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コバルト

コバルト: cobalt [ˈkoʊbɒlt]: cobaltum)は、原子番号27の元素である。元素記号Co。純粋なものは銀白色の金属である。常温で安定な結晶構造は六方最密充填構造 (hcp) で、420 °C以上で面心立方構造 (fcc) に転移する。鉄族元素のひとつであり、強磁性体である。より酸化されにくく、塩基にも強い。キュリー点は1150 °C。

コバルト ニッケル
-

Co

Rh
27Co
外見
銀白色
一般特性
名称, 記号, 番号 コバルト, Co, 27
分類 遷移金属
, 周期, ブロック 9, 4, d
原子量 58.933195(5) 
電子配置 [Ar] 4s2 3d7
電子殻 2, 8, 15, 2((画像))
物理特性
銀白色
密度室温付近) 8.90 g/cm3
融点での液体密度 7.75 g/cm3
融点 1768 K, 1495 °C, 2723 °F
沸点 3200 K, 2927 °C, 5301 °F
融解熱 16.06 kJ/mol
蒸発熱 377 kJ/mol
熱容量 (25 °C) 24.81 J/(mol·K)
蒸気圧
圧力 (Pa) 1 10 100 1 k 10 k 100 k
温度 (K) 1790 1960 2165 2423 2755 3198
原子特性
酸化数 5, 4 , 3, 2, 1, −1[1]
(両性酸化物)
電気陰性度 1.88(ポーリングの値)
イオン化エネルギー 第1: 760.4 kJ/mol
第2: 1648 kJ/mol
第3: 3232 kJ/mol
原子半径 125 pm
共有結合半径 126±3(低スピン), 150±7(高スピン) pm
その他
結晶構造 六方晶系
磁性 強磁性
電気抵抗率 (20 °C) 62.4 nΩ⋅m
熱伝導率 (300 K) 100 W/(m⋅K)
熱膨張率 (25 °C) 13.0 μm/(m⋅K)
音の伝わる速さ
(微細ロッド)
(20 °C) 4720 m/s
ヤング率 209 GPa
剛性率 75 GPa
体積弾性率 180 GPa
ポアソン比 0.31
モース硬度 5.0
ビッカース硬度 1043 MPa
ブリネル硬度 700 MPa
CAS登録番号 7440-48-4
主な同位体
詳細はコバルトの同位体を参照
同位体 NA 半減期 DM DE (MeV) DP
(56)Co syn 77.27 d ε 4.566 56Fe
(57)Co syn 271.79 d ε 0.836 (57)Fe
(58)Co syn 70.86 d ε 2.307 (58)Fe
(59)Co 100 % 中性子32個で安定
60Co syn 5.2714 y β-, γ, γ 2.824 60Ni

コバルトを用いた核爆弾の1種であるコバルト爆弾についても、本記事で記述する。

名称

コバルトの名称と元素記号は、ドイツ語で地の妖精を意味するコーボルト(koboldまたはkobalt)に由来する。コバルト鉱物は冶金が困難であるため、16世紀ごろのドイツでは、コーボルトが坑夫を困らせるために魔法をかけたものと考えられていた。

なお、日本語における「コバルト」というカナ書きは、オランダ語からのものである。

歴史

1735年スウェーデンイェオリ・ブラント (Georg Brandt) によって発見された[2]

1960年に発生したコンゴ動乱によって値段が暴騰した。

産出地

コバルトの主要産出国は以下の通り(2011年実績)[3]

アメリカ地質調査所による2017年のコバルト鉱山の生産量と埋蔵量[4]
産出量/t 埋蔵量/t
  コンゴ民主共和国 64000 3500000
  ロシア 5600 250000
  オーストラリア 5000 1200000
  カナダ 4300 250000
  キューバ 4200 500000
  フィリピン 4000 280000
  マダガスカル 3800 150000
  パプアニューギニア 3200 51000
  ザンビア 2900 270000
  ニューカレドニア 2800 -
  南アフリカ 2500 29000
  モロッコ 1500
  アメリカ 650 23000
その他 5900 560000
世界合計 110000 7100000

紛争鉱物として知られ、2016年に人権団体のアムネスティ・インターナショナルが「年間産出量の53%を占めるコンゴ民主共和国最大のコバルト鉱山テンケ・フングルーメ鉱山などを買収してコバルトの精製品の8割近くを生産している中国の企業が、児童労働などで得たコバルトをAppleマイクロソフトサムソンソニーダイムラーフォルクスワーゲンなど多国籍企業に供給している」と批判し、国際的な問題となった[5][6][7][8]。なお、コバルトは日本国内において産業上重要性が高いものの、地殻存在度が低く供給構造が脆弱である。日本では国内で消費する鉱物資源の多くを他国からの輸入で支えている実情から、万一の国際情勢の急変に対する安全保障策として国内消費量の最低60日分を国家備蓄すると定められている。

用途

合金材料

単体金属としてのコバルトの利用は一部用途にとどまっているが、合金材料として重要であり、工業的に利用される。初期のコバルト合金は、高速度工具鋼にコバルトを添加したコバルトハイス鋼に用いられた。また、切断工具材料としてそれまでの合金に添加されることにより、コバルトの需要は増していった。

ニッケルクロムモリブデンタングステン、あるいはタンタルニオブを添加したコバルト合金は、高温でも磨耗しにくく腐食に強いため、ガスタービンジェットエンジンといった高温で高い負荷が生じる装置などに用いられているほか、溶鉱炉石油化学コンビナートなどでも充分に役割を果たす。

そのほか、よりも錆びづらくアルカリに侵食されにくい性質を利用し、コバルト含有率を大幅に高めたコバルト合金は、などの高級素材として利用されている。

ステライトに代表される、コバルト・クロム・タングステンあるいはモリブデン炭素を使った4元系の合金は磨耗に強く、表面強化が必要となる工業分野において幅広く利用され始めている。この合金は鋳型として使用するほか、粉末として吹きつけることや溶射して利用することも可能であり、利用技術の発達によって航空機の表面にコーディングすることなどをはじめ、広い分野で実用化が始まっている。

マルエージング鋼
航空宇宙分野では必須の合金で高性能ミサイルの製造に重要であることから、戦略物資として扱われている。
コバルト-モリブデン-ケイ素合金
耐摩耗性を有して(摩擦係数)が小さい(滑らかな)性質を示し、ベアリングの特徴を併せ持つなど、有用な特性を持った合金も開発されている。
コバルト-クロム-モリブデン合金(コバリオンなど)やコバルト-クロム-タングステン-ニッケル合金
腐食しにくいため、歯科医療や外科手術(人工関節)などでも使われている。
ニッケル-コバルト-モリブデン鋼
非常に強い強度と高い靭性を持ち、多くの分野での応用が期待されて研究が進んでいる。

以上に加え、コバルト合金はほかにも磁気材料として鉄とともにもっとも重要な役割を果たしてきた。コバルトを添加することによって磁性やキュリー値が上昇するなど、磁気材料としての性能が高まる。コバルトを使った合金のひとつであるアルニコ合金は、かつてもっとも幅広く用いられていた永久磁気材料であった。サマリウムコバルト磁石はコバルトとサマリウムの金属間化合物で、強い保磁力がある。

化合物

 
ケイ酸コバルトによって青くなった瓶

同位体

放射性同位体コバルト60は、γ線源として用いられる。医療分野での放射線療法ガンマ線滅菌、食品分野での食品照射ジャガイモの発芽防止)、工業分野での非破壊検査などに広く利用されている。

コバルト爆弾

コバルト爆弾とは、核開発への警告としてレオ・シラードが発表した核爆弾の1種である。原子爆弾もしくは水素爆弾の周囲をコバルトで覆ったものであり、具体的にはタンパー(核反応が充分に進行しないうちに核物質が四散して爆発が不完全に終わることを防ぐ、重金属製の覆い。日本語でタンパーと称される締固め用機械とは無関係である。)にコバルトを用いる。

原子量が59であるコバルトが、核分裂反応に伴って放出される中性子を取り込むことでコバルト60が生成され、これが爆弾の爆発とともに広範囲へまき散らされる。コバルト60は半減期が約5.27年でγ線を放射するため、コバルト爆弾は放射線兵器となる。しかし、半減期の長いコバルト60による汚染は味方にも被害がおよぶうえ、被災地の占領も困難であるなどの理由から、実用化されることはなかった。

SF作品の第三次世界大戦など、核戦争で世界が破滅するジャンルには、中性子爆弾と並んでよく登場する。また、その際には爆弾自体の破壊力もきわめて高く描写されており、作品によっては地球を消滅させるという設定すら盛り込まれている(1970年の映画『続・猿の惑星』など)。

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 2020年現在、米国カリフォルニア州のみ。

出典

  1. ^ (グリーンウッド, ノーマン); アーンショウ, アラン (1997). Chemistry of the Elements (英語) (2nd ed.). (バターワース=ハイネマン)(英語版). pp. 1117–1119. ISBN 978-0-08-037941-8
  2. ^ (桜井弘)『元素111の新知識』講談社、1998年、151頁。ISBN (4-06-257192-7)。 
  3. ^ 「Mineral Commodity Summaries 2012[1]」p47、USGS
  4. ^ Cobalt Statistics and Information, U.S. Geological Survey, (2018), https://minerals.usgs.gov/minerals/pubs/commodity/cobalt/mcs-2018-cobal.pdf 
  5. ^ Hon, Tracy; Jansson, Johanna; Shelton, Garth; Liu, Haifang; Burke, Christopher; Kiala, Carine (January 2010). "Evaluating China's FOCAC commitments to Africa and mapping the way ahead" . Centre for Chinese Studies, Stellenbosch University.
  6. ^ “世界のバッテリー支配狙う中国、コバルト供給牛耳る”. ウォール・ストリート・ジャーナル (2018年2月13日). 2018年6月26日閲覧。
  7. ^ “コンゴ民主共和国:巨大企業 コバルト採掘での児童労働問題を放置”. アムネスティ (2017年11月29日). 2018年6月26日閲覧。
  8. ^ “コンゴ民主共和国:スマートフォンの裏に児童労働”. アムネスティ (2016年1月25日). 2018年6月26日閲覧。
  9. ^ “コバルト(Co)〜銀を食らう山の精コボルト、印象派の画家たちも愛した青い元素〜”. 高純度化学研究所 (2018年6月25日). 2019年12月9日閲覧。
  10. ^ “テスラ、中国EVにコバルト使わない電池”. 日本経済新聞 (2020年6月12日). 2020年12月3日閲覧。
  11. ^ “フランスがガソリン車の販売を禁止する真の理由”. 日経ビジネス (2017年7月27日). 2020年12月3日閲覧。
  12. ^ “政府、2030年代半ばにガソリン車新車販売禁止へ 欧米中の動きに対抗”. 毎日新聞 (2020年12月3日). 2020年12月3日閲覧。

関連項目

外部リンク

  • コバルト及びその化合物 環境省 化学物質の環境リスク評価 第11巻 (PDF)
  • 『(コバルト)』 - コトバンク
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