ジャック・ドゥミ(Jacques Demy, 1931年6月5日 - 1990年10月27日)は、フランス出身の映画監督・脚本家。
略歴
アニメーターのポール・グリモーや映画監督のジョルジュ・ルーキエと働いた後、1961年の『ローラ』で映画監督としてデビューして「ヌーヴェルヴァーグの真珠」にたとえられる、この作品で「恋の歓びと哀しみをまるでお伽話のような純粋さで謳いあげ」「この時代錯誤的なまでに単純な主題をつらぬくために」ミュージカルという「反時代的な形式を必要とした」[1]。
1963年に制作したカトリーヌ・ドヌーヴ主演のミュージカル『シェルブールの雨傘』でカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞。ミシェル・ルグランと共に手掛けた音楽はそれまでのミュージカル映画に新たな波を引き起こした。
『ローラ』の音楽は当初、クインシー・ジョーンズが担当予定だったが、スケジュールの関係で辞退。ルグランが『(アメリカの裏窓)』の音楽を担当した(フランソワ・レイシャンバック)の勧めで、ドゥミがルグランに会った。ルグランは初め乗り気でなかったが、同席したアニエス・ヴァルダが説得、最終的にルグランが折れた。ルグランとのコンビは、『シェルブールの雨傘』後も、『ロシュフォールの恋人たち』『ロバと王女』『モン・パリ』『ベルサイユのばら』と続いたが、『(都会の一部屋)』の主題を気に入らなかったルグランがオファーを拒み、二人は疎遠になった。
1990年にエイズにて死去[2]。モンパルナス墓地に葬られている。
2004年には『ロバと王女』が妻と息子の手によってリバイバルされた。
2009年、『シェルブールの雨傘』製作45周年を記念し、日本で世界初となる“デジタルリマスター版”が『ロシュフォールの恋人たち』と共にリバイバル上映された。
主な監督作品
- ローラ Lola(1961)
- 新・七つの大罪 より 「淫乱の罪」 Les Sept Péchés capitaux , La Luxure(1962)
- (天使の入り江) La Baie des Anges (1963)
- シェルブールの雨傘 Les Parapluies de Cherbourg (1964)第17回カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞
- ロシュフォールの恋人たち Les Demoiselles de Rochefort (1967)
- モデル・ショップ Model Shop (1968)
- ロバと王女 Peau d'âne (1970)
- ハメルンの笛吹き The Pied Piper (1971)
- モン・パリ L'Événement le plus important depuis que l'homme a marché sur la lune (1973)
- ベルサイユのばら Lady Oscar (1978)
- (都会の一部屋) Une chambre en ville (1982)
- パーキング Parking(1985)
- (想い出のマルセイユ) Trois places pour le 26 (1988)
脚注
関連文献
- 「ジャック・ドゥミ、映画の夢」 - アンスティチュ・フランセ日本