沿革
創業スタッフは「Famishin」「こぶいち」「むりりん」「天宮りつ」「煎路」「ろど」の6名。全員がかつてスタジオメビウスに所属しており『SNOW』といった作品の開発に携わっている。
スタジオメビウスに当時所属していたFamishinが「これまでやったことのないゲームを作りたい」と考え退職。同時期に退職した、むりりん・こぶいち・ろど達と共に同人サークル『チームエグゾーダス』を結成、2005年12月30日に同人ゲーム『しょうよん! コドモ☆ちゃれんじ』をコミックマーケット69で発売(のち有料ダウンロード販売)。
この「チームエグゾーダス」を母体にFamishinを代表として法人化、ブランド名を現在の「ゆずソフト」に定め、2006年7月28日に『ぶらばん! -The bonds of melody-』でデビューした。社名の由来は「名前を決める議論中にゆずサワーを飲んでいたこと」と「柑橘系のものを名前に入れると売れるような気がしたから」とのこと[1][2]。「チームエグゾーダス」は2007年10月31日をもって活動を停止し、ホームページも閉鎖された。
その後、Famishinから声をかけられた煎路が[1]、グラフィッカー不足を補うために「モドキさん」が入社[1]。
2015年12月31日をもって煎路が退社。今後は外注として関わっていくとされる[3]。入れ替わりでグラフィッカーの「中乃」と「トミフミ」が入社。
その後(入社時期不明)、新たな原画家として羽純りおが入社。更に2021年7月30日には全年齢対象の姉妹ブランド「ゆずソフトSOUR」[4]、音声ASMRブランド「YSMR」が始動[5]。ほぼ同時期(2021年10月)に新たな原画家「ほかん」が加わり、現在に至る。
特徴
週一のスタッフ会議で全員が企画書(A4用紙2、3枚程度)を出し、新作の場合はそのまま全員で数日間話し合い、まとまった企画を新作として発表する[1]。『ぶらばん! -The bonds of melody-』(Famishin)・『E×E』(天宮)・『夏空カナタ』(ろど)は企画立案者がそのままディレクターとなったが『』は、むりりんが企画を立案したものの「原画とディレクターの兼業は難しい」という理由で煎路がディレクターを務めた[1]。
アダルトゲームブランドとしては数少ない一度も発売延期を実行せずに開発を遂行している組織として知られている。その人気の高さから多くのユーザーからファンディスクの要望があるが「過去は振り返らない」という考えから、携帯ゲームに移植されてシナリオを追加した「天神乱漫」を除き、そのような措置は一切取らない方針を取っている[2]。
2011年10月末に公式サイトを全面リニューアル。ブログなどのコンテンツの参加にはTwitterのアカウントを介したユーザー登録が必須となった。その後も公式サイトは最新作の情報解禁のタイミングでマイナーチェンジが施されている。
この他、最新作が発売されるまでの期間にカウントダウンムービーを公開している。他作品のパロディを数多く仕込んでいるなど、他社のそれとは一線を画しているのが特徴。
公式サイトに著作権ガイドライン[6]を掲載しており、動画配信や二次創作における利用範囲を定めている。
作品
2006 | ぶらばん! -The bonds of melody- |
---|---|
2007 | E×E |
2008 | 夏空カナタ |
2009 | |
2010 | のーぶる☆わーくす |
2011 | |
2012 | DRACU-RIOT! |
2013 | 天色*アイルノーツ |
2014 | |
2015 | サノバウィッチ |
2016 | 千恋*万花 |
2017 | |
2018 | RIDDLE JOKER |
2019 | 喫茶ステラと死神の蝶 |
2020 | |
2021 | |
2022 | |
2023 | 天使☆騒々 RE-BOOT! |
- ぶらばん! -The bonds of melody-
- 第1作目の作品で、2006年7月28日に発売された。主人公の通う学園が廃校にされ、合併先のブラスバンド部と勝負することになる。しかし、主人公側の吹奏楽部に比べ相手は銀賞を受賞していることなど、その実力差は圧倒的であった。本作はFLASHでカウントダウンが公開されていた。
- E×E(エグゼ)
- 第2作目の作品で、2007年6月1日に発売された。
- 夏空カナタ
- 第3作目の作品で、2008年5月23日に発売された。
- 第4作目の作品で、2009年5月29日に発売された。2010年3月25日にはPlayStation Portable移植版『天神乱漫 Happy Go Lucky!!』がラッセルより発売された[7]。
- のーぶる☆わーくす
- 第5作目の作品で、2010年12月24日に発売された[8]。ゆずソフトの5周年記念作品でもある[9]。本作は、一般市民である主人公が大企業の御曹司の影武者となって名門校に通い、そこで出会った女性達と恋仲になるという物語である[10]。2010年の美少女ゲーム年間売り上げランキングでは『Getchu.com』による集計で11位を獲得し[11]、『Getchu.com』の美少女ゲーム大賞2010では総合部門で7位となった[12]。
- DRACU-RIOT!
- 第6作目の作品で、2012年3月30日に発売された[13]。アクア・エデンという人間と吸血鬼が共存する海上都市が舞台であり、人間から吸血鬼となった主人公が種族の壁に戸惑いながら、人間や吸血鬼の少女と恋愛をする物語である[14]。本作では新規顧客開拓のため、漫画化・パンフレット配布・ガレージキットの制作・スマートフォンアプリの無料配信などが試みられた[15][16]。2012年の美少女ゲーム年間売り上げランキングでは『BugBug』による集計で2位を獲得し[17]、『Getchu.com』の美少女ゲーム大賞2012では総合部門で2位となった[18]。本作には3種の漫画が存在し、それぞれ(季野このき)・河南あすか・牛乳リンダが作画を行った[19][20][21]。
- 天色*アイルノーツ
- 第7作目の作品で、2013年7月26日に発売された[22]。作品のコンセプトは「キャラ萌え」であり[23]、エルフやセリアンスロープ(獣人)などの架空の種族が住む空に浮かぶ島を舞台としている。シナリオは、空に浮かぶ島で教鞭を執る主人公が生徒や同僚の女性たちと恋仲になるという展開である[24]。2013年の美少女ゲーム年間売り上げランキングでは『BugBug』による集計で1位を獲得し、『BugBug』の「2013年読者が選ぶ美少女ゲーム年間ランキング」では総合部門で5位となった[25]。美少女ゲーム雑誌では、キャラクターデザインや恋愛描写に関して好意的な意見が寄せられた[26][25]。本作は、(季月えりか)による漫画がKADOKAWAから発売されている[27]。
- サノバウィッチ
- 第8作目の作品で、2015年2月27日に発売された。
- 千恋*万花
- 第9作目の作品で、2016年7月29日に発売された。
- RIDDLE JOKER
- 第10作目の作品で、2018年3月30日に発売された。
- 喫茶ステラと死神の蝶
- 第11作目の作品で、2019年12月20日に発売された。
- 天使☆騒々 RE-BOOT!
- 第12作目の作品で、2023年4月28日に発売された。
ゆずソフト(音声作品)
- RIDDLEJOKER音声作品「在原七海はお兄ちゃんとつながりたい」
- 『RIDDLE JOKER』のヒロイン、在原七海の後日談。2022年7月3日に発売。CVはくすはらゆい、シナリオはあすきぃきゅーぶ、天宮りつ(特別トラックシナリオ)。
ゆずソフトSOUR
- PARQUET
- 第1作目の作品で、DMM/DLsiteでダウンロード専売。2021年7月31日に発売。Steam/Android版は8月27日(iOS版では9月3日)に配信。CVは東山奈央が一人二役担当している。
- 第2作目の作品で、DMM/DLsiteでダウンロード販売。2021年12月24日に発売。PSP版「天神乱漫 Happy GO Lucky」の逆移植版。UIを最新作に合わせ刷新しさらにフルHD化している。『ゆずソフトPENTABOX』の特典としてDLコードが付属している。[28]。
YSMR(音声作品)
- お昼寝同好会で過ごすイチャつき甘えっちな日々
- 第1作目のオリジナル作品。2021年7月31日に発売。CVは陽向葵ゅか、シナリオはあすきぃきゅーぶ。
- 耳フェチ純愛メイドとのあまあま性欲処理エッチ~食べられちゃうのはご主人様ですよ♪~
- 第2作目のオリジナル作品。2021年8月22日に発売。CVは分倍河原シホ、シナリオはあすきぃきゅーぶ。
- 清楚(嘘)な恋人に籠絡されて堕とされる秘密の校内エッチ
- 第3作目のオリジナル作品。2021年10月1日に発売。CVはそよかぜみらい、シナリオはあすきぃきゅーぶ。
- 親戚のお姉ちゃんに搾り取られるイチャラブ同居生活
- 第4作目のオリジナル作品。2021年11月19日に発売。CVは秋野かえで、シナリオは天宮りつ。
- 年下幼馴染みは、お兄ちゃんを開発したい
- 第5作目のオリジナル作品。2022年3月4日に発売。CVは逢坂成美、シナリオは天宮りつ。
- エッチすると即デレ!クールな許嫁JKと始める毎日同棲ラブはめ♪
- 第6作目のオリジナル作品。2022年5月27日に発売。CVは天知遥、シナリオはあすきぃきゅーぶ。
- 同級生リフレ~一枚上手な室田さんと裏オプエッチ~
- 第7作目のオリジナル作品。2022年7月30日に発売。CVは藍沢夏癒、シナリオはあすきぃきゅーぶ。
スタッフ
- 代表・音楽・音響効果
- 原画
- シナリオ
-
- 天宮りつ:初期の作品では「リツ」とカタカナで表記されていた。これについては本人は「何で両方あるのか自分でも分からないからどちらでもいい」と語っている[2]。『E×E』におけるディレクター。
- グラフィック
-
- モドキさん:2006年11月入社。
- 中乃:『千恋*万花』以降の作品に参加。
- トミフミ:『千恋*万花』以降の作品に参加。
- HPデザイン・ムービー・その他雑務
-
- ろど:名義は本人が好きな映画監督「ロドリゲス」が由来[31]。ゆずソフト以外にも『ナツユメナギサ』を初めとするSAGA PLANETSの作品のムービーも製作している。『夏空カナタ』『DRACU-RIOT!』『サノバウィッチ』『RIDDLE JOKER』『PARQUET』におけるディレクター。
ゆずソフト所属ではない関係者
- 声優
- シナリオ
- SD原画
- その他
-
- 煎路:前述の通り、2015年12月31日にて退社。『天神乱漫』『天色*アイルノーツ』におけるディレクター。
- よう太:イラストレーター。『E×E』においてアニメパートを担当。
- Angel Note:音楽制作チーム。全作品の主題歌、BGMの編曲などを担当。
- ダニー・チュー:「Culture:Japan」のMCで有名な所謂「オタク文化」に良識を持つ人物。『DRACU-RIOT!』制作に連動し、技術力を提供して公式サイトのリニューアルに貢献した。
ゆず生ラジオ
第6作『DRACU-RIOT!』を期にニコニコ動画で配信され始めた生放送番組。スタッフのろどが顔出しで番組を進行し、同業のFamishinと煎路が裏方から進行を補佐していた[33]が、煎路の退社などもあり現在はろどのみで放送を行っている。 放送日は基本的に毎週金曜日。放送時間は新作発表から発売直後までの繁忙期(1期、3期、5期、7期)は午後9時半から、新作発売後から次回作発表までの閑散期(2期、4期、6期)は午後7時半から1時間。
ゆず・ぱら
正式名称は「ゆずソフトパラレルヒロインズ」。
2013年春から2014年9月30日まで稼働した、ゆずソフトの歴代作品のヒロインを扱ったソーシャルゲーム。プラットフォームはMobage。
ゲームそのものに性的な描写はないが、「Mobage」登録時の生年月日から自動逆算されて、18歳未満はプレイできない仕様になっている(「ゆず生」でのろど曰く「一部のイラストでボディの線がくっきりしちゃってる」)。
メインイラストレーターのこぶいち、むりりん、こもわた遙華に加え、多数のイラストレーターがゲストとしてイラストを提供している。また自社のキャラクターソングや、他社の雑誌の付録にスペシャルカードのシリアルコードを同封させたりといくつかコラボを実現している。
脚注
- ^ a b c d e TECH GIAN(2010年8月号) pp.92-95.
- ^ a b c 「のーぶる☆わーくすオフィシャルビジュアルファンブック」スタッフ座談会より。
- ^ “”. 2015年12月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年12月10日閲覧。
- ^ “ゆずソフトSOUR 公式サイト”. ゆずソフト. 2021年7月30日閲覧。
- ^ yuzusoftのツイート(1421104764473921536)
- ^ “著作権に関するガイドライン”. ゆずソフト. 2020年6月6日閲覧。
- ^ “天神乱漫 Happy Go Lucky!!”. ラッセル. 2021年10月16日閲覧。
- ^ 『PUSH!!』第17巻第2号(2011年2月号)、114頁。
- ^ 『TECH GIAN』第14巻第10号(2010年8月号)、86-95頁。
- ^ “”. Game-Style (2010年11月1日). 2013年9月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月4日閲覧。
- ^ “Getchu.com :PCゲーム館 2010年・年間セールスランキング”. Getchu.com. 2012年9月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月4日閲覧。
- ^ “”. Getchu.com. 2013年1月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年3月4日閲覧。
- ^ 『PUSH!!』第18巻第1号(2012年1月号)、100-101頁。
- ^ 『PUSH!!』第18巻第3号(2012年3月号)、48-49頁。
- ^ 『PUSH!!』第18巻第4号(2012年4月号)、28-35頁。
- ^ 『TECH GIAN』第16巻第7号(2012年5月号)、57-61頁。
- ^ 「2012年読者が選ぶ美少女ゲーム年間ランキング」。
- ^ “”. Getchu.com. 2015年10月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年12月12日閲覧。
- ^ “”. 国立国会図書館. 2014年12月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年12月13日閲覧。
- ^ “”. 国立国会図書館. 2014年12月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年12月13日閲覧。
- ^ “”. 国立国会図書館. 2014年12月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年12月13日閲覧。
- ^ 『PUSH!!』第19巻第4号(2013年4月号)、52-59頁。
- ^ 『DENGEKI HIME』第13巻第11号(2013年8月号)、12-19頁。
- ^ “”. Game-Style (2013年6月7日). 2014年12月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年12月1日閲覧。
- ^ a b 「2013年読者が選ぶ美少女ゲーム年間ランキング」。
- ^ 「編集部㊙座談会2013」。
- ^ 『天色*アイルノーツ』(漫画版)、182頁。
- ^ “ゆずソフトPENTABOX”. ゆずソフト. 2021年10月16日閲覧。
- ^ 『TECH GIAN』2011年1月号、81頁。
- ^ ほかん🌻FANBOX (2021年10月1日). “Twitter /@horiisi”. 2021年10月1日閲覧。
- ^ 本人がツイッター上で発言。
- ^ a b 『DENGEKI HIME』2011年12月号、アスキー・メディアワークス、30頁
- ^ 当初は「ゲスト」と自称していたもののほぼ毎週参加することから、「レギュラーゲスト」と呼ばれていた
注釈
参考文献
- のーぶる☆わーくす
- 「のーぶる☆わーくす」『TECH GIAN』第14巻第10号、株式会社エンターブレイン、2010年8月、86-95頁。
- 「のーぶる☆わーくす」『PUSH!!』第17巻第2号、株式会社マックス、2011年2月、114頁。
- DRACU-RIOT!
- 「DRACU-RIOT!」『PUSH!!』第18巻第1号、株式会社マックス、2012年1月、100-101頁。
- 「DRACU-RIOT!」『PUSH!!』第18巻第3号、株式会社マックス、2012年3月、48-49頁。
- 「DRACU-RIOT!」『PUSH!!』第18巻第4号、株式会社マックス、2012年4月、28-35頁。
- 「DRACU-RIOT!」『TECH GIAN』第16巻第7号、株式会社エンターブレイン、2012年5月、57-61頁。
- 「2012年読者が選ぶ美少女ゲーム年間ランキング」『BugBug』第22巻第4号、サン出版、2013年4月、124-137頁。
- 天色*アイルノーツ
- ゆずソフト『天色*アイルノーツ』KADOKAWA、2014年。ISBN (9784040662770)。(漫画版)。
- 「天色*アイルノーツ」『DENGEKI HIME』第13巻第11号、アスキー・メディアワークス、2013年8月、12-19頁。
- 「天色*アイルノーツ」『PUSH!!』第19巻第4号、株式会社マックス、2013年4月、52-59頁。
- 「2013年読者が選ぶ美少女ゲーム年間ランキング」『BugBug』第23巻第4号、マガジン・マガジン、2014年4月、122-133頁。
- 「編集部㊙座談会2013」『BugBug』第23巻第4号、マガジン・マガジン、2014年4月、149-155頁。
関連項目
- 天神乱漫! オーラの滝! 〜まいなすイオンがでてますよ〜(初制作のラジオ番組)
外部リンク
- 公式サイトなど
- 所属スタッフのアカウント