Physics 81st edition, CRC press.
  3. ^ a b “アメリカ国立鉱物情報センター”. 2021年9月9日閲覧。
  4. ^ インドではガラスの腕輪の着色に好んで使われるインドは「自分の写し鏡」(中村繁夫(アドバンスト マテリアル ジャパン社長)、Wedge Infinity 2012年9月4日掲載)
  5. ^ a b c 桑野幸徳『太陽電池はどのように発明され、成長したのか』オーム社、2013年8月。ISBN (978-4-274-50348-1)。 
  6. ^ a b
  7. ^ 桑野幸徳. “太陽電池はどう発明され、成長し、どうなるか?”. 太陽エネルギー 35 (3): 67. http://www.jses-solar.jp/ecsv/front/bin/cglist.phtml?Category=2937. 
  8. ^ Peter Robin Morris (1990) A History of the World Semiconductor Industry, IET, (ISBN 0-86341-227-0), pp. 11–25
  9. ^ 真史, 奥本; 裕子, 要田; 智樹, 北村; 正和, 近森; 紀男, 中西 (2011). “微量元素欠乏における問題点の考察”. 日本農村医学会雑誌 60 (4): 548–554. doi:10.2185/jjrm.60.548. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm/60/4/60_4_548/_article/-char/ja/. 
  10. ^ “血中亜鉛およびセレン濃度の低下は血液透析患者の生命予後に強く影響する”. NMCC共同利用研究成果報文集24. (2017). https://www.jrias.or.jp/report/pdf/2017-24J1.2.19.pdf. 
  11. ^ a b 斉, 水口; 修, 脇野; 徹, 川合; 義彦, 菅野; 裕生, 熊谷; 浩子, 児玉; 洋介, 藤島; 智仁, 松永 et al. (2021). “透析患者におけるセレン欠乏症の臨床的意義”. 日本透析医学会雑誌 54 (5): 191–201. doi:10.4009/jsdt.54.191. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdt/54/5/54_191/_article/-char/ja/. 
  12. ^ 日本人の食事摂取基準 厚生労働省
  13. ^ ミネラル補給用サプリメントの含有量調査 セレンの分析 東京都健康安全研究センター 研究年報 2007年 (PDF)
  14. ^ 児玉浩子「経腸栄養剤・治療用ミルク使用で注意すべき栄養素欠乏」『脳と発達』第46巻第1号、2014年、5-9頁、doi:10.11251/ojjscn.46.5、NAID 130005005682。 
  15. ^ セレン - 「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所
  16. ^ 過剰のミネラルを含むダイエタリーサプリメントについて 東京都食品安全情報評価委員会 (PDF)
  17. ^ “セレニウム | 海外の情報 | 一般の方へ | 「統合医療」情報発信サイト 厚生労働省 「統合医療」に係る情報発信等推進事業”. www.ejim.ncgg.go.jp. 厚生労働省. 2019年2月14日閲覧。

関連項目

外部リンク

  • セレン - (オレゴン州大学・ライナス・ポーリング研究所)
  • セレン解説 - 「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所
  • セレン - 同
  • 『(セレン)』 - コトバンク
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