らくらくホンは、NTTドコモの携帯電話端末製品のブランド名。
ドコモ らくらくホンとしてシリーズが展開されている。現在は富士通→富士通コネクテッドテクノロジーズ→FCNTが手掛けている。 過去には松下通信や三菱電機なども手掛けていた。
概要
らくらくホンは、携帯電話初心者および50代以上の高齢者層をターゲットに見据えた携帯電話端末シリーズである。万人に使いやすいようにと人間工学に基づき設計されたデザイン(ユニバーサルデザイン)・装備・機能が特徴である[1]。
具体的には、機能を基本的なもののみに絞り、ディスプレイやボタン(キー)の文字サイズを大きくし、ボタンの押し間違いを防ぐため凹凸を大きくするなどしている。
更に他の機種・キャリアにはない装備や機能として以下のような機能も搭載され始めている。
- 受話音量を調節するダイヤルスイッチ(ボリューム)
- 歩数計機能 歩数のデータを指定した人に1日1回自動でメール送信機能のついた機種もある。
- メニューやメールなどの文章読み上げ機能がある。
- 騒音環境でも聞きやすくするために「はっきりボイス」機能を搭載している。
- 相手の声がゆっくり聞こえる「ゆっくりボイス」を搭載している。
- クリアな音声を相手に伝えるマイクを採用している。
このうち、ダイヤルスイッチと読み上げ機能以外は、らくらくホンシリーズ以外での富士通の携帯電話にも採用されている。arrowsシリーズには「ヒューマンセントリックエンジン」として搭載されている。
音声読み上げ機能は視覚障害者からの期待や需要も高まっている。ほとんどの操作までを読み上げる機能が他社の機種にはないため、一時ほぼ独占状態だった[2]。
このほか、本来のターゲットである高齢者や初心者以外にも、通話・メール専用機としてスマートフォンなどと併用するユーザー層にも軽量性や操作性の良さから一定の需要がある。
なお、ドコモでは2008年11月から新しいコンセプトシリーズに端末体系を移行させた。らくらくホンはdocomo らくらくホン シリーズという名称で、これらとは別個の単独シリーズとして販売されている。また、以降は新たにグリーンのイメージカラーが付けられている。2013年にはドコモのラインナップ見直しによりドコモ らくらくホンにシリーズ名が変更されている。また、端末の販売のみならず、全国のドコモショップなどで、年配者の人にも携帯電話の操作になれてもらうため、らくらくホンを中心とした携帯電話教室を開催している。電話のかけかた、iモードメールの操作方法、文章読み上げ機能の操作方法などを教えている。
2012年5月には、Androidベースのスマートフォンであるらくらくスマートフォンを開発。他のドコモ スマートフォンと異なりGoogleアカウントの設定画面自体を無くし、初期設定時にGoogleアカウントを取得しないことで設定の簡素化を図ったほか、メニュー画面は大きめの文字とボタンで配され、本体正面のハードキーは歴代らくらくホンやらくらくホンベーシックなどでの「終話キー」に近い機能を持つ「ホームボタン」のみとするなど、らくらくホンならではの使い勝手を採用するほか、タッチパネルには、スクロール操作とタッチ操作を明確化した「らくらくタッチパネル」が採用され、「うっかりタッチサポート」や「おまかせタッチ」といった、押し間違いによる誤操作や誤入力を防ぐ機能も搭載する。また、2代目となるらくらくスマートフォン2からは高齢者向けスマートフォンでいち早くLTE(Xi)に対応、3代目となるらくらくスマートフォン3では2015年7月実施のソフトウェアアップデートにてVoLTEに対応しており、通信サービス面での強化も図られている。なお、購入時期によっては、購入時にすでに前記アップデート適応済みとなっている場合がある。
歴史
らくらくホンは松下通信工業(現パナソニック モバイルコミュニケーションズ)が初代製品の開発を手がけ、その後は富士通によって一年ごとにモデルチェンジが行われている。iモードへの対応、形状をフリップ式から折りたたみ式へ移行、movaからFOMAへ移行、カメラの搭載など、代を重ねる毎に機能を拡充させていった。
そうして多機能化されたらくらくホンは、当初の開発コンセプトからやや逸した状態にあった。そんな中、機能を音声通話のみに絞ったツーカーSが発売され好評を得たという事実が、らくらくホンシリーズを再び基本に立ち戻らせた。そうして誕生したのが、三菱電機によって開発されたシンプルな端末、らくらくホンシンプルであった。
- 1999年10月27日: らくらくホンシリーズの初代製品 P601esが発売。
- 2004年9月4日: FOMAらくらくホンが発売。
- 2005年7月: らくらくホンシリーズの累計販売台数が全国で553万台を突破
- 2005年8月19日: らくらくiメニューが開設。
- 2005年12月16日: らくらくホンシンプルが発売。
- 2007年4月13日: らくらくホンベーシックが発売。
- 2007年4月22日: らくらくホンシリーズの累計販売台数が全国で1,000万台を突破。[1]
- 2008年4月14日: らくらくホンプレミアムが発売。
- 2009年3月: らくらくホンシリーズの累計販売台数が全国で1,500万台を突破。
- 2011年7月18日: らくらくホンシリーズの累計販売台数が全国で2,000万台を突破。
- 2012年5月16日: シリーズ初のスマートフォンモデルになる、らくらくスマートフォン(F-12D)の開発を発表。
- 2013年5月15日: シリーズ初のXi対応モデルになる、らくらくスマートフォン2(F-08E)の開発を発表。
- 2013年7月23日: らくらくスマートフォン2をベースにROM容量を16GBに増量し、Google Playやテザリングに対応させたらくらくスマートフォン プレミアム(F-09E)の開発を発表。
製品
らくらくホン
型番 | 愛称 | 発売日 | 備考 |
---|---|---|---|
mova | |||
P601es | らくらくホン | 1999年10月27日 | 松下通信工業製、P207がベース |
F671i | らくらくホンII | 2001年9月1日 | F502iを基本設計にしたムーバ機 |
F671iS | らくらくホンIIS | 2002年9月6日 | 基本的にはF671iの折り畳みタイプ |
F672i | らくらくホンIII | 2003年9月5日 | |
FOMA | |||
F880iES | FOMAらくらくホン | 2004年9月4日 | |
F881iES | FOMAらくらくホンII | 2005年8月19日 | |
D880SS | らくらくホン シンプル | 2005年12月16日 | 三菱電機製、通話特化型 |
F882iES | FOMAらくらくホンIII | 2006年9月1日 | |
(F883i) | らくらくホン ベーシック | 2007年4月13日 | |
F883iES | らくらくホンIV | 2007年8月17日 | |
F884i | らくらくホン プレミアム | 2008年4月14日 | F905iをベースにした高機能型 |
F883iESS | らくらくホンIVS | 2008年4月17日 | |
(F883iS) | らくらくホン ベーシックS | 2008年5月19日 | |
F884iES | らくらくホンV | 2008年8月1日 | |
(F-07A) | らくらくホン ベーシックII | 2009年4月9日 | |
F-10A | らくらくホン6 | 2009年8月7日 | |
F-09B | らくらくホン7 | 2010年7月23日 | |
(F-08C) | らくらくホン ベーシック3 | 2011年4月22日 | |
F-08F | らくらくホン8 | 2014年9月12日 | |
(F-01G) | らくらくホン ベーシック4 | 2014年10月4日 | |
Xi | |||
F-02J | らくらくホン F-02J | 2016年12月14日[3] | いわゆるガラホ |
F-01M | らくらくホン F-01M | 2019年11月22日 | いわゆるガラホ |
らくらくスマートフォン
型番 | 愛称 | 発売日 | 備考 |
---|---|---|---|
FOMA | |||
F-12D | らくらくスマートフォン | 2012年8月1日 | ARROWS Me F-11Dがベース |
Xi | |||
F-08E | らくらくスマートフォン2 | 2013年8月16日 | ARROWS NX F-06Eがベース |
F-09E | らくらくスマートフォン プレミアム | 2013年10月4日 | Google Playに対応した高機能型 |
F-06F | らくらくスマートフォン3 | 2014年7月26日 | |
F-04J | らくらくスマートフォン4 | 2017年2月10日 | |
F-03K | らくらくスマートフォン me F-03K | 2018年2月28日 | |
F-01L | らくらくスマートフォン me F-01L | 2019年2月15日 | |
F-42A | らくらくスマートフォン F-42A | 2020年9月23日 | |
5G | |||
F-52B | らくらくスマートフォン F-52B | 2022年2月24日 | 富士通完全撤退後初のらくらくホン |
ギャラリー
movaらくらくホンIII
FOMAらくらくホン
FOMAらくらくホンIII
らくらくホン6
らくらくホンベーシックII
らくらくスマートフォン3
F-01M
らくらくiメニュー
らくらくiメニュー(らくらくアイメニュー)は、らくらくホン専用の(iメニュー)。2005年8月19日に開設したサービス。
NTTドコモがターゲットである高齢者層のiモード利用を促すべく、その層の好みとするジャンルを厳選して提供しているもの。
日本国外展開
富士通ではらくらくホンのノウハウを元に日本国外展開を進めている。
2013年6月にはF-12Dをベースにした「STYLISTIC S01」をフランスのOrange(フランステレコム傘下)に供給開始[4]、同年10月からは取扱エリアがフランス全土に拡大している[5]。今後はフランス以外にも供給先を拡大する方針としている。
参考文献
脚注
- 注釈
- 出典
- ^ 富士通「操作は限りなくやさしく、性能は限りなく高性能に 富士通が実現するユニバーサルデザイン携帯」『富士通ジャーナル』、2007年9月25日
- ^ “iPhoneとらくらくホンの静かなる戦い”. 日経IT PRO (2010年4月27日). 2018年3月27日閲覧。
- ^ らくらくホン F-02J | 製品 | NTTドコモ (2017年3月1日閲覧)
- ^ 富士通の「らくらくスマートフォン」が仏Orangeに選ばれた理由 - ITmedia mobile・2013年4月4日
- ^ 「らくらくスマホ」フランスで好評 日本メーカーの海外成功第1号となるか - J-CASTニュース・2014年1月8日
関連項目
外部リンク
- ドコモ らくらくホン・あんしんスマホ | 製品 | NTTドコモ
- iPhoneとらくらくホンの静かなる戦い|日経IT PRO